自民・公明・立民3党首、年金法案修正に正式合意 基礎年金を底上げ
石破茂首相(自民党総裁)は27日夕、公明党の斉藤鉄夫、立憲民主党の野田佳彦両代表と国会内で会談した。年金制度改革法案の付則に基礎年金の底上げ策を明記する修正に正式合意した。
首相は会談後、修正合意について「非常に意義深いことだ」と述べた。「審議に引き続き真摯に対応し、法案の早期成立に努力をしていく」と語った。首相官邸で記者団の取材に答えた。
自公立3党は26日の実務者協議で立民の修正案を自公が受け入れる大筋合意をした。党首会談による正式合意を踏まえて国会に修正案を提出し、週内の衆院通過をめざす。6月22日が会期末の今国会で成立する公算が大きい。
修正案は会社員らが加入する厚生年金の積立金を使って基礎年金の給付水準を底上げする仕組みの導入について盛り込むのが柱。底上げを実施するかは2029年の年金制度に関する財政検証を踏まえて判断する内容だ。厚生年金の給付額が減る場合に緩和措置を講じる方針も規定する。
政府は当初、厚生年金の積立金を活用した基礎年金の底上げ策を法案に入れる方針だった。厚生年金財源の「流用」との批判や厚生年金の受給額が一時的に減ることなどを受け自民党内で慎重論が強く、法案から削除した経緯がある。
国会審議のなかで立民などが政府案では将来の基礎年金の給付水準が下がり、就職氷河期世代などが老後に低年金に陥る懸念があると修正を求めた。自民党は野党第1党の提案に乗る形であれば反発は起きにくいとみて受け入れを決めた。
修正に応じなければ「氷河期世代の切り捨て」と批判されかねないとの警戒も受け入れに傾く要因となった。立民と協力して重要法案の成立をめざすことで野党が内閣不信任決議案を提出しにくい状況をつくる思惑もあった。
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(更新)- 諸富徹京都大学公共政策大学院 教授分析・考察
年金の将来の安定化に向けて、与野党合意が成立したことは、きわめて意義が大きいです。大きな論点は、「基礎年金を底上げするのは厚生年金の流用にあたる」という批判でした。たしかに、基礎年金は半分が公費(税金)、残る半分が保険料で賄われており、後者の底上げのため厚生年金積立金が活用されれば、「流用」との批判は免れません。他方、事態を放置すれば、多くの人々が低年金で貧困にあえぎ、欧米のように格差と分断が拡がる国になりかねません。今回の合意は、こうした事態を回避するために全国民が連帯して、公費と積立金で基礎年金の底上げを支えることを決めた点で、画期的だと思います。政治が果たすべき役割を果たしたと言えます。
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(更新) - 竹内薫サイエンスライター/ZEN大学教授貴重な体験談
零細企業を経営しています。毎年のようにさまざまな形での「実質増税」が行われており、経営体力が限界に近づきつつあります。厚生年金の企業負担分はきわめて大きく、このまま日本全体として経済成長ができない状態が続くと、多くの中小零細企業の経営が危険水域に入るという現場感覚があります。また、現役世代にとっては、ただでさえ生活が苦しい中、賃金上昇分を厚生年金に吸い取られてしまうという感覚があるはずで、相当な反発があるのではないでしょうか。なぜ、国民年金が、ここまで破綻しかかっているのか、他に方策がないのかについて、もっと丁寧な説明が必要だったのではないでしょうか。
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(更新)
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