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「漏洩、斎藤知事の指示の可能性高い」 前部長は停職処分
兵庫県の斎藤元彦知事らが内部告発された問題で、県の第三者調査委員会は27日、告発者の元西播磨県民局長(故人)の公用パソコン内にあった私的情報を県の前総務部長が県議に漏洩(ろうえい)したと認定し、漏洩が「知事及び元副知事の指示のもとに行われた可能性が高い」とする報告書を公表した。斎藤知事は第三者委の聞き取りに対し、「指示をしたことはない」などと説明している。
前総務部長は、昨年4月1日から同8月まで総務部長だった井ノ本知明氏(57)。斎藤知事の側近の一人だった。県は5月27日付で、井ノ本氏を停職3カ月の懲戒処分とし、発表した。
第三者委の報告書によると、3人の県議が昨年4月、印刷された元県民局長の私的情報がとじられたファイルを当時の総務部長から見せられたなどと証言。第三者委は、3県議が前総務部長の目的について「元県民局長の私的情報を暴露することにより、その人格や人間性に疑問を抱かせ、ひいては告発文書の信用性を弾劾(だんがい)する点にあった」と受け止めているとしたうえで、県議の説明については「一定の説得力がある」と評価した。
前総務部長は当初、第三者委に対して「私的文書を見せて回ったことはない。(県議の証言は)虚偽だ」としていた。だがその後、代理人弁護士を通じて弁明書を提出。3県議への面会を認めた上で、「情報共有の意図で口頭で伝えたことはある。ただし資料を開示してはいない」と主張した。さらに、そうした行為は、斎藤知事から「そのような文書があることを議員に情報共有しといたら」という趣旨の指示を受けたためだとした。
第三者委の聞き取りに対し、斎藤知事は指示を否定している。だが、前総務部長が知事から指示を受けたとされる場に同席していた県幹部や片山安孝前副知事が前総務部長の主張に沿う説明をしたことから「(前総務部長ら県幹部の)供述の信用性を否定することはできない」とした一方、「これと整合しない知事の供述は採用することが困難」とした。そして、第三者委は、前総務部長による漏洩が「知事及び元副知事の指示のもとに行われた可能性が高い」と結論づけた。
前総務部長による情報漏洩疑惑は、昨年7月に週刊文春が報じた。斎藤知事は週刊文春の報道後、情報漏洩について前総務部長らに確認したところいずれも関与を否定した、と同9月の定例会見で説明していた。県は同10月に第三者委を設置し、真偽を調べていた。
前総務部長は昨年10月、斎藤知事の内部告発問題を調べた県議会調査特別委員会(百条委員会)の証人尋問で事実関係を尋ねられ、「私は守秘義務違反と評価される違法行為は犯していないが、守秘義務違反に関係する質問なので証言は控える」「証言が手がかりとなって、守秘義務違反の嫌疑を受ける可能性がある」と証言を拒否していた。
第三者調査委員会の報告書(概要)
・兵庫県の前総務部長が、元西播磨県民局長(故人)の私的情報を県議3人に漏洩(ろうえい)した
・漏洩は、斎藤元彦知事及び片山安孝元副知事の指示のもと、県議会への「根回し」の趣旨で行われた可能性が高い
・漏洩の目的について、県議3人は「元県民局長の私的情報を暴露することで、その人格や人間性に疑問を抱かせ、内部告発文書の信用性を弾劾する点にあった」と受け止めたと説明。一定の説得力がある
・元県民局長の私的情報は、地方公務員法上保護されるべき「秘密」に該当すると解するのが相当
「議員に情報共有しといたら」
「知事の指示があった可能性が高い」。兵庫県の斎藤元彦知事らを内部告発した元西播磨県民局長の私的情報を前総務部長が漏洩(ろうえい)した疑惑を調べていた第三者調査委員会の報告書は、知事側近による漏洩を、そう結論づけた。
第三者委によると、井ノ本知明前総務部長はこう証言した。4月4日か5日ごろ、知事らを内部告発した元西播磨県民局長の公用パソコンに私的情報を含む大量の文書があったことを知事に報告した。斎藤知事はその場で、「そのような文書があることを、議員に情報共有しといたら」という趣旨の発言をした――。
ただ、斎藤知事は報告は受けたことを認めたが、「処理について何か指示をしたことはない」と否定している。
そこで、第三者委は発言の信頼性を検討。その場に同席していた前理事、報告を受けた片山安孝・前副知事の話が、前総務部長の話とほぼ一致することから、これと整合しない知事の供述は「採用することが困難」と判断。「知事の指示と同調する前副知事の指示により、議会会派の執行部に対し、『根回し』の趣旨で情報漏洩をした可能性が高い」と認定した。
前総務部長は4月中旬~下旬、元県民局長の私的情報を印刷したものを3人の県議に見せた。第三者委は、3県議が前総務部長の目的について「人格や人間性に疑問を抱かせ、ひいては告発文書の信用性を弾劾する点にあった」と受け止めているとしたうえで、県議の説明については「一定の説得力がある」と評価した。
前総務部長は当初、第三者委の調査に対し、県議に私的情報を見せたことを否認。昨年10月の県議会調査特別委員会(百条委員会)の証人尋問では、「(この場での)証言が手がかりとなって、守秘義務違反の嫌疑を受ける可能性がある」と証言を拒否していた。知事や前副知事の指示についても話してこなかったが、今年2月になって県人事課に弁明書を提出。「上司の指示に基づき正当な業務を行ったにすぎない」などと主張を変えたという。
第三者委はこの「正当業務」であったかについては、「知事らの指示自体の違法行為が問題となることはあっても、漏洩行為の違法性阻却事由には該当しない」とした。
一連の問題で、斎藤知事は昨年3月20日に匿名で報道機関などに送られた告発文書を入手。翌日、側近の片山前副知事らに作成者を特定するよう指示を出した。同25日には片山前副知事が元県民局長から事情聴取し、公用パソコンを押収。私的情報は人事に関する調査で見つかったものだ。
これらの対応について、知事自らが設置した告発文書の真偽を調べた第三者調査委員会は今年3月、「告発者捜し」に当たり、公益通報者保護法違反だと指摘したが、斎藤知事は「適切だった」と受け入れていない。
兵庫・前部長の情報漏洩疑惑とは
今回の情報漏洩(ろうえい)疑惑は、兵庫県の斎藤元彦知事らを内部告発した元西播磨県民局長の公用パソコンから見つかった、告発とは無関係の私的情報を前総務部長が漏らしたというものだ。昨年7月に週刊文春が報じ、前総務部長が私的情報を印刷してファイルにとじ、県議や県職員に見せて回ったと指摘した。
この問題は地方公務員法の守秘義務違反にあたる可能性があるとして、内部告発を調べる県議会の調査特別委員会(百条委員会)でも取り上げられた。前総務部長は昨年10月の尋問で事実関係を問われ、「違法行為は犯していないが、守秘義務違反に関係する質問なので証言は控える」などと説明した。
だが、昨年12月に百条委が行った聞き取り調査で、山口晋平県議(自民)と迎山志保県議(ひょうご県民連合)が、前総務部長から昨年4月に「ファイルを見せられたり、読み上げられたりした」という趣旨の証言をしていた。百条委は今年3月にまとめた調査報告書で、前総務部長の行為を「元県民局長をおとしめ、告発文書の信頼性を毀損(きそん)しようとした。告発者つぶしと言われかねない」と指摘。県として刑事告発も含めて適切に対応するよう提言した。
一方、斎藤知事は記者会見などで、前総務部長らに漏洩の有無を確認したところ「(漏洩を)否定している」などと説明。第三者委員会の調査結果を待って、対応を検討するという考えを繰り返し示していた。
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兵庫県の内部告発文書問題
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