ルビオ米国務長官は28日、中国人留学生の査証(ビザ)を取り消す方針を発表した。中国共産党とつながりがあるとみなされた学生や、「重要な分野」を専攻する学生が対象となる。また、中国や香港からの全てのビザ申請についても審査を強化し、発給基準を見直すとした。
トランプ米政権は移民や留学生に対する規制を強化してきたが、今回は特に中国を標的とした格好で、関税などを巡って対立する両国の新たな火種となりそうだ。
ルビオ氏は声明で、国務省は国土安全保障省と協力すると説明。「中国共産党と関係がある、または重要な分野で学ぶ」学生を含む中国人留学生のビザに関して、「積極的」に取り消すとした。対象となる学生の詳細は不明だが、「重要な分野」は科学技術を指す可能性がある。第1次トランプ政権は2020年にも、先端技術の流出を防ぐとして、中国人留学生や研究者らのビザを取り消した。
AP通信によると、米国内の中国人留学生は23~24年度に27万人以上おり、インド人に次いで多い。米紙ニューヨーク・タイムズによると、過去数十年で、共産党幹部の多くの子弟が米国の大学で学んできた。習近平国家主席の娘もハーバード大に留学していたとされる。
留学生の受け入れを巡っては、ルビオ氏は27日、全世界にある在外公館に対して、学生ビザの申請者向けの面接の新規予約を一時的に停止するよう指示。申請者の交流サイト(SNS)での投稿履歴に関する審査を強化するためだとしている。
中国外務省の毛寧報道局長は29日の記者会見で「中国人留学生の法的権利を著しく侵害し、正常な人文交流を阻害した」と述べ、米国に抗議したことを明らかにした。そのうえで「差別的な手法は、米国が標ぼうする『自由、開放』の欺まんを暴き、自らの国際イメージや信望をさらに損なうだけだ」と批判した。【ワシントン松井聡、北京・河津啓介】