先日知人宅で、妙な形の座椅子を見かけました。
決してひっくり返りかけている訳でなく、これが正規の状態です。
人が無重力下で脱力すると、「中立姿勢」といわれる状態になるのだとか。
脚を高くした中立姿勢となる事で、非常にリラックス出来るのだそうです。
私も試しに座ってみましたが、なかなか良い感じでした。
胴体と脚の角度がキモの様ですね。
私は時々夜行バスで移動をするのですが、リクライニング角度が最大130度とありますから、足の高さは別にしても意外と中立姿勢に近いのかもしれませんね。
乗用車のシートで安楽な物となると、昭和から平成になった頃に日産が採用していた『パートナーコンフォータブルシート』が思い出されます。
手持ちのカタログでは、F31レパード、A31セフィーロ、C33ローレルで確認できました。
※同時期に発売されていたR32スカイラインは、性格が異なる為か非採用
当時、父がC33に乗っていて、助手席に乗る事が多かった母は重宝していましたね。
これらの値は官能評価に因って求めた様ですが、おおむね中立姿勢に近しい値となっています。
無駄な力がかからない姿勢は安楽という事ですね。
一方で先の座椅子の特徴である脚を高く上げての着座姿勢というと、これを思い出します。
F1に代表されるフォーミュラーカーですね。
1990年のティレル019が先鞭をつけたハイノーズ。
これに因りドライバーは脚を高く持ち上げられる姿勢を強いられる様になりました。
「こんなに脚を上げたら血液が足に行かなくなる。ブレーキ踏んだらやっと脚に血が巡った」
なんて戯言が言われた事もありました。
一見、無理な姿勢を強いている様に見えますが、各関節の角度を測ってみると、上体が起きている事を除けば以外と中立姿勢に近い事が判ります。
高速・高G下で正確無比な操作が求められるレーシングカーの運転。
もちろん、安楽になる事を求めているわけでなくて、体に無駄な力をかけないポジションだからこそ、瞬時に適切な動きに対応出来るという事なのかもしれません。
それを裏付ける様な記事が、MAZDAから出されています。
2015年の記事に因ると、『自然に素早く力が出せる角度「関節リンク角」』なるものがあり、MAZDAはこれを元に運転姿勢を決めている様です。
車は走る凶器。
とっさの時に適切な操作が出来る事が必要です。
パワステやATがほぼ100%普及して運転操作が楽になった為か、こういった姿勢の輩を結構見かけますが、自分の近くを走って欲しくないですね。
でも、こういうのに限って車間距離は詰めてくるし、困ったものです・・・・