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ドンキ、コメ流通「利益目的だけの参入防げ」 小泉農相宛て意見書全文

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ディスカウント店「ドン・キホーテ」を運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)は28日、小泉進次郎農相にコメ流通の問題点に関する意見書を吉田直樹社長の名義で提出した。日本経済新聞が入手した意見書の全文は以下の通り。

流通が自由化されたが、米は、生鮮食品でありながら、加工して製品化した状態でしか買えない。まず、米の集荷役であるJAから一次問屋に米が卸される。流通の自由化というものの、集荷役のJAと取引している一次問屋は、実質的に特約店のように決定しているため、新規参入が難しい。

一方、二次問屋、三次問屋については、参入障壁が著しく低い。実際、ブローカーなど、利益目的だけの業者が横行し、当然、利益のみの目的のため、今回のような需給のバランスが崩れたときには、流通に協力するのではなく、利益を優先させるため、供給を抑える原因の一つになっていると考えられる。

また、「銘柄米」と銘打っている米の中には、等級の異なる米が混ぜて売られていることも多い。最終顧客である消費者には、その中身がわからず、銘柄の情報のみで購入の決定を行わざるをえない。このため、同じ銘柄米であっても、値段が極端に異なることがあり、一層不透明な米流通になっている。

以上のような課題、問題意識をPPIHは有しているが、初期的なディスカッションとして、以下の初期的な提言を行う。

課題と解決策



【課題①】参入障壁が高い一次問屋の構造

集荷役のJAと取引している一次問屋は、実質的に特約店のように決定しているため、新規参入が難しい。また、五次問屋なども存在する多重構造によって、中間コストに加え、マージンがそれぞれに発生することが、最終的な小売りの仕入原価に反映されることになる。インフレ下と供給が不十分な状況下では、各問屋のコストと、限られた流通量で収益を確保するためのマージンの両方が仕入原価に上乗せされるのに加えて、市場競争が生まれない卸構造が、結果として仕入価格、および販売価格が高騰する要因となっている。

【解決策提案①】

多重構造を解消し、集荷役であるJAなどと卸売価格の取引が直接できるようにすること、また小売りから、店頭までの流通を担う二次問屋、及び三次問屋へ依頼をかけるような取引形態にすることで、中間コストとマージン分の仕入原価、販売価格の低下に繋げることができるとともに、米自体の価格(JAなどからの卸価格)と中間コストが分離して可視化できるため、適切な競争原理と小売り、問屋の努力義務が付帯され、過度な仕入原価、販売価格への転嫁が抑制できると考える。

【課題②】参入障壁が低い二次問屋以降と生産者直接取引

上述した課題①と相反する内容であるが、こちらは、一次問屋ではなく、二次問屋以降、もしくは生産者との直接取引に参入するプレイヤーのことである。需給バランスが崩れた現況下では、ブローカーや投機目的など、著しく高い利益目的だけのプレイヤーが横行するため、過度な流通量の減少や、価格上昇を引き起こす要因となっている。また、これらのプレイヤーは、管理面においても不十分な場合があり、品質が担保されないという問題も懸念される。

【解決策提案②】

上述した課題①の解決方法とセットでの導入となるが、米という日本人の生活に欠かせない商品特性上、米の保管設備や実際の取引先物量や販売物量の証明、開示など、届け出制や許認可制の導入により、公平性を担保しつつ、利益目的のプレイヤーの参入を防ぐ。または、仕入れ取引のなかで、販売後に還付されるような仕組みを導入する。これにより、参入プレイヤーは、供給の妨げとなるような行為は自社の利益を低下させるため、自動的に流通に対して一定の責任を負うようになるため、参入プレイヤーの適性化を図ることができる。

【課題③】銘柄米の銘柄名におけるルールの消費者認知の低さ

銘柄米と銘打っている米は、その銘柄と品質に統一の基準、ルールが設けられておらず、等級の異なる米が混ぜられて売られていることも多い。一方で、最終顧客である消費者は、銘柄米の表記ルールについて認識をしていないこともあり、銘柄情報のみを購入決定の選択肢としていることも多い。このため、中身の品質ではなく、表記される銘柄のみでの売価設定が行われることにより、品質と売価がアンマッチな状態が発生する。特に供給が不足する場合は、必要以上に過度な売価上昇を引き起こす要因の一つとなっている。

【解決策提案③】

例えば青果などは、「優」「秀」などの明確な品質基準があり、これの基準が消費者にも広く認知されているため、相場と大きく乖離した販売価格になりづらい構造になっている。米についても、等米表記を行うなど、消費者に広く認知される品質の基準設定を行うことで、品質と連関性がある売価設定が担保でき、過度な売価上昇を抑制することが可能と思料する。

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コメ問題

2024年に表面化したコメ価格の高騰を受け、農林水産省は備蓄米放出などの対策に乗り出しました。その過程で、政府の農業政策や流通経路における目詰まりなど、コメの生産・流通を巡る課題が顕在化しています。最新ニュースや解説記事をまとめています。

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