何もしないで1日が終わります…資産運用で「資産1億円」を達成した68歳元会社員。人生勝ち組のはずが、潤沢な残高を見ても“心は空っぽ”の老後「時間が取り戻せたら」【FPの助言】
日本人高齢者の「お金を使えない心理」なぜ起きるのか
加藤さんのように、“資産はあるのに使えない”という高齢者は決して少数派ではありません。内閣府『令和6年 年次経済財政報告 』では、高齢者が金融資産を取り崩さずに保有し続ける背景として、「長生きリスクへの備え」や「遺産として子どもに残したい」という心理が紹介されています。 実際、かなり高齢になっても、資産の多くは手つかずで残ることが多いのです。つまり「何かあったら怖いから」「まだ使う時期じゃない」と思っているうちに、時間が過ぎてしまう――のではないでしょうか。 「お金が貯まったら、ゆっくり旅行に行こう」「いつか仲間と趣味を楽しみたい」そう思っていても、その“いつか”が来た時には、体力や人間関係がついてこないこともあるのです。
「貯める力」と「使う勇気」、どちらも人生に必要
加藤さんの人生が間違っていたとは思いません。節約と投資の努力は素晴らしく、結果として経済的に自立した老後を手に入れたことは、決して簡単なことではありません。 ですが、FPとして一つ伝えたいのは、「お金は、人生を楽しむための手段」であるという視点です。老後のお金には「安心のために残すお金」と「楽しむために使うお金」が必要です。配当金や年金など、定期的に得られる収入がある人は、その範囲内で「経験を買う」ことをぜひ意識してほしいと思います。 たとえば、月5万円までは“自分を楽しませる予算”として旅行や趣味に使う、友人との交流にあてる。そうした「小さな使い方の工夫」で、生活に彩りが戻ることがあります。 加藤さんも、今からでも遅くありません。資産はすでに十分。あとは“お金の使い方”を少し変えるだけで、「満たされない老後」は、「充実したセカンドライフ」に変わる可能性があるのです。 特に60代は、“使うことに意味がある最後の黄金期”ともいえます。70代以降は体力や健康面の衰えが顕著になり、外出や旅行といったアクティブな行動は徐々に難しくなってきます。 もちろん個人差はありますが、健康寿命(心身ともに自立し、健康的に生活できる期間)は、男性72.57年、女性75.45年(令和4年 厚生労働省データより )というのも意識しておきたいところです。 「使える時に、使っておく」 「楽しいと思えることには時間とお金をかける」 これが、後悔のない老後をつくる重要なキーワードです。資産1億円はすばらしい成果ですが、それは「使ってこそ意味がある資源」。 加藤さんのように、いまからでも「人生を味わう」視点に切り替えることは可能です。 彼も今、「ずっとやりたかった旅」を少しずつ計画し始めているそうです。 「正直、まだ怖いですよ。でも、人生の残り時間は減っていく一方だから。お金を眺めて満足していた自分から、ちょっとずつ変わってみようかなと思っています」 【参考】 内閣府「令和6年 年次経済財政報告」 https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je24/pdf/p030001.pdf 厚生労働省「健康寿命の令和4年値について」 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001363069.pdf 三原 由紀 プレ定年専門FP®
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