「ワンヘルス （Ｏｎｅ　Ｈｅａｌｔｈ）」とは人と動物の健康、それに地球環境を一体的に捉え、守っていくという考え方です。２０１２年には世界医師会と世界獣医師会がワンヘルス推進の覚書を調印しました。こうした動きの背景には▼新型コロナなど人と動物に共通する感染症の存在、▼人間による森林破壊や地球温暖化など環境問題の深刻化があります。
 
【福岡で広がる「ワンヘルス」】
この「ワンヘルス」、福岡県では服部知事が県政の柱として強く推し進めています。県の予算でもさまざまな分野で登場し、服部知事が就任後の２０２２年度の当初予算から３年連続で 「ワンヘルスの推進」に係る予算が数億円単位で計上されています。さらに新年度、２０２５年度の暫定予算にもワンヘルス政策に関わる費用５６億円余りが計上されています。
具体的には、２０２０年度から毎年、有識者などが集まる ワンヘルス国際フォーラムを開催しているほか、県立公園を動植物などについて学べる「ワンヘルスの森」として整備しました。また、新型コロナなど人と動物共通の感染症に医師と獣医師が連携して取り組む 「ワンヘルスセンター」をみやま市に整備することにしています。
 
【「ワンヘルス」の是非論戦】
こうした「ワンヘルス」をめぐって、今回の福岡県知事選挙では「本当に県民が求めている事業なのか」、「県民の税金の無駄遣いだ」などと批判の声が出ていて、ワンヘルス政策の撤回を主張する候補もいます。今後、選挙戦を通して福岡県のワンヘルス政策の是非について論戦が交わされる見通しです。