「ただいま……」
ぼくはそう呟きながら玄関を開ける……
開く扉はぼくの心のように重たい……
「あれ……?まだエレン帰ってきてないの……?」
家に入ると明かりはついておらずまるで人気がない
ぼくはエレンがいない家の中に入って荷物おきリビングのソファに座る……
「はぁ……今日もなにもできなかった……」
ぼくはあの日…悪夢をまた見始めてからまるでなにもできなくなってしまった………
できないなりに頑張っていた勉強も…
コミュ障なりに頑張っていた接客も……
何もかも…ぜんぶ………
ただ…そこにいるだけの置物………
頑張ってなれたビデオ屋の接客もまともにできなくなっておまけにレジもちゃんとできない……
ビデオの品出しすらもできない………
そんなぼくをおいてくれてる店長達には申し訳が立たない………
学校生活も……かろうじて過ごせてたのに………
ぜんぶぜんぶ…くずれた………
不甲斐ない………
不甲斐ない……………
「ひっく………」
ぼくはエレンがいないリビングで声をころしてむせび泣く………
こころがつらい………
寝るたびに悪夢に襲われて……
どんどん自分のこころが壊れてく………
こころが壊れて……今まで出来ていたことができなくなって…………
自分がどんどん社会のお荷物になっていく………
ほんとにあの…悪夢みたいにエレンに捨てられるかもしれない恐怖がずっと…ずっとずっとぼくの頭をグルグルしてて………
こわい……
エレンはぼくの前から消えないって言ってくれた……
けど………こんな社会のゴミなんて…すぐに捨てられる……………
消えたい………
たいせつな人をもう失いたくない………
この2つがグルグルしてて………
ぼくはただ…平穏に……家族と……エレンと………
過ごしたかっただけなのに…………
どうして………どうして……………?
ねぇ…神さま……ぼく…悪いこと…した………?
謝るから……ごめんなさいするから……………
もう……つらいのやだよ……………
生きるのがつらい…………
神さまは…ぼくのこときらい……なんだろうな………
ぼくは生きてはだめなんだ…………
ただ平穏を求めようとしてはダメなんだ……………
こんな何をやってもダメなダメ人間ではエレンにどうせ捨てられて………………
エレンに捨てられる……………
なにも残ってないぼくの心の支えのエレンに捨てられる…………………
空っぽな人間なんて……なにも役に立たないじゃないか………
存在も忘れて………
もう……生きたくない…………
エレンの足枷になる前に消えて……………
「ふぅ…ふぅ……はぁ…やっぱりぼくだめだなぁ……」
ぼくは洗面台に立っていた……
普段なら真っ白な洗面器はぼくの腕から出ている血で赤く染まっている………
「あはは……あぁ…もう…しないって決めてたのにな…………」
「いっ…!…ぅ…………」
あぁ…おとうさん…おかあさんにもらったたいせつな身体なのに………
自分のこころが弱いばっかりに…………
「ごめんなさい……」
「おかあさん……ごめんなさい……」
「まともな人間になれなくて………ごめんなさい……」
ぼくは自分の腕から出血しているのにもかかわらず膝から崩れ落ちる………
涙が……嗚咽が………
止まってほしいのにとまらない…………
「あはは……ぼく…そっち行ったら……みんな怒るだろうな…………」
「だけど……もう……疲れちゃった…………」
「エレン……ぼくなんか忘れて幸せになって欲しいなぁ…………」
ぼくは持っているカッターナイフを自分の首に突き刺そうとする………
やっぱり……こわい……目をつぶって…………
自分を終わらせようと思い切り首に突き刺そうとする………
だけど……いつまでたっても……カッターはぼくの首に刺さることはない…………
ぼくはそっと目を開ける……
「え……?なんで……?」
ぼくのナイフを持っていた腕は…エレンにつかまれている…………
「エレン……?離してよ……?」
「やだ。」
エレンはそう言うとぼくのからカッターナイフをとりあげる
エレン…とってもおこってる…………
ぼくはそんなことを考える暇もなく思い切りエレンに顔をビンタされた……
「へ……?なんで…エレン泣いて……?」
ぼくがそう言うとする間もなくぼくはエレンによって意識を刈り取られてしまう……
あぁ……ただ…エレンに捨てられるぐらいなら…………自分で自分を終わりにしたかっただけなのに………………
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まただ……
また……ぼくが無力で何もできないと………
誰も守れないと………いやでもわからせられてしまう……
あの…いやな悪夢…………
ぼくのココロを削ってく……
痛みを感じないのに痛い……………
もう………ぼくを……この世から……………
「ひゅっ…!」
目が覚める……
寝汗がひどい……
ぼくは着替える為に起き上がろうとするが………
「なんで……?」
ぼくの四肢はベッドに鎖でつながれていた……
ある程度遊びがあるとはいえ……寝返りがうてて、ベッドであぐらをかけるぐらいの長さしか無い………
というかそもそもぼくは………
「あっ…カズおきた…?」
エレンが部屋に入ってくる
そしてぼくに抱きつきながら言う
「カズ……あんた監禁するから…」
「へ……?」
訳がわからない……
「な、なんで……?」
「なんでも…あんた…アタシが帰ってきた時に自傷してたあげく自分で…………だからアタシ決めたの…カズがもう二度とこんなことしないように監禁しようって……」
「へ……?」
「まだわからない…?…アタシ、前言ったじゃん………」
「アタシはカズを逃さないって……」
「だからさ……カズはもう……何も考えないでアタシに溺れて…?」
「アタシの愛に……もう……アタシ無しじゃ生きれなくなるまで溺れさせる………」
「サメは…エモノを絶対に逃さないんだよ…?」
ぼくは……エレンに身を委ねる…………
あぁ……何も考えたくない…………