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漢検1級198点!! 満点取るまで生涯学習!! ➪ “俳句”

我孫子・手賀沼と愛猫レオンの徒然日記。漢検1級チャレンジャーの方の参考となるブログ。2018年7月から“俳句”も開始。

熟語の読み・一字訓読(実践問題その16) 揩 攘 傴

2014年09月22日 | 熟語の読み(音・訓) ー1級-
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熟語の読み・一字訓読(実践問題その16)です。回答はマウスを動かせば、すぐ見られるようにしてあります。参考までに、末尾に、解説や周辺知識等を記載しています。当面、1級対象漢字から整理していきます・

問題1 「揩」  ①揩鼓(カイコ) - 揩( す )る  ②揩摩(カイマ) - 揩(こ す)る  ③揩苔(カイタイ) - 揩(ぬ ぐ )う
問題2 「攘」  ①攘羊(ジョウヨウ) - 攘(ぬ す)む  ②湯布院盆地の蝗攘(コウジョウ)祭  - 攘(は ら)う  ③労攘(ロウジョウ) ー 攘(み だ)れる  ④推攘(スイジョウ) -  攘(ゆ ず)る
問題3 「傴」  ①傴僂(ウ ル) - 傴(か が)む 、(つつし)む  ②傴拊(ウ フ)  -  傴(かわい)がる

<解説(周辺知識等)>
問題1 揩:カイ、す(る)、こす(る)、ぬぐ(う)
①揩鼓:「すりづづみ」のこと。雅楽の古楽器。二枚の革面を革ひもで締めた鼓。革面をすり、または打つ。鎌倉期頃までは舞楽の左方に用いられた由。もともとは、古代中国の鼓。答臘鼓(とうろうこ)とも言う。インド起源。奏法は左手で一革面をささえて、右手の指ですって鳴らすか、あるいは指弾するとの事。
②揩摩:「こすって磨くこと」と一般的には解されているので、「こす(る)」に対応するとしていますが、「揩摩」:「“揩”という意味は“ぬぐう”ということで、“摩”とは“こする”ということ」としている解釈もあります。
③揩苔:医学・診療用語で「刮苔、揩苔とは舌面の潤燥や舌苔が有根か無根かを、はっきり調べる必要がある場合に用いる方法。 刮苔は舌圧子など で・・・苔をこそぐこと、揩苔は指にガーゼなど を巻きつけて舌面をぬぐうこと・・・」とあるのを見つけました。「ぬぐ(う)」に対応する熟語は日本語ではあまり見かけませんが、中国語の日本読みでは「揩浄(カイジョウ):ぬぐいきよめる、きれいにふき取る意」「揩身(カイシン):漢民族の葬礼における行為で身を拭い浄めること」などがあるようです。また、「涙を拭う(揩う)」意味での「揩涙」・「揩泪」、「汗を拭う(揩う)」意味での「汗揩」、その他、「揩掉」(拭い落す、拭き取る)など、中国語の日本語読みならたくさんあります・・・そのうち、一般的になるかも(^^)
(参考)「揩油(カイヨウ)」:取り次ぎの者がもうけをピンハネして、うまい汁を吸うこと。 「揩抹器」:車のワイパーのこと。「揩嘴布」:ナプキンのこと。・・・すべて中国で使われている用語のようです。
問題2 攘:ジョウ、ぬす(む)、はら(う)、みだ(れる)、ゆず(る)
①攘羊:四字熟語「直躬証父(ちょっきゅうしょうふ)」の元となる故事(論語)から採りました。。「直躬」は「正直者の躬」の意味、「証父」は父親の罪を証言すること。楚の躬という正直者が、自分の父が羊を盗んだことを役所に訴え出た故事・・・葉公はその正直さを称賛したが、孔子は肉親の情を重んじ、子であるなら父の罪を隠すべきだ反論した。「攘羊(ジョウヨウ=ひつじをぬすむ」・・・他に、「攘窃(ジョウセツ)=ぬすむ。入りこんできたものをぬすむ。」
②蝗攘祭:穀物が豊に実りますようにと五穀豊穣を祈る虫追い行列。「はら(う)」意の熟語はわかりやすくて沢山あるのでちょっと変わったものを出しました(^^)。富士浅間神社の中祭(春祭、疫攘祭)にも同意の「攘」があります。他に、攘除、攘夷、攘斥、攘臂、掃攘(特に江戸末期、異国の侵略をはらいのける意)、攘災(わざわいをはらい除くこと)、 撃攘(敵をうち払うこと、撃退)、四字熟語:攘臂疾言、尊王攘夷、竜攘虎搏、攘災招福 ・・・など。
③労攘:つかれみだれること。労擾。「あくせくする。辛苦する」「気づかれ」と解釈している方もいます。例:「風花雪月は本より間なり、而れども労攘の者は自ら冗なりとす。」(菜根譚・・・)他に、論語の一節「北辰其の所に居りて、衆星の之に共ふが如し(論語 - 為政[1])」を解説した伊藤仁斎の言葉に「此れ政を為すに徳を以てせば、則ち無為にして天下之に帰するを言ふなり。若し夫れ政を為すに徳を以てするを知らず、徒に智力を以て之を持せんと欲せば、則ち労攘(ろうじょう)叢脞(そうざ)、愈(いよいよ)理めて愈、理まらず。」と出ています。他に、「攘攘(ジョウジョウ)=入り乱れ混乱すること」、「搶攘(ソウジョウ」 ・・・。四字熟語で、「熙熙攘攘 (ききじょうじょう):人が行き来してとてもにぎやかなさま」、「熙来攘往 (きらいじょうおう):←「熙熙攘攘」と同じ→「攘往熙来 (じょうおうきらい)」、「兵戈搶攘 :激しい戦いのさま。武器が乱れ動く意。「搶攘」は乱れるさま。」 ←「搶」は「槍」と書くほうが一般的かも。
④推攘:「攘位(=譲位)」では簡単なので、やっと見つけました(^^)、ちょっとわからなそうな、「ゆず(る)」意の熟語。町衆としての倫理道徳を説いた江戸時代の石田梅岩の復興の手法に「勤勉・分度(ぶんど)・推攘(すいじょう)」の3つがある由。このうち、 「推攘」とは、「推し攘(ゆず)ることで、まず個人生活においては家計を計画化・合理化して「今年の物を来年に譲る」という貯蓄の道であり、収入や身分に応じて生活を合理化し、余剰を生み出すこと。さらにもう一つ意味があって、この余剰を他に推し攘る。それは親戚や朋友のためであり、郷里や国家のためである。これは共同連帯・相互扶助の教え・・・これらの尊徳の思想の根底には、報恩(報徳)の思想がある」ということだそうです。先人ブロガー(専門家の方かも)に感謝します(^^)
問題3 傴:ウ、かが(む)、かわい(がる)、つつし(む)
①傴僂:字源に、「①せぐくまる ②恭敬のさま ③せむし=傴背(うはい)」とあり、「かがむ」以外に「つつしむ」という意味もあります。<参考>孔子世家: 「一命而僂、再命而傴、三命而俯、・・・」→(低頭、曲身、彎 腰、・・・)とある。
なお、「傴僂」は「せむし」とも「くぐせ(屈背)」とも読みます(広辞苑)。傴背(ウハイ)佝僂(クル):背中が曲がる病気。
②傴拊:いつくしむ。あわれみ愛する。字源「憐み愛する。:下位に居て在上者の憂に任ずるをいふ。」

👋👋👋👋👋
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熟語の読み・一字訓読(実践問題その15) 揉 摺 翹

2014年09月21日 | 熟語の読み(音・訓) ー1級-
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熟語の読み・一字訓読(実践問題その15)です。回答はマウスを動かせば、すぐ見られるようにしてあります。参考までに、末尾に、解説や周辺知識等を記載しています。当面、1級対象漢字から整理していきます・・

問題1 「揉」 ①雑揉(ザツジュウ) ー  揉(いりま)じる  ②(「揉」は訓読み)厘揉(リンだめ) ー 揉( た )める  ③揉捏(ジュウネツ) - 揉( も )む  ④揉事(ジュウジ、もめごと) - 揉( も )める  

問題2(準1対象漢字) 「摺」 ①摺本(ショウホン) - 摺( す )る  ②摺奏(ショウソウ)  - 摺(た た)む  ③摺歯(ショウシ、ロウシ) ー 摺(く じ)く ④摺曲(シュウキョク) - 摺(ひ だ

問題3 「翹」 ①翹望(ギョウボウ) - 翹( あ )げる  ②翹足(ギョウソク)  - 翹(つまだ)てる  ③翹翹(ギョウギョウ) - 翹(す ぐ)れる

問題1 揉:ジュウ、いりま(じる)、 た(める)、も(む)、も(める)
①雑揉:いりまじること、混雑=揉雑(ジュウザツ)
②厘揉(りんだめ):厘や毛などのきわめて少量をはかるはかり。釐等具( れいてんぐ)の小さいもの。厘秤(りんばかり)。「釐揉」(りんだめ)」とも書く。釐等具(れいてんぐ)の小さいもの。厘秤(りんばかり)
(周辺知識)釐等具(れいてんぐ):「れい」・「てん」は「釐」「等」の唐音。釐(りん)・毛などごくわずかな量まで量れる精密な竿秤(さおばかり)。明治初年まで金銀などを量るのに広く用いられていた。銀秤。れいてん。れてぐ。りんばかり。りんだめ。
③揉捏:揉捏(じゅうねつ)法=対象部位の筋肉に対し揉み、捏ねる方法。揉撚(じゅうねん)法とも。他に、「も(む)」意の熟語は、「磨揉遷革 (まじゅうせんかく):教え諭して、人をよい方向に導くこと。「磨」は善をみがく、「揉」は欠点を正し直す(弱点を克服する)意。「遷」は善にうつる、本来のよい状態に戻すこと。「革」はよい状態に改めること」、「揉砕::もみつぶす。もみみ砕く」、煎茶の製造工程での「粗揉(そじゅう)」「揉捻(じゅうねん)」「中揉(ちゅうじゅう)」「精揉(せいじゅう)」など。
④揉事:通常は「揉め事」と書きます。もめる(揉める):争いが起きてごたごたする。「会議が―・める」 いらいらする。「気が―める」 費用がかかる。「 はじめより―める事なれば・・・」
問題2 摺:ショウ、ロウ、す(る)、たた(む)、くじ(く)、ひだ
①摺本:摺り本(すりぼん)のこと、木版印刷など、摺って印刷した本。折り本:横に長く継ぎ あわせた紙を折り畳んで作った本。習字の手本・経本に多い。
その他、「す(る)」意の熟語:「摺動(ショウドウ、シュウドウ)滑らせて動かすこと。」(木版印刷に関係する歴史の古い言葉。)「シュウ」は慣用読みと思われる。他の熟語の「ショウ」もすべて慣用読みかと摺刷(ショウサツ、シュウサツ、すりさつ):印刷の仕方の一。
②摺奏:上奏する書類をまとめた物。機密を要し、臣下が直接に上奏するもの。たたむ、折る意。他に、「摺帖(ショウジョウ、シュウジョウ):経本折りとも言い、ジグザグの折り方」=「摺葉(ショウヨウ、シュウヨウ):経本折りとも言い、ジグザグの折り方」、「摺扇」:扇子のこと。折り畳める扇
③摺歯:字通では「ショウシ」、大漢和では「ロウシ」。他に、「摺脇(ロウキョウ)」「摺拉(ロウロウ):とりひしぐ」などがあり、「ロウシ」を採りたいが、字通に異を唱えるつもりはありません(^^;)また、史記に「・・・刳腹絕腸,折頸摺頤,首身分離,暴骸骨於草澤,・・・」とあり、音読みなら「摺頤(ロウイ)」と読むか・・・。 
④摺曲(シュウキョク):慣用読み。層になってうねったさま ⇒ 褶曲(1級)その他:摺伏=慴伏(1級)=懾伏(1級) :おそれ伏す意。
問題3 翹:ギョウ、あ(げる)、つまだ(てる)、すぐ(れる)
①翹望:首を長くして待ち望むこと。ある事柄の実現することをしきりに待ち望むこと。渇望。切望。「翹首」:首を上げて、ひたすら待ち望むこと。
②翹足:かかとをあげて爪先で立つ。「爪立てる」とも書く。四字熟語「翹足引領
③翹楚:大勢の中でとびぬけてすぐれていること。また、その人。「楚」は、特に丈の高い木。出典:「詩経」周南・漢広の「翹翹錯薪、言刈其楚(翹翹と錯れる薪の、言は其の楚を刈らん)」から。・・・詳細は本日記事「手賀沼散歩0921(難読・当て字中心)」を参照ください・・・。
<その他>「連翹」(れんぎょう):モクセイ科の落葉低木。中国原産。「翠翹(すいぎょう)」かわせみの羽。かわせみの羽をかたどってつくった女性の髪飾り。

では👋👋👋
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熟語の読み・一字訓読(実践問題その14) 陟 擽 臧 

2014年09月20日 | 熟語の読み(音・訓) ー1級-
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熟語の読み・一字訓読(実践問題その14)です。回答はマウスを動かせば、すぐ見られるようにしてあります。参考までに、末尾に、解説や周辺知識等を記載しています。当面、1級対象漢字から整理していきます・・

問題1 「陟」 ①登陟(トウチョク) - 陟(の ぼ)る  ②黜陟(チュッチョク) - 陟(のぼら)せる  ③進陟(シンチョク) - 陟(す す)む  

問題2 「擽」 ①笞擽(チリャク)  - 擽( う )つ 、 擽(は ら)う  ②擽感(リャッカン) - 擽(くすぐ)る

問題3 「臧」 ①臧否(ゾウヒ・ソウヒ)  -臧( よ )い  ②收臧(シュウゾウ) - 臧(お さ)める  ③臧匿(ゾウトク・ソウトク) - 臧(か く)す  ④臧賄(ゾウワイ) - 臧(まいない) ⑤臧獲(ソウカク・ゾウカク) - 臧(しもべ

<解説(周辺知識等)>
問題1 陟:チョク、のぼ(る)、のぼ(らせる)、すす(む)
①登陟:文字通り、「のぼる」という意味。仏教関係の書物によく出てくるらしい。他に、「陟方(チョクホウ)」:天子が四方視察の旅にのぼる。一説に、天子が天にのぼる=死ぬ。「五十載陟方乃死五十載にして陟方して乃ち死す」〔書経・舜典〕、「陟降(ちょっこう): 登ることと降ること。天に登ったり地上に降ったりすること。「文王陟降、在帝左右文王は陟降し、帝の左右に在り」〔詩経・大雅・文王〕 日かげの長短のこと。
②黜陟:功績のない者を しりぞけ、功績のある者を昇官させること。「のぼらせる」に対応。「(字源ネット)陟は降の対、登に近し、又黜の反、官位をおしあぐるなり。」とあります。他に、「陟升(ちょくしょう)」陟陞:昇らす。上昇する。「陟罰(ちょくばつ)」:官位をあげてほめることと、官位をおとして罰すること。
③進陟:説明不要ですね・・・。
「陟罰(ちょくばつ)」も②に該当すると思います。意味:官位をあげてほめることと、官位をおとして罰すること。「臧否を陟罰して、よろしく異同あるべからず」〔諸葛亮・出師表〕で有名。
*四字熟語:黜陟幽明
問題2 擽:リャク、ラク、レキ、う(つ)、はら(う)、くすぐ(る)
①笞擽:笞(むち)で打ったりはらったりすること *鞭で取り去る場合に「擽(はら)う」を使うとありました。
②­擽感:くすぐったいと感じること。ネットで「擽感(レキカン」と書いている論文を出している学者の方(医学系か?)もいます(擽度の試作・・・野中 実 徳島文理大学)が、ほとんどが「りゃっかん」と読んでます。
「リャク」(訓)う(つ)、はら(う)意味の時。 、「ラク」熟語もほとんど見当たりませんが、「擽然(ラクゼン) 」(硬くしっかりしている、の意)文献にも「擽然扶持心国、且若是其固也」とありますので、大体、そういう意味で良いのでしょう・・・。該当する訓読みは対象内の読みでは無いようです。「レキ」の音熟語は、先の「レキカン」を除けば見当たりません。
問題3 臧:ゾウ、ソウ、よ(い)、おさ(める)、かく(す)、まいない、しもべ
①臧否:物事の善悪・是非。=淑慝(しゅくとく) 人物のよしあしを判断し、批判すること。 「ゾウヒ」の「ゾウ」は慣用音。「ソウ」が漢音。
②收臧:(蔵と通じて)倉庫、所蔵する意。中国語では、通常は“藏”の字(対象外)を使うらしい。
③臧匿:隠す。また、隠れて物事の表面に現れない。人をかくまう。
④臧賄:まいない、わいろ。 「臧賄を挙奏し、・・・に譴責を及ぼした」とか「涼州刺史からの臧賄の劾奏もあって刑戮された」とか、「臧」の字が使われています。「その他、「臧物(贓物)、臧賂(賄賂)、臧罪」など。「贓」と通じて、不正に得た財物、不正なことをする人の意。
⑤臧獲:「男性の奴隷の蔑称」「臧、の賤称」「奴を罵りて臧と曰ふ、婢を罵りて獲と曰ふ」などとある。「臧穀(ソウコク)ともいいます。←荘子「読書亡羊」の故事(周辺知識①参照)。
<周辺知識①>臧獲(ソウカク)・臧穀(ソウコク)の由来
読書亡羊(どくしょぼうよう):他のことに気を取られて、本来の任務をおろそかにしてしまうこと。臧(ゾウ、ソウ)と穀(コク)という二人の下男が羊の番をしていたが、は読書に、は博打に夢中になって羊を逃がしてしまった。二人のしていたことは違うが、羊を逃がすという失敗をしたことに変わりはないという、『荘子・駢拇』の故事に基づく。・・・他の文献等では男女の下僕と解しているものもあります
(注)ネットでは、「臧穀(ソウコク):ボディーガードの役をする、体格のよい男のどれい。▽「獲」は、とらえた どれい。「穀」は、かっちりしたもののたとえ。」と説明している方もいますが、出典・根拠等不詳です。
●「漢書では奴隷のことを「蒼頭奴」「蒼頭」と言い、「蒼頭」は元は兵士の意味だが、単にこれだけでも奴隷を意味するようになった。唐の時代には同様に「青衣」とも言い、「臧獲」という異称もあった。」との説明もネット上にありました。
●その他参考「人は嬰孩より老耋に至るまで、恒に徳を陰闇の中に受けて、而も自ら知らず。是れ何物ぞや。被褥、枕席、是れなり。一先輩有り。甚だ被褥を敬し、必ず手に之を展収して、之を臧獲(ぞうかく)に委(い)せざりき。其の心を用うる亦、云(ここ)に厚し。・・・」
<周辺知識②>「臧(よ)し」
<詩経 上>の一部からの書下ろし文
「・・・既に我を嘉(よみ)せざれば 旋反(せんはん)する能はず  爾(なんじ)の臧(よ)し とせざるを視るも 我が思ひ遠(わす)れず 既に我を嘉せざれば 旋濟する能はず 爾の臧し とせざるを視るも 我が思ひ閟(と)ぢず・・・」(わたしの願いを賛成してくれないので わたしは里に帰ることもできぬ そなたたちは賛成してくれないのを知るが わたしの思いは忘られぬ わたしの願いを賛成してくれないので川を渡って帰ることもできぬ そなたたちは賛成してくれないことを知るが わたしの思いは止まぬ」

👋👋👋ごきげんよお👋👋👋

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熟語の読み・一字訓読(実践問題その13) 剋 爰

2014年09月19日 | 熟語の読み(音・訓) ー1級-
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熟語の読み・一字訓読(実践問題その13)です。回答はマウスを動かせば、すぐ見られるようにしてあります。参考までに、末尾に、解説や周辺知識等を記載しています。当面、1級対象漢字から整理していきます・・・。

問題1 「剋」 ①超剋(チョウコク)  - 剋( か )つ  ②漏剋(ロウコク) - 剋(き ざ)む  ③剋日(コクジツ)  - 剋( き )める  ④剋核(コッカク、コクカク) - 剋(き び)しい
問題2 「爰」 ①(訓読みで)爰許(ここもと)  ②爰居(エンキョ) - 爰( か )える 、爰(とりか)える  ③爰爰(エンエン) - (ゆ る)やか

<解説(周辺知識等)>
問題1 剋:コク、か(つ)、きざ(む)、き(める)、きび(しい)
<か(つ)意の熟語>(「克」と通じる)
超剋(ちょうこく)=超克:困難や苦しみにうちかち、それを乗りこえ ること。「欲望を―する」
下剋上:下の者が上の者をしのぎ 倒すこと。、相剋:(「克」と通用)耐え抜いて打ちかつ
剋復(こくふく)=克復):困難な事態を乗り越えて、もとの状態に もどすこと。
剋己=克己、剋励=克励:力を尽くしてうちかつ。のりこえる。by ベネッセ)
剋殺:五行説(五行の運行)で、二つが争って一方を負かすこと
(周辺知識)五行説における剋殺、相剋 等「木」・「火」・「土」・「金」・「水」で成り立つ五行の中で、互いを攻撃しあう関係を指す。木は土から養分を奪い(木剋土)、土は水を塞き止め(土剋水)、水は火を消し(水剋火)、火は金を溶かし(火剋金)、金は木を切り倒す(金剋木)という関係。
天剋地冲」:十干が相剋関係で且つ十二支が真逆にある場合。例えば今年の干支の「癸巳」との天剋地冲は「己亥」。
相剋:(土と水)(火と水)(火と金)(金と木)(木と土)の関係。「天剋地冲」:天干が相剋、地支が対冲の関係・
相剋は、やっつける関係(金剋木 木剋土 土剋水 水剋火 火剋金)。対冲は、十二支で180°の関係 (子午 丑未 寅申 卯酉 辰戌 巳亥)
だそうです。内容に興味ある方は自力で再調査を願います。当方ここまでが紹介の限界です。
<きざ(む)意の熟語>(「刻」=きざみつける意に通じる)
漏剋(漏刻):①昔の水時計の一。いくつかの木箱を階段状に置き、管によって水を順に下の箱に送り込み、最下方の箱に矢を立ててその浮沈により時刻を計った。また、その矢に刻んである目盛り。②時間、時刻
時剋:とき、時間。浄土真宗聖典の中にある語句のようです。時の剋(きざ)み。剋は刻と通用して時刻の意。連続する時間の中のある一点。
午剋:午の刻。午の初刻11時から午の正刻12時まで。 昼の12時を「正午 」というのは「午の正刻」という意味。「刻」と同意字。
(周辺知識)「漏刻博士」(ろうこくはかせ):律令制で、陰陽寮(おんようりょう)に属した職員の一。時守(ときもり)(守辰丁)を指揮して漏刻の目盛りを見、時刻を知らせることをつかさどった。ときづかさ。ときもりのはかせ
<き(める)意の熟語>
剋日(こくじつ)・剋期(こっき):期日を決めること、あるいはその期日。
<きび(しい)意の熟語>(「刻」と通じる)
剋核:きびしい。はなはだしい。(荘子・人間世:剋核=即苛责←中国語の説明)
剋薄:きびしい。むごい。
<その他>・・・「剋」の字は「克」や「刻」に通じていたり、現行の訓読み以外の意味を持っている熟語もあるようですのでご留意を。
剋気・剋心:剋心精進など・・・九星気学とか干支判、また、五行関連・仏教関係などに散見されますが、良くわかりません・・・大体、感じではわかりますが、正確を期すためこれらは保留。
剋念(こくねん):浄土真宗聖典にある言葉?「心をはげまして努力すること」「心をこらすこと」とある。
一剋者(いっこくもの):一刻者 ①頑固でわがままなこと。また、そのさま。「―な老人」②せっかちなこと。「一国」「一克」などとも書く由。「きざむ」意に対応すると思います。「きびしい」意もあるような気もしますが・・・。
剋意(こくい):心を苦しめるとか心を砕くこと。(←何で調べたか不詳・・・)「剋」には「苦しめる」意もあるので、対象内訓には該当なしか。
剋画:ニコニコ大百科には熟語として掲載してあるも、意味不詳・・・なんとなく、「きざむ」意のような・・・。
剋定:日本語シソーラス・連想類語辞典には、「剋定の類語、関連語、連想される言葉」として、 ・ 平夷 ・撥乱反正 ・戡定 ・平げる とある。一方、中国語対応では「克制、抑制、压制」、剋定の概念の説明:日本語での説明「抑圧する、抑え付けること」とある。 →「かつ」意よりも「きびしい」意か。

問題2 爰:エン、ここ(に)、か(える)、とりか(える)、ゆる(やか)
①爰許(ここもと)=此処許:①近称の指示代名詞。②話し手の身近な所をいう。このあたり。ここ。
②爰居(えんきょ):①海辺に住んでいる大きな図体の鳥で、鳳凰の仲間。これを食べると餓えることが無くなると言われている由(魯の国の伝説に書かれているとか)。 ②引っ越す、転居する、転宅する  *他に、「爰田(えんでん)」:昔、公田の税収を賞与に切り替えて、賞すべき人に与えることとした田」との説明があることから、 「か(える)」「とりか(える)」に該当すると思います。
③爰爰(えんえん):中国語解釈で「舒緩」とあり、また「詩経」の”免爰”の詩に同様の意の「爰爰」が出てきます。
(参考)「詩経 上(王風6) 免爰」 ・・・「ほこりをかぶった「漢詩集」 - Yahoo!ブログ」から冒頭のみ借用(詩中、「ゑ」→「え」に変更してあります)
免爰(とえん)
「有免爰爰 雉離于羅:免有り 爰爰(えんえん)たり 雉 羅(ら)に離(かか)る
 我生之初 尚無爲 :我が生の初め 尚(こひねがは)くば爲す無けんと
 我生之後 逢此百罹:我が生の後 此の百罹(ひやくり)に逢ふ
 尚寐無吪     :尚くば寐(いね)て吪(うご)く無けん・・・・・・・・・・・」
(免はのんびりと歩きまわるのに 雉は羅(あみ)にひっかかっている  わたしの生まれた初めの頃は 無事太平を願ったのに 
 生まれた後は こんなにひどい難儀ばかり どうか寝たまま動くまい・・・)
<その他>
爰書(えんしょ・えんじょ):①罪人の供述を写しとった書。(一説に、「爰」は、秦・漢代の頃の字書「爰歴篇」の書体で書いた取調書とも。取調書。②漢代、公証書のこと。(一説に、上級官吏 への報告書。) *対応する訓読みは不明(なしか?)
(参考)「始皇帝が天下を統一すると、丞相の李斯は、文字を統一し、秦の文字と合わないものを廃止するように上奏した。 李斯は「倉頡篇(そうけつへん)」を作り、中車府令の趙高は「爰歴篇(えんれきへん)」を作り、大史令の胡母敬(こぶけい)は「博学篇」を作った。 みな史籀(しちゅう)・大篆(だいてん)をもとにしたが、なかには少し省略・改訂したものもあった。 これが、いわゆる小篆である。(許慎 『説文解字』十五篇上←各国でまちまちに使われていた字体を統一するために「倉頡篇」「爰歴篇」「博学篇」という字書が作られ、小篆を標準書体として決めたという一文)」という説明の中に、「爰歴」という語句が出てきます。

***今回はたったの2問ですが、これを整理するために費やした時間は今までとは比べ物にならないくらい・・・4~5時間はかかりました。自己流で作ってあったノート等の再確認作業や念の為の再調査・訂正、新たな補充等、大分骨が折れました(^^)ネットに載せるということは、少しく緊張を強いられますね・・・。でも、おかげさまで、自分もさらに向上している気がします。***

では今回はこれで👋👋👋👋👋




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熟語の読み・一字訓読(実践問題その12) 偃 佯 錮

2014年09月18日 | 熟語の読み(音・訓) ー1級-
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熟語の読み・一字訓読(実践問題その12)です。回答はマウスを動かせば、すぐ見られるようにしてあります。参考までに、末尾に、解説や周辺知識等を記載しています。当面、1級対象漢字から整理していきます・・・。

問題1 「偃」 ①偃仆(エンブ) ー偃( ふ )す、 ( ふ )せる  ②偃柝(エンタク)  ー 偃( や )める  ③偃塞(エンソク) ー 偃( せ )く  ④偃傲(エンゴウ)  ー 偃(お ご)る

問題2 「佯」 ①佯尊(ヨウソン)  ー佯(いつわ)る  ②倡佯(ショウヨウ) ー 佯(さまよ)う

問題3 「錮」 ①(当て字訓読みで⇒)錮(いかけ) ー 錮(ふ さ)ぐ  ②禁錮(キンコ) - (とじこ)める  ③錮陋(コロウ) ー 錮(か た)い  ④錮疾(コシツ)  ー錮(ながわずら)い

<解説(周辺知識)>
問題1 偃:エン、ふ(す)、ふ(せる)、や(める)、せ(く)、おご(る) 
①偃仆:たおれふすこと=仆偃(ふえん)、他に、「偃仰(えんこう・えんぎょう)」=俯仰:寝たり起きたりする、転じて浮沈する(時勢によって盛衰する)意。「偃息(えんそく)」:寝ころんで休むこと。「偃然(えんぜん)」:寝そべるさま。偃臥(えんが):うつぶせになって寝ころぶ意  など。他に、「ふせる」意の熟語:「偃游(えんゆう」:吹き流しの類。風に吹きなびく円筒・半円形の布の輪。風の向きを知るために用いられる。こいのぼりも吹き流しの一種。)」、「偃草(えんそう):人民が教化に服従すること、草が風になびき伏す如きを云う。」
②偃柝:拍子木を伏せて用ひず、盜賊の警戒を要せざるような太平の世となる意なので、「偃戈」「偃革」「偃武」「偃兵」「偃甲」(これらは武器等を伏せて戦いをやめる意)などと同様の意と解し、「やめる」に対応すると理解。
③偃塞:水の流れをせきとめること。「堰塞」の方が一般的か。他に「偃堤」・・・「上椎葉ダム。日本初の偃堤高100mを超えるアーチ式ダムであり・・・匂川や早川みたいに偃堤で寸断されてる川・・・」のような語句もありました。
④偃傲(えんごう):おごりたかぶること=偃蹇(えんけん)
<周辺知識>
●四字熟語:偃鼠飲河、偃武恢文、偃武修文、傾側偃仰、遷徙偃仰 (せんしえんぎょう)、草偃風従、突怒偃蹇
偃師(えんし):でく(木偶)遣い=傀儡師。もともとは人名(中国、周代の細工師の名・・・周の穆王の故事に出てきます。面白いけど内容割愛。)また、地名でも偃師県、偃師市あり・・・夏王朝の実在を証明しそうな有名な二里頭(にりとう)遺跡の近くです。
●他に、「偃月(えんげつ):額の骨のさま、貴女の骨相の称」、「偃月刀(えんげつとう):なぎなた。」があります。

問題2 佯:ヨウ、いつわ(る)、さまよ(う)
①佯尊(ようそん):うわべだけ尊ぶこと。いつわる意の熟語はたくさんあります・・・「佯北(ようほく):いつわり逃げる」「佯啞(ようあ):いつわって唖となる」「佯愚(ようぐ):いつわって愚なるふりをする」「佯敗(ようはい):ことさらに敗れたるふりを装う」「佯死(ようし):死んだふりをする」「佯狂:気が狂ったふりをすること。また、その人。「陽狂」とも書く。」「佯病(ようびょう):仮病のこと」「佯盲(ようもう):にせめくら」「佯睡(ようすい):狸寝入り、寝たふり」「佯言(ようげん): ①偽りの言葉、人 をだます言葉 ②偽りの言葉を吐く、うそをつく、人をかたる」「詐佯(さよう):いつわり」など・・・。
倡佯(しょうよう):気ままに歩き回ること=逍遥(しょうよう) 「春風に吹かれながら―する年少の男女がある」〈魯庵・社会百面相〉、たちもとおる、さまようこと。「倘佯」とも書くが、「倘」は対象外。(参考)倡:ショウ、わざおぎ、あそびめ、とな(える)

問題3 錮:2級:中学…コ 1級…ふさ(ぐ)、とじこ(める)、かた(い)、ながわずら(い)
錮(いかけ):「錮(こ)」の字は、「溶かした金属を流しこんで、すき間をふさぐ。いかける。」というのが、もともとの意(漢字源)。=鋳掛。(錮(いかけ)=鋳掛:はんだなどで金属製器具を修繕することー三省堂・難読漢字辞典ー) ⇒後記<周辺知識①>参照。
②禁錮:もともとは仕官の道を「ふさぐ」意。ここでは通説的に「とじこめる」意としています。他に、「廃錮(はいこ):官吏の身分をとりあげて、家で謹慎させること  ・・・漢書ほか出典多・・・「松陰全集の中にも、「・・・信頼する杉蔵へはこの他にもいくつかの大切な書簡が残されています。 安政5年7月11 日 ・・・吾れ幽囚廃錮、為すある能はずと雖も、近ごろ恩旨を蒙り、建言諱(い)まざるを 允(ゆる)さるるを得たれば、其れ徐(おもむ)ろに具して之れを奉らん。・・・」とあります。他に、「党錮」⇒後記<周辺知識②参照。
③錮陋:=頑迷固陋の「固陋」に同じ。「固」のほうが一般的。頑固。
④錮疾:これも「痼疾」のほうが一般的。なかなか治らない病気。 
<周辺知識①>
錮(いかけ)の語源:①穴があいた鉄や銅の鍋・釜を修繕することを“鋳掛(いかけ)”といい、これを職業とする人を“鋳掛師(いかけし)”といった。江戸時代の百科事典『和漢三才図会』には、「白鑞(しろめ)を鎔(わ)かして鍋・釜の漏(もり)をふさぐのを鋳懸(いかけ)という。錮の字を用いる。」とある。錮は“ふさぐ”と訓読みし、刑罰の禁錮(禁固)も、もともとは仕官の道をふさぐことを意味しました。
②江戸の文政時代、滝沢馬琴などと親交のあった山崎美成編の「海録」と云う辞典で見ると、当時は. 鋳掛けを普通は骨路(コツロ)と呼んでいたと ある。ふさぐことを意味する錮(コク)が訛ってできた用語かと思われる・・・。 ①、②ともにネット上からの借用。
<周辺知識②>
党錮:「党」は党人のこと、「錮」は禁錮の意。中国、後漢末、政界の中枢を握っていた宦官が儒学の徒である官僚層(党人)を禁錮に処して、その批判を封じたこと⇒「党錮の禁(とうこのきん)」:後漢末期に起きた弾圧事件。宦官勢力に批判的な清流派士大夫(党人)らを宦官が弾圧したもので、その多くが禁錮刑(現代的な禁錮刑とは異なり、官職追放・出仕禁止をさす)に処された事からこの名で呼ばれる。大要、ネット上から借用。

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熟語の読み・一字訓読(実践問題その11) 飭 偸 倥

2014年09月17日 | 熟語の読み(音・訓) ー1級-
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熟語の読み・一字訓読(実践問題その11)です。回答はマウスを動かせば、すぐ見られるようにしてあります。参考までに、末尾に、解説や周辺知識等を記載しています。当面、1級対象漢字から整理していきます・・・。

問題1 「飭」: ①戒飭(カイチョク)  ー 飭(つつし)む  ②飭躬(チョッキュウ)  ー 飭(た だ)す  ③修飭(シュウチョク) ー 飭(いまし)める  ④匡飭(キョウチョク) ー 飭(ととの)える

問題2 「偸」:①苟偸(コウトウ) ー 偸(ぬ す)む  ②偸懦(トウダ) ー偸(かりそめ) ③偸慢(トウマン) ー偸(か ろ)んずる  ④偸薄(トウハク) ー 偸(う す)い

問題3 「倥」:①倥蒙(コウモウ) ー倥(お ろ)か  ②倥偬(コウソウ)  ー倥(いそが)しい   ③倥(ぬ か)り無き手配り・・・(注)訓読みのみ。

<解説(周辺知識等)>
問題1 飭:チョク、つつし(む)、ただ(す)、いまし(める)、ととの(える)
①戒飭:人に注意を与えて慎ませること。また、 自分から気をつけて慎むこと。他に「整飭(せいちょく)」:つつしみ整えること。
②飭躬:わが身を正すこと。他に「規飭(きちょく)」:枠をはめてただしく直すこと。
③修飭:身をおさめいましめること。他に、「飭励(ちょくれい)」: 戒め励ますこと。
④匡飭:整え正すこと。
<複数の読みに該当すると思われる他の熟語>「謹飭(きんちょく): 身をつつしむ。引き締めととのえる。」「飭正(ちょくせい):正し整えること」・・・①~④の熟語の中にも複数の読みに対応する熟語があると思われますのでご留意ください。

問題2 偸:トウ、チュウ、ぬす(む)、かりそめ、かろ(んずる)、うす(い)
①苟偸:「苟且偸安(こうしょとうあん)」の略。「偸安」:安きを偸む意。目先の安楽をむさぼること、また、 一時しのぎをすること。他に、「偸盗(とうとう・ちゅうとう):ぬすむ、ぬすびと」、「偸窃(とうせつ):ひそかに盗むこと」「偸視(とうし):ぬすみ見ること。こっそり見ること」「偸看」など。・・・字源にある次の熟語も「ぬすむ」意と思います・・・偸利(正義によらずして得たる利益)、偸免(ひまをぬすみて手をぬく、なまけてのがれる=苟免。)、偸生(死すべき時に死せずして徒に生きながらえる=苟活)、偸眠(ひまをぬすみてねむる)、偸稅(脫稅する)、偸穴(壁に穴を穿ちて盜みをする者、こぬすびと=狗盜)、偸身(人に雇われ、又、公職に在りながら私の事をなすこと。)
②偸懦:一時逃れして、事におそれる。←一時という意味から「かりそめ」に対応すると理解。
③偸慢:なまけあなどる意。「かろんずる」意に通ずると理解。
④偸薄:人情が薄いこと。薄情なこと。うわべだけで軽薄なさま←「かろんじる」にも対応するかもしれません。
他に、「偸弛(とうし)」:しまりなくゆるむこと→「かろんじる」意に通じるか・・・。「偸啼(とうてい):人に知れぬやうに泣く。」→「啼」をぬすむ意だと思います。
<周辺知識>「偸」のある四字熟語
苟且偸安 (こうしょとうあん)、鑿壁偸光 (さくへきとうこう)、窃玉偸香 (せつぎょくとうこう)、偸香窃玉 (とうこうせつぎょく)、忙裡偸閑 (ぼうりとうかん)、偸梁換柱(とうりょうかんちゅう):兵法三十六計の第二十五計にあたる戦術=「梁を偸(ぬす)み、柱に換(か)う」⇒三十六計では、梁に使うような太さの木材を誤って柱に使えば建物が倒壊してしまうことから、敵国の王や重臣が無能な人間に入れ替えられるように工作して弱体化することなどの戦術との事。

問題3 倥:コウ、おろ(か)、いそが(しい)、ぬか(る)
①倥蒙:蒙昧無知なこと。他に、「倥侗(コウトウ)」(童蒙の無知なるさま)という熟語もありましたが、侗は対象外漢字でした。
②倥偬:慌ただしいこと。忙しいこと。定番の熟語ですね、次の四字熟語も・・・兵馬倥偬、干戈倥偬、戎馬倥偬。なお、倥偬の「偬(そう)」のほうの訓読みは「せわ(しい) 」ですので要注意。
倥(ぬか)る:「ぬかったわ」の「ぬかる」。手倥り=手抜かり。ネットで調べていたら、小栗風葉という明治の小説家の「寝白粉」という小説の中で「・・・内には小僧一人店番の不用心なれば、蚤(はや)く帰らぬか、と言捨(いひず て)に急ぎて是も小町湯に入りぬ。・・・主夫婦も如才なけれど、殊に女に懸けては倥( ぬかり)無き三之助の勧(すゝめ)上手に、お桂は生来の下・・・」とありました。あまり使われませんね、大体「抜かる」の「抜」で通用しています。

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熟語の読み・一字訓読(実践問題その10) 勦 裨 孱 

2014年09月16日 | 熟語の読み(音・訓) ー1級-
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熟語の読み・一字訓読(実践問題その10)です。回答はマウスを動かせば、すぐ見られるようにしてあります。参考までに、末尾に、解説や周辺知識等を記載しています。当面、1級対象漢字から整理していきます・・・。
問題1 「勦」: ①勦討(ソウトウ) ー 勦( た )つ  ②勦殄 (ソウテン) ー 勦(ほ ろ)ぼす  ③勦襲(ソウシュウ) ー 勦(かすめと)る  ④勦捷(ソウショウ)  ー  勦(すばや)い
問題2 「裨」: ①裨補(ヒ ホ) ー 裨(おぎな)う  ②裨将(ヒショウ) ー 裨(た す)ける 、(た す)け  ③裨海(ヒカイ) ー 裨(ち い)さい  ④裨販(ヒハン) ー 裨(い や)しい
問題3 「孱」: ①孱羸(センルイ) ー 孱(よ わ)い  ②孱王(センオウ) ー 孱(お と)る  ③孱顔(サンガン) ー孱(訓読み不明

 
<解説(周辺知識)>
問題1 勦:ショウ、ソウ、た(つ)、ほろ(ぼす)、かすめと(る)、すばや(い)
①勦討:残らず払い除くこと。「掃討」に同じ。「 腐敗政治を―する」「―作戦」など・・・。「た(つ)」意の方が適当と判断。「ほろ(ぼす)」でも可でしょう・・・。
②勦殄:皆ごろしにして滅ぼしつくす。「勦尽(そうじん)」「勦絶(そうぜつ)」「勦除(そうじょ):征伐して取り除くこと。」なども同様の意。「た(つ)」でも可でしょう。
③勦襲:他人の説を自分の説にしてしまうこと。 「勦説(そうせつ)」と同じ。<礼記>に「勦説する毋れ、雷同する毋れ・・・」とある。
④勦捷:三国志呉書・孫策伝に「卿はよく坐して躍り、勦捷なること常ならざると聞き、聊か戯れるのみ・・・」とあるところから採りました。
(注)「:ソウ、ショウ、た(つ)、ほろ(ぼす)、かすめと(る)」も「勦」とほぼ同じですが、「剿」には「すばや(い)」の読みが無いですね。
問題2 裨:ヒ、おぎな(う)、たす(ける)、たす(け)、ちい(さい)、いや(しい)
①裨補:欠けているところを助け補うこと。
②裨将:偏・裨(ヘンピ)は、一方の将の意。「裨將・・・裨、相輔助也。又小也。」とあるの、「たすける」意と「ちいさい」意もあるかも。伝統的な将軍位で、偏・裨将軍は本来は最も低い位の将軍。通常は他の将軍の下に居る武将級のものが任命されるとの事。裨将軍は他の将軍の副将的なもので偏将軍は部隊指揮官が任命される由。*定番の「裨益」(助けとなり役立つこと)も「たすける」意ですね。
③裨海:「裨海、小海也。又邑名」とあり、「ちいさい」海と理解。また、「ヒカイ」と読みましたが、「裨海記遊(はいかいきゆう):「採硫日記」とも称され、清代の郁永河によって著された 17世紀の台湾を描写した地理書紀行文」・・・等、ネット上では多くが「ハイカイ」と読んでいます。納得いかず、やっと「裨海紀遊 郁永河著:臺灣銀行經濟研究室編 (臺灣文獻叢刊 / 臺灣銀行經濟研究室編輯 ・・・タイトル読み ヒカイ キユウ」を探し出しました・・・よって、私は「ヒカイ」と読みます。他の熟語もすべて音読みは「ヒ」だし・・・。他に、「裨王」(小王也、 若裨将然)」、
裨販:いやしい物売り。小商人。また、人をいやしめていう語。
(周辺知識)「天子六服、大裘爲上、其餘爲裨、裨之爲言𤰞也、又 裨襦」、康煕字典に「裨冕、・・・大夫裨冕・・・裨冕:着裨衣、戴冕。・・・」等とあり、天子の「大裘」「衮冕」「冕服」に対する臣下の着衣の意味で「裨冕」「裨衣」などの用語が見えます。これらは「いやしい」意になるかもしれません・・・。

問題3 孱:セン、サン、よわ(い)、おと(る)
①孱羸:よわいさま。「孱弱(せんじゃく) 」も同意。他に、「孱王(せんおう):貧弱な王」、「孱夫(せんぷ):弱く臆病な男」、「孱孱(せんせん):軟弱で無力なさま」、「孱躯」など・・・なお、「孱王」には次の②の意もあると思います。
②孱王:「軟弱  无能的君王」とあったので「おと(る)」意もあると思い、②の問題としました。。他に、「孱弱」・「孱々」:( おとる、ちいさい意)、「孱愚」「老孱(老孱夫のことか・・・「地位低 详细」とある・・・」なども「おと(る)」に対応するのではないかと思います。
③孱顔:センガン?サンガン?よわい?おとる?
意味は大体、「そばだつけわしい山の面、高くそびえた山、山がやせほそって険しいさま、山の高いさま・・・」のようですが、「せんがん」と読むのか「さんがん」と読むのか、訓読みで「よわい」に該当するのか、「おとる」に該当するのか、良く分かりません・・・中国語関連の発音をみると「せんがん」でもOKなのかも・・・。また、訓ではどちらにも該当しそうになく、康煕字典に「・・・又與巉通。《司馬相如·大人賦》放散畔驤以孱顏。《註》孱顏,卽巉巖。《蘇軾詩》攝衣步孱顏。《註》山額曰顏。」とあることから、訓なら「けわしい」という意味にでも対応するのかもしれません・・・。当方としては「孱顔(さんがん):山がやせほそって人の顔のように高くかたどったところもある険しいさま」と理解するようにしています。なお、芭蕉の「幻住庵の記」(含む、注釈)でも「・・・睡癖(すいへき)山民と成って、孱顔(さんがん)に足を投げ出し、空山(くうざん)に虱(のみ)をひねって坐す・・・」とあり、「ボクちゃん」さんも「さんがん」と書かれていて「孱顔=巉巖ということで、顔←巖だけから来たものかと・・・」とされておられますので、大体、当方理解で良いのではないかと考えています。したがって、訓読みは対象内読みでは「該当なし」としています(それでも強いて選択するとしたら「よわい」かと・・・)。本件、理解不足な点や誤りがあれば、ぜひ、ご教示願いたいものです。


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熟語の読み・一字訓読(実践問題その9) 荐 莅 癢 撕 孳  

2014年09月14日 | 熟語の読み(音・訓) ー1級-
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熟語の読み・一字訓読(実践問題その9)です。回答はマウスを動かせば、すぐ見られるようにしてあります。参考までに、末尾に、解説や周辺知識等を記載しています。当面、1級対象漢字から整理していきます・・・。
問題1 「荐」: ①荐食 (センショク) ー 荐(しきり)りに  ②荐仍(センジョウ) ー 荐(か さ)なる  ③荐居(センキョ) ー 荐(あ つ)まる  ④荐臻(センシン)  ー  荐(しばしば
問題2 「莅」: ①莅職(リショク) ー 莅(の ぞ)む  ②莅盟(リメイ) ー 莅( ゆ )く  ③莅国(リコク) ー 莅(おこな)う  
問題3 「癢」: ①癢痾(ヨウア) ー 癢(か ゆ)い  ②技癢(ギヨウ)  ー 癢(はがゆ)い 、癢(も だ)える
問題4 「撕」: ①提撕(テイセイ) ー 撕(いまし)める  ②撕破(シ ハ) ー  撕( さ )く
問題5 「孳」: ①孳尾(ジ ビ) ー 孳( う )む  ②孳孳(シシ、ジジ)  ー 孳(つ と)める  ③孳息(ジソク)  ー孳(し  げ)る
 
<解説(周辺知識)>
問題1 荐:セン、ゼン、しき(りに)、かさ(ねる)、あつ(まる)、しばしば
①荐食:①しきりに食べる。=薦食 ②蚕が桑の葉をしきりに食べるように、つぎつぎに土地を侵略すること(=蚕食
②荐仍:しきりにかさなること (「しき(りに)」の意もある。 「荐及(せんきゅう)」:重ねて起こること
③荐居:「戎狄は荐居(せんきょ)して、貨を貴びて土を易(かろ)んず。」荐は、聚まる意。(春秋左氏伝)
④荐臻:災いなどが、あとからあとから(しばしば)おこる。(=薦臻)「しき(りに)」の意もある。
問題2 莅:リ、のぞ(む)、ゆ(く)、おこな(う)
①莅職:職につくこと。同様な意味で、他に「莅官(リカン)」=任官、「莅決(リケツ)」なども「のぞ(む)」ことと理解しました。
②莅盟:会盟に参加する意なので「ゆ(く)」と理解しました。「会盟に行って会議にのぞむ」ような意味で「のぞ(む)」意もあるかも。
③莅国:=治国の意。他に、「莅政( リセイ)」も同様な意味で「国政をおこなう、政治をおこなう」と理解しています。
<周辺知識>「莅莅(リリ)」:中国語関連ですと「①水声 ②樹木の声音」のような意があるように書かれていますが、私は「木木の梢が触れ合う音」と理解しています。
問題3 癢:ヨウ、かゆ(い)、はがゆ(い)、もだ(える)
①癢痾・ 癢疹(=痒疹) · 痛癢(=痛痒) ともに、「かゆい」意。→かゆい、皮膚がむずむずしてかゆい意(「痒」)。
②技癢・伎癢:自分の技量を見せたくて、はがゆくむずむずすること。→「技癢(伎癢)に堪えず」、はがゆくて、もだえるさま
(周辺知識)
「膝癢掻背 (しつようそうはい)」:脚の膝が痒いのに、背中を描くこと→議論や行動が的を得ない意。
問題4 撕:セイ、シ、いまし(める)、さ(く) 
①提撕:後輩を奮起させ指導すること。後進の者を教え導くこと。 禅宗で 熱心に修行したり公案を考えたりすること。「さとす」意も含まれる。
撕破(シハ):さく。ばらばらに引きさく。 引き破くこと。
問題5 孳:ジ、シ、う(む)、つと(める)、しげ(る)
①孳尾:鳥獣が交尾して子を産み育てること 「孳尾む(つるむ): 動物の雌と雄が交尾 する。=遊牝む
②孳孳: 物事に熱心に励むさま。 「孳孳として勉学にいそしむ」 「じじ」とも読む 「孜孜」とも書く
③孳息:うみふやすこと。ふえること。 他に、「孳乳:①(哺乳動物が)繁殖 する ②(広く)派生する」「孳萌:草木の芽が何本も出る。また、芽を出させる。」
(周辺知識)「孳萌(じほう)」:繁殖する能力の萌しを見せるさまとの事。以下、ネット上から入手した情報・知識。
「漢書律暦志」に「子(シ)に孳萌(増え芽生える)し丑(チュウ)に紐芽(ちゅうが)す」とあるそうです。曲がる腕や、芽が曲がりつつ伸びるのを待つ様をいい、伸び悩んでいる形を言っている由。
う。「子は孳萌なり」→植物の芽がきざし始めるあり様を指し、新しい生命が種子の中に創造されつつあるという意味
【子】(シ):頭髪がどんどんふえて伸びるさまを示す象形文字。『説文』が滋(ジ・ふえる)意と解き、『漢書律暦志』が「孳萌」(ふえて芽生える)と解したように、子 ─ 滋 ─ 孳は同系のことば。   植物がこれから子をふやし生長しようとするタネ(種子)の状態を示す。
【丑】(チュウ):手を曲げた姿を示す象形文字で、肘(チュウ・曲がる腕)と同系。『漢書律暦志』に「紐芽(曲がる腕や芽が曲がりつつ伸びるさま)」と解したのが正しい。植物が地下において、なお屈曲して伸びかねている時期を示す

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熟語の読み・一字訓読(実践問題その8) 眷 槃

2014年09月13日 | 熟語の読み(音・訓) ー1級-
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熟語の読み・一字訓読(実践問題その8)です。回答はマウスを動かせば、すぐ見られるようにしてあります。参考までに、末尾に、解説や周辺知識等を記載しています。当面、1級対象漢字から整理していきます・・・。
問題1 「眷」: ①眷焉 (ケンエン) ー 眷(かえり)みる  ②眷顧(ケンコ) ー 眷(な さ)け  ③眷恋(ケンレン) ー 眷(こいした)う  ④眷属・眷族(ケンゾク)  ー  眷(みうち)  ⑤寵眷(チョウケン)  ー 眷(め ぐ)み
 
問題2 「槃」: ①承槃(ショウハン) ー 槃(たらい)  ②考槃(コウハン) ー 槃(た の)しむ  ③槃桓(バンカン) ー 槃(め ぐ)る  ④槃散(バンサン) ー 槃(たちもとお)る
 
<解説(周辺知識)>
問題1 眷 :ケン、かえり(みる)、こいした(う)、めぐ(み)、なさ(け)、みうち
①眷焉:いつまでも気にしてかえりみるさま  =眷然(けんぜん)*他に、「眷想(けんそう):かえりみて思う」「眷眷(けんけん):いつも心にとめて回顧するさま)」なども「かえり(みる)」意に該当すると思います。
②眷顧:ふりかえりみる、情をかける *他に、「顧眷(こけん):近くに置いてひいきにする、目を掛けて大切にする」「眷眄(けんべん):目をかける」「眷命(けんめい) 」(下記(注)参照)なども「なさ(け)」に対応・・・「めぐ(み)」の意もあるかも。
③眷恋:思い慕う、心に思っていつも忘れない、恋い焦がれること
④眷属・眷族:①血筋のつながっている者。一族の者。身内 の者。親族。② 従者。家来。配下の者。
⑤寵眷:寵愛して特別に目をかけること。寵遇。 *他に、「眷遇(けんぐう):特別に目をかける、手厚くもてなす」「眷接(けんせつ):目をかけて手厚く遇する」など。
(注)「皇天眷命」という言葉があり、天が情をかけるという意味でも使われることから、「眷命」は「なさ(け)」に対応すると思います。天子が民を顧みて慈しみの言葉をかけるとの意もあるとの説明もあるので、場合によっては「かえり(みる)」にも該当するかも。

問題2 槃:ハン、バン、たらい、たの(しむ)、めぐ(る)、たちもとお(る) :「槃」とは、たらいという意味の字。また、サンスクリットの音訳にも使われる。また、(般と通じて)楽しむ等の意もある。
①承槃:下に受け台のあるたらいの意。*他に、「槃盂(ばんう) 」=盤盂:平らな鉢
②考槃(こうはん):詩経の中に「考槃在澗 碩人之」(槃(たのしみ)を考(な)して澗に在り 碩人、之れたり:山中の谷間に居る楽しさ 賢者の心はゆたかに・・・)に始まる詩があり、「槃」は「たのしみ」との意。*他に、「槃楽(ばんらく・はんらく) 」:あぐらをかいてゆったりする(たのしむ) *一般的には「ばんらく」と読んでいる模様・・・。
③槃桓 :槃(めぐ)り槃(たちもとお)るさま。巡り歩くこと。徘徊と同じ。また、ぐずぐずして先に進まないこと。 「盤桓・磐桓」とも書く。 「たちもとお(る)」の読みでも可か。
④槃散:よろめきながらさまよい行くこと。(参)「民家有躄者槃散行汲:民家にはいざりの者がおり、よろめきながら水を汲みに行った」
<その他、「めぐる」「たちもとおる」に対応すると思われる熟語>
槃牙(ばんが)(=槃互(ばんご)=盤互(ばんご)):①互いに結びつく。互いに心をあわせて事にたちむかう。②物事が入り組み乱れる。わだかまる。③結託する。ぐるになる。
●槃根(ばんこん):曲がりくねった根の意(盤根)
<周辺知識①>「槃」と「盤」熟語で双方ともに使用可の場合もありますが、微妙に異なる場合もあります。以下、「盤」の字について少々説明を試みます。
「槃」:ハン、バン、たらい、たの(しむ)、めぐ(る)、たちもとお(る)
「盤」:中学…バン 準1…ハン、おおざら、めぐ(る)、ま(がる)、わだかま(る)

「わだかまる、曲がりくねる、めぐる」という意での「盤」:「盤踞」(ばんきょ)、「盤根(槃根)錯節」(ばんこんさくせつ)、「盤曲」(ばんきょく)、「盤屈」(ばんくつ)、「盤紆」(ばんう)、「盤牙」(ばんが)、「盤珊」(ばんさん)、「盤峙」(ばんじ)、「盤陀」(ばんだ)など。
「「おおざら、たらい」の意での「盤」: 「盤饌」(ばんせん)、「盤餐」(ばんさん)
(注)「盤峙」:下北半嶋史の中に「東通村岩屋の東に”盤峙”する長石蔵山海抜一三八一尺は岩屋、尻屋、尻労の三大字に跨る石灰岩の山である」とあります。他にこの熟語を説明してくれているものが見当たりません・・・でもなんとなくわかりますね。
*他に、
「盤纏」(ばんてん・はんてん):小遣いや旅費、たくわえ。例文:「貞固の・・・は僅に一分銀一つを 剰してゐたのである/渋江抽斎 鷗外」。
「盤陀石(ばんだいし)」:蘇軾の七言詩「金山寺に遊ぶ」の中にある「盤陀石(ばんだいし)」と名付けられた不思議な石のこと→石は平らな頭を少し出しているだけで深く埋められているともいわれており、この盤陀石と名付けられた石は磐座(いわくら)であった可能性が極めて高いと言われているらしいです。
「半田・盤陀(はんだ)」:(地名からとも人名からともいわれ、語の由来は不明らしい)スズと鉛の合金。金属の接合に用いる。
<周辺知識②>「涅槃(ねはん)」「槃特(はんどく)」・・・この場合の「槃」はサンスクリット語の音訳。
「涅槃」:煩悩を滅して真理を悟り知恵が完成する悟りの境地。 仏教の最終的な理想。釈迦の死のこと。
「槃特」:周利槃特(しゅり・ はんどく)のこと。釈迦の弟子の一人。修利(周陀、周梨)とも。また、「槃特」で、愚鈍な人、おろか者の意。有名な成語 「槃特が愚痴 も文殊が知恵」 (愚者も修行に励めば、知者と同じように悟りを得るということ。)

ではまた👋👋👋👋👋

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熟語の読み・一字訓読(実践問題その7) 疇 覈 覃

2014年09月12日 | 熟語の読み(音・訓) ー1級-
日本漢字能力検定(漢検) ブログランキングへペット(猫) ブログランキングへ気まぐれ日記 ブログランキングへ
熟語の読み・一字訓読(実践問題その7)です。回答はマウスを動かせば、すぐ見られるようにしてあります。参考までに、末尾に、解説や周辺知識等を記載しています。当面、1級対象漢字から整理していきます・・・。

問題1 「疇」 ①田疇 (デンチュウ)、 疇隴(チュウロウ) ー 疇(う ね)、疇(はたけ) ②範疇(ハンチュウ) ー 疇(たぐい)  ③疇庸(チュウヨウ) ー 疇(むく)いる  ④疇日(チュウジツ) ー 疇(さ き)に  ⑤疇昔(チュウセキ) ー 疇(むかし) ⑥疇咨・疇諮(チュウシ) ー 疇(だ れ)か 
問題2 「覈」 ①推覈(スイカク) ー 覈(しら)べる  ②考覈(コウカク) ー覈(かんが)える  ③精覈(セイカク) ー覈(あき)らかにする   ④覈論(カクロン) ー 覈(きび)しい
問題3 「覃」 ①葛覃(カッタン) ー 覃( の )びる  ②覃及(タンキュウ) ー 覃( ひ )く 、覃(お よ)ぶ  ③覃恩(タンオン) ー 覃(ふ か)い

<解説(周辺知識)>
問題1 疇 :チュウ、うね、はたけ、たぐい、むく(いる)、さき(に)、むかし、だれ
①田疇・疇隴:田畑のうね 。あぜ道。田畑。
 ②範疇:同類、たぐい。「洪範九疇(こうはんきゅうちゅう)」:夏の禹が天帝から授けられたという天地の大法。単に九疇あるいは九章、九法などともいわれる。洪は「大いなる」、範は「法(のり)」、疇は畝で区切られた田畑の領域から「類(たぐい)」の意味。ほかに「たぐい」の意の熟語で「疇輩=仲間、同輩、疇匹(ちゅうひつ)」 *ほかに、「たぐい」の範疇(^^)にはいる熟語として、「疇人(ちゅうじん)」「疇生(ちゅうせい)」など・・・。*疇人=代々の家業を継ぐ者、また、天文学者を指す場合も。→ 疇人の用語解説:大漢和に「世々父祖の業を継承する者」・「疇昔星術を知っていた人」とあるので、家業を世襲すること、また、天文学者という意味。*「疇生」は、「ともに生ず=同種類の物が集まって生える、ともに、同じ仲間として一緒に」との意。
疇庸:功に報いる。
④疇日:昨日、先日
⑤疇昔:昨日、過日、昔。*「さき(に)」の読み・意味もあり。
疇咨・疇諮:疇か(たれか、だれか)。「だれかいるか」の意。
問題2 覈 :カク、しら(べる)、かんが(える)、あき(らかにする)、きび(しい)
①推覈:罪を取り調べること  ②考覈:考え調べること ③精覈:詳しく調べ、明らかにすること ④覈論:厳しく論ずること
ほかに、「検覈(けんかく) 」:きびしく調べること、「審覈(しんかく)=審核(しんかく)」:念入りにつきつめること、「研覈(けんかく)」:事実を詳しく調べること、四字熟語で「危言覈論(きげんかくろん)」:自分が正しいと思うことを主張し、激しく議論を戦わせること。
問題3 覃:タン、の(びる)、ひ(く)、およ(ぶ)、ふか(い)
①葛覃:詩経の国風・周南に収められてある「葛覃」(かつたん)のこと。「葛の覃(たん)なるや・・・(葛のつるが伸びて、谷の木に這って行き・・・云々」(詳しくは、詩経・周南編)
②覃及:伸び広がって及ぶ。物事の影響がそこまで及ぶこと、ひきおよぶ・及ぼすこと。
③覃恩:深い広大な恩恵 ほかに、「覃思」「覃忠」など。*「覃恩」は、恩沢を広く施すこと。昔、朝廷に慶事のあった時、天子が臣下に賜る封贈、賞賜、赦免などのことを覃恩と言うとの事です。


ではまた👋👋👋👋👋

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熟語の読み・一字訓読(実践問題その6) 頌 淹 晤

2014年09月10日 | 熟語の読み(音・訓) ー1級-
日本漢字能力検定(漢検) ブログランキングへペット(猫) ブログランキングへ気まぐれ日記 ブログランキングへ
熟語の読み・一字訓読(実践問題その6)です。回答はマウスを動かせば、すぐ見られるようにしてあります。参考までに、末尾に、解説や周辺知識等を記載しています。当面、1級対象漢字から整理していきます・・・。

問題1 「頌」 ①頌歎(ショウタン) ー頌()める  ②偈頌(ゲジュ) ー頌(たた)える  ③頌礼(ヨウレイ) ー頌(かたち)  ④頌繋(ショウケイ) ー頌(ゆる)やか  (注)(2017.4.12追記)②と④は下記解説も参照のこと。

問題2 「淹」 ①淹没(エンボツ) ー淹(ひた)す   ②淹漬(エンシ) ー淹()ける  ③淹病(エンビョウ) ー淹(ひさ)しい  ④淹恤(エンジュツ) ー淹(とど)まる  ⑤淹博(エンバク) ー淹(ひろ)い、 淹(ふか)い ⑥淹茶(エンチャ) ー淹(い )れる

問題3 「晤」 ①面晤(メンゴ) ー晤(あ )う  ②款晤(カンゴ)、晤語(ゴゴ)、 ー晤(うちと)ける  ③開晤(カイゴ) ー晤(あき)らか

<解説(周辺知識)>
問題1 頌:ショウ、ジュ、ヨウ、ほ(める)、たた(える)、かたち、ゆる(やか)
<「しょう」と読み、「ほめる」「たたえる」意の熟語>
「頌徳(しょうとく:功徳をほめたたえる)」、「頌歌(しょうか):ほめたたえて歌う)、「頌詞(しょうし):ほめたたえる内容のことば・文章)、
「頌詩(しょうし):ほめたたえる内容の詩)」、「頌辞(しょうじ):ほめことば」、「頌述(しょうじゅつ):ことばや文章でほめたたえる)」、頌春(しょうしゅん:新年をことほぎ、たたえる)」、「頌声(しょうせい):人の徳や功績をほめたたえる声、歌声)」、頌歎(しょうたん):感心してほめたたえる)」、「頌美(しょうび):人の美徳をほめたたえる)」など。四字熟語では「歌功頌徳 (かこうしょうとく)」「頌徳頌功 (しょうとくしょうこう)」など。
<「じゅ」と読み、「たたえる」意の熟語>
「偈頌(げじゅ)」:「偈(げ)」ともいう。 仏徳をたたえる詩。 多くは四句からなり、教理や悟りの境地などを表現する。「偈陀(げだ)」「伽陀(かだ)」とも音写し、意訳して「偈頌( げじゅ)」ともいう。なお、  「頌偈(じゅげ)」と読み書きする場合もあるので注意!! <2017.4.12追記>「偈頌」・・・漢検2および大字源では「ゲショウ」とも読むとなっている。なお、「頌偈」は“ジュゲ”読み(大字源)。“ショウゲ”読みは見つかっていない。
<「よう」と読み、「かたち」を意味する熟語>
頌礼(ようれい) 」:顔つきや立ち居振る舞いに関する儀礼、この「頌」は「姿、かたち」の意味で「ヨウ」とよむので注意!!)。
<「しょう」と読むが、「ゆるやか」を意味する熟語> ⇦ 下記追記を必読のこと。一部内容を補筆・訂正しています。
頌繋(しょうけい):かせをはめるべきところをゆるめて、罪人を牢に入れておくこと)」:かせをはめるべきところをゆるめて、罪人を牢に入れておく。鬆(しょう:ゆるめる意)に当てた用法。
<2017.4.12追記>大字源では「頌繋(“よう”けい):罪人を手かせ足かせなどを施さないで牢屋に入れておく。頌は、容と同じで、寛容の意。」 “しょうけい”読みでも“ようけい”読みでもどちらでも通用すると思う。(なお、漢検2辞典では「頌」:🈩ショウ、ジュ と 🈔ヨウ で、音による意味分けをしており、“ヨウ”のほうに、「①さま。かたち。②ゆるやか。ゆるめる。」と記載されている。が、過去問の「麕至」でも音による読み分けで“クンシ”が妥当と思われるにもかかわらず、通用している“キンシ”読みでも〇となった例がある。詳しくは「麕至」の記事を参照ください。) 

問題2 淹:エン、ひた(す)、つ(ける)、ひさ(しい)、とど(まる)、ふか(い)、ひろ(い)、い(れる)
<ひた(す)意の熟語>:淹没:水没する、水びたしに する 淹漬(えんし):水につかること、水につけること=淹浸(えんしん)
<つ(ける)意の熟語>淹漬、淹浸、淹溺:水につける。水につかる。
<ひさ(しい)意の熟語> 淹病(エンビョウ=ながわずらい)、淹月(エンゲツ=期間が一か月にわたること)、淹歳(エンサイ=長く久しい年月、期間が一年にわたること)
<とど(まる)意の熟語> 久淹(きゅうえん)):久しく一所にとどまる 淹滞(えんたい):① 物事がとどこおること。②才能がありながら,下位にとどまっていること  淹留:長く同じ場所にとどまること。滞留。滞在。滞淹(たいえん)、淹久(えんきゅう)、淹泊(えんぱく) 淹宿(えんしゅく):一か所にとどまって一夜を過ごす 淹恤(えんじゅつ):長く他国にとどまっていて、さびしい思いをすること 淹速(えんそく):ぐずつくことと速いこと
<ふか(い)、ひろ(い)意の熟語> 淹究、淹博、淹通(えんつう):学問や知識があって広く物事に通じている、淹貫、淹該、淹博(えんばく):学問・知識が深く広い 「淹博精核」: 広範囲かつ、詳細で確かであること  淹雅(えんが):学問・見識が広く、教養が高くてみやびやかである=博学高雅、淹久(えんきゅう):学問を広くきわめる)、
<い(れる)意の熟語>
淹茶(えんちゃ)
(参考)沸騰した湯に茶葉を投じる方法を煎茶法、茶葉に湯を投じる方法を淹茶(えんちゃ)法というらしい。
「「煎」という語は、「薬草を煎(せん)じる」という用法に見られるように、お茶の葉を、火にかけ沸騰させたお湯の中に入れ、 煮出してお茶を作ることをいう。これに対し、「淹(えん)」という語は、現在普通に行われているように、火から降ろしたお湯で、急須 に入れた茶葉を浸してお茶を作ることを指す」ということだそうです。
(周辺知識) 「江淹、才尽く」江淹(人物名)のエピソードとして最も有名なのが、彼の文才が晩年に枯渇したという「江淹才尽」。
①江淹が宣城太守を辞任し、首都建康への帰路の途中、夢に郭璞を名乗る美丈夫が現れた。江淹に長年預けてきた自分の筆を返してほしいと言ったので、江淹は懐にあった五色の筆を彼に返したところ、それ以来詩が作れなくなり、世間の人々は江淹の才が尽きたと言うようになった。
②唐の李延寿の「南史」では「夢に西晋の詩人張協が現れ、預けていた自分の錦を返してほしいと言った。江淹が懐にあった錦を取り出したところ、数尺しか残っていなかった。張協はこんなに使われては用がないと怒り、錦を丘遅に与えてしまうと、それ以後江淹の文才が尽きてしまった」
と、①と②でやや異なる話を伝える。これらのエピソードに基づき、後世、文人の文才が枯渇することを意味する「江淹、才尽く」という成語が生まれた由。

問題3 晤:ゴ、あ(う)、うちと(ける)、あき(らか)
面晤(めんご):「晤」は、互いに向きあう意。対晤(たいご):顔を突き合わせて会う 晤言(ごげん):「日暮 親友を思う 晤言して用て自ら写(のぞ)かん」(日暮れ時になると寂しくなって友のことが偲ばれくる。顔を合わせ語り合ってこの胸の憂いを除きたいものだ
晤語(ごご):相対してうちとけて語ること。
款晤(かんご):打ちとけて面会する。
開晤(かいご):(「晤」とは「明らか」という意味らしい。)朦朧としていた意識が はっきりした、意識が目覚めたということらしい。

ではまた👋👋👋👋👋

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熟語の読み・一字訓読(実践問題その5)佗 伉 佚

2014年09月08日 | 熟語の読み(音・訓) ー1級-
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熟語の読み・一字訓読(実践問題その5)です。「熟語の読み・一字訓読」には、訓読みに対応した音熟語が一覧・整理されたものが見当たらず苦労していないでしょうか。その解消の一助となればと思い、試行錯誤で公開しています。気づいた点、誤りなどあれば、ご意見・情報などあればお待ちしています。なお、回答は反転クリックすれば、すぐ見られるようにしてあります。参考までに、末尾に、解説や周辺知識等を記載しています。
当面、1級対象漢字から整理していきます・・・。

問題1 「佗」 ①佗負(タフ) ー佗(にな)う  ②佗髮(タハツ) ー佗(みだ)す  ③佗身(タシン) ー佗(ほか) 

問題2 「伉」 ①伉儷(コウレイ) ー伉(なら)ぶ  ②伉俠(コウキョウ) ー伉(つよ)い  ③伉行(コウコウ) ー伉(おご)る ④伉礼(コウレイ) ー伉(たぐ)い、伉(なら)ぶ

問題3 「佚」 ①佚畋(イツデン) ー佚(あそ)ぶ  ②淫佚(インイツ) ー佚(たの)しむ  ③佚老(イツロウ) ー佚(やす)んずる ④佚書(イッショ) -佚(うしな)う  ⑤蕩佚(トウテツ) ー佚(ゆる)い  ⑥佚女(イツジョ) ー佚(うつく)しい 

<解説(周辺知識)>
問題1 佗:タ、イ、ほか、にな(う)、みだ(す)、わび、わび(しい)、わ(びる)
佗負(たふ)」:背にになうこと 
「佗髮(たはつ)髮を被ること=被髮。被髮とは髪を結ばないで自然のままに垂らしておくこと。ざんばら髪。→「被髮左衽」 (「みだす」意と解しました。)
佗身(たしん)「佗事(たじ)」は、如来寿量品の経文の中にある語で、「佗身を示す:本仏が聖人や賢人の姿となってこの世に現われること」、 「佗事(たじ):仏の救いが苦痛などの警告や気づきの現象として現れた結果救われること」とありましたので、訓なら「ほか」に該当すると解しました。他に、「佗佗(たた):うるわしくゆったりとせるさま」という熟語がありましたが、該当訓は不明。
<参考>佗助(わびすけ):椿の一品種。文禄・慶長の役の際、侘助という人が持ち帰ったことからいう(広辞苑)とあります。
 佗言(あだごと):歴史民俗用語で、「実のないことば、かりそめのことば、虚言」、古文書用語では「他言(あだごと):ほかの人にもらす事」とありますので、「佗言(たげん」と読めば、訓の「ほか」に該当するかもしれません。ほかに、「佗」が使われている熟語・・・「那由佗」(なゆた):那由他、那由多、那庾多とも書き、数の単位。サンスクリット語の音訳・・・古代インドの数量の単位で一千億、またはきわめて大きな数。
問題2 伉:コウ、たぐい、なら(ぶ)、つよ(い)、おご(る)
「伉儷」 :①対等の相手。転じて夫婦のこと。配偶者。夫婦。つれあい。「伉儷の約を結ぶ」
「伉俠」 :おとこだて、伉は權力を以てつよく人に抵抗する義(=任俠)。ほかに「伉健(こうけん):強く健やか、その者」「伉直(こうちょく) :心が強くてまっすぐなこと。「剛直」と同意。」があります。
「伉行」 :おごりたかぶる行ない。=驕傲(きょうごう)
「伉礼」 :対等の礼で対応すること。「分庭伉礼」(ぶんていこうれい):宮殿の庭で、主人と客とが互いに対等の礼で会見すること。「分庭」は宮殿の庭。「伉礼」は対等の資格で礼を行う、対等の交際をすること。*訓は「たぐ・い」に対応するとしましたが、「なら・ぶ」意でも良いと思います。
問題3 佚:イツ、テツ、たの(しむ)、やす(んずる)、あそ(ぶ)、のが(れる)、うしな(う)、うつく(しい)、ゆる(い)、たが(いに)
<たの(しむ)><あそ(ぶ)>意の熟語
佚畋(いつでん):遊び楽しんで狩にふけること。」「佚遊」「佚楽」「驕奢淫佚」「奢侈淫佚」*これらは「あそぶ」「たのしむ」どちらの意味でも訓対応可能と思います。
<やす(んずる)>意の熟語
佚老(いつろう):①老人を安んぜしむ意。(注)②の意味は「のがれる意の熟語」参照。「佚道(いつどう):民を安んじねぎらう」 「安佚(あんいつ)=安逸」
<のが(れる)>意の熟語
「佚民」:(世間から抜け出しのがれた民)。「佚老(いつろう):②世を遁れし老人」
<うしな(う)>意の熟語
「佚文」「散佚」「佚書」:抜けて無くなる、失われる意味。 *「佚書」=「逸書」:すでに失われて現存しない、前人の著作物をいう。 「輯佚(しゅういつ)」:逸書(佚書)や他書で伝えられている文章などで部分的に復元する作業のこと。
<うつく(しい)>意の熟語
佚女(いつじょ):なまめきたる美人」「佚貌(いつぼう)」「仙姿佚色 (せんしいっしょく)」「仙姿佚貌(せんしいつぼう)」*「仙姿佚貌」は、「仙女的姿质,美女的容貌」とあるので「うつくしい」で良いと思います。「仙姿玉質」や「仙姿玉色」と同様と理解。
<ゆる(い)>意の熟語
「佚蕩(てっとう)」 :締まりがなく、だらしないこと(=舒緩)」=跌蕩・軼蕩・佚宕「放佚無慙 (ほういつむざん)」:自分勝手で恥知らずであること。 「放佚」は自分勝手なこと。
「蕩佚簡易 (とういつかんい)」: 「蕩佚」:物事に対して寛大でゆるやかなこと
<たが(いに)>の意の熟語
 現時点、見当たりません。
<その他>
「佚罰(いつばつ)」:あやまち、つみ。(書·盤庚)「惟予一人有佚罰。」

ではまた👋👋👋👋👋
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熟語の読み・一字訓読(実践問題その4) 咤 嘖 咫 咢 吶 

2014年09月07日 | 熟語の読み(音・訓) ー1級-
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熟語の読み・一字訓読(実践問題その4)です。「熟語の読み・一字訓読」には、今までの問題集や参考書等への不満があります。訓読みに対応した音熟語が一覧・整理されたものがなく、個別に理解して覚えていくしかないのが現状だと思います。その解消の一助となればと思い、(現在、自己流での整理をし始めているのですが)、試行錯誤で公開しています。ご意見・情報などあればお待ちしています。
なお、回答は反転クリックすれば、すぐ見られるようにしてあります。参考までに、末尾に、解説や周辺知識等を記載しています。
当面、1級対象漢字から整理していきます・・・。やりだしましたが、やはり大変な作業です、なかなか、訓に対応した適当な音熟語が見当たらないものも多々あり、苦労してます・・・。

問題1 「咤」  ①咤食(タショク)ー咤(したう)ち  ②叱咤(シッタ)ー 咤(しか)る

問題2 「嘖」  ①嘖嘖(サクサク)ー嘖(さけ)ぶ、嘖(かまびす)しい  ②呵嘖(カシャク、カセキ)ー嘖(さいな )む

問題3 「咫」  ①咫尺(シセキ) ー 咫(みじか)い、咫(ちか)い  ②一咫半(ひとあたハン)ー咫(あた)  ③八咫(やた)の鏡 、 咫(た )  (注)②、③の「咫」は訓読みです。

問題4 「咢」  ①咢然(ガクゼン) ー 咢(おどろ)く  ②咢咢(ガクガク) ー 咢(いいあらそ)う

問題5 「吶」  ①吶吃(トッキツ) ー  吶(ども)る  ②吶喊(トッカン) ー 吶(さけ)ぶ

<解説(周辺知識)>
問題1:咤:タ、しか(る)、したう(ち) 
①咤食(たしょく):舌づつみをして食うこと *7/31の記事で取り上げましたが、再録しますね。ついでにこの曲礼の他の熟語も覚えておくと良いと思います。「曲礼(きょくらい)に曰く、食を共にしては飽かず、飯を共にしては手を沢(うるお)さず。飯を摶(たん)することなかれ。放飯(ほうはん)することなかれ。 流歠(りゅうせつ)することなかれ。咤食(たしょく)することなかれ。 骨を噛むことなかれ。魚肉を反すことなかれ。 狗(いぬ)に骨を投げ与うことなかれ。 固く獲(とら)んとすることなかれ。」 摶飯(たんぱん):飯をまるめること。放飯(ほうはん):大口で飯をほしいまま食べること。流歠(りゅうせつ):汁を流し込むようにすすること(歠(すす)る)。 
②説明略。 
問題2:嘖:サク、さけ(ぶ)、かまびす(しい)、さいな(む) 
①「好評嘖嘖 (こうひょうさくさく)」「名声嘖嘖 (めいせいさくさく」など、「嘖嘖(さくさく)」は「人々が口々に言いはやすさま。しきりに言うさま。」 「嘖嘖」とはもと鳥の鳴き声などの擬声語らしいです。*他に、同様の意味の熟語として、「嘖室(サクシツ)」、「嘖声(サクセイ)」、「嘖然(サクゼン)」など・・・、「嘖室(サクシツ)」:斉の桓公が、黄帝の明堂・尭の衢室(くしつ)にならって作らせたもので、自由に討論を行なう室・会議室の意があるとの事です。<関連知識>「衢室之問(くしつのとい)」(故事:昔の理想的な天子とされた帝尭が、政治の資料として人民のいうことを聴いたこと。広く人々の意見を聴くことのたとえ。「衢室」は、尭の宮殿の名。)
②「呵嘖(かしゃく。「かせき」とも。):通常は「呵責(かしゃく)」と書きますね。厳しくとがめてしかること。責めさいなむこと。
③(余談)古事記の中に、「稜威の嘖譲(ころひ)・・・」という「嘖」の熟語が出ています。「嘖譲(ころひ):せめること。」の意のようなので、現代風に読めば、「嘖譲(せきじょう):責めさいなむ意」のようになるのでしょうかね・・・古文用語なので、あまり気にしなくてよいかも。
問題3:咫:シ、ちか(い)、みじか(い)、た、あた
①咫尺(シセキ):「咫尺を弁ぜず:暗くて一寸先も見分けがつかないこと。身近のこともはっきりつかめないこと。」「天威咫尺:天子の威光がすぐ近くにあること。天子に近づき恐れ多いこと。」その他、「実家までは咫尺の距離だ」「咫尺の栄を得る:貴人に接近すること。」「咫尺の書:短い書状。短い手紙。」など・・・。
使いやすい箸の長さを「一咫半(ひとあたはん)」というらしい・・・。
③「八咫(やた)の鏡:(大きな鏡。三種の神器の一つ)」: 「やあた」の転。咫(あた)は長さの単位。(八倍の長さだから)大きいこと。長いこと。<参考>「咫(シ、あた)」①周代の小尺における長さの単位。一咫は約18cm ②ちかい。みじかい。わずか。③た・あた:日本の上代の長さの単位。開いた手の親指の先から中指の先までの長さ。
問題4:咢:ガク、いいあらそ(う)、おどろ(く)
①おどろく。ぎょっとおどろく。〈同義語〉愕
②「咢咢」とは、高く堂々とたちふさがるさま。また、「諤諤」に当て、遠慮せずに、ありのままの意見を押し出すさま。ここでは後者の意としています。
③その他周辺知識:「垠咢(ぎんがく)」:かぎり。はて。辺境。辺界。=垠際(ぎんさい)「咢」は尾根のことを意味するらしいです。対象訓にはありませんが・・・。
問題5:吶:トツ、ドツ、ども(る)、さけ(ぶ):①どもる。口ごもってすらすらとものがいえない。また、そのさま。 ②大声で叫ぶこと。
①類義語:「吶弁(とつべん」=訥弁。口べた)、「吶吃(とっきつ)」:①どもる。②事がすらすら進まないこと。
②「吶喊(とっかん)」とは、まず大声で叫ぶこと。転じて、鬨の声をあげること。

では👋👋👋

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熟語の読み・一字訓読(実践問題その3) 諷 剽 厲

2014年09月06日 | 熟語の読み(音・訓) ー1級-
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熟語の読み・一字訓読(実践問題その3)です。「熟語の読み・一字訓読」には、今までの問題集や参考書等への不満があります。訓読みに対応した音熟語が一覧・整理されたものがなく、個別に理解して覚えていくしかないのが現状だと思います。その解消の一助となればと思い、(現在、自己流での整理をし始めているのですが)、試行錯誤で公開しています。ご意見・情報などあればお待ちしています。
なお、回答は反転クリックすれば、すぐ見られるようにしてあります。参考までに、末尾に、解説や周辺知識等を記載しています。
当面、1級対象漢字から整理していきます・・・。

問題1 「諷」 ①諷諫(フウカン)ー諷(ほの)めかす  ②諷刺(フウシ)ー諷(あてこす)る  ③諷誦(フウショウ/フジュ/フウジュ)ー諷(そら)んじる  
問題2 「剽」 ①剽悍(ヒョウカン)ー剽(すばや)い  ②剽軽(ヒョウキン)ー剽(かる )い ③剽劫(ヒョウキョウ)ー剽(おびや)かす  ④剽窃(ヒョウセツ) ー 剽(かすめと)る 
問題3 「」 ①石(レイセキ) ー (といし)  ②兵(レイヘイ)ー( と  )ぐ  ③利(レイリ)ー(するど)い
④風(レイフウ)ー(はげ)しい  ⑤精レイセイ)ー(はげ )む  ⑥民(レイミン)ー(しいた )げる  ⑦疫(レイエキ)ー(えやみ )、( や )む  ⑧鬼(レイキ)ー(わざわ)い
<解説(周辺知識)>
問題1 諷:フウ、そら(んじる)、ほの(めかす)、あてこす(る)  
 <ほのめかす意の熟語> 「諷示(ふうじ、「ふうし」とも)」:ほのめかすこと。暗示。「諷意(ふうい)」:遠まわしに示された意味。ほのめかした気持ち。「諷諫(ふうかん)」:遠回しに忠告すること。また、その忠告。「諷意」「諷戒」なども「ほのめかす」意の熟語と理解していますが・・・。
<あてこする意の熟語>
「風刺/諷刺(ふうし)」:社会や人物の欠点・罪悪を遠回しに批判すること。また、その批判を嘲笑的に表現すること。「諷喩/風諭(ふうゆ)」:①他の事にかこつけて、それとなく遠回しにさとすこと。「吾輩の既に再三―したるが如く」〈尺振八訳・斯氏教育論〉②比喩法の一。たとえだけを提示して、その本義を間接的に推察させる方法。その他、「諷言」など。
<そらんじる意の熟語>「諷詠(ふうえい)」:詩歌を作ったり、吟じたりすること。「諷誦(ふじゅ)」:①経文や偈頌(げじゅ)を声をあげてよむこと。また、暗誦すること。ふうじゅ。②「諷誦文(ふじゅもん)」の略。「諷誦(ふうしょう)」:声をあげて読むこと。そらんじてうたうこと。暗誦・諷経(ふぎん・ふきょう)・吟諷(ぎんぷう)「諷誦(ふうじゅ)」:⇒ふじゅ(諷誦) *変わったところで、「披諷(ひふう):披はひもとく、諷は諳んじる。諳んじて知っているというほどの意。(浄土教関連の用語みたい・・・)→「正・像・末法の所有の行事、広く諸経に載せたり。内外の道俗たれか披諷せざらん。あに自身の邪活を貪求して、持国の正法を隠蔽せんや。ただし、いま論ずるところの末法には、ただ名字の比丘のみあらん。」とか・・・。
問題2 剽:ヒョウ、すばや(い)、かる(い)、おびや(かす)、かすめと(る) 
  *「剽悍」(=慓悍):すばやい上に、荒々しく強いこと 。また、そのさま。他に、「剽疾(ひょうしつ):素早いこと。 「剽疾軽悍(ひょうしつけいかん)」:行動がすばやく、猛々しいこと。「剽剥(ひょうはく)」: 文字や言葉で非難すること。←おびやかす意だと思う。「剽盗(ヒョウトウ)」かすめとる意。
問題3 厲:レイ、といし、と(ぐ)、するど(い)、はげ(しい)、はげ(む)、しいた(げる)、えやみ、や(む)、わざわ(い)
   *音読みの熟語は簡単でも、それに対応する「厲」の訓読みは難しいものがあります。多くは「はげむ」意の熟語ですが、ほかにも種々の訓読みがあります。
「といし」の意の熟語>「厲石(れいせき)」:きめの荒い砥石(といし)。*「砥(あらと)」はきめの細い砥石。
と(ぐ)意の熟語「厲兵(れいへい)」 *この「兵」は兵器や武器の意味であることは1級レベルの人にとっては常識ですね・・・。「と(ぐ)」とか「みが(く)」とかの意味を表しています。「みが(く)」は対象外です。
するど(い)意の熟語>「厲利(れいり)」の熟語を当てましたが、「硏ぎてするどくする(=厲鋭)」意なので、「と(ぐ)」にも対応するかもしれません。
はげ(しい)意の熟語「厲風(れいふう)」:激しい風、「厲疾(れいしつ)」:はげしくはやいこと。「厲色(れいしょく)」:顏色をはげしくして怒る、血相をかへる。「厲声(れいせい)」:声ををはげしくする。   *なお、「厲風(れいふう)」には、①西北のかぜ。②あらき大風。③さびしく、さむげに吹く風=悲風。というような意味もあるようです。
はげ(む)>意の熟語>「厲精(れいせい)」:精を出すこと、心を励まし努力すること。「厲俗(れいぞく)」:世の中をすすめはげます意。
しいた(げる)意の熟語「厲民(れいみん)」:民を虐げ悩ますこと。「厲虐(れいぎゃく)」(=損ない虐げる意)という熟語もここに該当する
かもしれません。
えやみ、や(む)意の熟語>「厲疫(れいえき)」
わざわ(い)の意の熟語>「厲鬼(れいき)」: 疫病神。悪神。悪しき神。 「厲階(れいかい)」:悪の階梯。怨を招く緒(いとぐち)。禍端。 
その他の意味に対応する熟語>「厲」には、その他、「みがく」、「あげる」、「おそごか」等の意味や読みもあるようです。これらの訓読みは対象外でしょうが、念のため、下記しておきます。
「厲行(れいこう)」:行をみがく。きびしく行う。強制して行わせる。
「厲禁(れいきん)」:遮る、さえぎりとどめる、転じて、きびしくとどめる意=厳禁。
「厲掲(れいけい)」:水を渉る。衣を持ちて深き所を渉る、衣をかかげて浅瀬を渉るを掲という → 四字熟語「深厲浅掲」
「厲莊(れいそう)」:はげしくおごそか。=厲粛(れいしゅく):おごそかにしてつつしむ
「厲疾(ライシツ)」: かったい=癩病=癩疾
「厲人(れいじん)」:かたち醜い人。
「厲然(れいぜん)」:厳厲なるさま。

「厲世摩鈍(れいせいまどん)」:はげましすすめて人材を振作する。
「鷙鳥厲疾(しちょうれいしつ)」:七十二候の一つ。大寒の次候(中国)。鷲や鷹などが空高く速く飛び始めるさま。     

では👋

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熟語の読み・一字訓読(実践問題その2) 乖 弐 亟 亢 仍

2014年09月05日 | 熟語の読み(音・訓) ー1級-
日本漢字能力検定(漢検) ブログランキングへペット(猫) ブログランキングへ気まぐれ日記 ブログランキングへ
熟語の読み・一字訓読(実践問題その2)です。「熟語の読み・一字訓読」には、今までの問題集や参考書等への不満があります。訓読みに対応した音熟語が一覧・整理されたものがなく、個別に理解して覚えていくしかないのが現状だと思います。その解消の一助となればと思い、(現在、自己流での整理をし始めているのですが)、試行錯誤で公開しています。ご意見・情報などあればお待ちしています。
なお、回答は反転クリックすれば、すぐ見られるようにしてあります。参考までに、末尾に、解説や周辺知識等を記載しています。
当面、1級対象漢字から整理していきます・・・。

問題1 「乖」 ①乖舛(カイセン)ー乖(そむ)く  ②乖忤(カイゴ)ー乖(もと)る  ③乖隔(カイカク)ー乖(へだ)たる  ④乖覚(カイカク)ー乖(こざか)しい
問題2 「弐」 ①弐心(ニシン・ジシン)ー弐(うたが)う  ②儲弐(チョジ)ー弐(つ )ぐ ③大弐(ダイニ)ー弐(なら)ぶ
問題3 「亟」 ①亟行(キョクコウ) ー 亟(すみ)やか  ②亟遊(キユウ)ー亟(しばしば
問題4 「亢」 ①亢傲(コウゴウ) ー亢(たか)ぶる  ②亢扞(コウカン)ー亢(あ )たる ③亢鼻(コウビ)ー亢(たか )い  ④亢竜(有悔)(コウリョウ・コウリュウ) ー 亢(きわ)める 、亢(あ  )がる
問題5 「仍」 ①仍世(ジョウセイ)ー仍(かさ)なる  ②仍貫(ジョウカン)ー仍(よ )る  

<解説(周辺知識)>
問題1 乖:カイ、そむ(く)、もと(る)、へだ(たる)、こざか(しい)   *「そむく」「もとる」の音熟語はたくさんあります・・・乖舛(カイセン):そむきもとる。乖繆(カイビュウ):あやまりたがう。 乖歪(カイワイ):そむきゆがむ。乖悖(カイハイ):そむきもとる。=乖戻(カイレイ) 乖僻(カイヘキ):ねじけもとる 乖異(カイイ):たがう。乖背(カイハイ):もとりそむく、背馳する。乖叛(カイハン):そむく。乖差(カイサ):もとりたがう。乖忤(カイゴ):もとりさからう。乖散(カイサン):そむきて逃げ去る、離散する。乖濫(カイラン):そむきたがう。 ・・・「へだたる」の熟語は「牽攣乖隔(けんれんかいかく)」
の「乖隔」としました。 「こざか(しい)」の熟語がなかなか見つかりませんでしたが、大漢和に一つ、 「乖覚(かいかく)」:おませ なことの意というのがありましので、それを当てました。
問題2 弐:中学…ニ 準1…ジ、ふた、ふた(つ)、なら(ぶ)、つ(ぐ)、(うたが)う 
  *「二心(にしん)/弐心(にしん・じしん)」:(二つの心をもつ意から)① そむこうとする心。ふたごころ。「主君に―を抱く」 ②疑いの心。疑心。「儲弐(ちょじ)」:天子または貴人の世継ぎ。儲君。儲嗣(ちょし)。「大弐(だいに))」:大宰府の実質上の長官。弐が「周礼」の(注)に「副なり」とあるらしいので、ここでは「なら(ぶ)」の訓に対応するとしました。
問題3 亟:キョク、キ、すみ(やか)、しばしば   *問題の熟語以外に、「すみやか」の意の熟語: 「亟務(きょくむ)」・「亟疾(きょくしつ)」、「しばしば」の意の熟語:「亟問(きもん)」・「亟肄(きい)」など・・・。
問題4 亢:コウ、のど、たか(い)、たかぶ(る)、あ(がる)、きわ(める)、あ(たる) 
  *「亢傲(コウゴウ)」:たかぶりおごる 亢扞(コウカン)」:あたりふせぐ  「亢鼻(コウビ)」:故事・「豚の亢鼻」(荘子) 「亢竜有悔(コウリョウ・コウリュウ):高く上りつめた竜は下におりる他、行きどころ がなく後悔する、頂点を極めたもの は、必ず衰えるから驕り高ぶってはいけない意。「きわめる」「あがる」両方の意としました・・・。ホントは「きわめる」意と解していますが・・・。「亢」の熟語は他にも多数あり、割愛。
問題5 仍:ジョウ、ニョウ、よ(る)、かさ(なる)、しきり(に)、なお
  *「仍世(じょうせい):代々。累代。 「仍孫(じょうそん):自分より七代後の子孫。 子・孫・曽孫・玄孫・来孫・昆孫(こんそん)の次。
  *「仍貫(じょうかん)」:古い方法・習慣に従って今までどおりにする。(「論語」先進篇:「仍旧貫如之何旧貫に仍らばこれを如何」から) なお、「仍る(よる)」「仍に(しきりに)」に対応する音熟語は今のところ見当たりません。なお、「なお」に対応する音熟語もありませんが、中国語の「仍然(じょうぜん) 」で、「依然として」の意らしいので、これが「なお」に対応するかもしれません。また、「仍仍(じょうじょう)」:(そのまま。志を得ぬさま)という熟語もあるようですが、ちょっと訓読みとの関係は不詳。

では👋

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