学校でボコボコにされた翌日………
「ぅん……?」
ぼくはベッドで目が覚める……
隣でエレンがぼくを抱き枕にして寝ている……
「手当てしてある……」
どうやらエレンが手当てしてくれたらしい……
迷惑かけたくなかったのに………
自分の不甲斐なさに嫌気が差す……
もう…消えてしまいたい………
「いけない…いけない……あれ…やらないと………」
隣で寝てるエレンの腕から抜け出し、ぼくは傷だらけの身体を引きつっていつもの様に自傷をしようとした時だった……
ガシッとカッターを持ってる方の腕を掴まれる……
「え……?」
寝ている筈のエレンが横に立っている
彼女の前髪で隠れて表情は見えない…
「あ……」
ぼくが持っていたカッターが取られちゃった……
この辛い感情をコントロールしたいだけなのに……
腕切るだけで感情が落ち着くのに………
「はぁ…はぁ……」
エレンに見られちゃった…
色々思い出したくないモノを思い出して辛い………
迷惑かけたくない……
頭がぐちゃぐちゃになる…………
「かひゅっ……ひゅーっ………」
感情が溢れ出てくる……
過呼吸になってきた…………
エレンごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……………
迷惑かけたくないのに………
エレンに失望された………
もう………
「カズ…ぎゅーっ……」
エレンがぼくを抱きしめる……
「カズ…大丈夫…大丈夫だから……」
エレンはぼくをあやす様に頭を撫でる……
「え…?え?」
混乱する……なんで……?
「カズは頑張ったよ…アタシが側にいるから……」
「もう辛い目には合わせないから……アタシが守るから……安心して………」
「ほ…ほんと…?…めいわく…ならない……?」
「ほんと…迷惑になんてならない……」
エレンはまるで聖母のようにぼくを諭す……
ぼくは今までため込んでいたものを全て吐き出すように泣いた………
ほんとに泣いた…………
エレンは全て受け止めてくれるかの様にぼくの感情を包みこんでくれた…………
そして数時間後……
「ねぇ?エレン…?目がこわいよ……?」
「………」
「エレン……?ぼく少しお手洗い行きたいから離して欲しいな……?」
「絶対にやだ。」
エレンはそういうとぼくをより強く抱きしめる……
「アタシが目を離したらまた自傷するでしょ…?だから絶対に離さない。」
「今日はアタシと一緒にゆっくりゴロゴロしてよ?」
どうやらエレンはぼくを逃さないつもりらしい……
ぼくは大人しくエレンの抱き枕と成り果てた。
「んー。カズやっぱりいい匂い…」
「カズはアタシの大切な宝モノ……」
「絶対にアタシの腕の中から逃さないから……」
「もう…傷つけさせないから………」
そして彼女の強い抱擁に安心したぼくはエレンの胸の中で意識を落としていった………
「あ…カズ寝ちゃった………」
エレンは寝ているカズの頬を愛おしそうに撫でる
「かわいい……アタシの宝モノ……………」
「絶対に……誰にも傷つけさせないから…………」
「もう二度と………」
アタシはカズをぎゅーっと抱きしめる
「あったかい……」
「あぁ…絶対に…絶対に離さないから……カズ……」
そう言うエレンの綺麗な紅い瞳は黒く染まりカズしか映っていなかった………
そして1週間が過ぎ
「エレン…そろそろ離して………」
「絶対にやだ。離さない。」
「遺憾の意」
ぼくが学校でボコボコにされてから早いことで1週間が過ぎた
エレンの献身あってケガは殆ど回復したけど………
「まだ外出ちゃダメなの?」
「ダメ。前にも言ったでしょ?アタシが良いっていうまで外出ちゃダメって。」
「えー。」
そう。ぼくはエレンによって現在、自宅軟禁されていた……だからこの1週間、学校にもバイトにも行かないでずっとエレンと家にいた…………
拒否権は当然ぼくには無い……
ぼくは完全にこのエレンという彗星都市帝国のプラネットキャッチャーに囚われた植民地惑星となっていた……………
「ふぁあ…カズ寝よ……」
「え、まだお昼だよ?」
「いいの。カズはアタシの抱き枕なんだから」
「えぇ…」
もはや抗う術など無いに等しいのだ………
まぁ…なんやかんやこの軟禁生活を満喫してるぼくがいた。
溜まってたアニメ見たり、仮面ライダー見たり
ヤマト見て考察したりとか……
後は旧文明の極東の島国で流行ってた某男優の動画を見て笑ったり
エレンの料理振る舞ったり
エレンのキャンディー盗み食いしたり
エレンの尻尾を抱き枕にして昼寝したり
エレンの腕の中という安住の地で昼寝したり
エレンに抱きしめられながらテレビ見てボケーっとしたり
エレンとゲームしたりとか………
あれ……?エレンとベッタベタじゃない……?
…小さい頃から変わらないのか…?
今、エレンの抱き枕だし仕方がない仕方がない
まぁ…おかげさまでぼくの心、精神はコスモリバースで復元された地球が如く回復しつつあった!
エレンはぼくの精神安定剤。はっきりわかんだね。
こんなふうに順風満帆な軟禁生活を送ってるぼくだか少し不満がある。
それはエレンが外にだしてくれないこと………
いや、ね…?自宅軟禁だから当たり前なんだけどさ……?
これでも元気いっぱい(要審議)の男子高校生!
体力クソ雑魚だけど身体訛っちゃって仕方がないんだよ…………
だからさ?夜中に散歩がてら144に買い物行ったことありましたよ。だけど帰ったら大変!
外からでもわかる圧倒的オーラ……
まるで魔王がそこにいるのかって感じの
んで意を決して家は入るじゃん?
エレン、目のハイライトが消えてる状態で玄関の前に立ってるのよ…
がち怖かったな……あれ……
チビりそうになったもん………
まぁ…その後はエレンに有無を言わせて貰えず抱き上げられてベッドの上にレッツゴー
ガミラスに蹂躙されるオルタリアの如くエレンにめちゃくちゃにされてしまった…
体の至る所に彼女の歯型とキスマーク
こんな体じゃもう他所へお嫁に行けない…
もうエレンに娶って貰うしかないじゃん……
無理だと思うけどさ……
数時間後…
「カズ、アタシ少し用事入っちゃったから出かけてくるね。」
「まじ?」
「まじ。アタシが出かけてる間、絶対に外出ないでよ?」
「イエスマム!」
「よろしい…んじゃ行ってくるね。」
そしてぼくはエレンを玄関で見送った……
カズは部屋に戻る
この1週間ずっとエレンと一緒にいたから少し部屋が静か………
世界でたった一人になったみたいで………
「さびしいよ…エレン………」
酷い孤独感を感じる……
カズはエレンがさっきまで着ていたパジャマを脱衣所から持ってき匂いを嗅ぐ……
「エレンの匂い…安心する……」
ぼくはエレンのパジャマを握りしめベッドの中に潜り込んだ…
さっきまでエレン寝ていたから少し暖かい……
「エレンに包まれてるみたい…」
ベッド、パジャマについたエレンの匂いがカズを包み込む
しかし……
「怖いよ……さびしいよ………エレン帰ってきて……」
カズは布団の中でエレンのパジャマを握りしめてうずくまる………
目には涙が浮かんでいる………
あくまでカズの精神はまだ治りかけ……
エレンが側にいないと一瞬で情緒不安定になってしまうほどまだ心にダメージが残っている…………
酷い孤独感とエレンがいないという恐怖感が治りかけのカズの心を蝕む……
「ひっく…ひっく…」
カズは泣き疲れて気を失うまでずっとエレンのパジャマを握りしめて泣き続けていた………
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「エレン。頼まれていたモノは大方調べがつきましたよ。」
「ボス。ありがとう…これで動ける」
「いえ、従業員のメンタルケアの一環ですので。」
アタシはボスから資料を受け取る…
カズを苦しめた忌々しい連中の決定的証拠
これで彼の平穏を守れる…
「後、彼…沖田カズについて調べた際に少し気になった点があったので少し聞いても?」
「なに?」
「彼の家族構成ですが…「天涯孤独だよ…」…」
「やはりそうでしたか…」
「うん……アタシと一緒。」
「カズには…もうアタシしか居ないし……アタシにはカズしか居ない………」
「………」
「だから…アタシがカズを守らないといけないの……」
「………」
沈黙が支配する……
「そういえばカリンちゃんとリナは?」
「あぁ…2人でしたら依頼を……」
「ふーん…」
エレンはライカンが淹れた紅茶を飲み干すと立ち上がる
「んじゃ…アタシ帰るね。これありがと、ボス。」
「えぇ、気をつけて帰って下さいエレン。」
ライカンはエレンを見送る
「はぁ……」
「薄々気づいてはいましたが……まさかあそこまでとは…………」
私は空になった自分のティーカップに紅茶を注ぐ…
「互いに依存しあっているとは……」
「破滅に向かわなければ良いのですが……」
私はそう考えながら紅茶を飲み干す…
杞憂に終わってほしいと祈りつつ…………
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「はぁ…すっかり遅くなっちゃった……」
「ただいま…」
エレンは扉を開け部屋に入る…
しかし…
「あれ…カズ…?」
「返事ないし……」
帰るのが遅くなったとはいえまだ寝るような時間でもないし………
DMも既読つかないし………
アタシは靴を脱ぎ寝室に向かう
「カズ……って……」
エレンが寝室に入るとカズが彼女のパジャマを握りしめてベッドで丸まっていた
「アタシのパジャマ……そんなに寂しかったの…?」
「はぁ……反則でしょ……」
アタシは寝ているカズの隣に潜り込み彼を抱きしめる
「ぎゅーっ……」
「カズはもうアタシ無しじゃダメなんだ……」
「アタシがいないと安心できないんだ……」
カズがアタシに依存しているという事実に仄暗い喜びを感じてしまう……
そんな事を考えてしまう自分に少し自己嫌悪してしまう……
「はぁ…なに考えてんだろアタシ……」
「ねぇ…カズ……」
アタシはカズの寝顔を優しく撫でる……
ほんとに愛おしい………
「カズ……絶対に…アタシの側から逃さないから………」
エレンはそう言うとカズの全身を思いっきり抱きしめ逃さないと言わんばかりに尻尾でもホールドする
「あったかい……この温もりはアタシだけのモノ……」
「絶対に…絶対に…他の誰にも渡さない………」