おもしろくて刺激的な知識エンタメのための、良い問いの作り方
『面白くて刺激的な論文のためのリサーチ・クエスチョンの作り方と育て方 第2版』を読んだ。
おもしろい本だった。本書の問題提起は、こんな感じ。
・学術界で書かれる論文の数は毎年増えている。
・しかし、インパクトの大きい論文はむしろ減っている。
・つまり、退屈な論文ばかりが異常に増えている。
・なぜなら、みんなが取り組む「リサーチ・クエスチョン(研究上の問い)」がつまらないからだ。
・研究者たちは「ギャップ・スポッティング(隙間を埋める)」ようなリサーチ・クエスチョンばかりに取り組んでしまっている。既に確立された研究を少しだけズラすような研究(たとえば、夏の実験だったのを冬に変えてみるとか)ばかりが生まれている。
・しかし、本当にインパクトがあるのは、前提を疑うようなおもしろいリサーチ・クエスチョンであり、ギャップ・スポッティングではない。
・ギャップ・スポッティングばかりを皆がやっているのは不健全なので、前提を疑うようなアプローチも視野に入れてほしい。本書ではそのための方法論を書く。
これだけで、既にかなりおもしろい。また、ギャップ・スポッティングが支配的になってしまう理由もおもしろかった。雑に言うと「研究者は既存の枠から外れるとキャリアに悪いという恐れを感じているから」らしい。切なすぎる。
僕は学術界にいないので、この本を当事者として読んだワケではない。ただの門外漢の興味本位の読書だ。しかし、自分の仕事にも適用できる部分がたくさんあるように思えた。というのも、この本が繰り返し訴えているのは「問いの大切さ」だからだ。
問いは全ての知識開発における本質的な要素である
「良い問いを立てれば、良い研究ができる」という話なのだが、これは知識エンタメにおいても同じだ。「良い問いを立てれば、良いコンテンツができる」のである。
「良い問い」こそが、知識エンタメの核
僕が手掛けている仕事は大体全部「知識をエンタメ化する」という軸で説明できる。第一人者と言っていいところまでは登りつめたと思う。このニッチなジャンルのYouTubeコンサルでは日本一だろう。
そして、知識エンタメの仕事もほぼ「良い問いを出せるかどうか」の勝負だと言っていい。良い問いが出せればそれは面白いコンテンツになる確率が高いし、出せなければつまらないコンテンツになる確率が高い。
そしてもっと言うと、ほとんどすべての知識エンタメコンテンツはここでコケている。魅力的な問いが出せないまま死んでいるものがほとんどだ。
だから、今日は僕なりに書いてみよう。「おもしろくて刺激的な知識エンタメのための、良い問いの作り方」を。
まずは、反面教師を見てみたい。魅力的な問いが出せずに沈没していったYouTubeチャンネルの事例をチェックだ……。
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堀元見の、炎上するから有料で書く話
ネットで見つけた愚かな人をアカデミックにバカにしたり、普通に言うと訴訟リスクがある本音を書いたりするマガジンです。全部Twitterで言う…
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購入者のコメント
11有料文章の醍醐味!超参考になりました。
そして耳も痛かったです、、
情報の羅列の罠に陥ってました。。
個人のYouTubeタイトルとサムネ、全部作り直します!
R指定が良い韻は韻の飛距離があるとZORNさんと話して意気投合したってエピソードをラジオで話していたよなって思ってたら、コメント欄に同じような方がいて嬉しい
社會部部長、地理の雑学ゆっくり解説、ゆっくりまっちゃ、ぴよぴよ速報、とかは、ゆる言語系でのオススメ前に見始めたチャンネルですが、北朝鮮でSteam使ってるやつ調べたり、現代人を歴史的偉人に論破させたりと、良い問いで気になる+コンテンツが良いという共通点があるように思いました。
逆に、一度その分野に興味をもったならば、ど直球で深堀り解説して欲しい(例:ゆっくり資源解説)ので、人間とは贅沢だなと再認識することになりましたが。
>>NanoFacturer
なんのアピール?