「天下一品」閉店の背景は? 唯一無二の“こってり”に陰りが見える理由
好調のつけ麺チェーン
実際、つけ麺チェーンは軒並み好調だ。例えば、「濃厚豚骨魚介スープ」を麺に絡めて食べるつけ麺チェーン「つけ麺専門店 三田製麺所」(以下、三田製麺所)は2023年4月時点で42店舗だったが、2025年3月には50店舗に達している。 そして、近年の三田製麺所の成長が、実は天下一品の大量閉店にも深く関わってくるのだ。 冒頭で触れたように、今回の件については各社の記事でフランチャイジーの「事情」が大きいと解説されている。では、そのフランチャイジーは、どこかというとティーフーズ(東京都渋谷区)という会社だ。 実はここはエムピーキッチンホールディングス(HD、東京都渋谷区)という外食企業グループの関連会社だ。その主力業態は、先に述べた三田製麺所である。 ポイントを整理しよう。 近年、ラーメン業態はかなり厳しいことになって、唯一無二のこってりスープを売りにしている天下一品ですら、店舗数を減らすほど苦戦している。 しかし、「つけ麺」は堅調に成長しており、三田製麺所も店舗が増えて国内50店舗を達成した。三田製麺所を主力業態とするエムピーキッチンHDとしては、成長を加速させるためにも、つけ麺事業に投資していくのはいうまでもない。
会社として得なのは天下一品かつけ麺事業か
しかし、資金や人員はどうしても限られている。三田製麺所に経営資源を集中させるとなると当然、ポートフォリオを考え直さなくてはいけない。その結果が「天下一品フランチャイズの終了」だったのではないか。 今回の天下一品の大量閉店を受けて、多くの専門家が「あくまでフランチャイジー側の事情であり、天下一品に客離れなどの問題が起きているわけではない」と解説している。しかし、その「事情」ははっきり分かっていない。 これはあくまで筆者の個人的な見解だが、三田製麺所と天下一品の状況を見る限り、「天下一品のフランチャイズを続けるより、自社のつけ麺事業に注力したほうが得」という経営判断があったような気がしてならない。 実際、三田製麺所は今の成長に満足することなく、さらなる「成長分野」へ乗り出そうとしているようにも見える。それは「油そば」だ。 以下の記事からも分かるように、死屍累々のラーメン業界の中で、「油そば」は成長している。手間やコストのかかる「スープ」をつくらなくてよいこともあり、ラーメン店からの業態転換も少なくない。 ・ラーメン業界が苦戦するなか、なぜ「油そば専門店」は成長しているのか(ITmedia ビジネスオンライン 2025年3月3日) その代表例が、サッポロ実業(東京都豊島区)が運営する「東京油組総本店」である。この記事では約70店舗となっているが、公式Webサイトを確認したところ79店舗に増えていた。