化学機械メーカー「大川原化工機」を巡る28日の東京高裁判決は、警視庁公安部の捜査の瑕疵(かし)を「内部告発」した現役警察官3人の証言に重きを置き、立件に不利な証拠を顧みなかった警察、検察をとがめた。違法捜査の検証が今後の焦点となる。
「立件するような理由はなかった。決定権を持っている人の欲なんでしょう」
2024年10月。静まりかえった東京高裁の法廷で、警視庁公安部の捜査員だった警部補が証言した。1審でも2人の現職警察官が「事件は捏造(ねつぞう)」などと証言をしていた。控訴審も3人目の捜査批判が続く異例の展開となった。
争点だった省令解釈の妥当性
2審の最大の争点は1審では認められなかった、経済産業省の輸出規制省令の解釈が妥当だったかだ。…
大川原化工機側が警視庁公安部と東京地検の捜査の違法性を問うた訴訟で判決が言い渡された東京高裁の法廷=2025年5月28日午後1時56分(代表撮影)