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<「漢字の学習の大禁忌は作輟なり」・・・「作輟(サクテツ)」:やったりやらなかったりすること・・・>
・再々中断していた「熟語の読み・一字訓読」シリーズを再開します。
・223回からは、漢検漢字辞典第2版の内容を加味したり、調べる辞典の範囲を大字源・漢字源などまで拡大した内容にて、整理しているので、初期のこのシリーズの記載内容とは濃淡・精粗があります・・・223回からのほうが内容が濃いと思います。お含み置きください・・・追って、初期の内容についても、内容を拡充していきたいとは考えています。
・なお、別の記事などにて、漢検2記載内容を踏まえた「熟語の読み・一字訓読、音訓整理」を案内したものもあり、一部重複しているかもしれません・・・この点もお含み置きください。必要に応じて、なるべく、同記事内容も再録いたします。
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●熟語の読み・一字訓読(その294)です。 ゴチック・太字は漢検2にも記載あり。
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<阡:セン、みち、あぜみち、はかみち、しげ(る)>
・みち、あぜみち:
阡陌、阡畝(センポ)=あぜみちと田畑
・はかみち:阡表(センピョウ・センビョウ)=墓道に立てる碑
・しげ(る):
阡阡=仟仟=草木のしげさま、阡眠(センメン・センベン)=①はるかにみる、②草木の茂ったさま
(既掲載記事)
・音訓はすべて掲載あり。熟語は「阡陌」(=みち、あぜみちの事)「阡阡」(=草木のしげるさま)。
・以前もどこかで記載したと思うけど、熟語で、或る意味、有名な「阡眠(センベン)」・・・「眠」を表外音の「ベン」で読む特殊な熟語・・・これは載っていない。「眠」のところにあるかと思ったら、「眠」のところには(また、これも文句あるが)「眠蔵(メンゾウ)」という更に特殊な熟語しか載せていない・・・「メン」は表外音でも現行音にもナシ(実は唐音)・・・これはどこかで説明しましたね(^^;)
・で、「阡眠(センベン)」・・・実は「セン“メン”」とも。(「阡眠」の意味は「①はるかなさま ②草木の茂ったさま」)
・大漢和・字通「センメン」、大字源「センベン・センメン」、漢字源「センベン」。
・問題集なんかの問題では「センベン」になっているのが多いようですね・・・。
・ちなみに、「はかみち」に対応する熟語・・・「阡表(センピョウ・センビョウ)」(=墓道に立てる碑) てのがありました👍
<阨:アイ、ヤク、せま(い)、ふさ(がる)、くる(しむ)>
*漢検2「アイ:せまい、せまく険しいところ ヤク:ふさがる、くるしむ、行き詰まる」
・せまい:
狭阨(キョウアイ)=狭隘。
嶮阨(ケンアイ)、阨巷(アイコウ)、阨僻(アイヘキ)=せまくかたよる、せまくいやしい。阨路(アイロ)
・ふさ(がる)、くる(しむ):
窮阨(キュウヤク)、阨窮(ヤクキュウ)、
困阨(コンヤク)、阨災(ヤクサイ)=災難
<阯:シ、もとい、あと、ふもと> *「阯」は「址」の本字(大字源)
・もとい:
基阯(=基址)、遺阯(=遺址)
・あと、ふもと:霊阯(=霊址)=神霊の下ったところ(字通)、
城阯(=城址)、旧阯(=旧址)、廃阯(=廃址)
<陂:ヒ、ハ、つつみ、さか、かたむ(く)、よこしま>
(既掲載記事の再録)
・もともと、「坡:ハ、ヒ、さか、つつみ、なな(め)」の異体字ということみたいだが、訓読みがちょっと違う・・・
・それはともかく、この「陂」・・・
・第2版では、訓読みとしては「よこしま」が載っていない。*意味③の方には載っている。
・熟語は、「かたむ(く)」のところで、「陂曲」・・・読みなし・・・なんて読むんだ???「ヒキョク」か「ハキョク」か?それともどっちでも良いのか・・・ホント、こういうところがイライラするところ(ーー) 大漢和によれば「陂曲(ヒキョク)=かたよってよこしまなこと」となってんだけど・・・。
・ややこしいが、「坡」のところで第1版で「①つつみ。土手。「坡塘(ハトウ)」 ②さか(坂)。「坡陀(ハダ) 」」って、なってて、表記のところの説明で「・・・「陂」とも書く。」となっている。んじゃ、「坡塘(ハトウ)」=「陂塘(ハトウ?)」、「坡陀(ハダ)」=「陂陀(ハダ)?」ってことなのか???
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・「陂」の音の「ハ」は漢音、「ヒ」は漢・呉音のようで、音による読み・意味分けがあるもよう・・・
・「ハ」音の場合:土地がななめなこと、平らでないこと、高低がある・・・場合に、「ハ」音
・「ヒ」音の場合:つつみ、ためいけ、さか、かたむく、よこしま・・・場合に、「ヒ」音
のもよう・・・ちょっと「ななめ、平らでない」と「さか、かたむく」の違いが明確でないので、この辺が厳格な音読み分けになっていない理由かもしれない・・・。
・結論
ア.「陂陀」・・・これは「ハダ」 *漢字源はこれは「ヒダ・ハダ」両読み。 意味(大漢和):①地面が平らでない、ななめな土地。②高低のあるさま。
イ.それ以外の読みの熟語
・陂池(ヒチ)=①つつみ、ためいけ ②土地のななめなこと
・陂塘(ヒトウ)=陂唐(ヒトウ)=つつみ、ためいけ *字通は「陂塘」も「陂唐」も「ハトウ」
・陂渠(ヒキョ)=陂溝(ヒコウ)=つつみ、掘割
・陂遏(ヒアツ)=堤防
・陂障(ヒショウ)=つつみを築いて防ぐ
・陂僻(ヒヘキ)=よこしま、頗僻 *字通は「ハヘキ」
・陂知(ヒチ)=かたよった知恵
・陂淀(ヒテン)=あさいふち *この場合の「陂」は「ほとり、ふち、はた」の意味(大漢和)。
・険陂(ケンピ)=かたよる、ねじける(漢字源)
などなど・・・。
ということから、ちょっと「ハ」でも「ヒ」でも、どっちでもいいみたいだけど、 「陂陀」だけは「ハダ」・・・それ以外は「ヒ・・・」で読んでおけば良いみたいですね・・・字通だけは例外だけど(ーー)
<陌:ハク、バク、みち、あぜみち、まち> *ハク(慣用音)バク(漢音)
・みち、あぜみち:
阡陌、陌阡、街陌=市中みち、ちまた。陌路(ハクロ)=①路上の人(字通)・通りすがりの見知らぬ人(大字源)、陌上=あぜみちほとり=畑のこと、「陌上(の塵)」=街路上(のちり)、飛散して定めのない喩え。「人生、根蔕なく、飄として陌上の塵のごとし」(陶潜)
・まち:陌頭=①みちばた、街頭 ②はちまき=絡頭
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