端島(軍艦島)の元島民ら“里帰り” 閉山から半世紀 思い出語り懐かしむ 長崎県
かつて炭鉱の島として栄えた長崎市の端島(通称・軍艦島)の元島民とその家族ら計約220人が1日、チャーター船で島に“里帰り”した。2年ぶりの実施。1974年の閉山から半世紀が過ぎ、元島民は建物の劣化が進む古里の姿に寂しさを覚えながらも、子や孫に当時の思い出を語り、懐かしんだ。 閉山に伴って閉校した旧西彼高島町立端島小中の卒業生が2010年に発足させた「端島小中学校同窓会」が、2年(当初は3年)に1度開く同窓会に合わせ実施。50~90代の卒業生や閉山時の在校生ら計約120人とその家族が全国から参加した。 参加者は、普段は立ち入ることができない当時の居住区域を市の許可を得て見学。鉄筋コンクリート造りの高層アパート群や小中学校周辺を巡った。 父の転職に伴って島を離れて以来約60年ぶりという埼玉県越谷市の影山麻美子さん(75)は「最後の機会」と思い、長女の奈緒子さん(53)、孫のあゆみさん(33)と参加。当時住んでいたアパートでの思い出などを話しながら回った。 麻美子さんは「生まれてから16歳まで過ごした古里。建物が壊れていて悲しかったが同時に懐かしくて、泣きそうになった」。奈緒子さんは「母から『島のみんな、きょうだいみたいに育った』などと話は聞いていたが、実際に訪れて『ここに母が暮らしていたんだ』と思うと言葉にならない」と感慨深げだった。 端島を含む「明治日本の産業革命遺産」が世界文化遺産に登録されて今年で10年。昨年は端島を舞台にしたテレビドラマも放送され話題となった。石川東同窓会長(79)は「多くの人に関心を持ってもらい、うれしい。島内には護岸が崩れている箇所もあり、市も対策を進めているが、保存整備を急いでほしい」と話した。