【伊賀】三重県の稲森稔尚伊賀市長は29日の定例記者会見で、生徒に体罰をした県立伊賀白鳳高(同市)の男性教諭(32)を戒告とした県教委の懲戒処分を「甘い」と批判し、体罰が相次ぐ原因の究明や根絶に向けた体制の構築などを、6月中にも県教委に申し入れる考えを示した。
男性教諭は昨年10月30日、男子ハンドボール部の練習中に返事が小さかったことに腹を立て、男子生徒の腹部を蹴ったり上腕をつかんだりし、腹部打撲など全治1週間のけがをさせた。
県教委は今月22日付で教諭を戒告とした。保護者から抗議を受けるまで校長に伝えていなかったことや、傷害罪で罰金の略式命令を受けたことを踏まえて「重い処分とした」としている。
稲森市長は会見で「体罰は学校教育法で明確に禁止され、児童生徒の心身に深刻な悪影響を及ぼす」と強調。「力による支配を容認する風潮は暴力行為を助長する恐れがある」と述べた。
今回の処分については「生徒を蹴ってけがをさせたのに、戒告にとどめたのは甘い」と批判。生徒が退部した理由を県教委が把握していないことには「信じられない」と語った。
冊子の配布や研修の開催といった県教委の再発防止策にも「ずさんだと言わざるを得ない」と指摘。再発防止策の徹底も合わせて申し入れる考えを示した。