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【コラム】外国人の住宅購入規制、日本は異例の緩さ-リーディー

日本で「空き家」を外国人に紹介する新たなビジネスがここ数年広がっている。

  空き家問題はどの国も抱えているが、日本では特に深刻だ。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)後、母国で住宅を買えなくなった外国人の間で日本の空き家への関心が大きく高まった。

  ただし注意が必要だ。日本の住宅は断熱性が低い上に、空き家の多い田舎での暮らしが「となりのトトロ」のようなものになると期待し過ぎてはいけない。

  とはいえ、このブームにより、日本での不動産取得の容易さがあらためて注目されている。実際、外国人の購入に対する制限や抑制策がほとんどない状況は、もはや異常といっても過言ではない。

  そしてこれは、政治的な問題にもなりつつある。田舎の空き家はあまり問題視されていないが、不動産価格が高騰している東京などの大都市圏では、海外の買い手が価格上昇の一因だと指摘されている。

  東京では、新築マンションの平均価格が2年連続で1億円を超えた。不動産コンサルティングの東京カンテイによると、都心部では70平方メートルの中古マンションの価格がコロナ禍前の2倍にまで上昇している。

  かつて値上がりしないとされていた市場としては、異例の高騰ぶりだ。私は2022年に東京の不動産の手ごろさについて書いたが、わずか3年で多くの人々が持ち家に手が届かなくなったと感じている。

  この価格高騰には、さまざまな要因がある。東京五輪に向けて多くの優良地がすでに再開発され、新築物件の供給が不足。インフレも建築コスト上昇を招いており、さらに残業規制の強化により人手不足も深刻だ。共働きで高収入の「パワーカップル」の増加も、不動産市場への新たな需要を生んでいる。

実態把握へ

  その一方で、中国人富裕層を中心とする外国人購入者が注目されつつある。彼らは資産の安全な避難先として日本に目を向けており、日本の政治的安定や社会保障制度を魅力と感じている。

  近ごろ国会やメディアでは、不動産購入に対する規制のなさが繰り返し問題提起されており、元サッカー日本代表で投資家の本田圭佑氏も最近、外国人の土地購入を禁じるべきだとSNSに投稿して話題になった。

  この議論を複雑にしているのは、信頼できる取引データの欠如だ。日本では購入者の国籍を記録しておらず、実態が見えづらい。三菱UFJ信託銀行が開発会社を対象に実施した最近の調査では、東京都心部で販売された新築マンションの2ー4割が外国人による購入だったと示唆されている。NHKによると、政府はようやく実態を把握するため初の調査に着手するという。

  驚くべきことに、外国人による不動産購入に対して日本が制約を設けたのは2020年代に入ってからだ。しかも、自衛隊や米軍の基地、原子力発電所の近くなどのいわゆる「注視区域」「特別注視区域」だけが対象だ。

  それ以外のエリアでは、購入者は日本に居住している必要すらなく、外国人に対して追加の税金や印紙税も課されない。別荘やセカンドハウスに対する特別な課税も存在しない。

  日本はこの点でアジア太平洋地域における異端児だ。シンガポールは23年に外国人購入者に対する印紙税を30%から60%に引き上げるなどの抑制策を講じた。オーストラリアは外国人による一部住宅の購入を2年にわたり全面禁止し、カナダも昨年そうした措置を延長した。

  とはいえ、日本がそうした過激な措置を取る必要がある状況にはないのも事実だ。むしろ、地価が上がらないという長年の悩みを考えれば、このような議論が出てくること自体が皮肉とも言える。しかし、東京の世界に通じる魅力が知れ渡った今こそ、世論の不満が高まる前に政府が議論をリードすべきだ。

  ますますグローバル化し、格差が拡大する世界においては、日本人であれ外国人であれ、実際に住む居住者が、セカンドハウスを投機目的で購入する買い手よりも優先されるべきだろう。

  何より、財源が必要な政府にとっては、税収を最大化すべき好機だ。住宅供給の不足が続く現状を踏まえ、特に東京都心部においては、所有者が住んでいなかったり、使用頻度が低かったりする住宅を減らすべきだ。

  また、中国人投資家が容易に不動産を購入できることに日本人が不満を抱くのも当然だ。なにしろ、逆に日本人が中国で不動産を購入することは極めて難しいのだから。

  日本が経済的に低迷していた時期にも社会の安定を保てたのは、住宅をはじめとする基本サービスの確保ができていたためだ。これは、多くの欧米諸国が失敗したことであり、国民の不満を助長した要因でもある。東京が再び活気を取り戻しつつある今、他国の過ちを繰り返さないように注意する必要がある。

(リーディー・ガロウド氏はブルームバーグ・オピニオンのコラムニストで、日本と韓国、北朝鮮を担当しています。以前は北アジアのブレーキングニュースチームを率い、東京支局の副支局長でした。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

原題:It’s Too Easy for Foreigners to Buy Up Japan: Gearoid Reidy (抜粋)

    This column reflects the personal views of the author and does not necessarily reflect the opinion of the editorial board or Bloomberg LP and its owners.

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