中国で“新型コロナ再拡大”の兆し… 新たな変異株「XDV」の特徴とは? 日本流行の懸念も
中国で新型コロナウイルスの再拡大が懸念されています。中国疾病予防管理センターは、2025年第14~第18週(3月31日~5月4日)の急性呼吸器感染症の定点サーベイランスの結果を発表しました。この内容について五藤医師に解説していただきました。
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五藤 良将(医師)
防衛医科大学校医学部卒業。その後、自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどに勤務。2019年より「竹内内科小児科医院」の院長。専門領域は呼吸器外科、呼吸器内科。日本美容内科学会評議員、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医。
中国疾病予防管理センターが発表した内容とは?
中国疾病予防管理センターが発表した内容を教えてください。
五藤先生中国疾病予防管理センターによる2025年4月、第14~第18週のデータを急性呼吸器感染症の定点サーベイランスの結果を紹介します。新型コロナウイルスの陽性率は週を追うごとに上昇し、第18週には外来で16.2%、入院で6.3%となりました。地域差もみられ、南部の州では北部より陽性率が高く、一部の省では感染拡大のスピードが鈍化する傾向も確認されています。年齢層別では、全年齢において新型コロナウイルスが上位の病原体として検出されており、とくに15歳以上の層で高い陽性率が報告されています。
これに先立つ2025年3月には、31の省・自治区・直轄市および新疆生産建設兵団から報告された新型コロナウイルスの有効なゲノム配列4381件の全てがオミクロン変異株に分類され、主な流行株は「XDV系統」とその亜種でした。サンプルの採取週別に見ると、3月第10~第13週にかけて、XDV系統の割合は順に72.4%、76.2%、79.9%、87.2%と着実に増加しており、全国的にXDVが支配的な系統となっていることが示されました。
これらの結果から、新型コロナウイルスは依然として注視すべき感染症であり、今後もその動向を継続的に監視する必要があります。
変異株XDVとは?
変異株XDVの特徴を教えてください。日本でも再び新型コロナウイルスが流行する危険があるのでしょうか?
五藤先生XDV変異株は、オミクロン系統の中でも感染力がさらに強いとされる一方、重症化率はこれまでのBA.5やXBB系統と同程度か、それ以下とみられています。ただし、高齢者や基礎疾患のある人は重症化の可能性があるため、引き続き注意が必要です。症状としては咽頭痛、咳、発熱、全身倦怠感が目立ち、インフルエンザとの鑑別が難しい場合もあります。
日本でも、大型連休などの人の移動が活発になる時期に新型コロナウイルスが再び流行するリスクがあるため、今後の国内動向と海外からの渡航者の監視が重要です。
中国疾病予防管理センターが発表した内容の受け止めは?
中国疾病予防管理センターが発表した内容への受け止めを教えてください。
五藤先生中国疾病予防管理センターが提供したデータは、新型コロナウイルスが依然として公衆衛生上の重要課題であることを示しています。XDV系統が支配的になっているという報告は、ウイルスが進化を続ける中で、感染動向の定点観察とゲノム監視の重要性を改めて認識させるものです。日本においても、今後の変異株の流行動向に応じた柔軟な対応が求められます。
編集部まとめ
季節の変わり目には、新型コロナウイルスとほかの呼吸器感染症の同時流行も懸念されます。引き続き、手洗いやマスクの着用、体調がすぐれないときの受診など、日常的な感染対策を心がけましょう。
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