「〜♪」
エレンは上機嫌に飴を舐めながらカズを尻尾でホールドし通学路を歩く
まるでコイツは自分のモノだと言わんばかりに
そしてカズはと言うと……
「うぅ…///」
顔を真っ赤にして俯いていた
「ね、ねぇ…エレン?これやめない?」
「え?やだ。」
エレン即答である。
「やっぱり恥ずかしやめようよ…」
「絶対やめないけど?やめちゃったらカズはアタシのモノってアピールできないじゃん。」
「ほら、カズもっとこっち」
エレンはそう言うと尻尾でカズの腰をしっかりホールドする
もはやカズは逃げられない
エレンは満足そうに恥ずかしがっているカズを愛でながら通学路を歩く
「おーい!エレン!!」
「あ、ルビー」
「私達もいるよ。」
「モナも凛もおはよ」
後ろから追いついてきたのかルビー達御一行が合流してきた
そしてエレン達を見てルビーが呆れながら口を開く
「にしてもエレンも大胆だねぇ…お嫁くんを尻尾でホールドしながら歩くなんて」
「いーじゃん別に。カズはアタシの嫁だし。ね?カズ。」
エレンはそう問いかける
「え…?ぼくがお嫁さん…?ぼく…エレンと付き合ってないよ?」
とカズは答える
凍りつく場……
「「「は…?」」」
そしてルビー、モナ、凛の声が重なった…
「お嫁くんさぁ…それマジで言ってる?」
「…?うん!」
「だってエレンにはぼくなんかよりももっと良い人が出来ると思うし!」
「はぁぁぁぁぁぁ」
ルビーは大きなため息をつく
そしてエレンに聞こうとした時だった……
「ひっ…!」
「え、エレン…?」
「あぁ…ルビー…モナ達と先に行ってて。アタシちょっと寄り道してから学校行くわ」
「う、うん…」
「ほら、行こ!行こ!」
そして……ルビーと別れたエレンとカズはというと……
「カズ…今の発言ってどういうつもり…?」
先程の上機嫌なエレンとは違い腹の底から低くて凍りつく様な声でカズに聞く
「…?」
「どうも、ぼくなんかじゃカッコよくて超絶カワイくて学校の人気者のエレンと釣り合わないし……」
「エレンだったらもっと良い人見けるのにぼくがお嫁さん扱いされてるのもなぁって思って……」
「ふーん………。わかった。」
エレンは激怒した。この大馬鹿者を懲らしめなくてはならないと決心した
そしてエレンは尻尾でホールドしていたカズを抱きあげ学校とは反対方向に歩き出す
「え、?なんで?」
「エレン…?学校反対だよ?」
カズは困惑しながらエレンに言う
「……」
しかし怒ったエレンはなにも返さない
そしてカズはエレンによって路地裏に連れ込まれてしまう……
「エレン…?学校は…?」
「ねぇ…?……ひっ!」
カズはエレンに押し倒される
「カズ……アンタがアタシのお嫁さんって事…徹底的分からせるから……」
目に光の無いエレン
非力なカズが勝てるはずもなく……
ここから先はお察しの通りカズはエレンによって徹底的わからせられたのであった
そして…2人が教室についたのは2限が終わる手前頃…
腰砕けでキスマークと噛み跡だらけのカズを抱き寄せてるエレン。
全てを察するルビー達であった……
そして午前中の授業が終わり………
「はぁぁぁぁぁぁ疲れたぁぁぁ!!!」
「もう疲れたの?ルビー」
「あたしはエレンと違って1限からちゃんとうけてるもーん」
「ふーん。アタシとカズが教室に入って来たとき少し寝てたのに?」
「うぐ…」
ルビーはエレンに痛いところを突かれる。そしてニマニマしているエレン
因みにカズはエレンの膝の上で抱きしめられている
「というかルビー購買行かなくていいの?パイナップルパン売り切れるよ?」
「ああ!そうじゃん!急いで行かないと!」
「というかエレンは購買行かないの?」
「アタシはカズが作ってくれた愛妻弁当があるから。ね?カズ。」
エレンは勝ち誇った顔でルビーに言う
そしてカズは……
「ひゃい……ぼくはエレンのお嫁さんです……」
虚ろな目でエレンの腕の中に収まっている……
「うわ……エレン…お嫁くんになにしたのよ……」
「アタシのお嫁さんって事を徹底的にわからせた。」
「えぐ……」
流石のルビーも引いた
「というか長話してて良いの?」
「そうじゃん!ちょっと購買行ってくる!」
「待ってて!あたしのパイナップルパン!!!」
ルビーは叫びながら購買に向かっていった
「うぅ…あたしのパイナップルパン………」
「まぁまぁ…」
「そういうときもあるって…」
しょぼくれるルビーを励ますモナと凛
「お腹すいたぁぁぁ……エレンお弁当わけてよぉぉ」
「え?やだ。」
「なんでよぉぉ!!!友達のよしみで!ね?!」
「卵焼きでもいいからぁ……」
「ルビー足にしがみつかないで……さっきも言ったじゃん… ア タ シ のカズの愛妻弁当なの。」
「だからダメ。全部アタシのモノ。」
「そんな〜!!!」
「エレン独占欲強くなったよね。」
「確かに…けど良いよね。一途に愛せるって」
「わかる!」
エレンとルビーを尻目に女子トークをしてる凛とモナ
そして……
(ぼく…ここにいても良いのかな………)モグモグ
とカズはエレンの隣で存在感を消しながらお弁当を食べていた
(エレンの尻尾…触り心地いいなぁ…)モグモグ
お昼を食べ終え、午後の授業も無事終わり帰りのホームルーム…
「という事で来週、進路の三者面談があるからこの手紙をしっかり親御さんに渡す様に。」
「んじゃ、解散!」
「どうしよ…」
ぼくは絶望した
進路に関する三者面談……ぼくにはエレンしか家族いないし……エレンも三者面談あるし………
相談がてらぼくはエレンに聞いてみる
「エレン、三者面談どうするの?」
「三者面談…?ツテがあるからそこに頼む。」
「oh…」
無事に轟沈した………
ほんとにどうしよ………
そんなことを考えながらぼくは久しぶりにバイトのシフトに入っていた………
「カズくん!!!!」
「リンさん…苦しいです……」
「カズくんカワイイ」
久しぶりのシフト…ぼくはリンさんに抱きしめられていた……
しかし抵抗する気もない……
頭の中は三者面談でいっぱいだ………
「はぁ…」
「カズくんお悩み?」
リンはカズを抱き締めながら彼に聞く
「はい…ちょっと悩みというか…があって……」
「ふーん。1回私に言ってみなよ?私なら解決出来るかもよ?」
そして悩みという言葉に釣られたのかアキラがひょこっと顔を出す
「確かに一度僕たちに言ってごらん?カズ。リンの言う通り僕たちなら解決できるかもしれない。」
「そーそー!お兄ちゃんの言う通り!私たちに言ってごらん?」
「わかりました…実は……………」
そしてぼくは店長たちに三者面談があること…そして自分にはその保護者が居なくて困っていることを伝えた………
「なるほどねぇ…三者面談かぁ……」
リンはカズを膝に乗せ彼の頭に顎を乗せながら呟く…
「ぼく…親族もいないんで本当に困ってるんですよね…ハハ………進路の話もあるしで…………はぁ……」
カズは困ったように言いため息をついた……
「あ!そうだ!」
「…?」
「カズくん!私がお姉ちゃんのとして三者面談出て上げようか!?」
「え…?」
「うんうん…我ながらいい案!ね!でしょ?カズくん!」
「ま、まぁ……」
「リン…カズが困っているじゃないか……リンじゃ心配だ。ここは兄として経験豊富な僕が行くべきだろう?カズ?」
「あー!お兄ちゃん!横取りしようとしないでよ!」
「いいや、横取りじゃないよリン。僕はあくまでもリンにカズを任せるのが心配なだけだよ。」
「それって私!信用されてないじゃん!」
「「ね!カズくん(カズ)!私(僕)どっちにする!?(んだい?)」」
「え、えぇ………」
カズは困惑した…………
「はぁ…リンさん…またビデオ仕入れたの…?品出しめんどくさいんだよなぁ………」
先程の三者面談の話はうやむやになり、ぼくはリンの膝から解放されビデオの品出しをしていた
「あれ…これ仮面ライダー世界に駆けるじゃん!これ好きなんだよなぁ……というか…最近…特撮のビデオ増えてない……?ぼくが好きな時代のやつばっかりだし……リンさんって…特撮好きだっけ……?」
「まぁ……いいっか!仕事…仕事…」
品出しを終え閉店時間まであと1時間……
ぼくは店内の清掃をしていた
店のドアが開く…
「いらっしゃいませ…」
お店に入って来た人はとてもでっかい狼の執事さんだった………
にしても…こんなでっかいんだ……少し身長分けて欲しいなぁ………
と考えていると執事さんに声を掛けられる
「店長様はいらっしゃいますでしょうか?」
うわ……すっごい丁寧な言葉使い………
「カウンター裏にいると思います。今呼んできますね!」
「お願い致します」
そうしてぼくは店長たちを呼び狼の執事さんはカウンター裏に入っていった……
というか…カウンター裏ってなにがあるんだろ…?
よく色んな人入って言ってるけど…ぼく入ったことないや……
「いいや、早く掃除終わらせよ…」
店内の清掃を終え数分後…
「それでは失礼致します。」
「ライカンさん気をつけてね」
さっきの狼の執事さんが店長達と一緒に部屋から出てきた…どうやら帰るらしい……
「カズくーん!!」
「うぇ?!」
リンさんが部屋から飛びついてきてぼくに頬ずりしてくる……
「プロ……店長様………」
「リン…………」
そこの2人…見てないでぼくを助けてよ………
「はぁ……なんか疲れた……」
無事に復帰最初のバイトを終えぼくは六分街の駅を目指し歩いていた……
ぐぅぅぅ
歩いているとぼくのお腹が鳴る……
「腹が減った……」
ラーメン屋あるけどなぁ………
「1人で食べたらエレン怒るだろうし……やめとこ……」
にしても…あのシリオンデカかったなぁ………
ぼくも身長150センチぐらいはほしい……
というか…ぼくの横通った時めちゃくちゃ頭抱えてたな……どうしてだろ……?
そんな事を考えながらカズはエレンの待つ暖かい家に向かっていった
「ただいま〜」
ぼくは家のドアを開ける
「カズ、おかえり。」
「むぐ!?」
家に入ると同時に出待ちしてたエレンに抱き締められる……
ぼくの顔は完全にエレンの胸に沈み込んでる……
「ほら…カズ、ぎゅーっ………」
あぁ…頭パチパチしてきた……安心する………
あれ……どんどん力強くなってきてない………?
「カズ……なんで他の雌の匂い付けてきてるの……?しかもこの匂い…………」
「はぁ……アンタ、店長とくっついてたでしょ?アタシの嫁なのに…………」
「浮気だよね?これ。」
ヤヴァい…エレンがブチギレてる……
ぼくは逃げようともがくが………
「ふーん…アタシから離れたいんだ………」
「絶対離さない」
そう言うとエレンは玄関にいるカズを抱き上げリビングまで連行する…
そしてソファに座りカズと向き合うように、彼を自分の膝に乗せ逃げないようにホールドした…
「カズ、なんで店長の匂い付けてるの?」
「気の所為じゃ…?」
「サメの嗅覚は騙せないから。言いなよ…言え…」
そしてエレンはカズから洗いざらい全て理由を聞く…
「という…わけで……」
「ふーん……アタシの嫁なのに?ベタベタされて抵抗しなかったんだ。お仕置きね。」
「へ……?」
「もっかい徹底的にカズはアタシの嫁ってわからせるから………」
「はむっ……」
「〜〜♡」
「ん……カズ、アタシが噛みついただけで…こんなとろとろになって………♡」
「可愛がってあげるから……♡」
「カズ…?アンタは誰のもの?」
「ひゃい…ぼくは…エレンのモノでひゅ……」
カズは息も絶え絶えになりながらエレンに寄りかかる
そしてエレンは彼を優しく抱きしめる……
「ひゃ…!」
「カズ、ほんとに抱き締められるの好きだよね?ほら、ぎゅーっ……」
「〜♡」
「かわいい…カズ…………」
「アンタは一生アタシのモノだから………絶対逃さないから………♡」
「わかったカズ……?」
「ひゃい……♡」
尻尾は上機嫌にゆらゆらと揺れる……
なんやかんや幸せそう2人であった………