ZARAやSHEINの服の行き着く先 チリの砂漠は「洋服の墓場」
南米チリの砂漠に、「洋服の墓場」と呼ばれる場所がある。各国のアパレルブランドの服が捨てられ、山のように積み上がっているからだ。大量生産・大量消費社会が生んだ大量の売れ残りや古着が、南米の砂漠に押しつけられている。
チリ北部のアンデス山脈に沿って、南北に1千キロにわたって延びるアタカマ砂漠。砂漠の中にある居住地域を車で抜けると、あたり一面に洋服や靴、バッグなどが捨てられた異様な光景が目に飛び込んでくる。
近くで見ると、スペインのアパレルブランド「ZARA(ザラ)」や中国発のインターネット通販「SHEIN(シーイン)」などの服だ。燃やされた衣類の黒い灰が風で舞い、プラスチックの焦げたような臭いが漂う。
衣類のリサイクルを広める地元NGO「洋服を着た砂漠」の共同設立者、ジャンカルラ・サンブラーナさん(31)は、「こんな場所があちこちにある。2022年時点で、砂漠に捨てられた服は推計4万トン。世界から、いらない服が送られてくる」と肩をすくめる。
車で約30分の場所にあるイ…
- 【視点】
ファストファッションが支払う代償は、先進国からは不可視化されています。しかし、私たちが安い値段でファッションを享受できる裏側で、安さの矛盾が途上国に押し付けられています。 私はClean Clothes Campaignというファストファッションの問題を調査するNGOに関わっていますが、調査先の途上国では、生活賃金をはるかに下回る低賃金で生産が行われ、労働者は貧困に喘いでいる現実を目にします。また、生産過程における環境汚染や資源消費も凄まじく、綿のTシャツを作るのには、綿栽培〜加工までのプロセスで2,700リットルの水が必要と言われています。 そして、ほとんど着られることがないまま廃棄された服は、南米やアフリカなどの途上国で捨てられ、マイクロプラスチックをはじめとする大量の有害物質が土地を汚染します。 グローバルなファッションブランドは生産過程と廃棄過程への責任を負わず、人や自然を安価に「使い捨て」することで、安い値段を維持しているのです。 改善のためには、こうした問題を「可視化」し、企業の生産のあり方を問うことが重要です。そのための取り組みが、この記事のNGOをはじめ、世界中の有志の人々によって行われています。
…続きを読む - 【視点】
普段、話題にならない問題を取り上げた良記事。ファストファッションのような「大量生産・大量消費」のビジネスモデルが最後に行き着くのは、そうやって生産されたものをどう処分するか、という問題。これまでプラスチックなどは環境破壊の原因としてリサイク
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