福島第一原発のデブリ、前回より色が明るく空間も「生成過程で違い」
日本原子力研究開発機構と東京電力は29日、福島第一原発2号機から取り出した、溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の分析結果を公表した。昨年11月に採取したデブリに比べ、空間が多いなどの違いが確認できたという。
デブリは小石状の11粒。東電によると、炉内で運ぶ最中に割れ、ぬれた大きな粒に小さな粒がくっついて回収された可能性があるという。ウランの核分裂反応でできる放射性物質ユウロピウムやアメリシウムが検出され、機構は「核燃料由来と確認できた」としている。
デブリ全体の重さは0.187グラム(前回は0.693グラム)だった。大きさは最大5ミリ×4ミリほどで、1ミリに満たないものもあった。
放射線量は1~2センチの距離で毎時0.3ミリシーベルト。前回の毎時約8ミリシーベルトより大幅に低かった。色は茶色に近い褐色で前回より明るく、気体が抜けたような空間も見られた。
前回より燃料成分が多いとみられ、機構は「溶けた燃料が粘り気の強い状態で落ち、ガスがとどまったまま冷え固まったのでは」とみている。
今回分析したデブリは東電が4月、前回より原子炉格納容器の中心部に近い場所から採取した。同機構の大洗原子力工学研究所(茨城県)で調べていた。これらの分析結果をふまえ、東電はロボットアームを使って今年度中に3回目の取り出しをする方針だ。東電福島第一廃炉推進カンパニーの小野明代表は「ロボットアームは広い範囲で(デブリに)アクセスできるのが特徴。別のところに手を伸ばしてとって比較するのが大事だ」と話した。