大谷翔平選手の愛犬にあやかった?「デコピン」商標出願が激増、登録は認められるのか
●大谷選手は「デコピン」グッズを作れなくなる?
——もしも審査中あるいは審査待ちの「デコピン」の商標登録が認められた場合、デコピンの飼い主である大谷選手がデコピングッズを作って販売することは困難になるのでしょうか。 商標権というのは、あくまで商品や役務の「出所」を示すものであり、そういうものとして使用された場合に差止めや、損害賠償の対象となります。 たとえば、何らかの商品に、デコピンの姿の写真を印刷し、その下に、「デコピン」と記載されていても、これは、写真や絵の対象が大谷選手のペットのデコピンであることをしているだけですので商標権を侵害することにならない可能性が高いです。 大谷選手はもちろん、第三者であってもできるわけです。 ただし、デコピンを表した絵は、著作物となりますので、これを複製して使用した場合には、著作権侵害になります。
●大谷選手には「パブリシティー権」
——大谷選手とデコピンを一緒に描いたりした場合はどうなるのでしょうか。 大谷選手の容姿や絵については、「デコピン」と別に考えなくてはなりません。 最高裁では、著名な人物については、容姿や氏名を商用利用されない権利である「パブリシティ権」を認めています。大谷選手は、極めて著名な人物であるため、この「パブリシティ権」を有しており、自身の容姿や氏名を商用利用されたときに、差止めや損害賠償を請求することができます。 また、たとえばカメラマンが撮影した大谷選手の写真をもとに描いた絵は、パブリシティ権とは別に著作権の対象となりますので、差止めや損害賠償の対象となります。 【取材協力弁護士】 冨宅 恵(ふけ・めぐむ)弁護士 大阪工業大学知的財産研究科客員教授。多くの知的財産侵害事件に携わり、プロダクトデザインの保護に関する著書を執筆している。さらに、遺産相続支援、交通事故、医療過誤等についても携わる。「金魚電話ボックス」事件(著作権侵害訴訟)において美術作家側代理人として大阪高裁で逆転勝訴判決を得る。<https://www.youtube.com/c/starlaw> 事務所名:スター綜合法律事務所 事務所URL:http://www.star-law.jp/
弁護士ドットコムニュース編集部