真・転生したボクが新エリー都で凡夫になった件。


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作:レトルトところてん
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真・転生したボクが新エリー都で凡夫だった件。


ゼンレスゾーンゼロ気持ちよすぎだろ!

というわけで初めて聞いたボンプが凡夫にしか聞こえなかったので凡夫をぶち込んでみました。

人気が出そうなら、もうちっとだけ続くかもしれんのじゃ。


 

 

 

____インターノットにて。

 

 

 ユーザー:バブロブの戌 ♡25

 

 【質問】(多分)同業のガキがデットエンドブッチャーの攻撃喰らって無傷だったんだが……

 

:俺は一応、何年もホロウに潜って、中堅のホロウレイダーやってる自信があった。だがありゃあなんだ? 熟練ホロウレイダーの能力にしても限度があるってもんだろ!? 一体何者なのか、知ってるやつが居たら教えてくれ!

 

・お馬鹿3太郎

嘘松乙

 

・ホロウへ行くならミルクは飲むな

そこそこプロキシやってるから言えるが、普通にあり得ない。投稿者は長いことホロウに潜ってたせいで脳内に浸食でも起こってるんだろ。

 

・asdfghjkl

本当ですか? 新米プロキシとして、その方とは是非とも仲良くなりたいです! 連絡先を教えていただけますか?

 

・名無しのメアリー

嘘を嘘と見抜く力がなければ、インターノットを利用することは難しい

 

・ホロウとほろろ

ホワイトスター学会の掲示してる「ホロウ内安全活動推奨時間」くらい確認しとけよおっさん。

 

・デッドエンド文汰

そのホロウレイダーの特徴は?

 

・【投稿者】バブロブの戌

デッドエンドブッチャー相手に近づくのは自殺行為だった。だから遠くからわかったことだけ書く。

 

見た目は白髪で小さめの体格だった。身体の線からきっと男だな。小学生程度の体格なのに学生服みたいなのを着てたが、少なくとも新エリー都のどこの学校の制服とも一致していなかった。

極めつけは、あの謎の力だ。なぜかデッドエンドブッチャーの攻撃が直撃してんのに無傷なんだぜ!? 冗談じゃないだろ! 音動機か、噂のレゾブレムってやつなのか、それともまた別の何かなのか。誰か教えてくれ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 新エリー都。

 

 発生の予測が不可能である災害、ホロウと隣り合わせの都市である。「奇跡の都市」とも称される。ホロウレイダーにプロキシ、暴力団に陰謀家と関わらなければ、基本的にはどんな人間でも全うに暮らせるとか暮らせないとか。

 

 その特徴は日常的に発生するホロウという現象にある。

 

 万物を呑み込む異常な球状の空間にして、世界を壊滅へと導いた災害である。内部には数多くのエーテルに侵食され、エーテリアスと化した化け物がうろついており、その時空すら無秩序である。上と思えば下につながり、壁と思えば線路へ繋がる。そして、突如発生するホロウ内部には多くの資源が眠っているのだ。

 

 ホロウにも種類があり、原生ホロウと共生ホロウの二つが存在する。6つの名前を持つ原生ホロウから拡張される形で共生ホロウが生まれる性質上、原生ホロウの方が基本的に危険度は高い。

 

 が、しかし。何事にも例外はつきものである。

 

 

 

「術式、起動ッ!」

「ゴァァァァァ!!」

「何も効果ないじゃないか! くそ、くそぉ!?」

 

 

 くっそ、何に使うんだよこの力は!? 無限を持ってくるって言ったって、使い方がわかんないんじゃ意味ないだろう!?

 

 

 共生ホロウであるにも関わらず、その強大なエーテリアスの存在が故に原生ホロウとも肩を並べるほどの危険度を誇る、デッドエンドホロウ。

 

 その内部に、この少年は居た。

 

 

 先ほど、つい30分ほど前からボクは迫り来る真っ黒い球体を頭部とした謎の人型から逃げていた。好きでこうなっているわけじゃない。気付いたらよくわからない街の中で、そこらを散策していたらこの化け物に襲われた。何も理解できていない状況だ。

 

 息が荒くなる。もう何十分走り回ってるんだって話だ。

 

 くっそぉ、なんでボクがこんな目に遭わなきゃいけないんだよォ!?

 

 

「あ__!?」

 

 

 転んだ。なんで、なんでだよぉぉぉ!? 何もなかったじゃないか!? どうして! 思わぬ事態に怒り、目の前に目を向けるとそこには30分前に居たはずの元の場所の光景が広がっていた。

 

 __は?

 

 立ち上がる前に一瞬、思考が停止する。そして即座に、その止まった思考は強制的に回転せざるを得なくなった。

 

 

「ゴァァァァ!」

「ぎゃ__ッ!!!????!!!?」

 

 

 い、いたいいたいいたいいたいいたい!!??!!?! 

 

 視界が、急に走る全身の痛みに白く染まる。チカチカして、とんでもない圧迫感と浮遊感を感じたあと、数秒してボクは更に強い衝撃を受け止めることになった。

 

 視界にはコンクリートの地面が映っている。どうやらボクはあの化け物に弾き飛ばされ、地面に叩き付けられたらしい。全身が痛い。燃えるように熱く、どこか骨折でもしてるんじゃないかと疑いたいレベルだ。

 

 

「だれか! 誰かぁッ!!?? たすけ、たすけてくださいッ?! だれか助けてよぉぉぉ!!!!」

 

 

 ボクの悲痛な叫びが辺りに反響する。

 

 何も助けなど来ない。

 

 誰も居ない。

 

 居るのは、謎の化け物と哀れな被害者だけだった。

 

 

「ゴァァァァァ!!!!」

 

 

 気付けば量が増えている。何だ、たくさん居たのかよ、お前ら。腕が白い装甲で覆われた個体に、謎の植物のような個体、獣のような個体に、エンジンパイプが飛び出している個体。

 

 

 終わった。間違いなく、ここでボクの人生は終わる。意味がわからない、瞬きのような人生だった。何の記憶も過去もなしに、突然死地へと送られて、死ぬ。ボクの存在はこの世に何も起こさない。何にも残さず、何にもできないまま、ボクはゴミのように死ぬ。

 

 なんでだよ。

 

 迫るエネルギー弾。迫る腕撃。迫る突進。

 

 なんでボクが、死ななきゃならないんだよ。

 

 気付けば遅くなっていた視界。きっとこれは走馬灯だ。ボクの身体はどうしても生きたがっている。あらゆる過去の記憶を漁り、この危機を乗り越えようとしている。

 

 まだ何もしていないのに。何もできでいないのに。何でボクが生まれたのかもわかっていないのに。

 

 

 迫る無数の攻撃。もうすぐ、ボクは死ぬ。あと10cm。

 

 

 ふざけるな、ふざけるなよ!?

 

 

 あと5cm。

 

 

 死ぬ。間違いなく、ボクは、ここで。

 

 ……くそ、クソッ、こんな運命否定してやる! どうしてボクが生まれたのかも確かめられず、無念のまま死んでいくなんて、そんなこと納得できるか!!!

 

 

 ドクン。

 

 

 迫り来る絶死の攻撃。その攻撃を前に、なぜかボクは急に爽快な気持ちになっていた。目覚めたときから頭の中に、ずっと浮かんでいた力の名前。

 

 あの力を、今なら上手く使える気がした。

 

 

 あと、3cm____

 

 

 

「無下限呪術__起動ッ!!!」

 

 

 

 迫る砲弾。迫る腕撃。迫る突進。およそ常人が食らえば間違いなく大怪我は免れない威力。

 

 それら全てが静止する。無下限を破るには、無限を踏破しなくてはならない。ボクは、蒼く光る瞳でボクに宿っている力をより正確に掴むことに成功した。

 

 脳裏に浮かび続けている力の名称。

 

 

 

 特典:凡夫(ボンプ)

 

 

 ボクは、無限を持ってくることができる凡夫だ。

 

 

 

「もう、何も言わないさ。ここで__殺すッ!」

 

 

 身体に溢れる謎の力を纏い、身体能力を強化してあいつら破壊しようとした刹那。

 

 

 PONッ!!!

 

 突如身体から白い煙のようなものが吹き出した。

 

 

 

「ンナンナ!!???(一体、何が__!?)」

 

 

 やけに低くなった視界。謎の機械音声。動かしづらい身体。

 

 

 まるで意味がわからない。

 

 

「ナン!?(ボクの身体、どうなってるのこれぇぇぇぇ!!!)」

「ゴァァァァ!!!!!」

「ンナンナ!!??(ひょえぇぇぇぇ!!! やっぱり無理だぁぁぁ! お助け~!!!)」

 

 

 ボクは変容した身体では勝てる気がしないので、逃げることしかできなかった。幸い、この妙ちきりんな身体に変わったお陰か、肉体へのダメージは感じられないので逃げることができた。存外この身体はすばしっこいようである。

 

 

「せっかく大口依頼が達成できそうなんだもの! 今夜は家でパーティよ!」

「それは嬉しいが……あー、そのー、俺のボディをポテチの油で汚すのはやめてくれよ? あとスターライトナイトの漫画もな」

「ビリーも困ってる。ニコは酔っ払うとすぐ変なことするから」

 

 遮二無二走っていると、人影を見つけることができた。こんな妙な空間でも人が居るなんて!

 

「ンナァァァァ!!!(助けてくださ~い!)」

 

「! ボンプの声。ニコ、どうする?」

 

 白髪の少女が隣のピンクの少女に話しかけている様子が見える。待て、まだ彼らは子供じゃないか!? ボクが助けを求めたって、結局ボクの二の舞になってジエンド。

 

 くっそぉ、せっかく光明が見えたってのに!

 

「俺はどっちでもいいぜ。つってもま、ニコの親分ならやることは決まってるか」

「当たり前ね。みんな、あのボンプを助けるわよ!」

 

 ボクは慌てて引き返した。何だかんだ、今のボクにも無下限は使えるみたいだし、自分でなんとかしなきゃ、今度は彼らまで巻き添えになってしまう。

 

 だが、ボクの行動は少し遅かったようだ。

 

 

「ボンプさん、大丈夫かしら。あたしたちが来たら、もう安心よ!」

「ンナンナナンナ(ごめん! 皆さん逃げてください! 化け物がもうすぐ来るんです!)」

 

 ボクを持ち上げたピンクの少女がこてんと首を傾げる。

 

「言語モジュールが壊れてるのかしら? 何を言っているのかわからないけど……あなたがあたしたちのことを心配してることはわかるわ。任せときなさい。プロのホロウレイダーはあの程度の雑魚相手じゃ、準備運動にもならないわ」

 

 持ち上げられた視界の先で、白髪の少女と赤い外套を纏ったイカしたデザインの機械の男性が鮮やかな連携で次々と迫る化け物を倒している。雷光を纏った斬撃に、二丁拳銃だって……? ボクの力もそういうわかりやすいのが良かった。

 

「ニコの親分、終わったぜ」

「さて、帰りましょ。この子もついでに治安局に届けるから、その間にアンビーには買い出しを頼むわ」

「ンナンナ!(あの、ありがとうございます!)」

 

 きっと治安局とは警察みたいな組織だろう。どうにかボクの居場所を作らなくては!

 

 こうして、ボクと邪兔屋の交流が始まったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





文体が安定しないのは内緒。
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