ぼくの目の前には無数の瓦礫の残骸…………
そして…………無数の人だったもの…………
ぼくは走る。大切な人を探す為に
瓦礫を掻き分けて……………
エーテリアスから逃げ惑いながら………
ホロウに呑まれた新エリー都を掻き分けて走る
こわい。………エレンを喪うのが…………………
怖い
新エリー都探し回ってようやっと見つけたのに…………
『へ…………?え、えれん………?』
面倒くさがりだけど優しくて…………
冷たいふりして凄い友達思いで………
ぼくの大切な人は…………
エレンは…………
瓦礫の上で静かに倒れている。
『エレン!!!!!』
ぼくは急いで駆け寄る……けど……もう…………。
あの紅くて綺麗な目は……もう永遠に光を映すことは無いと告げる。
あの暖かくてぼくを包みこんでくれてたエレンはもう…………
ぼくは膝から崩れ落ちる。
冷たくなってしまったエレンを抱きしめてぼくは泣いた。
もう…………エレンがいない世界なんて………………
本当に世界は残酷だ………………
大切な人ばかり連れていく…………………
ぼくは無力だ……………
大切な人を守れやしない………………
絶対に喪いたく無かった大切な人……………エレンを喪ってしまった………………
そして…………ぼくは……………エレンを抱きしめて泣いてる時に後ろから…………エーテリアスに身体を貫かれて………………………
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「ひっ……」
目が覚めたぼくは布団をバサッと退け、起き上がる。
怖い。怖い。怖い。
大切な人を喪うのが怖い。
ぼくは急いでエレンを探す
暗くて目が利かない中、手探りでエレンを探す。
「いた……よかった…………」
気が動転しててすぐ見つからなかったけど……エレンはすぐ隣で、時々ぼくの名前を呼びながら寝ていた………
ぼくはエレンの胸に耳を当て彼女の心音を聞く。
たしかにエレンの心臓が鼓動しててエレンはぼくの隣でたしかに生きてて……………
あの夢みたいに冷たくない……ちゃんと温かい………
安心するとぼくは涙を止めることは出来なかった。
安堵。エレンを喪って無かったってことの安心感
ちゃんと温かいエレン…………、
ぼくは寝ているエレンに縋りついてわんわん泣いた
ぼくの目から出る涙は枯れる事を知らずどんどん溢れ出てくる
しばらくエレンに縋って泣いてると頭をポンポンと撫でられる。驚いて顔をあげると…………
「ふふwひっどい顔w」
エレンはぼくを見て笑う。
そしてエレンはぼくをぎゅっと抱きしめてくれる。
とても温かい。安心する……………
ぼくの背中をポンポン叩きながらエレンは
「ほら…アタシはここにいるから安心しな…?大丈夫。大丈夫。アタシは絶対…カズの前からいなくならないから………」
「ほんとう……?ぜったい……?」
「ほんと。アタシはカズの前から居なくならないよ。」
あぁ…安心する。エレンに抱きしめられて…エレンに頭を撫でられて…エレンに包まれて…………
ぼくはもう…………エレンがいないとダメなんだなぁ……………
どうか……神様……………
もうぼくから大切な人を取らないで下さい……………
エレン……ぼくを絶対離さないでね……………?
安心したカズはいつの間にかエレンの胸の中で意識を落としていったのだった
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「あっ…寝ちゃった……」
エレンはカズの頭を撫でながら呟く。表情は非常に穏やかだ。そしてエレンはカズを抱きしめながら寝ている彼のほっぺたをつつく。
「かわいい……」
アタシの腕の中で幸せそうに寝ているカズ…………
さっきまで大べそかいてたのにこんなかわいい顔して寝ちゃって………………
「ほんと…警戒心ゼロなんだから………」
エレンはカズの顔を優しく撫でながら…………
「あぁ…ほんと…かわいい………………」
先程まで穏やかな表情をしていたエレンはどんどん恍惚とした……何処かどろっとした感情が見え隠れするようなそんな表情をして……………
「ほんと…カズ…………あぁ……アタシ無しじゃ生きれないんだ………ふふ………アタシがいなくなる夢見てあんな大べそかくなんて……ほんと…かわいい………」
あぁ……アタシのかわいいカズ………………
アタシがいないとダメダメなかわいいカズ……………
「絶対に離さないから……………」
絶対に他の誰にも渡さない……………
アタシの大切なモノ………
絶対に……絶対に絶対に絶対に…………
「だから………どんどんアタシに依存して…………アタシの下から離れないでね………?」
アタシは優しくカズの頭を撫でる……
あぁ…幸せ………
こんなかわいいアタシのモノ………誰にも渡さない……………
「プロキシとあの治安官にはわるいけど…………カズは絶対に渡さないから…………」
「カズはアタシだけのモノ…………ふふ……」
「アタシが……絶対…カズを……マモルカラ………」
新エリー都を優しく包む月明かりはエレンの歪んだ笑顔を照らしていた………………
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静寂漂う宇宙………
冥王星より2万キロの空間点にて…………
一隻の突撃宇宙駆逐艦が高速で通過していく……
国連宇宙海軍所属
秋雲型宇宙駆逐艦
DD-524 巻雲
艦橋にて
「冥王星より1,9万キロの空間点。今だ敵影確認出来ず。」
艦橋員が艦長に報告。
「艦長…ここは凪いだ海です。」
「あぁ…副長。そうだといいんだがな………。」
すると艦橋観測員が叫ぶ!
「ここより3万キロの空間点より感あり!敵超弩級一、弩級三、巡洋艦、十三、駆逐艦、五十………敵主力艦隊です!!!」
「敵さんおでましか………」
「通信使!主力艦隊本隊へ電信!敵主力艦隊見ユ。位置、艦隊より4万キロの空間点!送れ!」
「は!」
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冥王星宙域より3万キロの空間点
宇宙戦艦三笠を先頭に宇宙を進む大艦隊。
国連宇宙海軍冥王星攻略艦隊だ。
敷島型宇宙戦艦2番艦三笠を旗艦に
最上型宇宙巡洋艦を12隻
秋雲型、旗風型宇宙駆逐艦を22隻
計35隻を擁する大艦隊が冥王星を攻略するため地球圏を抜錨していた
宇宙戦艦三笠艦橋………
「先遣艦巻雲より入電。敵艦見ユ、位置本艦から2時の方向、4万キロより近づく。」
「各艦艇、電波管制解除。電探、敵艦の識別急げ。」
「は!」
「長官……」
主力艦隊司令長官 沖田 和
「敵艦艇識別!メインモニター映します!」
メインモニターに敵艦艇の識別が映る
「敵超弩級1!弩級3!巡洋艦13!駆逐艦50!です!」
そして長官のカズは口を開き……
「各艦艇、地球司令部に通達!地球ノ興廃此一戦ニアリ!各員一層奮励努力セヨ。宇宙戦艦三笠より地球司令部へ打電。本日、曇リナレド波低シ。送れ!」
「は!」
司令部へ通信しようとしたその時だった……突然、三笠の船体が激しく揺れる!!
激しく揺れる船体。鳴り響くブザー
(一体なにが…………)
『……ズ……………』
『……カ………ろ………』
(なっ……なんの声だ…………?)
『………カズ………おきろ!!!!』
「わあ!!!」
ぼくは飛び起きる。
「あれ……?冥王星攻略艦隊は………?」
「何言ってんの?早くしないと遅刻。」
「マジ!?やばい!!!!」
カズは飛び起き急いで準備する
「カズ行くよ?」
玄関で待つエレンはカズに呼びかける
「待って!!今行く!!!」
「あーあー走ると怪我するよ?」
エレンの注意もいざ知らず案の定カズは廊下ですっ転ぶ。
「いたい………」
「言わんこっちゃない………ほら捕まって。」
「うん………」
エレンはカズを担ぎ走り始める!
今日も新エリー都………カズの周りは多分平和だ!