いきつけのビデオ屋さんの店長達はパエトーンかもしれない。


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作:とん6
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朱鳶先輩と同棲してたのかもしれない。


息抜きに一つ


 

ゆっくりと体を起こし、眠たい目をこすりながら珈琲の匂いで目を覚ます。

 確か昨日…セスを連れて飲みに行って…それからどうしたんだったか…?頭が痛い…完全に飲みすぎたな…。

 

「おはようユーリくん?珈琲淹れたけれど…飲む?」

 

「ミルクと砂糖多めでお願いします…ん?」

 

「ふふっ…相変わらずね」

 

聞くはずのない声を聞き、ゆっくりと横を向くとゆったりした私服を着た恋焦がれる相手、朱鳶先輩がそこにいた。

 な、なんで????よくみたらここ自分の家じゃない?!セスの寮でもないし…ど、どういうこと???

 

「はい珈琲、不思議そうな顔をして…どうかした?」

 

「えっと…朱鳶先輩すいませんここって…?というか昨日の記憶がなくてですね…。」

 

朱鳶先輩は一瞬むっ…とすると自分が座ったソファーの隣りに座る。ち、ちかいし甘い匂いが脳をくすぐる…。

 

「だから昨日あれほど飲みすぎるなと…セスくんが担いで送ってきた時には泥酔してたのよ?それに二人きりの時は朱鳶でいいって言いましたよね?」

 

「はい…スイマセン…」

 

「それともう数カ月一緒に住んでるのだから…いい加減慣れてくれないと。」

 

数カ月一緒に??????住んでる??????あ、頭がどうにかなりそうだ…夢?夢だよな…?いや夢であってほしくないけれど。でも隣で握ってる手は柔らかいし…朱鳶先輩めっちゃいい匂いだし…夢でもいいかも。

 

「朱鳶せn…朱鳶、えっと自分たちの関係って…。」

 

「本当に昨日どれほど飲んだの?私とユーリ君はえっと…その…いわゆる交際関係でしょ?」

 

交際関係と口に出すのに顔が赤くなってるところは間違いなく朱鳶先輩だ。

 

「そ、そうだったね…ごめんごめん。」

 

「私もユーリ君もお休みですし、お家でゆっくりするか出かけるか。ユーリ君が決めていいですよ。」

 

「じゃあ家でゆっくり…ビデオ見るとか。」

 

「そういえば店長さん達からビデオ借りてましたし一緒に見ましょうか。」

 

ビデオを手に取り、準備する先輩。もうこのままでいいかもしれない…これほど幸せなことあるだろうか。

 

「あ、お母さんとお父さんが今度の休日ユーリ君と会いたいらしくて。会いますか?私はま、まだ同棲して日も浅いですし今度でも。」

 

「あー…いや、ご両親に挨拶もしたいし。一緒に行こうか。」

 

「ひゃい…!」

 

ビデオが始まり、ソファーにもたれながら二人で観始める。内容は少し前までやっていた王道恋愛映画だ。ちらっと隣を見ると、顔を赤くしたり口をパクパクしたりと大忙しだ。

 

「(めっっっっちゃ可愛い………)」

 

脳内フォルダに横顔を記録していると、映画もいよいよ終盤に差し掛かり夕焼けの海岸で二人が見つめ合う。二人が愛の言葉を囁き、夕日に照らされた二つの影が一つになりビデオの再生は止まる。

 

「「……………」」

 

「す、少し早いですけど食事の準備しましょうか!」 

 

「あ、手伝うよ。自分も得意だからね。」

 

2人で厨房に立ち、エプロンをつける。

 

「何にしましょう…お魚が余ってますし…。」

 

「ならムニエルとかどうかな?」

 

「ムニエル…いいですね。じゃあユーリくんは付け合わせのサラダとスープお願いしますね?」

 

「任せてください。とっておきのサラダ作っちゃいますよ!」

 

「ふふっ…期待してますね。」

 

慣れた手つきでトマトを使ったサラダを作る。一人暮らしで培ったものだ。スープは…オニオンスープにしよう。

 玉ねぎを手に取ろうとした瞬間、朱鳶先輩と手が触れ合い思わず二人して手を引っ込める。

 

「あ、あはは…」

 

「ゆ、ユーリ君そこのお塩取ってくれますか?」

 

「あ、あぁこれですね。はい!」

 

塩を渡すとサッと取ってすぐ顔をそらす。自分も朱鳶先輩も顔は赤いのだろうというのがわかる。

 そう時間もかからずに、できた食事を並べ向かい合わせに座る。夢だというのに飯は美味しそうだ。

 

「じゃあ、「いただきます」」

 

「ん、このムニエル凄い美味しい…朱鳶sの料理はどれも美味しいね。」

 

「ユーリくんに褒められると嬉しいけど恥ずかしいですね…。勿論ユーリくんの作ったこのミニトマトのサラダも美味しいですよ?」  

 

「トマトを作ったのは朱鳶なのに?」

 

「ふふっじゃあ二人のお料理ですね。」

 

そんな他愛もない会話をしながら食事を楽しみ、一息ついた所でベランダに出る。

 

「「……」」

 

「ユーリ君はその…えっと」

「うぅ…あの映画のようなことしたことありますか?」

 

「…まあ学生時代はとんと無縁だったので。答えるなら無いですね。」

 

「なら…なら私が初めてでもいいですか?」

 

「朱鳶…?!」

 

「ん…」

 

目を閉じ、頬を紅く染めながらこちらを向く。つまりそういうことだろう。

 

「朱鳶…」

「ユーリくん…」

 

二つの影が…一つに…

 

「おい…いい加減おきぬかユリ坊。」

 

頭への鈍い痛みで飛び起きると、そこは何百回と見慣れたルミナ分署のオフィス。

 

「うそ…やっぱ夢か…そうだよなわかってたよ…うん。」

 

「何を言っているかわからぬが…徹夜で始末書を書くのではなかったか?」

 

そうだ…確かパトカーぶっ壊した始末書を書くようで徹夜するはずが…。机の上に目を向けると半分以上終わっていない始末書の束。

 

「はぁーーーーー………………なんで起こすんですか青衣先輩…」

 

「我に当たるなユリ坊よ、あと十分で朱鳶が来るのにそのままでよいのか?」

 

「それは駄目です!!着替えてきます!」

 

またいつかみれるといいけどなぁ……あの夢。

 

PS.今日一日、全然朱鳶先輩のことを直視できなかった。青衣先輩にからかわれたのはとても悔しかった。

 

 




思春期のような夢を見るユーリくんでした。

次に見たい話は?

  • 青衣先輩との二人きりパトロール
  • セスくんとのバディ秘話
  • 柳さんとのあんぱん友の会
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