営業なのに「電話が怖い…」、若者に広がる「電話恐怖症」のリアル。電話が苦手な部下に上司はどう対応すればいいのか?
しかし、社会に出たら「不慣れなこと」しか直面しないのも、また事実である。だから経験を通して慣れたらいいのだ。ただ、そのときに上司は注意すべきことがある。 それは、「とりあえず、自分なりにやってみろ」と丸投げしないことだ。たとえ自分が若いころ、そのように上司に指示されていたとしても、である。営業代行業の社長いわく「環境を整え、スキルを磨けば、まったく問題ない」そうだ。 「店舗で接客するのと、それほど変わりません。慣れない人は苦手意識を持つでしょう。だけど、専門スタッフと一緒にトレーニングを重ねれば、みんな上手になりますよ」
電話代行の現場では、話の流れや内容をまとめた台本のような「トークスクリプト」の整備、実際に電話をかける場面を想定して行うロールプレイング(ロープレ)による訓練、「失敗しても大丈夫」と心理的安全を保つ環境が整えられている。 丸投げするのではなく、部下をキチンと丁寧に育てようとすることが大事だ。それは車での営業活動しかり、企画書の作成しかりである。 ■電話恐怖症への対応策 それでは、電話恐怖症の若者に、上司は具体的にどう対応すべきか? 以下3つのアプローチを紹介したい。
(1)段階的な研修と実践 繰り返すが、電話は「慣れ」の要素が大きい。実践的な研修、トレーニングを重ねよう。慣れるまでは毎日1時間でも集めてやるといい。そして実際に電話対応する機会を段階的に増やしていく。 そうすることで不安は軽減するはずだ。いきなり心理的ハードルの高い経験を積ませるのは避けたい。 (2)テンプレートの活用 フォーマットはもちろんのこと、テンプレートも準備しておこう。単なるお客様対応なら、標準テンプレートでいいだろう。しかし能動的な営業活動で電話をするのなら、多様なテンプレートを用意したい。
ヒアリングした結果に応じて、相手がどう反応するのか。トークスクリプトのレパートリーも増やしておくことが大事だ。 (3)テクノロジーの活用 最新のサービスも、ずいぶんとリーズナブルになった。上司からのフィードバックには素直に従えないが、AIからのダメ出しならすんなり受け入れる若者も多い。 通話内容をリアルタイムに文字化したり、FAQやスクリプトをディスプレイに表示したりする機能を積極活用するといい。電話への不安はかなり軽減できるだろう。
■まとめ 若者の電話離れは今後も増えていくだろう。実際に、私の2人の子ども(大学生)が電話をしている姿を、ほとんど見たことがないのだから。 とはいえ「だからできなくていい」という話ではない。 取引先から「電話でのコミュニケーションさえできない会社には仕事を依頼しない」と叱られ、事業が頭打ちになったスタートアップ企業を私は知っている。 電話が生理的に受け付けない特殊なケースを除き、ビジネスパーソンとして最低限の電話スキルは身につけるべきだろう。そのためにも会社には、時代に合わせた丁寧なサポートが求められている。
横山 信弘 :アタックス・セールス・アソシエイツ 代表取締役社長