化学機械メーカー「大川原化工機」を巡る28日の東京高裁判決は、警視庁公安部の捜査の瑕疵(かし)を「内部告発」した現役警察官3人の証言に重きを置き、立件に不利な証拠を顧みなかった警察、検察をとがめた。違法捜査の検証が今後の焦点となる。
上告の場合、事実認定争えず
「内容を読み込まないと何とも言えない」。「完敗」と言える高裁判決を受け、警視庁幹部ら警察関係者の口は一様に重かった。
当初から、多くの警察幹部は高裁判決も厳しい内容になると見込んでいた。そうした中で、争点の一つだった輸出規制省令の解釈について、大川原化工機側の「事件は捏造」との主張が認められた場合、上告すべきだとの意見があった。
一方、1審で警視庁側が負けた温度実験の妥当性と取り調べの違法性については、1審と同様に主張が認められなかったとしても、その司法判断を認めざるを得ないとの声もあった。
高裁判決は「捏造」と明言しなかったものの、省令解釈については1審を覆し、警視庁側の敗訴とした。
上告の場合、最高裁は下級審の法令解釈や適用に不備がないかを審理するため、事実認定は争えない。高裁判決が示した省令解釈への判断に対し、上告理由を見いだせるかがポイントとなる。
上告断念なら検証か
仮に双方が上告せずに裁判が終結…
警視庁本部=東京都千代田区で2023年12月13日午後1時39分、本社ヘリから三浦研吾撮影