一般常識人に新エリー都は生きづらい


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作:こなひじきβ
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15.限界オタクでアブソルな少女


※今回はビビアンの能力について一部ネタバレを含んでいます。ご注意ください。

今ゼンゼロの二次創作追ってる人はメインストーリーもバッチリ進めてそうなイメージですが、どうなんですかね?


 今新エリー都では『推し活』というフレーズが流行っている。自分にとっての推しの活動を支える事で自分も満たされる。支援してもらえた活動者もより良い活動が出来るようになる。俺は()()()()()()『推し活』はとても良いことだと思っている。

 

 そう、()()()()()()という点が非常に大事。中には推しへの歪んだ愛情が原因で迷惑行為に走ってしまう者も少なからずいる。推しを支えるどころか推しに悪い風評被害を与えるどころか実害も出てしまう。非常識な行動はダメ、絶対。

 

 

 

 さて、話は変わるのだけれど。店の入り口に立つ令嬢のような姿で傘を畳み銀髪を靡かせる美少女は、いったい何者なのだろうか。レジから様子を見ていると、両手を頬にあてて突然呪文のように何かを語りだした。

 

 

「はぁ……、何度来てもこの場所に私などがいてしまって良いものかと心配になるのです。パエ……あの御方と同じ空間で、同じ空気を吸えるだなんて……こんなにも幸せで良いのでしょうか……。はっ! 頭の中にまた創作グッズのネタが浮かんでしまいました。これは早急に帰って形にしたい……けれどせっかく来たのに何もせず帰ってしまっては勿体ないような……。嗚呼、私は一体どうしたら……っ!」

 

 

 まーたヤバそうな人来ちゃったなこれ。長すぎて後半聞き流してたけど、多分この人パエトーンオタクだ。序盤にパエ……って言ってたし。

 

 

 この『一見まともそうに見えるが、喋りだすと変人ぶりが本性を現す』というケースにもようやく慣れてきた。けど『パエトーンしか見えてなくて目の前の俺ガン無視』というケースにはまだ慣れないな。いや慣れたくはない。

 

 一人語りからの恍惚な笑みを浮かべたまま固まっている少女。そこ店の入り口だからちょっとどいて欲しいんだけどなーと思っていたら、彼女が唐突に動きを見せる。

 

「そういえば、このお店にバイトの方を増やされたそうですが……もしや、貴方がそうなのですか?」

 

 あ、やーっと認識された。ずっとレジにいたんですけど、俺透明だったのかな? そうです、と返事をしようとしたのだが、次のビビアンの行動によってそれは遮られてしまった。

 

 

 

「……っ!?」

「え?」

 

 

 

 目が合った途端に彼女がいきなり、口に手をあてて神妙な顔持ちになった。そして彼女の目から、涙が零れだした。ちょっと、さっきまでのオタク全開浸り顔はどこ行ったの。美女に急に泣かれた時ってどうしたらいいのかわからない。

 

「え、どうしたんです?」

「あ、その…………。よろしければ、お話しても?」

「あ、はい。どうぞ……」

 

 限界オタク、儚げな可憐な少女からの妖艶な美女と印象がコロコロと変わる。情緒どうなってんの。彼女は打ち明けるかどうかをじっくりと迷った後、ポツポツと語りだした。

 

 

 

 彼女、ビビアン・バンシーには特殊な能力がある。見た人の危険や不幸を、本人の意思関係なく突発的に予兆してしまうというもの。つまり彼女に涙を流された相手には、何らかの災いが訪れるという訳だ。

 

 未来に起こる不幸が見えてしまう能力かー、なんかそんなポケ〇ンいなかったっけ。わざわいポ〇モンとか言われてるやつ。不憫すぎてほんと泣けるんだよねあれ。

 

 

 

 

 なんてぼんやり思っていたのだがここで思い出す。彼女は俺を見て涙を流したって事は、俺の身に悪い何かが起きるの確定しちゃったじゃん。やっべ。

 

 

 

 

 ビビアンが見た未来って、変えられたりしないのだろうか。逃れられないなら、俺は一体どうなるのか。……まさか、と最悪の事態まで脳裏によぎってしまう。

 

「それで、俺にこの先不幸な未来が……一体どんな? 俺死んじゃったりするのか?」

 

 不安だけど、このまま聞かなかったらモヤモヤする。俺は敬語を付ける事も忘れて聞き直す。どんな結末であれ、知らないで過ごすよりはいっそ明らかにしてほしい。別にこの世界に未練があるとかではない。けれど、納得のいかない死に方はしたくない。

 

 

 

 家族や友達も喪って、俺にとっての日常と呼べるあの日々はもう戻らない。けれど、この街に全く繋がりが無いわけじゃないんだ。何も遺せず消えてしまうなんて、そんなの――。

 

 

 

 

 

 

 

 

「いえ、死ぬわけではありません。その、貴方は…………近いうちに()()()()()()で倒れてしまうのです」

 

 な   に   そ   れ   。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ビビアンの見た未来は、俺の予想からめっちゃ斜め下の解答だった。何じゃその理由、俺のなけなしのシリアスタイムが馬鹿みたいじゃん。時間返して?

 

「……えーっと、それって死にはしないの?」

「はい、すぐに介抱されるので命の心配は無いのです」

「そ、そう……」

 

 何という微妙な空気。いや、大事に至らなくて良かったんだけどね? 一瞬悲痛な展開を匂わせてからのこのオチはちょっとお粗末というか、なんというか。

 

「……まあ、その。教えてくれてありがとう」

「え……」

「え?」

 

 お礼を言ったらビビアンが目を見開いて驚いた。何か変なこと言ったかな? 疑問に思っていると、ビビアンは躊躇い気味に口を開く。

 

「…………その。嫌では、ないのですか? 他人から急に先の不幸を教えられて、てっきり貴方に罵倒されてしまうかと思ったのですが……」

「いや、なんというか……内容が内容なだけに怒れないというか。心当たりはあるというか……」

 

 ツッコミ疲れで倒れるとか初めて聞いたし、怒りよりも戸惑いのほうが圧倒的に上だった。だから、罵倒するとか彼女を責めるとか、それ以前の問題だったという。

 

「倒れる前に聞けたから、寧ろ気を付けるきっかけになったなーと。だから、ありがとうございます」

「……成程。流石はあの御方が雇っただけの事はあるのです」

 

 なんか謎に俺の株上がっちゃった。別にただのバイトとして雇われてるだけだから過度な期待はしないでね?

 

 

 とりあえず涙の原因もわかったので、一件落着だ。あとは本当に倒れないように気を付けないと……いやツッコミ疲れとかどうやって回避するんだよ。この街にいる限り無理な気がしてきたわ。

 

 

 

 

 この後、お出かけから帰ってきたリンが改めてビビアンの紹介をしてくれた。

 

「彼女はビビアン! 最近仲良くなったの!」

「ひゃ、はいいぃ~……」

 

 ビビアンがリンに肩を抱かれて蕩けてしまった。リンさんや、もうちょっと手加減してあげて。ビビアンが限界迎えて昇天しちゃいそうだから。推しとの距離は近すぎると危険らしいよ。知らんけど。




ちょっとこの娘属性盛りすぎじゃない?
と思いましたが他のキャラたちも大概でしたね、はい。
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