コメ価格高騰「われわれも想像できず」JA全農担当役員が会見 備蓄米流通「極力短く」
全国農業協同組合連合会(JA全農)の金森正幸常務理事は20日、日本記者クラブで会見し、高騰が続くコメの価格動向について「われわれも想像できなかった」と述べた。金森氏は、備蓄米の流通を早めるために、農林水産省と正式契約をする前に仮払いなどでコメを確保し、事務手続きにかかる時間のロスを短縮させる考えなどを明かした。 【イラストで解説】カレーライス1食分の物価 2024年1月から比べると… JA全農は、農業に必要な資材の供給や、農作物の販売といった経済事業を担う。備蓄米の放出では、計3回の入札で9割以上を落札しており、国から買い受けたコメを、グループが保有する広域輸送網を使って、卸売事業者などに受け渡している。 農水省が20日に発表した備蓄米の流通状況では、3月に落札された21万トンのうち4月27日時点で、小売や外食事業者への販売数量は10%程度にとどまる。JA全農など集荷業者にはほぼ全量引き渡されたが、小売や外食事業者などの消費の現場に届いたのは約2万2000トンだった。 金森氏は買い受けから精米加工をして、スーパーや外食事業者などに届くまでは2~3週間かかると説明。備蓄米の約7割が東北地方で保管されており、流通に偏りが生じたことを明らかにした。金森氏は「平均的に保管されていれば、日数が短縮できたかもしれない」と振り返り、「今は極力短くなるように努力している」と強調した。 備蓄米の流通で中心的な役割を果たしてきたJA全農は、商品パッケージに「備蓄米」と表示しないように卸売業者などに要請するなど、備蓄米による値下げに消極的な姿勢をとってきた。金森氏はこの日、「店頭で奪い合いが起こり、混乱する懸念があった」と釈明した。 JA全農は令和6年の調査を基に、全国のコメの生産量は661万トンと試算。消費量は698万トンで37万トンが不足状態にあると推定しているだけに、コメの高値は続きそうだ。 ただ、日本総合研究所創発戦略センターの三輪泰史チーフスペシャリストは「(1年間で価格が倍になるのは)市場原理からも外れている。コメは大事だから仕方がないとは言い難い状況」と指摘している。 三輪氏は消費者が受け入れられる店頭価格を5キロあたり3000~3200円と目標設定し、3500円程度に値下がりするまでは政府などが何らかの介入すべきと分析している。