過大請求の背景にある医師の指示書
経営陣の責任は調査報告書では次のようにまとめられている。
「本件報道以前から、入居者・従業員の問題提起や内部通報等を契機として、サンウェルズ内で短時間訪問及び同行者不在訪問が広まっているとの実態を現経営陣が認識する端緒となり得る機会が複数回にわたり存在していたものと考えられる。
しかしながら、現経営陣は、診療報酬の算定ルールに関する理解不足や訪問看護事業に対するリスク分析の甘さ等から、これらの機会に際し、実態把握のための適切な対応をとることができなかったものといえる。
特に、単発の問題提起であればともかく、短時間訪問及び同行者不在訪問に係る問題提起が複数回発生していたにもかかわらず、個別事例にすぎないなどと安易に判断し、実態把握のための対応がとられなかったことの問題性は大きいといえる」
また仮に経営者が直接指示していなくとも、結果として不正が横行していたのは、内部統制の欠如であり、経営者の責任は重い。
そもそも訪問看護には、医師による指示書が存在している。過大請求の背景に指示書が存在するのも見逃せない。
共同通信の質問に対する回答として、サンウェルズは次のように記している。
「またPDハウスは全国で100名を超える神経内科専門医と連携し訪問診療に来ていただいておりますので、訪問看護指示書を作成する主治医も殆どが神経内科専門医です(一般的な介護施設などでは、専門外の医師が訪問看護指示を出しているケースも少なくないと認識しております。)。そのため、いただく指示は専門的知見に裏付けられたものであると認識しております」
専門的知見に裏付けられた指示書が出されたというが、「医療保険を用いた訪問看護自体が本当に必要だったのか」「医師の指示書に基づいていたとしても、約95%もの利用者が常時1日3回の訪問看護を要する状態だったのか」という疑問が生まれる。
しかし、前述の佐藤さんによると、「手厚い訪問看護が必要ないことのエビデンスを出すのは難しい」ともいう。
一方で、サンウェルズは、ヤール(Hoehn-Yahr重症度分類)の3度以上、生活機能障害度分類2度以上を1日3回訪問看護の基準として重視しているが、この部分は単純に「はい、そうですか」と納得することはできない。