金融庁「突然の報告徴求命令」(上)
スルガ銀行の投資用不動産をめぐる不正融資問題で、金融庁は5月13日「早期解決を図る具体的な改善策」を示すよう同行に報告徴求命令を出した。金融庁が同行に業務改善命令を出してから6年7カ月という異例の長期間がたつ。事態を見守る姿勢を続けてきた金融庁は今なぜ突然動いたのか。
時系列で振り返る。2018年シェアハウス運営会社の破綻を機に、投資用不動産の購入者への融資にからむスルガ銀行の不正が多数明るみに出た。第三者委員会の調査で組織的不正が認定され、金融庁が同行に一部業務停止命令と業務改善命令を出した。2年後、シェアハウス購入者に対しては損失を全額負担する和解案で合意した。一方、アパート・マンション物件の購入者約400人とは東京地裁での民事調停が長期化している。
調停を見守る姿勢だった金融庁がなぜ新たな命令を出したのか。実は国会の委員会で各党議員が「業務改善命令がなぜ6年以上も放置されているのか」と立て続けに金融庁を追及しているのだ。やりとりの中に、今回の命令を解くカギが見え隠れする。
国会で7回立て続けに…
衆議院財務金融委員会、参議院財政金融委員会で今年3月から5月にかけ、7回にわたりこの不正融資問題が取りあげられた。立憲民主党、共産党、れいわ新選組、公明党の各議員が金融庁に質問した。衆議院の消費者問題特別委員会でも消費者庁への質疑が行われた。
「スルガ銀行が事件の重要性を真に反省し、改善に取り組んでいるか疑わざるを得ない」(公明党の中川宏昌議員)と銀行を追及する質問から、「腰が引けている。踏み込んだ対応を求める」(共産党の小池晃議員)と、金融庁の対応もやり玉にあがっている。
「行政指導の実効性がない。現行の処分では不十分だ。銀行業の免許停止、取り消しといった厳しい処分が必要」(れいわ新選組の高井崇志議員)との質問も出た。与党の公明党も…
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