英語の冠詞

はじめに

これから日本人がもっとも弱いとされる英語の冠詞のお話をします。 日本語と英語の違いは不定冠詞を使用する言語と助数詞を使用する言語の違いです。名詞の語彙化の方法によって世界の言語は2分されます。不定冠詞を必要とする言語と助数詞を必要とする言語です。この違いのため日本人は英語の冠詞を学ぶときにいつも問題に遭遇してしまうのです。不定冠詞のaは「一つの」とか定冠詞のtheは「その」というように安易に置き換えて習得しようとしてしまうからです。しかし英語の冠詞の機能は日本語の別のところに現れてきます。私たちは英語の冠詞は名詞に付属するものとして教わってきました。しかし英語の母語話者の頭の中にある規則はそのようなものではないようです。英語の名詞は基本的には自由に不定冠詞がついたり、つかなかったりするのです。どのような名詞も可算名詞になったり不可算名詞になったりするのです(これは日本語の名詞はいわゆる可算名詞も不可算名詞もおなじ形態で表示することと同じです)。また冠詞に名詞が付随していると考えたほうがはるかに論理的す。このように分析したのがAbney(1987)です。ここでの分析もAbneyように冠詞に名詞が付随していると考えます。日本人が冠詞をどうしても習得できない理由は、英語母語話者の無意識の中に入っている規則を逆に理解しているからです。

英語と日本語の名詞の違い

日本語の名詞は基数詞では数えることができません。「ちゃんと数えているではないか」と反論するかもし れませんが「数えることができる」という意味は基数詞をそのままつけることができるということです。英語の名詞は、oneとかtwoという基数詞をつけて数えることのできます。日本語の名詞は英語の不可算名詞のように数える場合は数える道具を必要とします。これが助数詞です。英語の不可算名詞を数える時に使われるものと同じです。日本語の場合は助数詞をつけて可算しています。助数詞にはいくつかの種類があります。名詞固有の助数詞である「類別詞」と容器や部分の単位を表す「単位助数詞」と数量を表す「計量助数詞」があります。「一匹の」が類別詞で「一杯の」が単位助数詞で「一リットルの」が計量助数詞です。一般に日本語で類別詞がつくものが英語の可算名詞で、単位助数詞がつく名詞が英語では不可算名詞となります。このことを例をみながら考えてみましょう。

日本語名詞の数え方

日本語の名詞は基数詞をつけて数えることができない。

a student, two students, three students

*一生徒、*二生徒、*三生徒

上の例は名詞を数えたものです(ここで日本語や英語として正しくな いものには「*」をつけることにします。「*」がついている語や語句、または文は非文法的という意味です。)英語の可算名詞には不定冠詞であるをつけます(母音の前ではanになります)。また2以上の基数詞がついた場合は名詞を複数形にしなくてはなりません。一方、日本語の「生徒」はそれだけで「一人の生徒」や「多くの生徒」や「生徒というもの」という意味を表します。どのような意味かは文脈が決定します。日本語でも複数の人を表わす接尾辞の「たち」や「ら」や「方」などがありますが、これらは英語の複数接尾辞とは異なり固有名詞にもつきます。「マリコたち」はマリコの複数とは異なります。また英語のように義務的でもありません。

「もの」の可算性

英語も日本語も可算名詞と不可算名詞があります。名詞には大きく「もの」名詞と「こと」名詞があります。両方とも特有な境界線を持っていると可算名詞になります。たとえばdesk 「机」は誰がみてもわかるような特有な形と境界線を持っています。机はbounded有界的な」もので不均質な部分から構成されています。不均質から成る有界的なものを可算名詞といい不定冠詞がつきます。一方、sand 「砂」も境界線がはっきりしていますが特有な形ではありませんし不均質な部分から構成されているとは言えません。日常的には一つの砂粒をとって議論することはありません。「わたしは3つの砂が必要だ」とか「彼に4つの砂を売ってください」というような会話は、特別な状況以外には成立しません。砂は数えるとき一粒と類別詞を使うことは可能なのですが、日常的には「バケツ一杯の砂」とか単位助数詞を使います。砂は均質な部分から構成されているので不可算名詞として分類されます。sand「砂容器や部分を表す単位助数詞によって境界線を獲得するのです。物質名詞のwater「水」も分子レベルでは1つの水分子(水分子は普通 a molecule of water と助数詞を使いますが、同じことを a water と言っても可能です)というように数えることはできるでしょうが、日常的には「わたしは3つの水が欲しい」などと言うことはありませんからwater「水」不定冠詞がつかず不可算名詞であると考えられます。water「水」は非有界的なのです。手ですくい上げれば形を変えて手から流れ落ちますし、コップですくいいれれば水はコップの形に変わってしまいます。water「水」は特有の境界線をもっていないunbounded「非有界的な」不可算名詞と認識されます。

分配特性と累積特性

非有界的な名詞は、分配特性を持っていると考えられています。分配特性とは一部分をとっても、その特性は変わらないということです。これはThis water is warm. と言った場合、Any part of this water is warm.という関係が成り立つということです。This blanket is warm. と言っても、Any part of this blanket is warm. とは言えません(この毛布の温度は別の毛布の温度よりも高いという意味ではなく、この毛布をかけると暖かいという意味においてですが)blanketは分配特性述語をとらない可算名詞であるからです。累積特性とは分配特性の逆で、もしEvery spoonful of soup is warm. ならそれが累積したThe soup is warm.が成立することです。Every book is light. で もThese books are not light. いえないため、bookは可算名詞であると分析できると考えます。

二分割同名法

分配特性と累積特性を持っているかどうかは二分割同名法で調べることができます。「もの」二分割して、残りの「半分」を同じ名前で呼ぶことができるかどうかで可算か不可算を判断します。同じ名前で呼ぶことができない「もの」は可算名詞で分配特性的ではありません。heterogeneous「不均質な構成素から成り立っているものだからです。異なった部品や部位などの要素から構成されているものが可算名詞となります。可算名詞は分割してしまうと、破壊された状態になっていますから、一方を同じ名前で呼ぶことはできません。同じ名前で呼ぶことができる「もの」は homogeneous 均質的な部分から構成される不可算名詞で分配特性的で累積特性的となります。ここで注意をしなくてはいけないのがoats「オート麦」のような名詞です。sand「砂」 よりは少し大きいので一応可算名詞に属するのですが、日常的にはやはりan oat「一粒のオート 麦」というような言い方はしないので常に複数形で全体を表しています。複数形で全体を表す表現をラテン語でpluralia tantum絶対複数形と呼びます。典型的なのはscissorsのようにペアで1つのものを表す語ですが、ペアでなくても使われます。beansと かpeasは一般に複数形で全体を表し、日常的には単数形のa beanのような表現はあまりしません。他にgarlic「ニンニク」などの球根を意味するchives「小球根」や「アサツキ」の場合も複数形で表すのが普通です。さらにgrits「アラびき穀類」やgroats「カラス 麦」も複数形で表現します。穀物類に多く見られますがnoodles「麺類」に関しても同じように 複数形で表すのが一般的です。このような名詞は可算名詞と不可算名詞の中間にあたる語であると考えることができます。

絶対複数分化複数を参照

「こと」の可算性

名詞には tangible でない「こと」を表す名詞があります。「生活」「行為」「出来事」「状態」「感情」「態度」「時間」「自然現象」から時間軸のない「場所」「量」「言語」「関係」「「思考」「制度」「文化」などいろいろな意味を表します。これら「こと」を表す名詞は動詞や形容詞から派生したものが多くあります。これらの名詞は基本的には不可算名詞として語彙化されています。しかし「もの」と同じく有界的であるかどうかで不定冠詞がつく場合もあります。a country「国」は政治経済的な単位としての場所を表しています。国は国民や領土や政治機構などheterogeneousな要素から構成される有界的な場所として捉えられます。一方、4次元世界に存在する名詞は、「始まり」と「終わり」のある有界的な「出来事」として捉えるかどうかで、可算名詞なのか不可算名詞なのかを判断します。日本語で「第一回の」言える名詞には不定冠詞がつくことが可能です。また「今朝の」とか「一時間の」とか「昨日の」というような時間表現をとることができます。an era「時代」a moment「瞬間」noon「昼」occasion「機会」time「時」などは「始まり」の時と「終わり」のある有界的な「時」 を表す可算名詞です。またgoal「目的」は着点をもった概念で、heterogeneousな手段や過程から構成される有界的なものとして捉えられます。このような名詞は「一つの」という日本語で表すことができます。goal「目的地」ground「地 面」region「地域」site「場所」space「空間」spot「点」stage「ステージ」step「段」は「場所」を表 す可算名詞です。amount「量」number「数」length「長さ」weight「重さ」mass「質量」period「期間」area「面積」は「量」を表す可算名詞です。word「単 語」language「言語」phrase「句」sentence「文」は axiom「格言」「言語」を表す可算名詞です。

感情や意識を表す名詞

人間の行為や内面を表すattitude「態度」courage「勇気」desire「願望」doubt「懐疑」effort「努力」faith「信仰」fear「恐怖」fury「激怒」gall「心痛」grudge「恨み」guilt「罪」habit「癖」insight「洞察」instinct「本能」interest「関心」logic「論理」pain「痛み」passion「情熱」pity「憐れみ」plea「懇願」pleasure「喜び」prejudice「偏見」pride「自負」sin「罪」solace「慰め」sorrow「悲しみ」suspicion「疑い」terror「恐怖」trouble「困難」urge「衝動」wisdom「智」wit「機智」wish「望み」zeal「情熱」などような人間の内面を表すものは離散的というよりは連続的で境界線があまりはっきりしていません。しかし

I don't like a woman who has an attitude.

というとなにか自信にあふれた信念を持っている態度の場合には不定冠詞がつきます。ただこの不定冠詞は個数を表すというよりは a kind of という種類を表します。courage「勇気」も普通は

You must have courage to do that.

不定冠詞なしで使いますが、他の種類と比較するような場合は、

You must have courage, a courage that keeps you going.

のように不定冠詞がつきます。anarchyは普通は「無政府状態」と始まりや終わりのない非有界的な抽象名詞ですが、人間の捉え方によって、その無政府状態のある一定期間の状態という意味では

This is an anarchy in which the tension will make and break institutions in rapid succession.

のように可算名詞化することも可能なのです。 人間の内面を表すある一時期の感情のような場合は可算名詞ととらえることもできますが一般的には不可算名詞と考えられます。可算か不可算かは、名詞そのものが内在する意味特性というよりも、名詞が表す概念のとらえ方ですので、どちらにも移行することを忘れてはいけません。

均質と不均質

名詞に不定冠詞がつくかつかないかを考えるとき、構成要素の均質性が重要な要因となってきます。名詞がどのような要素の集合体であるかによって可算、不可算が決定してくるのです。可算名詞は不均質な要素の集合体考えられます。例えばa pencilというと、黒鉛でできた芯やその回りを取り囲む木の材料などいろいろと異なる部品からできています。一方、不可算名詞は均質な要素の集合体と考えているので。例 えば 

She scribbled a note in pencil.

と不可算でpencilと書くと、このpencilは先ほどの不均質要素の集合と捉えるのではなくて、抽象的な道具としての鉛筆と捉えています。これは名詞の裸複数形でものの総称的な意味を表すことと似ています。名詞は私たちの捉え方によって総称的なものと捉えたり、個別的なものと捉えたり自由に行えるのです。そのような思考の捉え方に役割を果たしているのが冠詞であったり、複数を表す接辞なのです。不可算名詞の pencil は個体を表す可算名詞の a pencil から不定冠詞をとることで「手段」としての鉛筆とか「特徴」とか鉛筆から派生する拡張意義を表すのです。

英語名詞の形態

英語の可算名詞はその前に不定冠詞をつけて数えます。不定冠詞と同じ機能を持っているのが複数の接尾辞です。名詞の意味は不定冠詞が担うことになります。複数接尾辞は不定冠詞と同じようなものとして分析していきます(当然、単数と複数という意味の違いはありますが)。可算名詞も不可算名詞として表すこともできます。この場合は不定冠詞を省くことによって名詞の属性や特徴などが抜き出されることになります。不可算名詞は日本語と同じく助数詞をつけて個体として表します。また不可算名詞に不定冠詞をつけて名詞の比喩的な拡張意義を表します。つまり英語では不定冠詞つき、複数接辞つき、ゼロ冠詞つき、そして助数詞つき名詞句の4つの形態があることになります。

形態

不可算名詞

可算名詞

不定冠詞

a water

a desk

複数接尾辞

waters

desks

ゼロ冠詞

water

desk

助数詞・類別詞・単位助数詞

a glass of water

a variety of desks

英語名詞句の意味

名詞句の意味はその形態によって解釈が異なります。不定冠詞は基本的にはどのような名詞にもつくことが可能です。また、また基本的にはどのような名詞も不定冠詞をつけないで使うこともできます。名詞は可算性に関して転移するのです。不定冠詞なしの場合は総称的な抽象概念を表します。不定冠詞がつくと個体を表したり、種類を表したり、拡張可能なべつの概念や範疇を表します。たとえばwateraがつくと「水の種類」とか「水一杯」とか「水一分子」とか「水」から拡張可能な概念を表します。複数形になると「水域」というように境界線の曖昧な「水」からなる「表面積」とか「地域」を表します。また不定冠詞がつくと個別的なものを表したり、始まりと終わりの明確な有界的な「出来事」を表します。一方、複数接尾辞で表すと、ちょうど不可算名詞のゼロ冠詞の場合と同じく総称的な意味を表します。当然、複数接尾辞で個別的な「もの」の「集合体」をも表すことができます。一方、名詞をゼロ冠詞で表すとその名詞の属性を抜き出すことができます。たとえばdeskを不定冠詞ではなくゼロ冠詞で表すと「机の面積」とか「机の役割」とか「机の材質」をいうものを表すことができます。例えば

There is more desk for two people working on their project.

とすると、deskは平板や足のついたa deskとは異なり「机の面積」という意味に変わります。同じように

Our neighbor has more house because theirs is on the side.

とするとhousea houseと異なりgradientな形容詞のような概念を表します。ここでは「家の床面積」という意味に変化します。不可算名詞に不定冠詞がつくと「の塊」とか「の製品」とか「の作品」とか「の人」や「の手段」や「の種類」さらには「の特徴」「の行為」や「の過程」や「の結果」や「の実」など多岐にわたる意味を表します。このように可算名詞の内在する特徴を抜き出すようなときには裸名詞(ゼロ冠詞)で表します。不定冠詞つき名詞句、裸名詞の複数形(複数接尾辞)ゼロ冠詞助数詞つきの名詞句と4つの形態を使い分けて、さらに名詞の可算性をちゃんと理解しないと混同して、正確な英語名詞の解釈が不可能になってしまいます。

不定冠詞の意味

基本的にはどのような名詞にも不定冠詞の がつきますが、不定冠詞a意味が異なるのです。可算名詞に不定冠詞がついた場合は「個体」を表し、不可算名詞に不定冠詞がつくと「種類」、「製品」、「部分」などを表します。例えば名詞の dog 「犬」を考えてみましょう。dog に不定冠詞の がつき a dog となると dog 「犬」の個体、つまり「犬」という名詞で表される集合体の「個別の犬」である「一匹の犬」を表します。また不定冠詞をつけて「犬という種」をも意味します。一方、名詞の iron 「鉄」を考えてみましょう。iron 「鉄」は総称で範疇を表していますiron「鉄」 metal「金属」というものの中の「一範疇」を表したりその材質からなる鉄の「部分」を表しています。このような名詞に不定冠詞 an がつき an iron となると「製 品」や「種類」や「部分」や「特徴」などを表します。 iron は特有な形を持っていませんから不定冠詞つきのironは鉄の「個体」を表すことはできません。 iron の「種類」や「製品」を表す ことになります。例えば an iron で「ある種類の鉄」という意味になりますし、鉄の原料で作られた「製品」であるan iron「アイロン」やan iron「アイアン」という意味に変わります。不定冠詞のaは名詞についているというよりは、下のかっこ内の名詞についていると考えたほうが良いかもしれない。

a. 個体 a (individual of) dog 「一匹の犬」

b. 種  a (species of) dog 「犬という種」

b. 種類 a (kind of) food 「ある種の食料」 

c. 製品 a (product of) iron 「鉄のある製品」 

d. 部分 a (piece of) stone 「石の固まり」

e. 盛り a (serving of) coffee 「一杯のコーヒー」  

f. 作品 a (product of) John 「ジョンの作品」 

g. 人柄 a (personality of) John 「ジョンの人柄」

h. 人  a (person of) beauty 「美を持った人」  

i. もの a (thing of) eternity 「永遠のもの」  

j. 能力 a (ability of) John 「ジョンの能力」  

k. 属性 a (attribute of) metal 「金属の特徴」 

l. 過程 a (process of) admiration 「賞賛という過程」

m. 行為 a (act of) addition 「追加という行為」

n. 結果 a (result of) achievement 「成し遂げられたもの」

o. 原因 a (reason for) bore 「退屈させる原因」

p. 手段 a (means of) protection 「保護手段」

q. 事例 an (instance) of injustice 「不正事例」

英語ゼロ冠詞の意味

不定冠詞も複数接尾辞もつけない名詞句も最終的には決定詞であるゼロ冠詞がついていると考えます。ではゼロ冠詞はどのような意味をもつのしょう。もっとも一般的なものは物質を表すことです。この場合はゼロ冠詞が「という物質」という意味を得ると考えますゼロ冠詞をつけると総称的な範疇として物質を表すだけではなく具体的な物質のをも表します。またゼロ冠詞をつけて名詞が表すいろいろな属性の一部分を抜き出すことが可能となります。

a. 物質 (the substance ofwater

Water is made up of hydrogen and oxygen.

b. 材料 (the material ofbrick

There is more concrete than brick in this column.

c. 量 (an amount ofsugar

Sugar spilled all over the floor.

d. 種類 the beverage ofbeer

Beer is an alcoholic beverage.

e. 容積 (the area of thecar

The huge Toyota has acres of car.

f. 属性 (a quality ofmother

There is much mother in her.

g.  the name ofbook

We call it book.

h. 総称 (the sex ofman

Man dies earlier than woman.

i. 生活 (the life ofprison

I did not enjoy prison.

j. 目的 (the purpose ofbed

Bob went to bed.

k. 手段 (the means ofbike

Bob went out by bike.

l. 道具 (the tool ofpencil

He wrote in pencil.

裸複数名詞句の意味

名詞の裸複数形はその名詞のある集団、種類、対の部分からなる衣類や器具の絶対複数のものや境界線の曖昧な地域や器官を表します。さらに、特徴、製品や作品、属性や行為を表します。

a. 種類 Cars are the key to the industry of developed countries.

b. 集団 Apples lay on the ground.

c. 道具 Pass me the scissors.

d. 境界線の曖昧な地域 a lake framed in woods

e. 境界線の曖昧な器官 tonsils

f. 製品 clothes

g. 行為 acts

h. 品物 briefs, jeans, pajamas, shorts, slacks, trousers, trunks, etc.

i. 物質 dregs, sands, salts, grits, oats, etc.

j. 集合体 arms, clothes, contents, covers, dishes, goods, groceries, leftovers, munitions, odds-and-ends, refreshments, remains, spoils, supplies, valuables, etc.

k. 報酬 amends, damages, deserts, dues, earnings, proceeds, reparations, reprisals, returns, wages, etc.

l. 強調 apologies, compliments, condolences, regards, remembrances, thanks, congratulations, etc

m. 動詞派生名詞 beginnings, belongings, furnishings, goings-on, lodgings, makings, proceedings, savings, surroundings, writings, etc.

境界線のあいまいな地域

複数形の一般的な意味は数を明確に表すことです。desk2つならtwo desks と複数を表す屈折接尾辞がついて具体的な数をあらわしています。しかしこのような数を明確にあらわすのではなく、漠然とした境界線を表す場合にも複数形が使われます。この典型的な使われ方が mountains「山脈」です。mountain「山」は1つの場合はa mountain 「山」というよ うに不定冠詞がつきます。もしも2つの山のことを述べたい場合はtwo mountains と基数詞と複数形の接尾辞をつけますが、境界線のあいまいないくつもの山からなっている地帯を述べる場合にも複数形の接尾辞をつけて表します。単純にmountains とした場合は2つ以上の「山」を表す場合と、境界線があいまいな地域を表す「山脈」とか「山脈地帯」という意味になります。複数形を表す接尾辞は後者の例のように漠然とした境界線のはっきりとしない区域を表 すのに使われます。ちょうど日本語の「林」とか「森」という意味と似ている。林は木が集まった集合体であるが、単純に木の複数形とは異なる。木が集まった集合体全体 を別の意味的な角度から再編成して「林」を形成しているのである。しかも林はどこからどこまでが林でどこからどこまでがその周辺の畑や平原であるのか余り 明確な境界線を引くことができない。woodは「木」を意味しますが複数形のwoodsと なると「林」とか「森林地帯」を意味します。またbackwoodsで「辺境地」と境界線のはっき りしない地域を意味します。「麓」を意味するfootと「丘」を意味するhillとをつなぎ合わせたfoothill「前衛の 山」は複数形になると境界線のはっきりとしない漠然とした地域を意味する「丘陵地帯」という意味に変わります。suburbは 「近郊」という1つの地域を表しますが、これが複数形になりsuburbsと なるとある都市の境界線があいまいな「周辺地域」とか「郊外」という意味になります。precinctは 警察の「管轄区域」とか行政の「行政区域」という意味で使われますが、複数形のprecinctsと なると「周囲」というように漠然とした境界線のはっきりとしない区域を意味するようになってしまいます。これが不可算名詞のwaterに複数形の接尾辞がついても同じです。watersで 「水域」とか「海域」という境界線のはっきりとしない漠然とした区域を表すようになります。quarterは 「特定区域」を現しますが、これが複数形の接尾辞がつきquartersとなると「居住区」という ように境界線のはっきりしない広い領域を意味するようになります。surroundingsの複数 接尾辞も同じような働きをしています。境界線のはっきりとしない漠然とした区域である「環境」とか「周辺部」という意味になります。他にbushes「低木林地」plains「平原」steppes「草原」woods「森林地帯」があ る。

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境界線のあいまいな器官

境界線のはっきりとしない地域以外にも身体の部分や精神状態を表す ときにも複数形の接尾辞が使われます。内臓などいろいろなものをまとめて言う場合は複数形の接尾辞をつけてbowels「内 臓」などといいます。他にもentrails「内臓」やguts「内 臓」などいろいろと同じものを表す表現があります。内臓はinsidesと言う場合もあります。具 体的なものの名詞ではなく、身体のことを表す名詞の場合もはっきりとした境界線のないものは複数形の接尾辞をつけて表します。筋肉のけいれんを表すcramp は複数形になるとアメリカでは「月経痛」を一般に表します。しゃっくりも普通は1回だけではありませんからhiccupsと複数形で 表します。くすくす笑いも1回のみではなく何度も笑いますからgigglesと複数形で表します。「いらいら」とか「そわそわ」を表すjittersも複数形で表します。神経を意味するnerveに 複数形の接尾辞をつけるとnervesとなり「神経過敏」とか「臆病」という意味を表します。どことなくピリピリする境界線のはっきりしない痛みを表します。shake「振ること」に複数形の接尾 辞をつけてshakes「震え」とか「悪寒」を表したりするのも境界線のはっきりとしない漠然とし た領域やことを表しているのです。

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裸複数名詞

複数語尾接辞の -s は単に単数・複数の区別のみでなくいろいろな意味を表す。粒子からなる語につくと「物質」とくに「食料」を表す。

beans

chives

チャイブ(ネギの一種)

cold cuts

コールドカット(チーズとミートの薄切り)

crudites

生野菜(オードブル)

French fries

フライポテト

fries

フライポテト

greens

青野菜

grits

オートミール(カラス麦)

groceries

食料雑貨品

hash browns

ハッシュブラウンズ

oats

オートミール

pickles

漬物

preserves

貯蔵食糧

provisions

貯蔵品

pulses

豆類

rations

食料、軍の一日分の糧食

refreshments

飲料物、軽食

seconds

お代わり

spring greens

若いキャベツ

tapas

前菜(スペイン)

whole grains

全粒(小麦、トウモロコシ)

「集合体」特に「洋服」を表す。ただし絶対複数形に助数詞をつけて可算することはできない。 an item of clothing は可能であるが *an item of clothes とは言えない。

civvies

平服 (civilian clothes)

clothes

洋服

co-ordinates

コーディネート

fatigues

作業服、野戦服

glad-rags

晴れ着、一張羅

leathers

革の服

nightclothes

寝間着

oilskins

防水服

rags

ぼろ服

robes

礼服、法服、衣類

separates

セパレーツ(組み合わせ服)

smalls

半ズボン、下着

suits

スーツ

sweats

スエットスーツ、スエットパンツ

tails

燕尾服、婦人服の長い裾

thermals

保温性下着

threads

衣服、着物

togs

衣服、服装一式

tweeds

ツイードの衣服

underclothes

下着

undies

下着(女性)

vestments

服装、礼服

whites

白い服

woolens

毛織物衣類

境界線の曖昧な「区域」や「場所」を表すときに複数形で用いて、その「周辺区域」を集合的に表す。

accommodations

宿泊設備

apartments

アパート

backbenches

後方座席(平議員の)

back streets

裏町、貧民街

backwoods

僻地

battlements

胸壁

benches

裁判官席、裁判官、法廷、控えの選手

bleachers

外野席

bushes

低木林地

chambers

アパート、判事室、

colonies

植民地、失業者救済機関、隔離施設

downs

高原地

environs

周辺地域、郊外、環境

farmlands

農地

foothills

山麓の丘陵地帯

gardens

公園、広場

grasslands

草原

grounds

運動場、庭、構内

heavens

宇宙

highlands

高原、台地

lowlands

低地

marshlands

沼地

meadows

牧草地

moorlands

沼地

mudflats

泥地、干潟

outskirts

郊外、周辺地域

pampas

大草原

plains

平原

park lands

草地、森林地帯

prairies

大草原

precincts

周囲、付近、境界、区域

premises

土地家屋、家屋敷、構内、建物

provinces

地方、田舎、地形区

quarters

居所、住居、宿営、兵舎

quicksands

流砂、危険な状態

rapids

急流

reaches

地位、階層、区域、入り江

regions

境域、区、領域

sands

砂丘、砂漠、砂浜、砂洲

seas

海域

shallows

浅瀬

shores

岸、海岸地方

snows

万年雪地帯

stalls

特別席、馬小屋

steppes

草原

suburbs

郊外

surroundings

環境、周辺、郊外

terraces

台地

territorial waters

領水、運河、湖沼、湾、内海

tropics

熱帯地方

uplands

高地、台地、高台

wastes

廃墟、荒れ地、未開拓地

waters

水域

wilds

荒野、原野

wings

舞台脇、周辺地域

woods

森林地帯

境界線の曖昧な「器官」や「部位」を表す。

abdominals

腹部、腹筋

adenoids

アデノイド、咽頭扁桃

bangs

前髪

bowels

腸、内部、はらわた

brains

知能、頭脳

bunches

後頭部の2つのたばねた髪型

dreadlocks

トレッドヘア

entrails

内蔵

extremities

四肢

features

顔、容姿、目鼻立ち

genitalia

生殖器

genitals

生殖器

giblets

性器

guts

内蔵

hindquarters

(四足獣の)後身体

innards

内蔵

insides

内蔵

intestines

腸、内蔵

locks

頭髪、髪の毛

loins

腰部、陰部

private parts

陰部、恥部

privates

陰部

sideboards

頬髯

sideburns

もみあげ

tonsils

扁桃

tresses

長い髪のふさ

vocal cords

声帯

whiskers

頬髯

withers

気持ち、感情

「身体的な状態」や「精神的な状態」もどこからどこまでそのような状態なのか境界線を引くことができない。このような「心理状態」や「感情」または「症状」も一般に複数形で表す。

agonies

苦悶

bedsores

床ずれ

blues

憂鬱

cramps

痙攣

crow's feet

目じりの皺

DT's

譫妄 delirium tremens

giggles

くすくす笑い

goose bumps

鳥肌

goose pimples

鳥肌

hiccups

しゃっくり

hysterics

ヒステリー発作

jitters

いらいら、ガタガタの震え

nerves

神経過敏、神経質

nits

馬鹿、間抜け、あほ

piles

痔疾

runs

下痢

shakes

悪寒

shits

恐怖

sniffles

鼻かぜ、泣きじゃくり

split ends

枝毛

stretch marks

伸展線(腹部の線状の浅い裂創)

withdrawal symptoms

禁断症状

worms

寄生虫、寄生虫病

動名詞派生辞の -ing のついた名詞に -s をつけて「集合体」を表す。不定冠詞の がついた名詞の複数形とは意味が異なる。不定冠詞のついた名詞はその出来事の回数を表すが -s がついた名詞は境界線が若干曖昧な集合体を表す「もの名詞」である。

beginnings

初期段階、初めのころ

belongings

所有物、財産

doings

行動、出来事

earnings

稼ぎ高、所得

findings

発見物、調査結果

furnishings

備え付け家具、備品

goings-on

(非難される)行為、事件

leavings

残りかす、残ったもの

lodgings

貸間、下宿

makings

原料、利益

pickings

もうけ

proceedings

議事録、会報

savings

貯金、貯蓄

surroundings

周囲、環境

takings

収入

winnings

勝利金

writings

著作、作品

「補償」や「代償」を表す語も裸複数名詞で表す。

amends

償い

damages

賠償金

deserts

当然の報い

dues

賦課金

proceeds

売上高

reparations

賠償金

reprisals

賠償金

returns

収益

wages

給料

「感情の表現」も一般に複数形で表す。単数形で表すことが可能な語もある。

acknowledgments

謝辞

advances

申し出

apologies

謝罪

blandishments

甘言

commiserations

同情

compliments

世辞

condolences

悔み

confessions

体験談

congratulations

祝辞

directions

指図

instructions

訓令、指令

memoirs

回顧録

murmurings

ざわめき

noises

抗議

pieties

慣習追従的な言葉

plaudits

賞賛

pleadings

懇願 (単数形でも使える)

promptings

鼓舞 (単数形でも使える)

ramblings

冗漫なおしゃべり

ravings

戯言

recriminations

非難 (単数形でも使える)

regards

挨拶

remembrances

伝言

sophistries

屁理屈

sweet nothings

愛のことば

thanks

謝辞

tidings

音信

vituperations

罵詈 (単数形でも使える)

vocals

歌唱

words

論争、談話

writings

著作

「金銭」や「財産」などを表す場合も複数形で表す。多分、境界線の曖昧な区域や器官と同じような発想であると思う。


alms

施しもの

assets

資産

capital gains

譲渡所得

damages

損害賠償金

finances

資金

funds

手元資金

ill-gotten gains

不正利得

means

資産

monies

proceeds

収益

profits

利潤

readies

紙幣

receipts

受領高

revenues

財源

riches

royalties

特許権使用料

securities

有価証券

spoils

略奪品

things

財産


「費用」や「経費」を表す場合も複数形で表す。

borrowings

借金 (単数形でも使える)

costs

経費

death duties

相続税

expenses

経費 (単数形でも使える)

outgoings

出費

overheads

間接費

rates

租税

reparations

修繕費 (単数形でも使える)

running costs

維持費

subs

会費

「考え」や「信仰」も複数形で表す。これも境界線の曖昧な区域や器官と同じような考え方であろう。

beliefs

信念

ethics

倫理的規範

imaginings

空想

insights

内省、洞察

meditations

瞑想 (単数形でも使える)

morals

道徳

reflections

感想、意見、考察 (単数形でも使える)

second thoughts

考え直し

standards

道徳的規範

thoughts

意見

values

価値観

「基礎」や「基本」を表す語も複数形で使われる。

basics

基本、必需品

complexities

複雑性

essentials

本質的要素、主要点

fundamentals

基本

intricacies

込み入った事情

mechanics

力学、操作方法

minutiae

詳細

rudiments

根本

specifics

細目、明細書

subtleties

明敏、精妙

technicalities

専門的事項

workings

仕組み、機構、計算の過程

「残物」や「遺跡」など残されたものも複数形で表す。

ashes

遺骨

cinders

dregs

残物

lees

おり、かす

leftovers

残飯

peelings

むいた皮

remains

残物、残高、遺体、遺骨、残骸、遺稿、遺跡

ruins

廃墟、残骸

scrapings

削りくず

scraps

切り抜き、残飯、廃物、脂肪かす

trimmings

つま、付け合わせ、切り取ったもの

可算名詞の不可算化

基本的にはどのような名詞にも不定冠詞をつけたり、ゼロ冠詞で表現することができます。可算名詞も不定冠詞をつけなければ抽象的な意味を表します。可算名詞の不可算名詞化は固有なものを総称化する方法です。a dogは固有な境界線をもった生物で、半分に切ってしまった残りをa dogとは呼べません。しかし不定冠詞の をとって dog とすると「犬という物質」とか「犬という材料」とか「犬という大きさ」などと犬の属性を表すことになります。a kind of dogdoga kindと同種の範疇でなくてはなりません。a kindの 場合、of の後に来る名詞のdogは不定冠詞を外して「犬という種」とか「犬というもの」という抽象的な意味を表しています。ちょうど不可算名詞に定冠詞 がつくと「種類」や「製品」を表わすのと表裏一体になっています。不可算名詞化は、ほぼすべての可算名詞に生じます。たとえばa spider「クモ」は足や頭部や腹部など不均質な構成素から成り立つ動物ですから可算名詞です。しかしこのような可算名詞も不定冠詞をとって

Emmy finds squashed spider more nauseating than the thing alive. (Allan 1980:545)

「エミーは生きているクモよりもつぶされたクモの方がムカムカすると思う」というようにもいえます。ここ ではspiderは不定冠詞も複数形の接尾辞もついていませんから不可算名詞として捉えています。 不可算名詞としてとらえるということは二分割して片方を同じような表現でいえるということですからクモ綱クモ目の節足動物としてみなしているわけではあり ません。「クモの肉」のように扱っています。これと同じように「果物」や「魚」なども、個体としてみなす場合は可算名詞として扱いますが、果肉としてみな す場合は不可算名詞になります。

Tom ate an apple.

「トムはリンゴを食べた」 はリンゴ固有の境界線をもった可算名詞として扱っていますが、

Tom put more apple into the salad.

「トムはサラダにもっとリンゴを入れた」の場合は果肉の不可算名詞として使っています。魚も

Tom caught two fish.

といえば魚固有の境界線を持った可算名詞として使っていますが、

Tom put many slices of baked fish.

と言った場合はfishを魚肉とみなして不可算名詞扱いにしています。このように可算名詞も自由に不可算名詞に変えることができるのです。

Several termites fed on book.

「何匹かのシロア リが本を食べた」ここではbookは特有なカバーやページから構成される「本」ではなくて、紙の中 の1つの分類されたものとしての「本」を表しています。本の背びれやカバーやページなど具体的なも のを表さない、材質としての分類物として使われています。

Several termites fed on a book.

となると「何匹かのシロアリが本を一冊食べてしまった」という意味になります。「可算名詞の不可算化」で説明してある有名なAllan (1980)の論文を参考にしてください。最後によく言語学者が使う残酷な文を一つ。

There was dog all over the driveway.

とは「ドライブウェイに犬の肉が 散らばっていた」という意味になります。さらに可算名詞は不可算化することによって、その名詞のもつ内在的な特徴を表すこともできます。

There is a lot of dog bearing down on a 6-year-old boy.

となるとbearing downしているのはdogではなくてa dogweightなのでしょう。

I saw much father in Tom when he was looking at his son.

fatherも父親というよりは「父性」という意味につかわれています。普通名詞の内在的な特徴を表す場合は不定冠詞をつけないことでその名詞の表す特徴が段階的特長とみなす場合が多く、実際にはmuchとかlittleというような程度形容詞がつく場合が多く使われます。たとえば可算名詞のcar「自動車」も

I bought a car.

となると個別的な「自動車」のことですが、

The man winds up with too much car.

となると具体的な自動車ではなくて、a payment for a carとかa maintenance for a carという車に内在したり付帯する属性を表すようになります。womanも総称的には不定冠詞を取らず抽象的に

Woman lives longer than man.

のように表すことも可能です。つまり理論的にはどのような可算名詞も不定冠詞なしで表現することが可能なのです。

参照  裸単数可算名詞

分化複数形

goodsはもとも とはgood 「良い」という形容詞に -sをつけることによって「良い」という特徴を持っている「具体的なもの」から「商品」へと発展していったのである。valuable 「価値のある」という形容詞も-sをつければvaluables 「貴重品類」という肯定的な名詞に変化します。このような形容詞はgoodsのような肯定的な名詞というよりもleftovers 「残り物」とかscrapings 「削り屑」といっ た否定的なものが多いような気がします。形容詞に-s を付けると物を表しますが不定冠詞のaをつけてその単数形のものを表すことはできません。。valuableに 不定冠詞のaをつけてもa valuableで 「貴重品」という意味には発展しないのである。 inferior 「劣った」という形容詞に -sをつけて「劣ったもの」とか「劣った人」というような意味になります。このinferiorsgoodsとについている派生辞 の -s は異なった機能をしています。前者は単数形も複数形も可能であるが、後者の「商品」 という意味のgoodsは単数形は存在しない。単数形としてa goodがあるのは普通の形容詞を名詞へと変換する用法で「良いもの」とか「良い人」とか「善」いうような意味を表わすものだけである。 -sを付けると単なる複数ではなく特殊な意味に変わるような複数形を一般に分化複数形と呼ぶ。分化複数形は不定冠詞や複数語尾をつけることによって元の意味から分化した意味を表しているのである。このような-sのついた名詞は他にarms 「武器」clothes「衣服」contents「中身」「目次」covers「寝 具」dishes「食器」groceries食料leftovers「残り物」munitions「軍需品」odds-and-ends「「がらくた」odds-and-sods「有象無象」refreshments「軽 食」remains「遺体」「遺石」spoils「略 奪品」supplies「貯蔵品」valuables「貴重品」などがあります。

分化複数形

accomodation

適応

accommodations

宿泊設備

advice

忠告

advices

通知

air

空気

airs

雰囲気

alm

施し

alms

施し物

amend

修正する

amends

償い

annal

一年間の記録

annals

年代記

apology

謝罪

apologies

謝罪の言葉

archive

書庫

archives

保管文書

arm

arms

武器

arrear

後方へ

arrears

滞り

ash

ashes

遺骨

auspice

前兆

auspices

保護

ban

禁止令

banns

結婚予告

bearing

態度

bearings

進路

beginning

始まり

beginnings

幼少時、初期段階

belonging

所属

belongings

所有物

bowel

bowels

はらわた

brain

brains

知能

card

カード

cards

トランプ

cloth

clothes

洋服

club

クラブ

clubs

トランプのクラブ

color

colors

軍旗

common

一般の

commons

下院議員連

compliment

敬意

compliments

挨拶、辞令、お悔やみ

condolence

哀悼

condolences

お悔やみ、弔辞

confidence

自信

confidences

内緒事

congratulation

祝い

congratulations

祝辞

content

内容

contents

目次

cover

おおい

covers

寝具

credential

資格認定の

credentials

証書

custom

習慣

customs

税関

damage

損害

damages

損害賠償金

day

days

時代

desert

砂漠

deserts

功罪

drawer

引き出し

drawers

タンス

dreg

カス

dregs

つまらないもの

due

支払われるべき

dues

賦課金

earning

稼ぎ

earnings

所得

effect

効果

effects

動産

elder

年上の

elders

年上の人

eye drop

eye drops

目薬

folk

民衆の

folks

人々

force

forces

軍隊

fund

基金

funds

財源

furnishing

設備

furnishings

備え付け家具

genital

生殖の

genitals

生殖器

glass

ガラス

glasses

メガネ

good

goods

商品

Grass root

基礎的な

grass roots

草の根の

green

緑色

greens

青野菜

grocery

食料品店

groceries

食品雑貨類

ground

地面

grounds

根拠、理由

gut

消化管

guts

内臓、実質

head

heads

heaven

天国

heavens

天空

honor

名誉

honors

優等

hour

1時間

hours

勤務時間、開店時間

humanity

人類

humanities

人文科学

leftover

残り

leftovers

食べ残し

letter

手紙

letters

文学

lodging

住居

lodgings

貸間

look

見る

looks

風貌

main

主な

mains

本線

making

作ること

makings

利益

manner

方法

manners

行儀

minute

minutes

議事録

moral

教訓

morals

素行

mountain

mountains

山脈

munition

必要品

munitions

弾薬

odd

奇妙な

odds

確率

order

命令

orders

聖職

origin

始まり

origins

出自、血統

outskirt

辺境

outskirts

郊外

pain

痛み

pains

骨折り

part

部分

parts

才能

particular

特定の

particulars

詳細

premise

前提

premises

家屋

proceed

前進する

proceeds

収入

proceeding

進行

proceedings

会報

quarter

4分の1

quarters

宿舎

refreshment

元気回復

refreshments

軽食

regard

注意

regards

よろしくとの挨拶

relation

関係

relations

利害関係、交友

remain

とどまる

remains

遺体

remembrance

記憶

remembrances

伝言、挨拶

reparation

償い

reparations

賠償金

reprisal

報復

reprisals

賠償金

respect

尊敬

respects

伝言

return

帰り

returns

返品

sand

sands

砂浜

saving

救い

savings

貯蓄

spectacle

光景

spectacles

メガネ

spoil

不良品

spoils

略奪品

spirit

精神

spirits

気炎

stair

一段

stairs

階段

step

steps

はしご、階段、脚立

supply

供給

supplies

貯蔵品

surrounding

囲み

surroundings

環境

system

組織

systems

プログラムシステム

thank

感謝

thanks

謝辞

troop

軍隊

troops

兵士

tropic

熱帯の

tropics

熱帯地方

valuable

貴重な

valuables

貴重品

wage

報い

wages

賃金

wit

機知

wits

理知

wood

材木

woods

work

仕事

works

作品

writing

書き方

writings

書物

絶対複数形

英語には双物質と呼ばれる名詞がある。双物質とは手袋やズボンのよ うに二つがペアになって一つのものを表わしている物質で、複数形で表わす。 glassesは「眼 鏡」でglass 「ガラス」の複数形ではない。 pants 「ズボン」はa pant 「あえぎ」の複数形ではない。 binoculars 「双眼鏡」も片方だけをa binocularとは言わない。ズボンにしても、眼鏡にしても、さらに双眼鏡にしても、片方だけを分離してしまってはもはや「眼鏡」とか 「ズボン」とか言えなくなってしますのである。つまり分離不可能なものなのである。 pantsの 脚が入る片方をとってしまったらpants 「ズボン」とは言えなくなるし、 glassesの片方のレンズをとってしまったらやはりglasses 「眼鏡」とは呼べなくなってしまう。このような双物質は複数形で一つの完全なものを形成しているのである。これがsocks 「ソックス」になると、glassesbinocularsとすこし状況が異なってくる。 socks 「ソッ クス」の片方は別々に分かれているために一応は分離することが可能である。しかしsocksを片方 だけはいて出歩くことはなかなか不自然なことであるし、どうもしっくりいかないであろう。 socksbinocularspantsを一つのペアを言い 表す時にはa pair of socksとかa pair of binocularsとかa pair of pantsというの であるが、a pantと単数形にして「ズボン」の片方を表わすことは変であるが、 a sockとして「ソックス」の片方を表わすことは可能ではある。ただしそのような状況が非常にすくない ことは確かである。

私たちは二つでペアをなすものをたくさん持っている。 eyes 「目」もそのうちの一つである。しかしeyeshandslegspantstweezers 「ピンセット」やcompasses 「コンパス」と異なって二つそろって一つのペアであるものの全体を形成しているわけで はない。 eyesは単にan eye 「目」 が二つあるのみである。 an eye 「目」のみで完全な身体の一部分を形成しているのであ る。またeyesを分離してもeyesでな くなるわけでもない。 an eyeを二つに分けてしまうとeyeと しての機能を果たさなくなるが、 eyesを分離してもeyeで あることには変わらないのである。

bellows, binoculars, calipers, castanets, clippers, compasses, dividers, drawers, field-glasses, forceps, nail scissors, nutcrackers, pincers, pliers, scales, scissors, secateurs, shears, steps, tongs, tweezers, etc.

 

bathing trunks, bell-bottoms, bifocals, blinders, blinkers, bloomers, blue jeans, boxer shorts, braces, breeches, briefs, britches, chinos, cords, corduroys, culottes, dark glasses, denims, drawers, dungarees, earmuffs, flannels, flares, glasses, goggles, handcuffs, headphones, hipsters, jeans, jockey shorts, jodhpurs, knickers, leggings, Levi’s, long johns, overalls, pantaloons, panties, pants, pantyhose, plus-fours, pajamas, reading glasses, shades, shorts, slacks, specs, spectacles, sunglasses, suspenders, sweatpants, swimming trunks, tights, trousers, trunks, underpants, Y-fronts, etc.

 a stair 「一段」 とstairs 「階段」は異なる

一般にはstairs 「階 段」の一段はa step 「段」と呼ぶが、時折stairsの 単数形のa stairと表現することもある。stairs 「階段」は単純にa stair 「一段」の複数形の意味だけでなく、いくつか段 が集まった全体を表わしているのである。これもwater に接尾辞の -sがついたwaters 「水域」やglasses 「眼鏡」などと同じような論理で複数形の形だけでしか 存在しないものを表わしているのである。stairsを分解したらやはり「階段」とは呼べなくなっ てしまうのである。 stairs 「階段」はstepが いくつか集まった全体として機能しているのであって、いくつかを分離してしまってはその機能が損なわれてしまうのである。このように接尾辞の -sをつけてどことなく漠然とした集合体を表わす名詞は建築用語に多く見られる。 bleachersはスタジアムなどの屋根がついていない「観覧席」のことを意味する。 waters「水域」やmountains「山脈」と違って境界線が曖昧であるとま では明確に述べることができないが全体としてはっきりとしたものの集まりでもない。いくつかのものが集まって形成されているのではあるが、単純にその集 まったものがそのまま複数になったものでもないのである。建築物の中にあるような部分ではないが、大きな建築物の一部分を表わすのにprecincts 「敷地」とか「境内」という語がある。 precinctsa precinct 「管轄区」が集まったものでもなく 「投票区」の集合体でもない。分割不可能なある区域を表わしてるのである。

eyes 「目」とtonsils 「扁桃腺」は異なる

eyes 「目」やarms 「腕」 は身体の外側についているものであるから分けたとしても別々に機能していることは自明であるが、身体の内側にあるものでペアになっているものや、いろいろ とあまり境界線がなくごたまぜのような状態でそんざいしているものはどうも分離不可能なものと考えるみたいである。このような名詞は接尾辞の-sがついているが、これも複数形というよりは何かが集まって全体として別のものを形成している集合体みたい なものであると捉えているのである。この代表となる名詞がintestines 「腸」である。 この「腸」にあたる語は他にもguts 「贓物」やentrails 「内臓」やbowels 「腸」がある。この他にhemorrhoids「痔」やpiles 「痔」 などといったものもある。これらの単語は比喩的にも使用される。またbrain 「脳」が行う機 能を意味するbrains 「知能」も同じような機能を果たしていると考えられる。

動詞派生名詞

動詞に派生辞をつけた名詞の意味は大きく3つに分かれます。1つはprocess「過程」つまり「行為」を表し、2つ目はevent「事 象」と呼ばれる出来事を表し、最後の3つ目はresult「結果」と呼ばれる産物を表します。process「過程」を表す場合は行為を意味し不可算名詞として考えられます(Grimshaw 90)。具体的にbuild「建 築する」で考えてみましょう。building「建築すること」はprocess「過程」を表します。「行為」を表しています。動作の分類を表す名詞ですから不可算名詞となり ます。一方、result「結果」の場合は可算名詞とみなされ不定冠詞がつくことができます。「事 象」を表す名詞は「第一の」とか「第二の」という序数詞をつけることができるかどうかで、可算名詞か不可算名詞かに二分されます。event「事象」の場合は複数形にならない場合もあります。しかしevent「事 象」を表すbuilding「建築」は時間軸の中で「始まり」と「終わり」を明確にあらわして、序 数詞を使うことができます。building「建築」はthe first building「最初の建築」とかthe second building「第 2の建築」のような序数詞をつけて表現することができます。これから「事象」を表すbuilding「建 築」は可算名詞であると考えられます。result「結果」の場合は具体的な「もの」を表しますか ら不定冠詞も複数形も両方可能となります。事象名詞はちょうどゼロ派生辞がついた転換名詞と同じく一般的には不定冠詞がつくだけで複数形にはならないもの も多くあります。具体的に動詞build「建築する」の派生名詞buildingで「過程」名詞、「事象」名詞、「結果」名詞がどのようになるのかを考えてみましょう。「過 程」名詞のbuildingとは「建築すること」という意味の名詞です。

The building of a house takes a long time.

上の文は「家を建てることは長い時間が必要となる」という意味で す。過程を表す場合は不可算名詞として考えられますので *A building of a house takes a long time. というと非文となります。「事象」を表すbuildingbuild「建てる」ことの終了点に視点を向けた見方です。

John's building of the house surprised Tom.

上の文は「ジョンが家を建て終えたことでトムが驚いた」という意味 で、buildingは「家を建てること」ではなく「家を建てたこと」または「家を建て終えるこ と」を意味します。一つの出来事、つまり一つの事象として捉えています。最後の「結果」を表す名詞は一般に受動の意味をおびbuilding「建てられたもの」という意味になります。「建てられたもの」つまり「建物」を意味します。buildの名詞はすべて-ingの派生辞をつけて3 つの意味を表しますが、動詞によっては「経過」の場合は-ing「事象」の場合はゼロ派生辞、結果 の場合は-mentというように派生辞を変えてそれぞれの意味を表す場合もあります。例えばadvertiseは「広告する」という動詞ですが-ingの 派生辞をつけた名詞のadvertising は経過名詞で不可算名詞です。事象を表す場合もadvertising「広告をしたこと」で経過名詞と同じ形です。結果名詞はadvertisement 「広告」で可算名詞となります。同じ名詞の中に可算名詞と不可算名詞の違いが あるのはこのように経過を表わすか、事象を表わすかまたは結果を表わすかの違いが現れているからです。

行為動詞から派生された名詞

動詞転換名詞は一般に不定冠詞を伴って使わ れます。動詞から名詞に変換する場合にもとの動詞と同じ形で名詞をあらわ すことを転換と呼びます。転換とは動詞と同じ形態で名詞になることをいいます。このタイプの動詞は一般に自分の体の一部を使って行う行為動詞 と呼ばれるものと働きかけだけしか表わさない活動動詞と呼ばれるものがあります。転換で名詞になった場合は一般に可算名詞とみなされ不定冠詞ととも に使用されます。行為動詞から派生された名詞には次のようなものがあります。

talk, shout, quarrel, play, smile, laugh, swim, dance, jump, walk, fight, cry, whisper, bark, cough, sneeze, hiccup, sleep, etc.

talk「話す」はそのままで名詞のtalk 「話」 になります。ゼロの派生辞がついて名詞に転換されています。この転換名詞は必ず不定冠詞とともに用いられます。have a talk with my friend で「友人と話す」という意味になります。talk 「話」は the first talk とかthe second talk と回数を数えることができますからhave talks with my friend というように複数形になることも可能です。しかし複数形は回数を表すというよりはmountain「山」 の複数形がmountains「山 脈」に変わるように別の意味を表す場合の方が多くあります。talkの複数形のtalksは「会談」とか別の意味を表します。shout「叫 ぶ」もそのままでshout「叫び」という名詞になります。give him a shout で「彼に叫ぶ」という意味です。これらはすべて自動詞の動詞にゼロ派生辞がついて名詞化されたと考えられ、その 名詞の意味は回ごとの「行為」を表します。つまりdanceは一回の「踊り」を意味します。もとに なるこれらの動詞はすべて自らの身体の一部を使用して行う動作を表す動詞から派生されたものです。

働きかけ動詞から派生された名詞

他動詞から転換した名詞も 不定冠詞とともに用いられます。hit「殴る」はa hit「打撃」となりmake a hit at himの ように「彼に打撃を与える」というように不定冠詞を伴って使われます。wipeは「ぬぐう」という 動詞ですが、a wipeで「ぬぐい」という名詞に転換します。この名詞も普通は不定冠詞をつけてgive the table a wipe 「テーブルをぬぐう」というように 使われます。働きかけ動詞から転換された名詞も不定冠詞を使って使用されます。

hit, kick, touch, wipe, push, thrust, rub, scrub, slap, beat, blow, pull, tickle, stroke, etc.

不可算名詞と可算名詞の中間、hair, stone, coal

名詞の可算性は境界線の有無と構成素の均性によって判断すること が可能です。個体特有の境界線を持っているものを可算名詞、もっていないものを不可算名詞と分類します。またものの構成素の均性によっても可算名詞と不 可算名詞に分かれます。均的なものから構成されている名詞は不可算名詞になります。均的なものから構成されていると、そのものを二分割しても、分割さ れた一方を同じ名前で呼ぶことができます。このような名詞は不可算名詞に分類されるのが一般的です。たとえばmud「泥」 の場合を考えてみましょう。ある量のmudがありましたら、それを二分割して一方をmudと呼べるかどうかを考えてみます。mudを二分 割しても当然、分割された一方をmudと呼ぶことができますからこれは不可算名詞ということになり ます。mud「泥」は均一的なものから構成されていますから、分割したものも、もとのものも同じも のなのです。境界線からmudを考えてみますと、mudmud個体特有の境界線を持っているわけではありません。mudwatermilkなどと同じくいろいろな形を形成 します。このように個体特有の境界線をもっていない名詞は不可算名詞に分類されます。不定冠詞は可算名詞についた場合はその名詞が表す集合体の1つの個体を表し、不可算名詞についた場合はその名詞の種類や製品を表すと説明しました。

しかしある一部の不可算名詞は不定冠詞をつけることによって種類や 製品を表す以外に1つの個体を表す名詞もあります。これは私たちの日常生活に頻繁にある形状を持っ て現れる名詞に多く見られます。具体的な例で考えてみましょう。hair「髪」は均的な構成要素 から構成されていると一般的には考えます。hairを二分割して分割された一方をhairと呼ぶことができます。これからhairは不 可算名詞であるということがわかります。不可算名詞に不定冠詞のaをつけると一般的には不定冠詞は 「一種類の」とか「一製品の」という意味を形成します。つまりa hair とすると「ある種の 髪」とか「髪の毛でできているもの」たとえば「かつら」のようなものを表すことができますが、どうも日常生活の中ではそのような比喩的な拡張は一般的では ありません。しかしhairに不定冠詞をつけることによって「一本の髪の毛」という意味も可能で す。hairは基本的には不可算名詞なのですが、毛穴から生えている髪は一応髪固有の境界線を持っ ている個体として捉えることも可能なのです。またa haircuticle「表皮」やmedulla「毛髄質」やcortex「毛皮質」といった不均質な要素から構成されているhair shaft「毛幹」とみなしているのです。同じようにbrick「レンガ」も二分割した片方をbrickと呼ぶことができますから不可算名詞なのですが、私たちの日常生活ではbrickはある特有な形状をした境界線のあるものとして捉えることも可能ですから、a brickと不定冠詞をつけて「一個のレンガ」という個体を表すこともできるのです。このような名詞は他にstonecoalstrawseedなど私たちの身の回りにある日常 的な名詞に多くみられます。しかし一般的には二分割して分割された一方を同じ名前で呼ぶことができる名詞は不可算名詞に属して、これらの名詞に不定冠詞を つけると「ある種類の」とか「でできているもの」というような比喩的な意味を表すのが一般的です。

上位質量名詞の集合名詞

英語の名詞には絶対に不定冠詞がつくことのできない名詞があります。これらは一般にsuperordinate mass nouns「上位質量名詞」と呼ばれています。furniture「家具」やequipment 「装置」やjewelry 「宝石」といった名詞は不可算名詞で不定冠詞のaをつけることができません。conscience 「良心」や water「水」 やiron 「鉄」といった不可算名詞と異なるのです。furnitureinformation という名詞は集合名詞という名詞でもともと複数形を表す接尾辞がついている語と考えることができます。furniture不均質な複数を意味する接尾辞の-ureがついたと推論できます。この-ureという 接尾辞日本語の「類」にあたります。このような接尾辞がつくと複数形とほぼ同じようなことになりますから不定冠詞の はつくことはありません。furniture とはdesk 「机」や table 「テーブル」や chest 「タンス」などバラバラなものの集まりを表します。また equipment もいろいろな機械の集まりを意味します。jewelry「宝石」もnecklace「ネックレ ス」やring「指輪」やbrooch「ブ ローチ」などと色々な種類の集まりを表しています。これらは複数形 -s の接尾辞をつけて不均質な集合体を表すarms 「武器」やclothes「服」やletters「文 学」と同じです。arms とはpistol「ピストル」やmachine gun「マシンガン」やgrenade「手榴弾」などいろいろな種類の武器を総称して表しています。arms「武器」とは不均質なものの集合体を表しているのです。clothes「服」も同じです。pants「ズ ボン」もskirt「スカート」もjacket「ジャ ケット」もclothes「服」です。このように不均質な構成要素から成る集合名詞である上位質量名詞は他に、footwear「履物類」やtraffic「交通量」やcompany「客」さら にはfoliage「群葉」やwildlife「野 生生物」やartillery「砲」などがあります。これらには複数語尾の -s がつく名詞と一緒にリストしておきます。furnitureを代表とするheterogeneous aggregateと呼ばれる不均質な構成要素からなる集合名詞はそれらを可算にする場合はa piece of という助数詞をつかって可算化したりもしますが、不思議なことにそれらの集合名詞に対応する可算名詞も備わっています。furnitureのかわりにfurnishingsというと可算名詞の「家具」になります。acreageの代わりにacresというと複数の名詞が対応しています。armsの代わりにはweaponsがありますし、artilleryにはcannonsがあります。baggageにはbagsがありますしbedlinenにはsheetsとかpillow casesがあります。 brasswareにはbrassesがありますしbriberyにはbribesがあります。このように不均質な集合名詞にはそれに対応する具体的な構成要素を表す表現がそろっているのです。なぜこのように集合名詞とそれを構成する要素の2種類の名詞が英語に存在するのかはよくわかっていません。

acreage (acres), anecdotage (anecdotes), arms (weapons), artillery (cannons), baggage (bags), bed linen (beddings), brassware (brasses), bribery (bribes), cash (dollars) , change , chinaware (pots), clothing (clothes), cutlery (knives), crockery (pitchers), equipment (apparatuses), evidence (testaments), fiction (novels), foliage (leaves), footwear (shoes), furniture (furnishings),game (preys), hardware (tools), homework (assignments), information (data), ironware (pans), jewelry (jewels), laughter (laugh), leafage (leaves), luggage (bags), machinery (machines), mail (letters), merchandise (commodities), metalware (metals), money (dollars), music (songs), news (reports), nonfiction (proses), permission (permits), plumage (feathers), poetry (poems), pottery (pots), progress (advancements), scenery (scenes), silverware (plates), software (programs), stationary (pens), tableware (plates), traffic (vehicles), underwear (briefs), weaponry (weapons), weather (climates), wildlife (wild animals), work (jobs), etc.

単位助数詞の集合名詞

不均質なものの集まりではなく、均質なものの集まりを表す集合名詞は 不定冠詞もつきますし複数形にもなります。family「家族」は家族を構成する人達によって形成 される集合名詞です。助言やアドバイスやいろいろ参考となるヒントなど不均質なものの集まりであるadvice「忠 告」と異なり、family「家族」は不定冠詞のが ついてa family「一家族」とかfamilies「幾 家族」というように複数形にもなります。audience「聴衆」はthe first audience とかthe second audienceとかいえますから回数を表す名詞です。committee 「委 員会」も同じです。これらは均質な委員によって構成されていますから不定冠詞のaも複数形の接尾辞-sもつきます。これらは不均質なカバンや手荷物や袋などいろいろと異なった不均質なものの集まりを表すbaggage「荷物類」とは異なります。また歴史的なことや文化的なことや科学的なことなどの知っているこ とであるknowledge「知識」とは異なります。crew「乗 組員」は階級はいろいろとあるかもしれませんが、基本的には均質な船乗りや飛行機の乗務員から成り立っていますから、不均質なものの集まりを表す集合名詞で はありません。またthe first crew とかthe second crewといえますから不定冠詞のaも複数形を表す接尾辞の-sもつきます。不定冠詞がつくかどうかはやはり境界線を持っているか回数を数えることができるかどうかに よって決まってきます。但し、不均質なものの集まりやすでに複数形がついてしまっている名詞には不定冠詞はつくことができません。

army, association, audience, band, board, brigade, cast, chapter, clan, class, club, college, command, commission, committee, community, company, congress, consortium, corporation, coterie, council, couple, coven, crew, crowd, department, electorate, enemy, faculty, family, fauna, federation, field, firm, flock, flora, hierarchy, gang, garrison, generation, government, group, herd, institute, junta, jury, majority, military, minority, multitude, jury, opposition, panel, party, population, staff, team, troop, university, etc.

 複数集合名詞

常に複数形で表わす名詞があります。単数形にすると意味が変わった り、単数形が存在しない名詞があります。この代表がpeople「人々」です。peopleは常に複数形で受けます。これらの名詞には単数形に対する別の名詞形があるのが一般的です。peopleに対してはpersonがあり、policeに対してはpoliceman があるようにそれぞれ、その単数形に当たる名詞が存在します。定冠詞のtheを つけてthe policeで「警察」を意味し、複数形として表します。同じようにthe clergy「聖職者」も複数で扱われます。personnelは 一般には「人事の」という形容詞で使われますが、personnelだけでも「全職員」というよう に複数形で受けます。どうも集合体を表わしながらその構成メンバーに視点がいっているみたいで全体としては複数形で表わす名詞です。他にもcattle「畜牛」やpoultry「家禽」やlivestock「家畜」があります。cattleは 全体を集合体として明確に表すためには a herd of cattleと単位をつかったり、個 々の構成メンバーを表す場合はa head of cattle としたりして区別をします。cattleそのまま ではpeopleと同じく複数形の全体として扱う名詞です。他にもvermin「害獣」とか「害虫」という意味を表す語も一般に複数扱いされます。さらにaristocracyは「貴族階級」peasantryは 「農民」gentryは「紳士階級」として複数形として表します。これらの名詞はある集団を表すも ので数の低い基数詞をつけると非文となります。police *seven policeとすると文法的ではなくなってしまいます。しかしa hundred policeと数字をあげると文法的になります。もともと多くの数から構成される集団を 表す語ですので、このような振る舞いをするみたいです。ただしpeoplefolkの場合はtwo people といってもそれほど変には聞こえません。

複数名詞

単数名詞

aristocracy

aristocrats

bourgeoisie

middle class people

cattle

cows

clergy

clergymen

gentry

gentlemen

folk

persons

fry

young fish

intelligentsia

intellects

laity

laymen

livestock

pigs

nobility

noblemen

people

persons

personnel

employees

peasantry

peasants

police

police officers

poultry

ducks

press

journalists

public

citizens

rank and file

soldiers

swine

pigs, boars

vermin

mice

youth

young people

wildfowl

geese

単複両形の名詞

可算名詞の中には単数形と複数形がまったく同じ形をした名詞もあり ます。これらは一般に野生動物を表す名詞に多く現れます。最も頻繁に生じるのが魚の名前です。その代表が名前ではありませんが、fish「魚」そのものです。一匹の魚の場合はa fishと なり二匹の魚の場合はtwo fishと複数形の接尾辞がつきません。単数形か複数形かを見分ける のは不定冠詞のaがついているかどうかになってしまいます。魚の名前であるtrout 「鱒」やcod「タラ」やsalmon「鮭」も単複両形です。他にはherring「ニ シン」やflounder「ヒラメ」も時々複数形の接尾辞を使わずに複数形を表すこともあります。 甲殻類のshrimp「小エビ」も単複両形で使われる場合があります。一方、陸上に住む動物の単複 両形に代表はdeer「鹿」でしょう。狩の最も中心的な動物です。他にもbison「アメリカバッファロー」やbuffalo「バッ ファロー」さらにswine「イノシシ」も単複両形です。野生動物ではないのですがsheep「羊」はなぜかしら単複両形で使われます。野生の鳥ではgrouse「ラ イチョウ」やquail「ウズラ」がよく単複両形で使われます。duckは野生の「カモ」の場合は単複両形で使われるのが一般的です。群生する植物も同じような扱いをします。clover「クローバー」も単複両形の名詞です。他に国籍を表す名詞で-ese で終わる語に関しては単複両形で表します。Japaneseは 不定冠詞なしで使われれば複数を意味して不定冠詞がつくとa Japaneseで「一人の日本人」 となります。他にもChinese「中国人」やPortuguese「ポ ルトガル人」などです。最後に単複両形で使われるmeans「手段」とspecies「種」とseries 「シリーズ」 をみてみましょう。これらも不定冠詞のaがつくとa means「ひとつの手段」のようない単数形扱いになります。不定冠詞がつかないと複数形であるとみなされます。他にもaircraft「飛行機」も単複両形の語です。

単数形

複数形

aircraft

aircraft

barracks

barracks

bison

bison

buffalo

buffalo

Chinese

Chinese

cod

cod

crossroads

crossroads

duck

duck

fish

fish

flounder

flounder

gallows

gallows

grouse

grouse

headquarters

headquarters

herring

herring

Japanese

Japanese

means

means

Portuguese

Portuguese

quail

quail

salmon

salmon

series

series

sheep

sheep

shrimp

shrimp

species

species

swine

swine

trout

trout

定冠詞の意味

定冠詞theは 語源的にはthatから発達しましたから指示代名詞のように話者と聞き手が共通に認識できるものを 指す場合に使われます。theの意味としては「その」から「すべての」から「唯一の」というように いろいろな意味で使われます。日本語の指示代名詞は話者と話し相手の場所的な関係から「この」「その」「あの」と使い分けられています。「この」は話者の 近くのもの、「その」は話し相手のほうのもの、「あの」は話者と話し相手両方から離れたところのものを指すのに使われます。英語の定冠詞theは「この」「あの」「その」すべてに使われます。話し相手が認識可能なものすべてに定冠詞は使われるの です。「この」とか「あの」とか「その」と英語の不定冠詞のtheとが一対一で対応するわけではあ りません。一般に英語の定冠詞と不定冠詞は日本語では「は」と「が」の違いなどに顕れてきます。例えば

This is a book that I bought. は「これは買った本です」という意味に対して

This is the book that I bought. は「これが買った本です」と使い分ける こともできます。つまり英語の定冠詞は日本語の場合、主題に助詞の「が」を使い、不定冠詞の場合は主題に助詞の「は」を使うというように使い分けをしてい るのです。英語の定冠詞と不定冠詞の違いは日本語ではこのように助詞に反映されている場合が多々あります。みなさんがよく理解しているのはThere構文の場合の定冠詞と不定冠詞の違いでしょう。次の例文を比べてください。

There is a book on the desk. 「机の上に本があります」と

The book is on the desk. 「本は机の上にあります」

存在を表わす場合は英語ではThere構 文を使います。英語の意味上の主語は日本語では助詞の「が」で表わしますが、意味上の主語に定冠詞が付いている場合はthereの位置に名詞句が移動してbe動詞のみで存 在を表わします。先ほどの関係代名詞節の文とは異なって定冠詞がついた名詞句が主語の位置に移動したものには助詞の「は」を使い、不定冠詞の名詞句がbe動詞の補語として残っている場合には助詞の「が」を使います。このように英語の定冠詞がついた名詞句は日 本語では助詞の「は」で表したり助詞の「が」で表したりするのです。しかも英語では定冠詞つきで目的語の位置に現れた名詞句の場合でも日本語では主語の助 動詞が変化します。次の例文を見てください。

定冠詞をつけて一般化する

可算名詞の次の一部分は定冠詞のtheをつけて抽象概念を表わすことができる。これは後に示すように定冠詞のtheが可算名詞についているというよりも、可算名詞の前の省略された名詞を修飾していると考えた方がよい。

a. 動植物 the (species of) dog 犬という種

b. 器官 the (organ of) heart 心臓という器官

c. 手段 the (means of) phone 電話という手段

d. 形式 the (form of) opera オペラという形式

e. 楽器 the (instrument of) piano ピアノという楽器

f. 期間 the (period of) week 週という期間

g. 地域 the (area of) country 田舎とい地域

h. 方向 the (direction of) south 南という方向

定冠詞をつけて世の中を二分して分ける場合

可算名詞に定冠詞をつけて抽象名詞化することもできる。この場合、 世の中を二分してお互いに対立するペアを表わすときに使われる。

a. the (side of) teacher─ the (side of) student

b. the (side of) management─ the (side of) employee

c. the (side of) drink ─the (side of) food

d. the (part of) city─ the (part of) country

e. the (area of) sea ─the (area of) land

f. the (part of) forest─ the (part of) land

g. the (side of) right─ the (side of) left

派生名詞と定冠詞

beauty 「美」は形容詞のbeautiful 「美 しい」から派生した名詞であるし、 classification 「分類」はclassify 「分類する」という動詞から派生した名詞である。このような抽象名詞は一般的な描写をす る場合と特定的な描写をする場合に別れる。もともと動詞や形容詞から派生したものであるから意味上の主語や、もしも目的語をとる場合は意味上の目的語が必 要とされる。このような名詞は形は名詞の形をしているが実際は主語や目的語がついた文と同じような意味を表わしているのである。

a. That Nancy is beautiful is advantageous.

b. Nancy's beauty is advantageous.

c. The beauty of Nancy is advantageous.

d. The beauty is advantageous

最初の文は「ナンシーが美しいことは優位である」という文である。 この文をそのまま名詞化したのがbの文である。「ナンシーの美は優位である」という意味である。こ れをナンシーを前提として「美」の方に焦点を当てた見方がcThe beauty of Nancy is advantageous. である。もしもNancyを言及する必要がなくなると単にthe beauty 「そ の美」と表わすことができる。このように抽象名詞に定冠詞がつくと必ずその背景には特定の内容を表わした文が存在しているのである。

e. To be beautiful is advantageous.

f. Beauty is advantageous.

最初の文は特定の人ではなく、一般の人が「美しいことは優位であ る」という意味である。このような不特定の主語が表わす場合は文を名詞化しても定冠詞がつかない。eの 文の前半部分の主語を名詞化したのがfの文である。fdを比べてもらいたい。定冠詞theのついているdの文は誰が美しいのかは明確に表現はされていないが、定冠詞がついていることのよって特定の誰かが美しいと いう内容を表わし、fではそのような特定の表現とはことなり一般的に人が美しいということは優位に なるという抽象的な内容を表わしているのである。このように抽象名詞は定冠詞をつける場合とつけない場合ではもともとの文である命題の内容に違いがある。 定冠詞がついている場合は特定的な内容でより具体的な意味を表わし、定冠詞がつかない、無冠詞のままで使われている場合は非特定的な一般的な内容を表わす のである。

ラテン語系複数形

ラテン語から借用した語は複数を表す接尾辞が異なりますから注意する必要があります。たとえばラテン語から借用した-usで 終わる語尾をもつ語の複数形は-i で表します。もともと -us で終わる語は男性名詞の主格を表していました。それを -i にすることで男性名詞複数形の主格を表します。次の例をみてください。alumnus「男子卒業生」の複数形はalumni となります。calculusは一般 に「微分積分学」で不可算名詞でつかいますが、これは可算名詞の場合は「結石」を意味します。この「結石」の複数形はcalculi となります。locusは法律用語 では「現場」という意味です。これは数学では「軌跡」という意味になりますが、両方とも複数形になるとlociと なります。日常的によく使われるnucleus「細胞核」も複数形はnucleiですし、同意語や反意語が分野別に羅列されている辞書のthesaurus 「宝典」も複数形はthesauriとなります。他にfocus「焦点」は複数でfociradius「半径」はradiiterminus「終点」もterminiと、bacillus「バチルス菌」の複数はbacilliと なります。stimulus「刺激」の複数形はstimuliで すしcactus「サボテン」の複数形はcactiさ らにsyllabussyllabiとな ります。しかし最近ではこのようなラテン語系の複数語尾を使わず、英語の複数語尾を使う例がだんだんと多くなってきています。apparatus「器具」やcrocus「クロッカ ス」bonus「ボーナス」やcensuschorus、さらにはcaucus, census, circus, impetus, minus, prospectus, sinus, status, virusは普通apparatuses とかcrocusesという英語の複数語尾を使いますし、cactus「サ ボテン」とかsyllabus「シラバス」とかoctopus「タ コ」はラテン語系の複数語尾を使ったり英語の複数語尾を使ったり両方が入り混じった状態になっています。

単数形

複数形

abacus

abaci, abacuses

acanthus

acanthi

acarus

acari

alumnus

alumni

anus

ani

bacillus

bacilli

bronchus

bronchi

cactus

cacti, cactuses

calculus

calculi

carpus

cari

cirrus

cirri

coccus

cocci

colonus

coloni

colossus

colossi

convolvulus

convolvuli

cumulus

cumuli

discus

disci

emeritus

emeriti

epigonus

epigoni

floccus

flocci

focus

foci, focuses

fucus

fuci

fungus

fungi

geminus

gemini

genius

genii

gluteus

glutei

gyrus

gyri

hilus

hili

hippocampus

hippocampi

hippopotamus

hippopotami, hippopotamuses

homunculus

homunculi

illuminatus

illuminati

incubus

incubi

inferus

inferi

isthmus

isthmi

literatus

literati

lobus

lobi

locus

loci

malleus

mallei

medius

medii

modus

modi

mythus

mythi

narcissus

narcissi, narcissuses

nimbus

nimbi

nodus

nodi

nucleus

nuclei, nucleuses

octopus

octopi

palpus

palpi

pilus

pili

papyrus

papyri

polypus

polypi

propositus

propositi

radius

radii, radiuses

rectus

recti

rhombus

rhombi

socius

socii

soleus

solei

solidus

solidi

sorus

sori

stimulus

stimuli

stylus

styli, styluses

syllabus

syllabi

talus

tali

tarsus

tarsi

terminus

termini, terminuses

thesaurus

thesauri, thesauruses

tholus

tholi

torus

tori

trophus

trophi

uncus

unci

uterus

uteri, uteruses

vagus

vagi

villus

villi



ただし次の語の複数形は -i ではなくて -a になります。

corpus

corpora

genus

genera



さらに次の語はそのまま -es をつけます。

apparatus

apparatuses

bonus

bonuses

campus

campuses

caucus

caucuses

census

censuses

chorus

chorues

circus

circuses

excursus

excursuses

foetus

foetuses

hiatus

hiatuses

impetus

impetuses

minus

minuses

prospectus

prospectuses

sinus

sinuses

status

statuses

virus

viruses



またラテン語の中性名詞の主格は -um で表します。この複数形が -a です。だからラテン語系の語で-umで終わる語は複数形にするには-aと いう接尾辞を使います。このラテンゴ系の -um はギリシャ語の -on と並行的です。だからギリシャ語でも-on で終わる語は複数形にするとき -a を付けます。aquarium「水槽」はaquariaと なりますし、curriculum 「カリキュラム」はcurriculaと 変化します。maximum「最大」はmaximaに なります。このような変化をする語には他にもmemorandum「メモ」やmillennium「千年」minimum「最小」 や「スペクトル」とか「幅」を意味するspectrumさらにはstratum「層」があります。他にcandelabrum「枝 つき燭台」やmoratorium「モラトリウム」さらにpodium「演 台」やreferendum「国民投票」、symposium「討 論会」やultimatum「最後通告」があります。これらの語もだんだんと英語の複数語尾を使用 するようになってきています。単に-sをつけて複数を表す傾向がだんだんと多くなってきています。 これとは変わって独自に単数形と複数形を併用するようになった語がdata「データ」とmedia「メディア」です。もともとdatadatumの複数形でmedia mediumの複数形だったのですが、datummediumはあまり使わなくなりdatamediaが単数形と複数形の両方を表すようになってきているのです。

単数形

複数形

actum

acta

addendum

addenda

adnexum

adnexa

aquarium

aquaria, aquariums

arcanum

arcana

bacterium

bacteria

candelabrum

candelabra, candelabrums

cecum

ceca

centrum

centra

cerebrum

cerebra

continuum

continua

corpus

corpora

corrigendum

corrigenda

crus

crura

curriculum

curricula, curriculums

curiosum

curiosa

damnum

damna

datum

data

dejectum

dejecta

desideratum

desiderata

dictum

dicta

dorsum

dorsa

ejectum

ejecta

elytrum

elytra

erratum

errata

excerptum

excerpta

excretum

excreta

exemplum

exempla

extremum

extrema

factum

facta

filum

fila

frenum

frena

granum

grana

hilum

hila

honorarium

honoraria, honorariums

idolum

idola

ileum

ilea

impedimentum

impedimenta

incunabulum

incunabula

ingestum

ingesta

insectum

insecta

jugum

juga

jus

jura

labium

labia

labrum

labra

lustrum

lustra

maximum

maxima, maximums

medium

media

memorandum

memoranda, memorandums

mentum

menta

millennium

millennia, millenniums

minimum

minima

molluscum

mollusca

momentum

momenta

moratorium

moratoria, moratoriums

notum

nota

organum

organa

ovum

ova

pinetum

pineta

phylum

phyla

plectrum

plectra, plectrums

plenum

plena

podium

podia, podiums

punctum

puncta

quantum

quanta

rectum

recta

referendum

referenda, referendums

rejectamentum

rejectamenta

relatum

relata

replum

repla

residuum

residua

reticulum

reticula

rostrum

rostra

rubeolum

rubeola

sacrum

sacra

secretum

secreta

scutum

scuta

sensum

sensa

septum

septa

serum

sera

solum

sola

speculum

specula

spectrum

spectra, spectrums

stadium

stadia, stadiums

sternum

sterna

stratum

strata, stratums

symposium

symposia, symposiums

ultimatum

ultimata, ultimatums

vacuum

vacua

velum

vela

 ただし、次の語は -s のみで複数形。

album

albums

asylum

asylums

chrysanthemum

chrysanthemums

conundrum

conundrums

forum

forums

geranium

geraniums

harmonium

harmoniums

mausoleum

mausoleums

museum

museums

pendulum

pendulums

premium

premiums

次にラテン語の女性名詞の主格の単数形は -a で表します。この複数形が -ae です。解剖学用語や動物学用語や天文学用語に多くみられます。alga「藻類」の複数形はalgaeとなります。antenna「アンテナ」の 複数形もantennaeとなります。他にもlarva「幼虫」はlarvaeですしformula「公式」の複数形はformulaeとなります。nebula「星雲」はnebulae「星雲」が複数形です。vertebra「椎骨」はvertebraeが複数形です。

単数形

複数形

ala

alae

alumna

alumnae

alga

algae

amoeba

amoebae, amoebas

amphisbaena

amphisbaenae, amphisbaenas

ampulla

ampullae

amygdala

amygdalae

aorta

aortae, aortas

aphtha

aphthae

antenna

antennae, antennas

bulla

bullae

bursa

bursae, bursas

carina

carinae, carinas

cauda

caudae

chaeta

chaetae

chela

chelae

chelicera

chelicerae

choana

choanae

cicada

cicadae, cicadas

cisterna

cisternae

clava

clavae

coma

comae, comas

corona

coronae, coronas

cnida

cnidae

cochlea

cochleae, cochleas

conjunctiva

conjunctivae, conjunctivas

costa

costae

coxa

coxae

crista

cristae

decidua

deciduae, deciduas

ephemera

ephemerae, ephemeras

fauna

faunae, faunas

fenestra

fenestrae

fibula

fibulae, fibulas

formula

formulae, formulas

fossa

fossae

fovea

foveae

gena

genae

gula

gulae, gulas

hyena

hyenae, hyenas

insula

insulae

intima

intimae, intimas

lacuna

lacunae, lacunas

lagena

lagenae, lagenas

larva

larvae

lingua

linguae

lorica

loricae

lucida

lucidae

lytta

lyttae, lyttas

mamma

mammae,

medulla

medullae, medullas

medusa

medusae, medusas

mucosa

mucosae, mucosas

nebula

nebulae, nebulas

noctiluca

noctilucae, noctilucas

nympha

nymphae

nova

novae, novas

patella

patellae

penna

pennae

persona

personae, personas

phylloxera

phylloxerae, phylloxeras

porta

portae,

pleura

pleurae, pleuras

pteryla

pterylae

pupa

pupae, pupas

retina

retinae, retinas

ruga

rugae

salpa

salpae, salpas

scala

scalae

scapula

scapulae

scopa

scopae, scopas

serra

serrae

seta

setae

spina

spinae

squama

squamae

squilla

squillae, squillas

strobila

strobilae

supernova

supernovae

tabula

tabulae

tarantula

tarantulae, tarantulas

tegula

tegulae

tela

telae

tibia

tibiae, tibuas

terebra

terebrae, terebras

trachea

tracheae, tracheas

tunica

tunicae

ulna

ulnae

urethra

urethrae, urethras

vagina

viginae, vaginas

vena

venae

vertebra

vertebrae, vertebras

vesica

vesicae

vibrissa

vibrissae

vulva

vulvae, vulvas

 ただしつぎの複数形は -s のみです。

algebra

algebras

area

areas

arena

arenas

dilemma

dilemmas

encyclopedia

encyclopedias

guerrilla

guerrillas

phobia

phobias

quota

quotas

replica

replicas

rumba

rumbas



さらにラテン語系で-ex-ixで終わる語の複数は-ices とか -gesという接尾辞を使います。appendix「付録」とか解剖学では「虫垂」を意味するこの語は複数形になるとappendicesとなります。index「索引」や「指数」を意味する語も複数形はindicesと なります。ただし数学用語としてはindicesが一般的ですが、「索引」の複数形にはindexesという語の法が日常的に使われます。三角形の頂点を意味するvertexは複数形になるとverticesとなり ます。matrix「行列」や「母体」を意味する語もmatricesと なります。

単数形

複数形

apex

apeces

appendix

appendices

calix

calices

calx

calces

calyx

calyces

cervix

cervices

codex

codeces

cortex

corteces

crux

cruces

helix

helices

ibex

ibeces

imbrex

imbrices

index

indices

interrex

intereges

larynx

larynges

latex

lateces

lex

leges

lux

luces

matrix

matrices

murex

murices

phalanx

phalanges

pontifex

pontifices

radix

radices

rex

reges

strix

striges

taxis

taxes

tortix

tortices

varix

varices

vertex

vertices

vortex

vortices

vox

voces

ただし次は -es のみで複数形。

annex

annexes

crucifix

crucifixes

reflex

reflexes

spinifex

spinifexes

ギリシャ語系の複数形

ギリシャ語から借用された-sisで 終わる語は複数形を表すのに-sesという接尾辞を使います。axis「軸」の複数形はaxesとなります。crisis 「危機」やdiagnosis 「診 断」やhypothesis「仮定」の複数形はそれぞれcrises, diagnoses, hypothesesとなります。oasis「オアシス」の 複数形はoasesですし、thesis「命題」の複数形はthesesとなります、他にもanalysis「分 析」はanalysesparalysis「麻 痺」はparalysessynopsis「概要」やellipsis「省略」さらにはparenthesis「丸括弧」やbasis「基礎」があります。

単数形

複数形

anacoenosis

anacoenoses

anacrusis

anacruses

anagnorisis

anagnorises

analysis

analyses

antithesis

antithesis

apneusis

apneuses

apophasis

apophases

arsis

arses

arthrodesis

arthrodeses

axis

axes

basis

bases

catachresis

catachreses

catharsis

catharses

clysis

clyses

crasis

crases

crisis

crises

diaeresis

diaereses

diagnosis

diagnoses

diaschisis

diaschises

dieresis

diereses

diesis

dieses

diplacusis

diplacuses

dulosis

duloses

ecdysis

ecdyses

eisegesis

eisegeses

ellipsis

ellipses

emesis

emeses

emphasis

emphases

entasis

entases

epitasis

epitases

genesis

geneses

lysis

lyses

merisis

merises

metabasis

metabasis

metamorphosis

metamorphoses

metempsychosis

metempsychoses

nemesis

nemeses

neurosis

neuroses

oasis

oases

osmidrosis

osmidroses

paraleipsis

paraleipses

paralysis

paralyses

parenthesis

parentheses

paresis

pareses

phasis

phases

phthisis

phthises

physis

physes

protasis

protases

psychosis

psychoses

stasis

stases

synapsis

synapses

syneresis

synereses

synopsis

synopses

synthesis

syntheses

telesis

teleses

testis

testes

thesis

theses

thrombosis

thromboses

zoonosis

zoonoses

ギリシャ語系の-onで 終わる語の複数形は-aとなります。-on はもともとギリシャ語の中性名詞の単数形語尾です。automaton「自動機器」の複数形はautomataですし、criterion「基 準」の複数形はcriteriaとなります。このような変化をする語は他にもganglion「神経節」やphenomenon「現象」があります。ギリシャ語の-aと いう接尾辞はちょうどラテン語系の-umで終わる語の複数形が-aで終わるのと同じです。ギリシャ語系の-onがラテ語系の-umと並行的なのです。

単数形

複数

alabastron

alabastra, alabastrons

anacoluthon

anacolutha, anacoluthons

anthelion

anthelia, anthelions

antilegomenon

antilegomena

aphelion

aphelia

apocryphon

apocrypha

asyndeton

asyndeta, asyndetons

automaton

automata

colon

cola

criterion

criteria

dendron

dendra

diaconicon

diaconica

eidolon

eidola, eidolons

elytron

elytra

encephalon

encephala

encolpion

encolia

enteron

entera

ephemeron

ephemera, ephemerons

etymon

etyma, etymons

ganglion

ganglia

harmonicon

harmonica

lepton

lepta

lexicon

lexica, lexicons

logion

logia, logions

organon

organa

ostracon

ostraca

oxymoron

oxymora, oxymorons

parergon

parerga

parhelion

parhelia

perihelion

perihelia

perispomenon

perispomena

petalon

petala

phenomenon

phenomena

phylon

phyla

pleuron

pleura

prolegomenon

prolegomena

rhyton

rhyta

scolion

scolia

stasimon

stasima

taxon

taxa, taxons

tropaion

tropaia

typicon

typica, typicons

フランス語借用の名詞の複数形

フランス語の男性名詞形の -eau は複数形にする場合 -x をつけます。

単数形

複数形

bandeau

bandeaux, bandeaus

bateau

bateaux

beau

beaux, beaus

bureau

bureaux

chalumeau

chalumeaux

chapeau

chapeaux, chapeaus

chateau

chateaux, chateaus

cheneau

cheneaux, cheneaus

couteau

couteaux

flambeau

flambeaux

fricandeau

fricandeaux, fricandeaus

gaspereau

gaspereaux, gaspereaus

gateau

gateaux, gateaus

jambeau

jambeaux

manteau

manteaux, manteaus

morceau

morceaux

pineau

pineaux

plateau

plateaux, plateaus

portmanteau

portmanteaux, portmanteaus

radeau

radeaux

reseau

reseaux, reseaus

rinceau

rinceaux

rondeau

rondeaux

rouleau

rouleaux, rouleaus

tableau

tableaux, tableaus

trousseau

trousseaux, trousseaus

trumeau

trumeaux





参考文献

Abney, S Paul (1987) The English Noun Phrase in its Sentential Aspect, Ph.D. Dissertation, MIT

Allan, Keith (1980) Nouns and Countability. Language 56. pp. 541-567

水口志乃扶 (2004) 「日本語の類別詞の特徴」『類別詞の対照』西光義弘・水口志乃扶編 pp.61-77 くろしお出版

吉田光演 (2007)  「名詞句の可算性と不可算性の区別―言語比較の観点から―」『欧米文化研究』14号。pp.33-48



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