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ホテリアー


2005.8.23UP

*** 管理人のドンヒョク的レビュー ***

◆登場人物一覧      ◆ソウルホテル全体図


幻の19話(2003年10~11月頃、MBCのサイトに掲載されていた台本)
 他の回のシーンが少しずつ混じっていたりして、実際に放送されたものと比べると面白いです。ドラマティックな展開で見ごたえのあるシーンばかりなので、実際に放送されたものよりこの方がよかったんじゃ……(^^;)

 重要だと思われる部分をモッチンオンマさんに逐語翻訳していただきました(***で囲った紺字の部分。赤字の注釈も含む)。あらすじ部分は自動翻訳にかけた訳文を私がまとめて、モッチンオンマさんに確認していただいたものです。
#レストラン
ドンヒョクが指輪を見せてジニョンにプロポーズ。ジニョン、ためらいがちに指輪をはめてもらい、求婚を受ける。

#オフィス
ジニョンの指輪を見て、スンジョンやハウスキーパーたちが騒いでいる。そこへテジュンが通りかかる。気まずい表情のテジュンとジニョン。

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#屋上
ふ~っ……タバコの煙を吐き出すテジュン。
離れたところからチラリと眺めるジニョン。

テジュン: 結婚だって?
(一度視線を合わし、また外して)いつだ?

ジニョン:来週……。

テジュン:(驚いてまたジニョンを見て)来週? そんなに早くか?
(呆気に取られて口を開いたまま、次の言葉が出ない)

ジニョン:テジュンシ、私に言ったじゃないの。誰でも自分の幸せを求める権利があるって。
ドンヒョクシとの結婚が私の幸せなら、誰がなんと言おうと気にせずに、その人のもとへ行けって。

テジュン:ホテルがもうちょっと安定した後でも 遅くないんじゃないのか。まだホテルはごたごたしてるし、おまけに社長まで……。

ジニョン:(見る)社長? 社長がどうしたの?

テジュン:(見て)いや、なんでもない。

ジニョン:知ってるわ。社長も私の結婚を知れば、きっと失望なさることくらい。やはり女は当てにならない……そうでしょ。

テジュン:お前、どうしてそんなに急いで結婚するんだ?

ジニョン:(うなだれて)そういうことになったの。

テジュン:お前、こんなふうになってて、どうして俺に戻って来いなんて言ったんだ。
アメリカでそのままほっといてくれればよかったよ。
なぜ連れ戻して、こんなに苦しい思いをさせるんだ。
お前はシン・ドンヒョクのところへ行き、俺だけ残ってホテルを守れというのか?
おまえ 俺がホテルのことしか知らない男だと思っているのか? えっ、そうなのか?

ジニョン:テジュンシ。

テジュン:俺にとってのソウルホテルは、お前がいてこそ意味があった、ということがなぜ分からない!

ジニョン:(身を硬くしてテジュンを見る)

テジュン:(胸が痛くてそのまま向こうを向いてしまう)

ジニョン:テジュンシ、そんなこと言わないで。
(テジュンの後ろ姿を見る)テジュンシ、私のこと好きだと思ってくれるなら、私たち、いい友達として、私が……安心して行けるようにしてはもらえないかしら? ね?

テジュン:(見る。拳を強く握り締める。どうしていいのかわからないという目線)

ジニョン:(見る)

テジュン:(ため息とともにジニョンを見る)

向き合い、ぶつかる視線。
テジュン、そのままジニョンを置き去りにする。
ジニョンの後で遠くなるテジュンの姿で。
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#社長の会議室

ドンヒョクは社長とテジュンを呼び出し、キム会長が持っていた株を全て自分の名義に替えたと告げ、もうソウルホテル引受合併の仕事はせず、これからは株主として力になりたいと話す。そして、来週、ダイアモンドヴィラの庭園でジニョンと結婚式を挙げると言う。

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#ダイアモンドヴィラの庭園
ドンヒョクの先に立って歩いていくテジュン。
その後ろを歩くドンヒョク。
テジュンはこみ上げる怒りを抑え、歩きながら名札を上着の胸ポケットにねじ込み 上着も脱いで放り投げる。
ネクタイも外して横に放り投げ 腕まくりをする。
ドンヒョク、いぶかしげに近づいてくる。

ドンヒョク:僕になにか言いたいことがあったんじゃないんですか?

突然、ガツン! ドンヒョクの顎めがけて一撃を与えるテジュン。
ドンヒョク、ドスンと後ろに倒れる。
突然の襲撃に訳がわからずみつめるばかり。

テジュン:(その前を行ったり来たりしながら)起きろ!

ドンヒョク:(テジュンをみながら顎をさすってフッと笑う)

テジュン:起きないのか! 起こしてやろうか。

ドンヒョク、テジュンをみつめたまま起き上がる。
立ち上がり、眼鏡を上着のポケットに納め、ゆっくりと上着を脱いで遠くへ放る。
ネクタイを緩める振りをしながら、振り向きざまにテジュンの顎を一撃。
よろよろと後によろけるテジュン。
ふたり、向かい合って殴りあいを始める。
一方が一発殴ればもう一方も負けじとばかり一発殴り、そうやって殴り殴られが続く。

テジュン:この悪党め! そのためだったんだな!
ホテルを諦めるという条件を持ち出して、ジニョンに言い寄ったのか?
この卑怯者め! (ガツンと食らわす)

ドンヒョク:(まともに食らって後へよろめく。なんとか支えて)
安心しろ、ハン・テジュン。そうじゃない!
取引じゃなくて、一方的に僕がしがみついてるんだ。
メンツ、見栄、ポーズなど全部捨てて、無条件に僕がしがみついているんだ。
どうか僕の元に来て欲しいと。
(注:この<しがみついている>は、原語は つるされる ぶら下がる つながれる 取りすがる などの意味です)

テジュン:(ハアハア肩で息をしながら見る)

ドンヒョク:実を言えば自分の実力で充分にジニョンさんを振り向かせられると思っていた。
ところがソ・ジニョンという女性に通じるのは真心しかないんだとわかったよ。
だから本気でしがみついているんだ。
僕は彼女でなければならない。それだけだ。

デジュン:この野郎(ガツンと殴る)

ドンヒョク:(まともに当たって倒れる)

テジュン、飛びかかって馬乗りになり、さらにまだ殴る。
最後の一撃を加えようと拳を振り上げた瞬間、手が止まる。
ドンヒョク、これ以上反撃する気持ちはなく、されるがままになっている。

テジュン、激しい息づかいでドンヒョクを見る。
ドンヒョク、やはり激しく息をしながらテジュンを見る。
テジュン、ハアハアと荒い呼吸でゆっくりと後に下がって座る。

ドンヒョク:(横たわったまま)これ、知ってるか? 僕が君を本当に嫉妬して憎らしく思っていたのを。

テジュン:……。

ドンヒョク:ものごころ付いて以来、これほど何回も僕に敗北感を抱かせてくれたのは君が初めてだよ。ジニョンさん、ホテル、そして妹のジェニーのことまで。

テジュン:……。

ドンヒョク:正直言って、僕は君が嫌いではない。僕たちはまるっきり違って見えるけど、実は似ている点も多いとわかったよ。一人の女性を愛することから始まって、どんなゲームでも負けるのが嫌いという点まで。

デジュン:……。

ドンヒョク:もし僕たちが別の状況で出会っていたら、友達になれただろうか……。

テジュン:(見る)

ドンヒョク:(ゆっくり立ち上がり、上着を拾う。振り返って)
ありがとう。妹のジェニーを助けてくれたこと。
あとできっとこの借りは返すから。

(そう言うと、向こうを向いて背中をみせる)

テジュン:(その背中に向かって)最後にひとつだけ聞いてもいいですか?

(注: ここまでドンヒョクは一部をパンマルで話し、ここからテジュンは丁寧語で話しています。
<ひとつだけ聞いてもいいか、ではなく、聞いてもいいですか、> ホテルマンと客に戻ったのでしょうか?)


ドンヒョク:(振り返って)

テジュン:ジニョンを本当に愛しているのですか。

ドンヒョク:僕が愛しているといえば、僕を信じて彼女を渡してくれるのですか。

瞬間、胸の奥に刃が刺さったような鋭い痛み。
テジュン、表情をなくして見る。
ドンヒョク、そのまま背中を見せて立ち去る。
力なくその場に座り込むテジュン。

ドンヒョクとの因縁もこれで終わりか……。

寝転がったテジュンの姿で
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#花の見えるベンチ

社長はジニョンに結婚を祝福し、結婚祝いを渡して、休暇に入れと言う。

#廊下
傷だらけのテジュンとすれ違うジニョン。あいつと結婚して本当に幸せになれるのかと確認され、なれるよう努力すると答えるジニョン。それならいいと去ってゆくテジュン。

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#ウェディングドレスショップ
結婚式用の礼服を着たドンヒョク(唇の端にテジュンに殴られた小さな傷)、シンプルながらいかにも高級そうな礼服で鏡の前に立つ。
鏡に映る姿をしげしげと眺めていると、後から呼ぶ声。

ジニョン:ドンヒョクシ。

ドンヒョク:(鏡を見ていたが一瞬動きが止まり、ゆっくりと振り返れば)

恥ずかしそうに微笑み、ウェディングドレスを身に着けた輝くようなジニョンがそこに立っている。
ドンヒョク、満足げな表情。ゆっくりと近づく。

ジニョン:ちょっとヘンじゃないですか? ウェディングドレスを着るのは初めてだから。

ドンヒョク:(笑)2度着る人がどこにいますか?


ジニョン:肩が出すぎのようだし、ラインも派手っぽいし。別のものを着てみましょうか?

ドンヒョク:いいえ、今のがきれいです。とてもきれいですよ。

ジニョン:(ぎこちなく笑う)

ドンヒョク:幸せにします。僕と出会ったことを決して後悔はさせません。
誰よりも幸せにしてみせます。

ジニョン:(見る)

ドンヒョク:僕を……信じるでしょ?

ジニョン:(うなずく)

ドンヒョク:(ジニョンの腰をしっかり抱き寄せ、キスする)

ジニョン:(始めは当惑していたが、ゆっくりと眼を閉じる)

周りの人たち、オモオモといいながらも好意的に眺める。
ドンヒョク、ジニョンに長い口づけをする。
ジニョン、ドンヒョクの首をしっかりと抱え込む。

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#ゴルフ練習場
ドンヒョクがソウルホテルの支配人と結婚すると聞き、そのせいで自分を裏切ったのかと憤るキム会長。

#総支配人室~ロビー~オフィス
ジニョンを探して歩くテジュン。オフィスへ行くが、スンジョンからジニョンは結婚準備のため休暇に入っていると聞き、出て行く。

テジュンが去った後、同情して見送るスンジョンにオ支配人は、ジニョンがシン・ドンヒョクを選んだのはお金があるからだと言う。あなたの基準はお金だけなのねと呆れるスンジョン。そこからいつものように口喧嘩になる。
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オ・ヒョンマン:なんの話です? むしろ僕のような人間が純粋な恋をするんですよ。
裏表のない男ですからね。

スンジョン:そうでしょうとも。 単純、無知、過激、直線的……。

オ・ヒョンマン:僕が女性に対してどんなにやさしいか……。

スンジョン:さぞやお優しいことでしょうよ。
誰なんでしょ。オ・ヒョンマン氏のお嫁さんの未来は明るいわね。ほんと!

オ・ヒョンマン:一度嫁に行ってから、そんな口をきいたらどうです?

スンジョン:(ギッと睨んで)何ですって? それどういう意味なんです!

オ・ヒョンマン:韓国語がわからないんですか?
英語で言いましょうか。Would you marry me?

スンジョン:(瞬間、口をポカンと開けて見る。見ながら首を激しく振って)
頭がヘンになりそう。耳を洗ってこなきゃ。
(そう言うと、無視したままバッグを取り上げ、出て行ってしまう)

オヒョンマン:(見て、プッと笑う)

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#カサブランカ
ジニョンの思い出にふけるテジュン。
回想シーン。
どうやったら君を忘れることができる? こんなにも思い出が多いのに。

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#ダイアモンドヴィラの庭園
野外結婚式用にセッテイングされた庭(派手にならぬよう簡素に)。
両側に置かれた椅子。
花嫁側にはホテルの制服を着たイ主任と厨房チームの人たち、ユ・チーム長と飲食チームの面々。そしてインスン、クムスンのアジュンマコンビ。
花婿側にはドンヒョクの父と妹のジェニー。

#ダイアモンドヴィラ内の一角
ウェディングドレスをまとったジニョン(華美でなくシンプルなデザイン)。
ドキドキと震えそうな気分で座っている。
スンジョン、横であれこれと世話をしてくれる。
その前に現れたユン社長。

ジニョン:社長。

社長:本当にきれいだわ。

スンジョン:そうでしょう。写真とりましょうか?

社長:そうね。そうしましょう。
(横に立って写真を撮る。光るフラッシュ)

#ダイアモンドヴィラ 別の一角
新郎の礼服姿で立ち、鏡を覗き込むドンヒョク。
横でそれを眺めるレオ。

レオ:どうした? ふるえてるのか?

ドンヒョク:少し。

レオ:ボスがそんなに緊張しているの、始めてみたよ。

ドンヒョク:(笑  時計を見る)

レオ:まだ主礼
(※結婚式の媒酌人)が到着していない。もう少し待たないと。

ドンヒョク:(振り返る目線で)

#ロビー
ずっとこちらに歩いて来ながら状況を把握するテジュン、時計を見る。
胸が痛い様子でぐるりと見回すその前に、背広姿で現れる料理長、フレーム・インとなる。

テジュン:(目が合う)

料理長:ここで何してる? 行かないのか。

テジュン:(視線を移して)30分もすれば日本からの団体客が到着します。
そのチェックもしなければならないし……それに――

料理長:見なければ心の平和が保てる、というわけか。

テジュン:……。

料理長:どの道、見送ると心に決めたことだろ。遠くからでも祝ってやれ。

テジュン:(視線を移す)

#ダイアモンドヴィラ(花嫁側の一角)
緊張しているジニョンの顔。

#別の一角(新郎側の一角)
時計を見るドンヒョクの顔。

#ダイアモンドヴィラ前
到着するホテルの車。
降りてくる料理長とテジュン。
テジュン、ダイアモンドヴィラをぐるりと見回す。料理長、彼の背中を優しくたたく。
二人、ゆっくりと中に入ろうとするが、その時、後に騒々しい音を立てて停まる黒い乗用車が2台。
中から降りてくる私服警官数名とパク検事。
テジュンと料理長、何事かと振り返る。

テジュン:お客様、何のご用でしょうか? ここは今日は結婚式の予約になっていますが。

パク検事:アメリカから来たM&A専門家シン・ドンヒョク氏がここにいる、という情報があったが、そうですか?

テジュン:はい、そうですが……。

パク検事:行くぞ。

そう言いながら私服警官たちと共に中に走りこむ。

テジュン:(驚いて振り返る)

#ダイアモンドヴィラ内(新郎側の一角)
中に入ってくるレオ。

レオ:ボス、用意はいいか。主礼が到着したそうだ。

ドンヒョク:(見る)

#ダイアモンドヴィラ内
両側から現れるウェディングドレス姿のジニョンと礼服姿のドンヒョク。
ドンヒョク、幸せそうな表情でジニョンを見る。
ジニョンもドンヒョクを見る。
二人、ゆっくりと歩み寄る
一歩、また一歩とお互いに向けて近づいて行く。

まさにその時、二人の間にダーッと飛び込んでくる私服警官達。
最後にフレーム・インとなるパク検事、ドンヒョクを見つめながら、

パク検事:シン・ドンヒョクさんですね。

ドンヒョク:(振り返る)

レオ:何の……用ですか?

パク検事:不法株式売買及び不法作戦勢力嫌疑で逮捕します。

ドンヒョク:!(見る)

ジニョン:(驚いて見る)ドンヒョクシ。

社長:え、いったい何の真似ですか! この人たちが今結婚式なのが眼に入らないのですか?

しかし、検事は目もくれず、ドンヒョクに手錠を掛ける。

ジニョン:ドンヒョクシ!(近寄ろうとするが)

私服警官たちが阻止してドンヒョクを連れて行く。

ドンヒョク、ジニョンを見つめる。
ジニョンもドンヒョクを見つめる。

#ダイアモンドヴィラ庭園
ざわめく祝賀客たち。
ジェニーとドンヒョク父も異様さを感じて中をのぞく。

#再びダイアモンドヴィラ内
駆け込んでくるテジュンと料理長。

スンジョン:総支配人、なんとかしてください。

テジュン:(ジニョンを見る)

ジニョン:(見返すが)

テジュン:(ジニョンを背でかばい、警察を阻止しようとする)ちょっと待ってください。
逮捕するにしても式が終わってからでいいでしょう。

パク検事:公務遂行妨害罪で同行しますか。

テジュン:何だと!(睨む)

ドンヒョク:いいんですよ。ハン・テジュンさん。

テジュン:(見る)

ドンヒョク:(ジニョンを振り返る)

ジニョン:(呆然と見つめる)

うなだれたまま検事、警官達に引かれていくドンヒョク。
ジニョン、持っていたブーケをその場に落とす。

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#オフィス
今日のことを嘆き、ジニョンを慰めるために何かしようと口々に話す従業員たち。

#ダイアモンドヴィラの庭園
一人で呆然と座り込んでいるジニョン。「ちょっとは落ち着いたか」とテジュンが声をかける。ジニョンはドンヒョクがどうなったか調べてと頼む。

#ゴルフ練習場
ホテルに辞表を出したと父親に告げに来るユンヒ。キム会長は娘に留学書類を渡し、ホテルのこともハン・テジュンのことも忘れろと命令する。ドンヒョクを陥れる書類をボディガードのジョンに検察へ届けさせようとするキム会長。ユンヒは友達に会うと言って留学書類を持って去る。

#プールバー
ヨンジェとウンジュがユンヒのためにささやかな送別会を開いている。今日の結婚式の話をする3人。ウンジュがユンヒの留学書類を見ようとして、それが違う書類であると気づく。

#検事の事務室
書類を見て驚く検事。ジョンに問いただす。書類が入れ替わっていたのだった。

#ゴルフ練習場
キム会長に殴られるジョン。会長は今すぐユンヒのところへ行って書類を取り返して来い、と命ずる。

#サファイアヴィラ
レオに書類を渡すユンヒ。ドンヒョクには借りがある。それを返すのだと言う。

#ユンヒの部屋
キム会長が待っている。ドンヒョクに書類を渡してきたと答えるユンヒ。怒る父に、自分が望んで連れてきた人をそんなふうに陥れるのはひどすぎると非難する。他人の思惑など気にせず、実利のある方を選ぶものだと答えるキム会長。ユンヒはそんな生き方しかできない父親を哀れむ。ソウルホテルをそっとしておいて欲しいとユンヒが頼み込んでも聞き入れず、キム会長は手形を回してしまう。

#オフィス
今日中になんとかしなければホテルは不渡りを出してしまうと焦るテジュンとオ支配人。銀行に明日まで期限を延ばしてくれと電話をしたり、マスコミに漏れないようにと手を尽くす。

#ジニョンのアパート
ジニョンはジェニーと一緒に、ドンヒョクがテレビに出る姿を見る。

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#居間
TV画面に流れるドンヒョクの姿。やつれた表情でレオに案内されながら階段を下りてくる。その周りを記者たちが取り囲む。

アナウンサーの声:アメリカでM&Aを専門にするシン・ドンヒョク氏がソウルホテル引受合併過程で不法株式売買と不法作戦勢力嫌疑を受けて昨日拘束されましたが、証拠不十分で今日の午後釈放されました。シン・ドンヒョク氏は……(コメントが続く)。

ジェニー:オンニ、兄さんが釈放されたんでしょ? そうなんでしょ?

ジニョン:(見る。すぐに立ち上がり、部屋の外へ駆け出していく)。

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飛び出して行こうとするジニョンだったが、ソウルホテルが第一次の不渡りを出したというニュースに、再びTVの前に座る。

#レオが運転するジャガーの中
疲れきったドンヒョクが乗っている。ラジオでソウルホテルが不渡りを出したニュースが流れる。

#サファイアヴィラ前
ドンヒョクはヴィラの前で待っていたジニョンを見つける。駆け寄ってドンヒョクに抱きつくジニョン。ジニョンは彼のやつれた表情を気遣う。ジニョンに会えてホッとするドンヒョク。

#シャワー室
シャワーを浴びるドンヒョク。何か思いつめている。

#ヴィラの居間
ホテルのことを心配し、スンジョンに電話をかけてテジュンの様子を訊くジニョン。そんな彼女にドンヒョクは無言で自分の部屋へ行き、レオにキム会長のことで調べて欲しいことがあると電話をかける。

#ロビー
ジョンに護衛されてキム会長が入ってくる。

#会議室
債権団とキム会長に資金援助を頼む社長とテジュン。債権団を代表し、資金援助をするかどうかは社長の見せてくれる努力次第だと答えるキム会長。

#社長室
キム会長の狙いは社長の持っている株だと話す社長とテジュン。胸痛に苦しむ社長。入院しなくてはとのテジュンの勧めにも頑として首を縦に振らない。

#玄関
社長が株を手放したらすぐに買い受けろとジョンに指示を出すキム会長。車に乗り込み出発しようとするが急ブレーキがかかる。見ると車の前にレオが立っている。ドンヒョクが会長に会いたいと言っていると告げるレオ。一度去った人間には関心はないと答えるキム会長だったが、レオはボスはあなたを陥れる切り札を持っていると言う。

#サファイアヴィラ
ジニョンに聞かれないよう、ドンヒョクとレオは、明朝5時、ゴルフ練習場でキム会長と会う手はずを整えたという話をする。

#ジャガーの中
黙ったまま運転しているドンヒョク。そんな彼を見ているジニョン。

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#近郊
(景色がそれらしいところ) 
車の横に並んで寄りかかり、河を見ている。
ジニョン、風の匂いをかごうというしぐさで空を仰ぐ。
ドンヒョク、そんなジニョンを見る。
また川面に視線を移して。

ドンヒョク:ごめんなさい。ジニョンさん。

ジニョン:何がですか?

ドンヒョク:僕のせいで、たいへんな思いをしたでしょう。
僕に出会ってから、いいことより嫌なことの方が多かったようですね。
それで申し訳なくて。

.ジニョン:なんであれ、そう簡単に自分の思うようにはならないものです。
自分が欲しいものを掴み取るためには、あれくらいの痛みや困難はついてまわるでしょう。
(ドンヒョクを見て)愛とは……そういうものではないかしら。

ドンヒョク:(川面に視線を投げたまま)僕を……許してくれるのですか?

ジニョン:(にこっと笑って)これから私にしてくれることを見てから決めます。

ドンヒョク:(じっと見ていたが、横に立つジニョンの手を握り)
ありがとう ジニョンさん。
僕によくしてくれて。そして、僕を愛してくれて。

ジニョン:どうしてそんなことを?
まるで遠くへ行く人がする最後の挨拶みたいじゃないですか。

ドンヒョク:(どこか寂しそうな微笑)ただ、そう言ってみたくて。
(そしてまた視線を川面に戻す)

ジニョン:(ドンヒョクを見る視線で)

並んで、溶けていく夕焼けを見つめるドンヒョクとジニョンの姿。

#ジニョンのアパート前
一緒に車から降り立つドンヒョクとジニョン。

ジニョン:(振り返って)久しぶりに楽しいドライブでした。

ドンヒョク:そうだったらうれしいです。

ジニョン:じゃ、ここで。運転気をつけてね。

ドンヒョク、うなずく。ジニョン、背を向けて行きかけると、

ドンヒョク:ジニョンさん

ジニョン:(振り返る)

ドンヒョク、瞬間激しい感情に襲われてジニョンに歩み寄り、突然抱きしめる。
ジニョン、わけがわからずドンヒョクを見る。
ドンヒョク、何かの感情を押し殺したまま、ジニョンを抱いている。
ジニョン、ドンヒョクがすまなさのためにそうするのだと分かり、一緒に抱き合う。

ジニョン:私は大丈夫よ。結婚式は またいつでもできるじゃないの。
ドンヒョクシさえ大丈夫なら……私も大丈夫。
だから、もう申し訳ないなんて思わないで。

ドンヒョク、なぜだか、もっと狂おしくなるようだ。
しばらくしっかりと抱きしめてから、ゆっくりと放し、ジニョンを見る
ジニョン、ドンヒョクを見る。にっこりと微笑んでやり、

ジニョン:ああ、だめだわ。今日はドンヒョクシが先に行ってください。
後で見送ってあげるから。ね?

ドンヒョク:(見る)

ジニョン:さあ、早く。 

ドンヒョク、見る。そしてゆっくりと車に乗り込む。
エンジンをかけ、サイドミラーでジニョンがこちらを見ている姿を見つめる。
ジニョン、笑ってくれる。
その瞬間、ドンヒョクの眼にたまる涙。

ドンヒョク:(独り言をいうように)お元気で……ジニョンさん。

何も知らないジニョン。見ているうちにドンヒョクの車が発進する。
遠ざかるドンヒョクの車を見送るジニョンの顔で。

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#サファイアヴィラ
検察の車が到着し、検事と警官たちが降りて中に入る。他のヴィラへのサービスの帰り、それを見かけるヒョンチョル。

#総支配人室
テジュンに結婚式でドンヒョクを連れ去った検事がまた来ていたと話すヒョンチョル。いぶかるテジュン。

#サファイアヴィラの中
ドンヒョクの胸に盗聴装置を装着する警官たち。ドンヒョクにキム会長の不正行為を録音するよう念を押す検事。そうすればキム会長を逮捕できるのかと尋ねるドンヒョク。


 脚本はここで終わっているのですが、最後の行にパク検事の名前だけが書いてあるので、書きかけのものだったのかもしれません。

 読めば読むほど、実においしいシーン満載の台本ですね。テジュンとドンヒョクの殴り合い、ジニョンとドンヒョクのキスシーン(しかもウェディングドレスとタキシード姿)、結婚式で逮捕されるドンヒョク、視聴者サービス(笑)のシャワーシーン、キム会長との対決前、死を覚悟し、ジニョンに心の中で別れを告げて激しく抱擁するドンヒョク……。
 もったいない。実にもったいない。なんで映像化されなかったんでしょう。ホテリアーの七不思議です。

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