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Conversation

精神科で働いていた時、作業療法の一環で時々患者さんにメイクを施していた。最初にその催しを聞いた時はどんな効果があるのかなんて分からなかったし、普段オムツだけで走り回っても気にしない彼女たちの心や行動が、口紅ひとつで変わるとは思えなかった。 だけど、その効果は絶大だった。 まずは姿勢が変わる。笑顔が増える。引きこもりがちな人が、誰かに見て欲しくて病室の外に出ようとする。いつも病室を散らかす人が、折り紙の花を飾りたがる。褒めると、笑う。綺麗に笑う。 その変化を目の当たりにして、私は美容の大切さを実感したのだ。誰にどう見られるかなんて関係ない。ただ、人は、自分を美しいと思えれば、それに見合った行動を取りたくなるのだ。