<連載 ネットと中傷 第3部 新型コロナ禍の医師>③(全4回)
4月25日夕刻、財務省の正門前。マイクと拡声器を手にした男性が、声を張り上げた。
「変なものに火を付ける手助けをしてしまって、胸が痛い」
自ら立ち上げた政治団体「新生民権党」の塚口洋佑代表(48)。「財務省解体デモ」や、2021年の新型コロナワクチン反対デモの火付け役の1人だ。しかし、「変なもの」と名指しした目線の先には、20メートルほど離れた場所で行われていた「財務省解体デモ」の集団がいた。
◆反ワクデモの火付け役だが
塚口氏は財務省に対しては消費税の廃止などを主張。ワクチンについては副反応のリスクや被害を明確に説明しない政府の姿勢などを批判してきた。
SNSを通じて運動が広がったが、陰謀論を主張する参加者が増え、運動が力を失ったと主張する。
「コロナ関連の活動もそうだったが、どんな市民活動をやっても、結局は陰謀論者たちに乗っ取られて、最後は人が減って終わる。そういう流れになってしまう。それが、財務省解体デモでも起きている」
だから、今は「財務省解体デモ」や「反ワクデモ」に対する「カウンター」の演説に力を入れている。「陰謀論者たちは、まっとうな批判を展開する活動にとって迷惑でしかない。出て行ってほしい」
◆「陰謀論は迷惑」
塚口氏から「出て行ってほしい」と言われた「財務省解体デモ」の「本隊」。塚口氏の声と張り合うように、さまざまな主張を繰り広げた。
行政の無駄遣いに対する批判などに交じって、新型コロナワクチンについても声を張り上げた。
「財務省は、厚生労働省所管の特殊法人に予算を与え、中抜きした上で、効き目のない新型コロナワクチンを購入させて国民に打たせた」
その集団にいた男性が塚口氏のほうにやってきて、聴衆に声をかけた。
「これ(塚口氏)は偽物(の財務省解体デモ)だよ」
◆反ワク活動家の反対理由は
演説後、塚口氏に取材した。コロナワクチンに反対する理由を聞くと、ワクチンそのものに反対しているわけではないのだという。「ワクチンは軍隊でも使われているし、一定の効果はあるのだろう。それよりも、行政の手法や製薬業界の利権などに問題があると思っている」
政府が接種率を上げたいがために副反応などのリスクや被害の説明をおろそかにしている、といった問題意識だ。
実際、2024年4月には、コロナワクチンの接種後に死亡した人の遺族ら13人が、国を相手に、「ワクチンの副反応などのマイナス情報を広報せずに被害を広げた」として国を提訴している。
◆「感情的な中傷は逆効果」
しかし、塚口氏によると、ワクチンに反対するデモの参加者には、陰謀論を掲げる人たちが増えたという。
「新型コロナウイルスは存在しない」
「ディープステート(影の国家)が人口を削減するために接...
「ディープステート(影の国家)が人口を削減するために接...
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