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【公開中】マーケコンサルの汎用資料群 ─“共通言語”になる引き出し

マーケコンサルとして実務で使っているスライドを紹介していきます。どんどん使ってください。

本記事で紹介しているスライドは、特定のプロジェクトに依存したものではなく、マーケティングの思考や議論の土台となる汎用的なフレームや視点を整理したものです。
3C、4P、カスタマージャーニー、AIDMAのように、マーケコンサルが現場で自然と使う標準的な型や考え方――それらをベースに、対話を促し、思考を深める“引き出し”としてまとめています。

現場では「当たり前」でも、整理された状態で流通していることは少なく、だからこそ共有する意義があると考えています。
少しでも、マーケコンサルという職域全体のレベルアップや、クライアントからの信頼向上につながることを願って、公開しています。

クライアントの皆さまには、「それっぽくまとめられた資料」に惑わされないようにしていただきたいという思いがあります。コンサルのPPTは見た目の説得力が強く、まるで高度な思考の結晶のように見えることもありますが、実は“ただ整理されているだけ”ということも少なくありません。まずは、「それっぽいスライド」の雰囲気に慣れていただき、ご自身の仕事に少しずつ取り入れてみるきっかけになれば嬉しく思います。PPTで考えを言語化・構造化することは、それだけでコミュニケーションの質を一段引き上げる手段になり、日々の業務でも確実に役立つ力になります。
また、若手のマーケコンサルの方々にとっては、マーケティングのプロジェクトが多岐にわたることを踏まえ、ケース――というほど立派なものではありませんが、スライドベースの素材としてインプットになれば幸いです。一領域だけを指して”コンサル”と名乗ってクライアントの期待値をさげることは、マーケター・コンサル全体の不信感につながるので、少しでもそのようなリスクを避け、標準値を上げていけたらと思います。

「こういうテーマの資料はないの?」など、プロジェクト個別のものは当然出せませんが、応えられるものがあれば対応していきますので、気軽にコメントください。

【組織】組織設計や組織運営に関わるもの

三権分立

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部長・役員レイヤーの方とディスカッションする際の頭紙として便利
とくに現場から上がっていったマネジメントの方は「ビジョン」が劣後しているケースが散見されます
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この役割分担はあくまで”基本”なので、マネージャー以上で「ビジョン」と「マネジメント」は分担することが多いです。必ずしも部長が1人でビジョン策定を負うわけでもないです

組織課題

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組織について悩んでいるマネジメントと話す際のディスカッションペーパーになります。
これは本当にあっさりしている内容ですが、「さあ話してください」では雑なので、「たとえばこうなってませんか」と口火を切るものとして使えます
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これもよくあるのっぺりとしたことしか書いてはいませんが、現状の課題間をヒアリングする際などの素材として使いやすいです
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この後続くスライドものっぺりとしていますが、はじめて携わる方や、マネジメントの方々が直面しているものを知る一助にはなるかなと思います
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目標設定は難易度高いです。メンターやコーチ役、ないしは組織文化が成熟している前提でようやく機能することが多く、これ単体で好転することはほぼないです
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ただの″施策屋″との違いを見せるときに、この流れで説明してくるのにも便利です。
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伴走って何してくれるの?を示すときにも使えます
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これは普通に自分の部下やプロジェクトメンバーのクオリティコントロールの話です。ベンダーサイドは慣れている話ですが、クライアントサイドはこの辺りは疎いことが多いです
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ベンダーサイドはトップダウンであることが多いので、
ベンダーサイドからクライアント側に移った方は苦しむことが多いです。スキルとして別物ですよ、くらいに言ってもいいと思います
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「先輩」「管理者」「ノウハウの上位者」で良いと思ってしまっているケースを見かけた際にそれとなく提示したりします
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大した話ではないですが、ページ稼ぎに。(本質的ではなさそうですが、″厚み″が信頼につながっていくときには必要です)

スタッフケイパビリティ

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クライアント社内で中途採用を検討する際に人事等と話すときや、外注削っちゃダメなのか?と言われた時などに使えます。マーケ職にいろんな職種があることはマーケ界隈にいないと理解されていません(マーケ界隈でも一緒くたになっていることもあります)
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スタッフに必要なスキルセットを可視化させています。ここではコンテンツマーケターとしていますが、ほかの職種の作成の参考になるかと思います
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こちらはSNS人員についてです。スライドの右側では、レイヤーによって必要なレベルを書き分けています

【業務】業務設計やオペレーションに関わるもの

業務高度化

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業務を高度化させていく際にワンステップでは難しいので、ステップを切ります。また平仄にあるように目的を分類することで、タスク設計が明確に落とし込めます。
データドリブンだと本質を誤ることが多いので、「パフォーマンスマネジメント」としていますが、そのまま使えるケースもあると思います
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これもそのまま使えると思いますが、PDCAの高度化に向けた整理です。改善要素が人のスキルやレポート、会議体など多岐にわたるため、ディスカッションが荒れがちなのでこのような紙があると便利です

承認マネジメント

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これはスライドというか考え方の話ですが。コンサルも1発で承認を得られるとは思っておらず、あえて可視化するとこのように考えています。これは何か大きそうな物事で関係者も役員とか書かれていますが、キャンペーンプランニングや、バナーひとつとっても同じです。そして、賛成のレベルを上げるためには会議という手法はどちらかというと賭けの要素が強く、飲みの場なども使って上げていきます。

RACI

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これはマーケコンサルではなくて既に世にあるRACIチャートというものです。コミュニケーション周りはプレイヤーが多く、マウントの取り合いと責任は取りたくないが荒れる厄介な領域です。明確に役割を決めることもですし、その音頭役を取ることで、全体の進行役ポジションにつくこともできます。(クライアントサイドだと仕事が増えるだけですが、コンサル側は必要なムーブ)
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左側のタスクが綺麗になってないケース
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右側の担当者が綺麗になってないケース

【KPI】KPI設計や考え方等

代理店系の

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これは有名になりましたね。(多分オリジナルが生まれた案件に携わっていたのですが、間違いでなければ博報堂スタートです)
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これも有名になりつつありますね。代理店の方々はもっと見やすいものや指標が色んなものになっているバージョンもあるのかと

KPIツリー

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皆さん自身があらためて知るような内容ではないですが、組織間や新任担当者へ共有する際の、前提条件の目線合わせに使える時もあります
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前のスライドから続きで、見せ方として指標を示すのに視覚的に理解しやすいかと思います
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「(否定的に)XX分析はやらないんですか」とかディスカッションが建設的でないときに使えることもあります
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見せ方のパターン違いなだけです

レポート体系

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KPI関連はsomething newなことがなく恐縮ですが、これも目線合わせに便利です
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これも当たり前でしかないと思いますが、数値管理したいマネジメントや新たに取り組み出した際には、わかりやすい表現で、スムーズなコミュニーションに寄与すると思います
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前のスライドと合わせて、因数分解&KPIを示すと理解してもらいやすいです。(現場でゴリゴリやってる人からしたら中身自体はなんともない話ですが、このあたりの見せ方・コミュニケーションの取り方が伴走支援でありコンサルの得意なやりかたのひとつです)

グループ間KPI

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効果検証の意義

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新任で、魔法の杖を気にしている人向けに説明するときの頭紙です

【提案】プロジェクトの提案時やドアノック時に使えそうなもの

ヒアリング

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提案前のヒアリング時にこれくらいの全体感で各論を聞けると状況を理解しやすいです。クライアントの方3-4人に話を聞ければ提案前の状況把握はある程度できます。

伴走支援

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伴走支援や、ワンチームなどを表現したいときに使えます。もともとエンジニア畑で使われていたものです
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これも伴走なりワンチームなりを示すときに使えます
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こちらも伴走支援なりワンチームなりを示すときに使えます

施策

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「なんとかできますよ」とか「施策任せてください」とだけ言われてもクライアントは任せられないので、「分かってますよ」感が出せます。特にコスト面についても検討対象に当然入っているのがポイントです。ただ中身がないので、あくまでドアノックのヒアリング紙くらいの使い方でしょうか
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前のスライドと同じくドアノック時用くらいです。あんまりわざわざ語るようなこともでもないですが、相手によってはたまに刺さります
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これ系のものはみんなオリジナルでいくらでも使ってると思いますが一応

プロジェクトのアウトカム

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アウトプット=成果でないときに、「成果物」「促される変化」「成果」を示しておくことで、プロジェクトメンバーにプロジェクトの意義を共有できますし、道標にもなります

調査対象

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競合調査における対象をなんとなくいつも意識してる会社にしがちですが、要素毎に絞って研究することで意味ある情報に到達できる数が増えます。自社を要素に分解して、それぞれ毎の調査対象を決めます。

変革ステップ

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世の中の話になっていますが、どこかの会社における通販の変遷だとして見てみてください。「変革」が進んでいく様を現しています。3カ年計画の際などはこのような見せ方が効果的なことがあります。なんとなく数値が伸びていくのではなくて、顧客との関係や、意義がどう変わるのか?連動してチャネルがどう変わるのか?変数は他の話でも良いですか、「進化」「革新」を示す際には有効的です
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「高度化」などの昇華させていくイメージを伝えやすいです

【ケイパビリティ紹介】マーケコンサルとして名乗る際にに使えそうなもの

支援範囲

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界隈において「何でもできますよ」という場面によく遭遇しますが、聞き手にとっては不便なので例えばこのようにマーケを分類して示すのがミスコミュニケーションを減らせますし、時間も短く済みます。(ちなみにこのスライドはうちの会社で使っているもので、データ系システム系のケイパも見せたくて下段がそうなっています。クリエイティブや、プロダクト系の話などでも良いと思います)
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こちらも雑に「何でもできますよ」を防ぐ役割だったり、また″マーケティング″が何を指しているかを説明するときにも使えます。特に右側は、マーケ部の役員や部長職はミッションになっている領域で、そこまでコンサルとして対象としている際には自社説明として便利です
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「データ周りなんでもできますよ」の際には頭にこのような説明があった方が相手は楽です
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「データ活用できていないから相談したい」などのドアノックやヒアリング時の頭紙として使えることもあります。これ自体はあたりまえの話ですが、ただレポート内容とか運用方法が、、などと細かいところから話が始まらないように、目線を上げたところから始められます
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門外漢でマネージャーなどになったクライアントに、マーケの場で使うデータはこれくらいしかないよ、イニシアティブをとりにいく材料の一つとして使えることも、、あまりないか。。どちらかというと部下や新人スタッフに説明する用としてなら機能するかもです



本内容が業務や思考の一助となりましたら、スキを押していただけると幸いです。ご反応を参考にしながら、他のスライドの公開可否や今後の発信方針を検討していきます。
コメントやご要望も歓迎です。現場目線で、実務に即した内容をこれからも届けていけたらと思っています。



細かいtipsはX(旧twitter)に始めました

noteの記事にするほどではないものの、若手の方や新しくマネジメントになられた方向けのtipsを発信し始めました。
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@kojiteshigawara
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コメント

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CONTA
CONTA

なかなかネットではお目にかかれないリアルな情報で、私も会計系のコンサルとして動くなかで、テーマは違えど似たようなスライドがあってとても参考になるなと思って見ておりました。貴重な情報を掲載いただき有難うございます。
いつかお時間や情報公開の許す限りで、マーケティングにおける効果検証や施策実施後のスライドであったり、そこに対するお考えだったり、聞けると嬉しいです!

勅使川原晃司
勅使川原晃司

ありがとうございます!実務バリバリの方からのコメント、励みになります。
そして効果検証について単体で記事化検討してみます!世の中で語られるイメージと、現場で求められる理想、そして現実に価値を発揮している取り組み。このあたりにかなりギャップがあると感じており、その点を考察してみます。
またご意見やご要望などあればぜひ教えてください!

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エイトハンドレッド取締役 | 事業会社→代理店→コンサル・大学講師▷マーケコンサルを創業してM&Aを経験 | マーケターキャリア本を執筆 | マーケティングの民主化、マーケターの地位確立を目指して日々精進しています
【公開中】マーケコンサルの汎用資料群 ─“共通言語”になる引き出し|勅使川原晃司
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