生ドーナツを世界のスタンダードに!
行列生む“独創”で本場NYに殴り込み
その食感は、いわゆるドーナツとは一線を画す。ふわふわもちもちで歯切れの良い生地、"生ドーナツ"と呼ばれる所以だ。
2022年に専門店1号店をオープンさせてから、連日行列が絶えない人気店となった。店名は「I'm donut?」。食味の新しさから、ドーナツ自身が自分の存在を自問自答している様だという。店にはクリームやチョコレートなどの定番から、ベーコンやソーセージが挟まれた独創的な商品まで。多種多様なドーナツが並ぶ空間は、目にも楽しい。
平子良太の夢は、この「I'm donut?」を世界のスタンダードにすること。緻密に見える計画とは裏腹に、商品が生まれるのはいつも「思いつき」だという。
取材中、厨房で不意に2種類の異なる生地をマーブル状に混ぜた新しいドーナツの試作を始めたかと思えば、ある時は突然、シュー生地を裏返して平らな面を潰し、クリームを注入してブリュレに。シュー生地をタルトに変えてしまうというひらめきと遊び心が平子の強みだ。ヒット作・生ドーナツの誕生も、ブリオッシュ生地を油で揚げるという遊びの延長で生まれた奇跡だった。
高校卒業後、イタリアンやカフェの厨房で腕を磨き、福岡のイタリア料理店では料理長を務めた。28歳で独立して始めた7坪の小さなパスタ食堂は、知る人ぞ知る人気店となった。手掛けるドーナツの独創性は、料理人として培った引き出しのなせるワザなのだ。
現在の仕事は商品開発を始め内装のデザインやマテリアル、制服のデザインと多岐にわたる。世界観から演出して、初めて自分の料理が表現できるのだという。そんな平子に自身の肩書を尋ねると、「シェフ?」と答えた。店名さながら、そこにはいつも常識を疑うための「?」がつく。
新たな挑戦は、海外進出。選んだ舞台はアメリカ・ニューヨークだ。
現地で生ドーナツの試作を行うが、思うように生地が膨まず、命ともいえる独特の食感が再現できない。アメリカで手に入る小麦粉は、日本で使っているものと性質が大きく異なるのだ。
果たして、ニューヨーク進出の夢は実現するのか―
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