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二百五十七話 おめでた


「リアナちゃんの鎧の件だけど、精霊王から話を聞けたわよ」


「どんな内容だったんですか?」


「あの鎧は運命の相手に巡り合うために転生する事を決めた、結構な力のある多数の属性を司る精霊から献上された品らしいわね。見返りに転生先が望むものになるようにかなりの魔力を貸したらしいわ。時空属性魔法の補助をしたとかも言っていたわね。精霊王は補助をしただけだから、運命の相手が誰だとか、詳しいことは知らないみたいだったけど」


「なるほど。結構な手掛かりですね。じゃあリアナがその精霊だったのかな?」


「そうかもしれないわね。鎧も懐いているし」


「わざわざ俺に出会うためにそこまでしたと考えると嬉しいですが、リアナに伝えるべきか悩みますね」


「教えてあげたら? 自分の前世がはっきりと分かったら、本来の精霊としての力を活かしやすくなるかもしれないし。精霊王程じゃないけどかなりの精霊だったらしいから」


「じゃあ伝えておきます」


「ああ、それと、精霊王から褒美の品を預かっているわよ。付与付きの指輪ね。転移妨害を受けなくなって、迷宮でも何処でも自由に転移できるようになるらしいわ。後、短時間停止した時間の中を動けるとか」


「それは凄い品ですね。転移妨害無視も凄いですが時間停止が特に」


「本人は酒を飲みながら片手間に作ったとか言っていたから、安全性はよくわからないけど」


「それはちょっと怖いですね。受け取ったら鑑定してみます」


 下手したら転移先が狂って異次元に飛ばされたり、自分の時間だけが停止して無防備になるとかありそうだ。


 それから湖の精霊に会いに行き、精霊王からの褒美の品を受け取った。鑑定してみたら特にバグなんかは無いようだ。精霊王って知り合いからの評価は酷い扱いだし人望がないらしいけど、能力はかなり凄いんだな。少し見直した。


 受け取りの際に湖の精霊がハグを求めてきたので受け入れると、しばらく抱きしめられた。何がいいのかよく分からないが、俺の魔力には何か変な精霊に対してのフェロモン効果でもあるのか?自分を鑑定してみるが長文だらけで該当箇所を探すのが面倒だったので諦めた。読む気が失せる。ワード検索とかできないかそのうち改造してみるかね。


 後、湖の精霊はわたしも転生しようかしら、とか言っていた。転生して人族になって俺と結ばれるのはありらしい。リアナという前例を知ったから思いついたとか。


 まあ湖とその近辺の管理には愛着もあるらしいので、ちょっと検討しただけらしいが。湖の水の質が良く、豊漁なのも湖の精霊の管理のおかげらしい。たまに人助けもしているみたいだ。地元の人族に信仰されて悪くない気分でもあるらしいし。


 ひとまず、こまめに会いに来るから我慢してくれとだけ言っておいた。後、一応は王なのだから、精霊王の許可をもらえれば、複数の相手がいる俺が精霊と結ばれても問題なくなる可能性はあるんじゃないか?と聞くと、それも検討の余地はあるわね、と言っていた。


 まあ精霊王は力が精霊の中で一番強大なだけで、特に精霊達を積極的に管理、支配、統治している訳ではないらしいので、精霊王が認めてもどれぐらい効果があるかは分からないらしいが。今は人望もないらしいしな。一時期はそれなりに周りに部下がいたらしいが。


 後、俺は過去浮気をして潰された者と違って精霊達に多大な恩恵を齎しているので、特例として認める精霊達も結構な割合でいそうらしい。頭が固い精霊は反対するかもらしいが。今度集会で聞いてまわってみると言っていた。


 話が終わったらまたハグをされて、名残惜しそうにする湖の精霊と別れて屋敷に戻った。どうなるかはわからないが、上手いこといくといいな。俺としてはたまに神秘的な美女に抱きしめられるだけで満足なのだが。現時点でも夜は充実し過ぎているからな。



 屋敷の談話室に直接転移すると、くつろいでいた皆は少しびっくりしていた。この屋敷も転移阻害の処置はしっかりとされているからな。いつもは外に出て転移していた。


 事情を説明すると、皆納得、といった感じになった。精霊絡みで凄いものを貰うのは前例があるからな。


「リアナ、ちょっといいか?」


「はい」


 魔法本を読みながらミニチュアを作成していたリアナに声をかけると、リアナは作業を止めてやってきた。いつも酒を飲む時に使うソファに並んで座る。


 湖の精霊から聞いて分かった事を話していくと、リアナは感激した様子だった。


「私は自分の意思でご主人様に巡り合ったのですね。そう考えると、なんだか前世の自分によくやった、と言いたくなりますね。おかげで今は幸せですし」


「俺としても前世のリアナには感謝だな。わざわざ俺と出会うために転生という博打みたいな事をするとか、かなり勇気が必要だっただろうし、リアナ無しの生活はもう考えられないしな」


「私が第一印象でご主人様に惹かれたのは、元々未来を見てご主人様を見染めた精霊だったのも理由かもしれませんね」


「そうだったのか。初対面でえらく積極的だとは思ったが、奴隷としてかなり教育されているんだな、としか思わなかったな」


「その後、ご主人様が一生面倒を見てくれる、と言ってくださったのでさらに奉公心が湧きましたが」


「酒に酔った勢いで商館に足を運んだらとんでもない美少女を買えるってなって買っちゃったけど、使い捨てにするのは良心が痛むと思ったからな」


「とにかく出会えてよかったです。愛してます、ご主人様」


「リアナ、俺も愛してるぞ」


 そのまま流れで深いキスをした。童貞だった頃は分からなかったが、唇って特殊なエネルギーを持っているように感じるんだよな。性器もそうっちゃそうだが。


 リアナとキスを終え、しばらくイチャイチャとしていると、たまに俺とサシで飲んだり、食事したり、遊んだりする時しか屋敷の中に入ってこないヴィンスさんがやってきた。なんか焦った様子である。


「どうしたんですか、ヴィンスさん。焦った様子ですが」


「リーシアに子供ができた」


「それは一大事ですね。というかリーシアちゃん薬は飲んでなかったんですか?」


「俺がグリンブルスティにやられた時の事を聞いて、前から早めに子供を産んでおきたいと思っていたそうだ。それで最近は薬を飲んでいなかったらしい」


「なるほど。まあリーシアちゃんは危険な場所に積極的に連れ回す訳じゃないからいいんじゃないですか? なんというかおめでとうございます」


「俺も嬉しいんだが、妊娠時期が多分ルーペでの神秘体験をする前なんだよな。あの薬は強烈だったし、何か子供に悪影響がないかと思ってよ」


「ああ、確かに。じゃあ詳しく鑑定しますか」


「頼む」


 それから屋敷に併設された宿舎に向かい、ヴィンスさんとリーシアちゃんの部屋に来た。


 リーシアちゃんはちょっと調子が悪そうだ。聞くとつわりとかがあるらしい。女性はその辺り大変だよな。妊娠すると食の好みがかなり変わって、色々食べられなくなったりもするらしいし。後酢の物が好きになるとかは聞いたな。


「ちょっと詳しく鑑定しますね」


 リーシアちゃんに鑑定魔法を発動して詳しく長文を読んでいく。どうでもよさそうなところは流し読みだ。全部しっかり読むとどれだけかかるか分からない。しばらく長文を読んでいくと該当箇所を見つけた。


「ありました。子供は猫の半獣人の男の子ですね。特に不具合とかはないんですが、魂が一部高次元と繋がっていて、第六感とかが優れているみたいです。魔力はリーシアちゃん譲りで高いですね。記述によると最初は魂がよくない次元と繋がっていたみたいですが、ポーチュラカさんが儀式の後、リーシアちゃんの治療をするついでに修正したみたいです」


「そうだったんですか。ポーチュラカ様は特に何も仰っていませんでしたが」


「今度礼を言いにいかねぇとな。礼の品はなんにすっか」


「魂関係を弄るのはかなり高度な技術が必要らしいので、そうした方がいいかもしれませんね。向こうは単なるアフターケアのつもりかもですが」


「腕の悪いシャーマンだと、下手したら子供によくない事が起きてたのか。貯めた金で高級酒でも買うかね」


「うちの蔵から好きなのを持ってけばいいですよ。ヴィンスさんの子供は将来的にウチに仕えるだろうし、ウチの利益にもなりますから」


「じゃあありがたく蔵からいくらか見繕わせてもらうわ。でも自分の子供の事だから、自腹でも何か礼の品を用意したい。何にするか少し考えるわ」


「私も考えます」


「分かりました」


 特に問題なくて良かったな。しかし第六感が優れているって事は、有名なロボアニメの特殊能力者みたいな事ができるのだろうか。


 ヴィンスさんがいつものクレイモアに加えて、多数の魔法生物を同時に操って戦っている姿を想像する。なんか強そうだ。通常の意志の弱い魔法生物は操縦者の腕頼りだから、多数の魔法生物を操るのは難しい。メアは例外だ。だが第六感が優れていたらなんとかなるかもしれない。


 ちょっとヴィンスさんの息子の将来が楽しみになった。


 



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