〈女系天皇などありえない〉 自民議員から猛反発 読売新聞のキャンペーンが保守派に与えた衝撃
自民議員からは疑義を呈する発信が
実際に自民議員からは、 〈何とも面妖な紙面でした。朝日新聞かと思わず二度見してしまいました〉(長島昭久首相補佐官) 〈読売新聞がこのような記事と社説を載せるとは驚きました〉(松本尚衆院議員) 〈女系天皇などありえない〉(小林鷹之前経済安保相) などなど、提言に疑義を呈するSNS投稿が相次いだ。加えて、保守的な論調を旨とする産経新聞も、 〈「女系天皇」容認 与野党戸惑い〉(5月16日朝刊) 〈読売は立法府の総意壊すのか〉(5月18日朝刊) などと、読売批判を繰り広げる事態となっている。
「提言記事の旗振り役は……」
この「提言」は今回、唐突に打ち出されたかに見えるのだが、 「実は、昨年からその“兆し”はうかがえました」 とは、先のデスクである。 「読売は昨年5月19日の社説で『皇族数の確保は喫緊の課題だ』と説き、結婚した女性皇族の配偶者や子は皇族としないとする自民党の主張に、『一般国民とした場合、皇室の政治的中立性や品位を保てるのだろうか』と疑問を呈しています。また現在、同じく安定的な皇位継承に向けた与野党協議で話し合われている、旧宮家の男系男子を皇族の養子として皇室に復帰させる案についても、『戦後長い間、一般国民として過ごしてきた人を皇族とし、さらにその子に皇位継承資格を与えることが“国民の総意”に沿うと言えるのか』と記している。これらは、そのまま今回の提言で踏襲されています」 当時の編集責任者は、言わずと知れた渡辺恒雄主筆。昨年末に98歳で他界したため、提言は渡辺氏の“置き土産”ではないかとの見方もあるのだが、さる読売の関係者は、こう明かす。 「提言記事は、老川さんが旗振り役となって進められてきました。渡辺主筆が亡くなった後、本格的に作業がスタートしたといいます」
「社内では冷めた見方も」
老川さんとは、読売新聞東京本社の社長や巨人軍オーナーなどを歴任し、現在は読売グループ本社代表取締役会長を務める老川祥一主筆代理(83)を指している。 「政治部出身の老川さんは渡辺主筆の“盟友”であり、15歳年下の山口寿一社長も口を差し挟めない存在。高齢ではありますが、まもなく主筆に就くともいわれており、本人はそのための“実績”が欲しかったのでは、といった冷めた見方も、社内にはあります」(前出の関係者) 別の関係者も、 「一連の憲法改正試案など、提言スタイルの企画を確立させたのは言うまでもなく渡辺主筆。老川さんもこれに倣ってテーマを探していたところ、ちょうど皇室が目に留まったのではないでしょうか」