2019年7月に千葉県野田市の市立小6年男子児童が自殺した問題で、有識者らでつくる「市いじめ問題再調査委員会」(委員長・濱口佳和筑波大教授)は28日、「同級生によるいじめ行為が自死の主たる要因」とする報告書を鈴木有市長に答申した。児童が同年6月に自殺未遂をしていたことも判明した。(林容史)
◆ノートに「SOS」メッセージ
報告書によると、隣席の同級生1人に「席を離された」「教科書で壁を作られた」など6件をいじめと認定。「いじめの事実がなければ児童は自死に至ることはなかったと言え、直接的な因果関係が認められる」と結論づけた。学校側の不備として「児童の人間関係に担任が早期介入できなかった」などを挙げた。
児童はノートに「SOS むしされる さけられる 自殺したい」などのメッセージを書き残していた。再調査委は、同年6月に学校でSOSの出し方を学んだ授業後、書いたと判断。学校側はこれを把握していなかった。児童はこのころに自殺未遂もしていた。
児童は同年7月13日、国語の音読でつかえて同級生から「練習していない」と言われ、帰宅後に自殺。市教育委員会が当初設置した第三者委員会は2021年2月、いじめはあったものの「自殺の主要因とは判断できない」と認定。遺族側の要望で、市が別の有識者らでつくる再調査委を設置した。
濱口氏は当初の調査について、「児童が友達の1人に『死にたい』と言っていたことに踏み込んで、丁寧な聞き取りをしなかった」と指摘。児童の両親は「加害者だけでなく当時の同級生、保護者、教職員、教育委員会、全ての関係者が真摯(しんし)に向き合うことを強く望む」とのコメントを出した。
【相談窓口】
・自殺予防「いのちの電話」
0570-783-556(午前10時~午後10時)
0120-783-556(フリーダイヤル、毎月10日午前8時~翌日午前8時)
・全国のいのちの電話一覧(一般社団法人「日本いのちの電話連盟」)
・いのち支える自殺対策推進センター
・こころの健康相談統一ダイヤル
0570-064-556(曜日、時間は都道府県により異なる)
・都道府県・政令指定都市の相談窓口
◇ ◇
◆両親怒り「SOSを受信するアンテナを誰も持っていなかった」
2019年7月に野田市立小学校6年の男子児童が自殺した問題で、「市いじめ問題再調査委員会」(再調査委)は28日、いじめが主な要因だったと認めた。両親はコメントを出し、児童がSOSメッセージをノートに書いていたことに触れて「『自殺したい』。これが息子が遺した最後のメッセージになってしまった」と無念さをにじませた。
◆遺族側弁護士が会見、両親のコメントを発表
コメントは遺族側の石田達也弁護士が同日、市役所で記者会見し発表。会見場には児童のランドセルと、姉が先週に児童を思って描いたパステル画が並んだ。
コメントで両親は...
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