さよならトランプ、米研究者が海外脱出 揺らぐ「知の大国」
トランプ米大統領が大学への圧力を強める米国で、研究者の国外流出が始まった。研究資金の打ち切りやビザ剝奪などが続き、安定して研究を進めることが難しくなってきたためだ。欧州やアジアでは研究者の受け入れ競争が進む。「知の大国」としての米国の地位が揺らいでいる。
米国で「科学に対する攻撃」
経済学者でドイツ出身のマティアス・ドゥプケ教授は4月、住み慣れたイリノイ州の自宅を売却し、ロンドンに引っ越した。2...
- 学生・交流訪問者プログラム(SEVP)の目的と役割は何ですか?
- トロント大学の国際的な評価と研究分野について教えてください。
- 米国の研究者流出が科学技術に与える影響は何ですか?
- トランプ政権の政策が大学運営に与えた影響は何ですか?
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(更新)- 蛯原健リブライトパートナーズ 代表パートナー分析・考察
多くの人にとっては蛮行と映る本件であっても、米国内では著名な経済人等においてすらも支持する層がいる事は、分断著しくフィルターバブル化した言論空間の中では常に意識しておきたい事ではなかろうか。支持する論拠とは要するに本件はDEIブーム筆頭に左傾化著しい世の中をもう一度DEIの対義語たるメリトクラシー、すなわち実力主義、能力主義に戻す事こそ健全で公正であるとの考えである。大学は主流派メディアや肥大化した官僚機構らと共にこの1~2ディケイド続くプログレッシブ左派的な世界を形成した巣窟であり、その頂点たるハーバード、というわけだ。正しいかはともかくもその考えを点検する事は意味があるように思う。
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(更新) - 菅野暁東京大学 理事(CFO)ひとこと解説
現在米国西海岸の大学を訪問していますが、予想通り大変混乱した状態です。ある有力大学はまだ助成金を止められてはいませんが、その場合に備えて通常の2025年度予算を留保条件付きで理事会の承認を受けると同時に、9月に修正予算案を策定する作業に入るとCFOが話していました、修正予算案は、数百人単位の職員のレイオフや新規採用停止などを含む支出の2桁削減や、エンダウメントからの配当2桁削減が組み込まれ、リーマンショック後に匹敵する非常に厳しい予算になるとのことでした。エンダウメントからの配当が予算の2割を占めるような大学にとって、非課税の配当に課税されることは助成金削減に匹敵する大きなダメージになります。
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(更新) - 青木慎一日本経済新聞社 編集委員・論説委員ひとこと解説
トランプ政権は学生ビザの発給を停止するよう大使館に指示しています。留学を希望する学生のソーシャルメディアをチェックすることを義務づけるという報道も出ています。自分の思想を受け入れられない人間を拒絶するという思想は独裁国家と変わりません。トランプ第1次政権では、中国系の研究者や留学生をターゲットにスパイ疑惑をかけましたが、検挙した事件はことごとく裁判で敗訴しました。このときは裁判所が合理的な判断をしていましたが、保守派が多数を占める状況でどうなるのか、とても心配です。
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(更新) - 矢野寿彦日本経済新聞社 編集委員ひとこと解説
トランプ大統領の科学への攻撃を支えるのが、米社会を支配する反知性主義です。知的エリート層を嫌う反知性主義とは、知性そのものへの反発ではなく、知性が権力をもつことへの反感を指します。合理性の鏡である科学が社会性を帯びるなか、コロナ禍における専門家への反発、嫌悪も反知性主義のあらわれでした。 トランプ氏がいずれ退いたとしても、このイデオロギーの支配が覆ることはないでしょう。 20世紀以降、科学と技術の進展を支えてきたのは紛れもなく米国でした。知の大国の凋落は科学や技術の発展のさまをまるっきり変えていくと思います。
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(更新) - 上野泰也みずほ証券 チーフマーケットエコノミストひとこと解説
潤沢な研究資金や良好な居住環境に惹かれて、世界中から研究者など有能な人材が集まり、米国の経済を研究開発の面から底上げしてきた。だが、トランプ政権の愚かな政策によって、「『知の大国』としての米国の地位が揺らいでいる」。米国というのは、移民が作り上げた、比較的新しい国である。若年層を中心とする「外」からの多様な人々の受け入れは、消費大国の基盤を形作ることで需要の面から、それに加えて、さまざまな刺激が与えられ、新しい発想につながることによるイノベーションという供給の面からも、米国経済の根底にある大きな強みとなってきた。トランプ政権がそうした強みを自ら壊そうとしている点は、しっかり押さえておきたい。
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(更新) - 柯 隆東京財団政策研究所 主席研究員ひとこと解説
トランプ政権の制裁はハーバード大学など大学を標的にしているが、実際に影響を受けているのは研究者と学生たちである。トランプ政権が終われば、多くの研究者と学生は再びアメリカに戻るだろう。問題は研究者と学生がアメリカを離れ、再びアメリカに戻るためのコストが必要のないものだったことである。これはアメリカの教育史に残る「トランプ断層」と呼ばれるものになる
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2025年1月20日(現地時間)にドナルド・トランプ氏が再びアメリカ大統領に就任。政権の行方など最新ニュースや解説を掲載します。