重さ約900kg、高さ3m 実在した「世界最重量の鳥」が今、人類に教えてくれること
アフリカのマダガスカル島に生息していた、伝説のエレファントバードに会いにいこう。 この名前にすべてが集約されている──この鳥はまさに巨大だった。 【画像】幻の巨鳥エレファントバードのイメージほか 高さは10フィート(約3メートル)、重さは約2000ポンド(約907kg)もあるこの印象的な動物をひと目見た人は、恐竜かと思うかもしれない。 しかし恐竜とは異なり、マダガスカル島にいた人類はごく最近まで、エレファントバードと頻繁に出逢っていた──彼らが西暦1000年頃に絶滅するまで。 それでは、この飛べない巨大な鳥の物語を紹介しよう。 ■巨大なエレファントバード──これまでで「最も重い鳥」 エレファントバード(学名:Aepyornis maximus)は、平胸類の仲間だった。分類としてはダチョウ、エミュー、キーウィがここに含まれる。 「現存する世界最大の鳥」という称号を持つダチョウでさえも、エレファントバードと比べると小柄に見える。巨大な脚と分厚い体を持つエレファントバードの武器は、スピードではなくパワーだった。飛ぶことはできなかったが、その必要はなかった。マダガスカルには天敵がほとんどいなかったので、数千年にわたってこの島の森と平原を支配していた。 化石を調べると、この巨大な鳥が巨大な卵を産んでいたことがわかる。エレファントバードの卵の長さは13インチ(約33cm)を超え、約2ガロン(約7.5リットル、鶏卵150個分)の液体を溜めることができた。 これらの卵は、これまで発見されたなかでも最大級のものだ。こうした卵はエレファントバードが絶滅した後、何世紀も経ってからマダガスカルの海岸に打ち上げられたり、農民や考古学者によって発掘されたりして、無傷のまま発見された。 その威圧的な大きさにもかかわらず、エレファントバードは草食で、果実や葉、低木植物を食べていたと見られる。森の中をゆっくりと移動し、その体格を生かして生い茂る草木の中を進んでいた。 (余談:エレファントバードは地上を歩く鳥の中で最重量だったが、最も背が高い鳥ではなかった) 驚くことに科学者たちは古代生物のDNA分析に基づき、エレファントバードの近縁種はダチョウでもエミューでもなく、キーウィだと考えている。はるかに小さな、ニュージーランドの飛べない鳥だ。 遺伝学的研究により、マダガスカルのエレファントバードはいくつかの異なる属(種をまとめた分類単位)から構成されていたことが明らかになった。これらは進化の過程でかなり前に分化していたもので、2つのグループに分類されている。 エレファントバードが姿を消したのは、マダガスカルに人類が定住するようになった時期とほぼ一致しており、その時期は西暦500年~1000年頃と推定されている。この時間軸は、彼らの絶滅に人類の活動が大きな役割を果たしたことを示唆している。 エレファントバードが狩られて絶滅したという直接的な証拠はほとんどないが、人類の定住による影響(森林伐採、生息地の喪失、卵の採取など)により、その個体数は激減しただろう。 特に、巨大な卵は標的になりやすかった。卵1個で家族全員の食事を賄うことができたのだから、非常に魅力的な資源だ。農業のための焼畑や整地が、彼らの繁殖や食料供給をさらに妨げた可能性がある。