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【休憩】占い師が震災を目の前にして思ったこと

 日頃から私のnoteをチェックしてくださっている方は知っていると思いますが、1月1日に能登半島地震がありました。私が住んでいる場所(富山県高岡市南部)は幸い被害がほぼなく今も生活に問題はありませんが、もっと震度が大きかったら住まいはなくなっていたかもしれません。今もたまたま助かっただけだと思って、毎日を過ごさせてもらっています。
 現在余震はほぼなくなった(が油断はしていない)状態で、少し心が落ち着いたので「スタートアップ!占い師」を再開しようと思いますが、本編に入る前に、今回の災害において占い師として知っておいてほしいこと、考えてほしいこと、伝えたいことがあったので先にこちらを投稿します。

大きな地震を受けて思うこと

「占い師なのに、なんで地震のことがわからなかったの?」のこたえ

 今回大きな地震を受けてから、占い師として最初に受けた衝撃的な言葉は
「占い師なのに、なんでこんな大きな地震を当てられなかったんだ」
 でした。
 世間のイメージでは、たしかに占い師は「その人の性格や将来を必ず当てる魔法使い」のようなものです。そんな人が地震をあてられないなんて信用できない、だから占い師って詐欺師なんだ。そう思う人も多いと思います。

 そもそも占い師が占うときは、「これを占おう」と占いのターゲットを絞るところから始めます。占うターゲットは「占的」という言い方をします。
 今後の地震などを占うときは、「地震が起きるかどうか」などの質問を占的としてみないと、占うことはできません。
 一応占的を決めないで占うこともできますが、それでも出た結果から地震予測まで導いたり、揺れの度合いなどの詳細までを予測するのはとても難しく、検証するならまだしも、それを公表するのは仕事柄リスキーです。

 「地震が起きるかどうか」といった内容を占って結果を公表すると、受け手をを不安にさせてしまう可能性があります。こういったことからも大きな事柄を占うときは、情報をクローズにする、占い結果を公表する場に配慮する、エンタメに振り切るなど、受け手への気持ちを考える必要があります。

 こういった理由があり、基本的に占い師はまず地震を占わないし、占おうとしません。やろうとしないし、やらないから、わかるはずもありません。
 自分の発言に自信があり責任が持ち、仮に自分や相手が被災しても「何らかを言われても仕方がない」と覚悟を持っている人じゃない限り、なんの配慮もなく地震を占い世間におおっぴらに公表するのは難しいでしょう。

 ちなみに、震災時の私の状況は前に書いた通りです。
 元旦に電話鑑定してました。その途中で大きな地震がやってきました。
 こんな状態でどうもこうもできるわけがないだろう、このやろう。

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事務所がこれだけで済んだのがもはや奇跡

 もし「占い師なのに、なんでこんな大きな地震を当てられなかったんだ」と言われたら、モゴモゴしないで、正々堂々と自分の意見や主張、占い師として地震や災害を占うことがどういうことなのか等を伝えられるようにしておいたほうがいいと思います。

 暦では1月1日は超開運日でした。地震が起きたあと、揚げ足をとるかのようにそれを突く占い師が多数みかけましたが、暦による一定のバイオリズムと突然の自然災害をいっしょくたにして話すのは言語道断です。
(占いには「運命は星が決めている」的な概念はありますが、現在は地震を研究する分野があり、地震予知を占いに頼っていた太古と違い、科学も技術も進んでますから、それとはわけて考えるべきです。正確さも地震研究が上ですし……占いでP波やS波は測れないでしょう?)

自分が占っているときに震災がおきたときのことを考える

 そういうことで元旦は鑑定中に地震が起きたわけですが、この時はたまたま電話鑑定だったんで、自分の身のみを守るだけでよかったのです。これが、対面鑑定でお客さんがいる状態だとどうでしょうか。

 実は後日、対面鑑定が数件ありました。
 予約をもらっていたお客さんに、安否の確認と鑑定をするかどうかの確認を行っておりました。お客さんみなさんは「被害が少なく無事」とのことで、そのまま予約を受け、鑑定を行いましたが……。
 微弱ながらも余震は来ていました。事務所の建物がそこまで揺れないのかお客さんはわからなかったようですが、私のほうは連日の余震で地震が来るタイミングがわかっていたので、鑑定中に建物が「みしっ」というたび、いつでも「机の下に隠れてください」「すぐに外に逃げてください」と言えるように心の準備をしていました。
 お客さんにも、鑑定の最初に「余震がくるかもしれないので、そのときは鑑定料とか構わず身を守るようにしてください」と伝えてあります。それでも、大きな揺れがきたときにとっさに指示できるようにずっと注意を払いながら鑑定を行っておりました。

 どの鑑定も無事終わり大事に至らなくて済みましたが、余震(それも大きな余震)は今後も起きる可能性が高いのです。
 鑑定をしているときに大きな揺れが起きたとき、どのように行動し、自分の身もお客さんの身も安全に守れるかを考えないといけません。
 そしてこれは、今北陸に住む自分たちだけではありません。 
 いつどこで起きるかわからない大きな地震のために、他の地域に住む占い師さんもぜひ考えておいてほしい課題です。普段から逃げ場所の確保、避難所の確認、防災マップの確認を行っておきましょう。
 もちろん、備蓄も用意するべきです。

余震に怯えているときにみた、被災地以外の占い師の行動について思うこと

 富山は幸い、震災後は電気は止まりませんでした。充電を気にすることなく、スマホが使えたのです。ですので、すぐにX(旧Twitter)をみました。
 過去の災害のときからも思ったのですが、Xは災害時の情報収集に本当に役に立ちます……情報を選ぶ力が求められますが。情報が多い分、お気持ちだけの投稿やデマも多いため、今もNHKの報道と行き来しながら見ていることが多いです。

 で、Xを見ていると、各地の情報、県の公式、地元フォロワーさんの投稿に混じって出てきたのが、
「震災がおさまるように、能登半島にエネルギーを送りましょう」
「震災がおさまるように祈りましょう、この言葉を唱えましょう」
「チャリティーのためにイベント企画しましょう」
 という、占い師やスピ系の投稿でした。無名の人から、雑誌や本に出ているような有名な人たちから、もういろんな方の投稿を目にしました。
 地震が起きてから、2〜3日目くらいの投稿です。こっちはまだ余震が20〜30分おき、微弱なものから体感として感じるものまであり、もっと大きな地震が起きるんじゃないかと怯えていた時期です。

 正直なところ、もうそっとしておいてくれと思いました。大きな余震が来るかも……と夜も眠れないときに。どんな気持ちでここにいるかもわからないのに、地震を自分たちの慰めやイベントの種にしやがって。誰かへの思いがあってエネルギーを送りたいのなら、祈るのなら、チャリティーしたいのなら、SNSに書いてワイワイしなくてもいいだろう。こっちは大事な情報を入手するためにSNSをみているのに、邪魔にしかならない。

 占い師・スピ業界の人の中には、震災と政治や原発を紐づけて投稿する人もいました。空気読まないどころか、とんだ場違いです。

 言語の自由があるので、発言に対して細かく言うのは好きではありません。ですが、このときばかりは何度も「やめて」と言い続けていました。 
  
 SNSで騒いでいた占い師やスピ業界の人たちは、周りをよく見て情報をよく見て「これをやるべき時やな」みたいなタイミングはわからんがですか。
 流石にわかるやろ。
 現地で怯え、あなたたちよりも学が遅れている私ですら、わかるのに。
 何で外野のおエライスピや占い師はそれがわからんの?
 あなたたちの身につけた学は、力は、名声は、ただの飾りですか。

 怒りしか感じませんでした。

 ちなみに、仲良くしてくださっている占い師さん達はいろいろ気にかけてくださいました。もちろん、上記のようなことは一切していません。周りが常識的な人だけでよかった。
 上記は、一部の空気が読まない人たちの行動です。

 どれだけ被災地の人のことを思っていても、気持ちの押し付けをされても嬉しくありませんし、それを材料にして政治や世間への不満を声を高くして話されても嫌悪感が増すだけです。
 被災を受けなかった占い・スピの人に対して、こちらからは、状況をみてそのまま自分事にするのではなく、今なにをすべきか、自分たちも気をつけなければいけないことはなにか……を冷静に判断することを求めます。というか、そもそも占い・スピ業には必要なスキルだと思います。しっかりしてください。
 なんで私がそれを言う立場なんだろうって悲しくなります。

地震が落ち着いた今、地震が起きた時間をみて星をみたり、占ったり、霊視したりしている人に思うこと

 SNSやブログにのせるな。黙れ。やりたいならこっそり一人でやれ。誰にも言うな。気分悪い。

余震がほとんどない、今の富山から思うこと

 今は、幸いなことに大きな余震がありません。
 ですが、大きな余震がくるんじゃないか、ちょっとした気の緩みが危ないんじゃないかなと思っていて、ずっと神経を尖らせているような状態が続いております。
 被災した富山の人、被災はしてなくても余震に不安を感じている人、富山を心配している人、そうじゃなくてもただただ地震が怖いと思っている人に、1日でも早く平穏に安心して過ごせるようになってくれたら……と思い、震災や富山のまとめ、氷見ブリフィーバーの焚き付けなど、いろんなことをやっております。
 占いには全く繋がらないし、やっていることに一切お金が発生しないので「お金欲しいなぁ、仕事欲しいなぁ」と思うこともあります。
 しかし私の占いは、不思議なことに、本当に必要な人が求めてくれないと本領発揮できない仕組みになっています。(これまでの経験から。遊びや欲強すぎるとマジで外している。言い切れる自信ある)
 私のほうは「頼みたい!」と思う人が依頼してくれたらいいです。
 それよりも、自分が書いた記事やSNSの投稿をひろめて、もっと今の富山を知ってほしいし、広めてもらえたらいいなと思います。

 あとですね。
 人間性が高く、学もあり、まともな占い師やスピの人だけが生き残れる業界になってほしいなと心から思います。

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富山県で活動している占い師。鑑定歴15年(R6現在)。2015年に占い事務所「うらないや夕月堂」開設。過去に全国紙雑誌の連載、web掲載経歴、占いサイトの監修経験あり。
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