世代を超えて歌い継がれる音楽を紡いできたシンガー・ソングライター佐野元春。ことし3月にデビュー45周年を迎え、結成20年目のザ・コヨーテバンドと新アルバムを発表した。野外音楽イベント「フジロックフェスティバル」にも11年ぶりに参加する。7月から始まる全国ツアーを前に、広島市を訪れた佐野に聞いた。(渡辺敬子)
―新アルバム「HAYABUSA JET Ⅰ(ハヤブサ・ジェット・ファースト)」は1980、90年代の佐野さんの代表曲がたっぷり楽しめます。「ガラスのジェネレーション」は「つまらない大人にはなりたくない」と改題しましたね。
僕のクラシックを若い新世代に聴いてもらうために、エッセンスを残しながらも正しく再定義する必要があった。時代によって、好まれるグルーブやテンポがあり、新世代が踊りやすくしている。歌詞も少し変えた。新世代にはこれがオリジナルになるだろう。
80年に2枚目シングル「ガラスのジェネレーション」を出した当時、曲の最後に来るパンチラインの「つまらない大人にはなりたくない」ばかり注目された。ダンス音楽を作ったのに若者のスローガンのように捉えられたのは少し不満だった。
―今回はあえてタイトルに持ってきました。
楽曲の情感を支え、パンチラインを生かしているのはメロディーやリズムであり、バンド演奏や僕の歌唱。総合的な音楽表現を楽しんでほしい気持ちは今も変わらない。
「曲の主人公は佐野さん自身でしょう」という質問をよく受けるが、そんなことはない。僕が気を付けているのは個人の喜怒哀楽は横に置き、客観的な視点で目に映る現実や社会をスケッチすること。私小説的なものではなく、その時代を生きる人々の物語を紡いできたつもり。幸運にも普遍性が宿れば、聴く人の世代は問われないだろう。
―現在の世界情勢をどう見ていますか。
個が覆い隠されてしまう状況は過去にもあったし、戦時下を生きているという意識はある。ただ理不尽さに立ち向かうというより、

