今回は、新潟亀田蒸溜所が手がけた最初のシングルモルト、OHTANI WHISKY 新潟亀田 Zodiac Sign Series「Pisces」を飲みます。

印鑑販売からウイスキー作りへ

kameda_1新潟亀田蒸溜所を運営する新潟小規模蒸溜所は、元々は印鑑の販売会社で、同社の取締役であった創業者の堂田浩之氏が、好物であったウイスキーを飲む中でウイスキーの値段が高騰し嘆いていたところ、後に蒸溜所の社長となる妻からのアドバイスで、ウイスキー作りに一念発起して作られました。

OHTANIとは、印鑑の製造及び販売会社の名前である「大谷」から採られていています。
新潟亀田の名は、印鑑の製造工場もある蒸溜所の地名であり、近隣には亀田製菓もあります。

お酒造りにおいては素人だった創業者は、マルスウイスキーで有名な本坊酒造などいくつかの酒造メーカーで研修を受け、2020年にウイスキーの製造免許を取得、印鑑工場に隣接する形で蒸溜所を建設し2021年から製造を開始しました。

その後ニューボーンをいくつかリリースした後、2025年3月に初のシングルモルトである、OHTANI WHISKY 新潟亀田 Zodiac Sign Series「Pisces」をリリースしました。

魚座の女の子をイメージしたとされるこのボトルでは、ファーストフィルのバーボン樽原酒をキーモルトとして、シェリー樽原酒など複数の原酒をブレンドしたものになっています。
アルコール度数も50度で加水量を少なくして濃厚さを追求したものになっているそうです。

テイスティング

グラスからの香り、液色

グラスからはリンゴとラムレーズンの香りが広がります。
液色はシャンパンゴールドです。

ストレート

ラムレーズンの香りが一気に広がり、その後リンゴ、ゴム、カカオの香りが広がります。
味わいは、アルコールからの辛みがとても強く、その後は酸味が広がります。

ロック

ペパーミントを思わせる爽快感が先に訪れ、ラムレーズン、りんごの香りが続きます。
味わいは、強めの酸味が広がった後、ほろ苦さが続きます。甘さはほとんど感じません。

ハイボール

リンゴ、ハチミツの香りが先にやってきて、後からシナモン、ラムレーズンの香りと続きます。
味わいは、ほろ苦さが先行した後、軽い酸味、そして甘さが出てきます。

キーモルトよりシェリー樽原酒が前に来ている印象

全体的に、バーボン樽原酒をキーにしているはずが、シェリー樽原酒からのレーズンの香りが強く感じられました。
一方で加水が進むとミントの爽やかな香りや、蜂蜜の甘い香りが出てきて、興味深いブレンドになっているように思いました。

創業者がウイスキー好きだということもあり、どのような原酒のバランスで自分の飲みたいウイスキーを作り上げていくかということが何となく想像できるボトルに思えました。

3年熟成での出来と考えると、これから熟成が進んだときに面白いボトルがでてきそうな期待を抱かせてくれます。

700mL、アルコール度数50度、価格は11,000円ほど。
国内のクラフトウイスキーのメーカー同様にお高い値段であることは否めませんが、3年熟成の割に熟成度があります。
バーで見かけたときには試してもいいと思います。

<個人的評価>

  • 香り B: リンゴとラムレーズンが主体。加水でミント、ハチミツの香りが出てくる。
  • 味わい C: ストレートではアルコールの刺激が強い。全体的に酸味がメイン。
  • 総評 C: 3年熟成ながら香りが豊かで比較的熟成度も感じられる。