Jamey Stegmaier氏にメールして感動して、行動を改めた話
僕には、めちゃめちゃ尊敬している人が3人いる。
今日はその中の1人、僕の人生の目標であるJamey Stegmaier氏について書きたいと思う。
この記事はちょっと感情的すぎるかもしれないが、自分が感じたことをありのままに書いていきたい。
僕は高専生時代に、ある一冊の本を読んだ。
アレックス・バナヤン氏の「The Third Door」という本だ。当時18歳か19歳だったと思うが、読んで大きな衝撃を受けたことを今でも覚えている。
読んだことがない方に向けてちょっとだけ説明すると、この本はバナヤン氏の自伝で、何も持たない学生だった彼が、こうして本を出すまでに至った経緯を物語として綴っている。彼はメールを武器に、様々な人と会い、チャンスを得て、莫大な成功をするに至った。
僕はこの本を読んでから、「本当に知りたいことがあったり、会ってみたい人がいるなら、とりあえずメールかDMをしてみる」ということを信条としている。
例えば、同級生が就活をしている中、全国津々浦々の木工職人さんにFacebookで連絡をとって話を聞かせてもらいに行った。ボードゲーム出版社を始める時もまず、尊敬する株式会社ケンビルの丸田さん(社長さん)やぬんさんに話を聞きに行った。
ゲームデベロップを始める時は、自分が知るなかでゲームデザインにもっとも明るい上杉カレーさんに電話で話を聞いたし、キックスターターに初めて挑戦する時は、当時IKIで大成功していた山田空太さんに話を聞きに行った。
つい先日も(というかつい昨日なのですが)、海外のゲーマーにゲームを知ってもらう方法についてオインクゲームズの佐々木さんや社員さん(名前を出していいかわからないので非表示にしています)にお話を聞いた。
一流の人たちから生の情報をたくさん教えてもらう。
たくさん考えて、自分の中でそれを昇華する。
何かお返しできるようになったら自分のできるものをお世話になった人や社会にお返しする。
僕は今までこうやって生きてきた。
もちろんスルーされることだってたくさんあるし、迷惑な奴だと思われるのはとても怖い。
連絡する時点では僕は相手側になにもメリットを生み出せていないのだから、無視されても当然だと思う。
それでもお返事をくれた人たちがたくさんいて、本当にありがたいと思うし、いつか恩返しをしなければと思っている。
だいぶ長くなってしまったが、ここまでは前置きだ。本題に入ろう。
僕は年に1-2回、クラウドファンディングというものを使ってボードゲームを作っている。
クラウドファンディング、シンプルなように見えるかもしれないが、なかなか一筋縄ではいかない。
表層だけ見ると、クラウドファンディングは単なるお金を集めるプラットフォームに見えるかもしれない。実際一番最初にクラウドファンディングをする時には、僕の目にもそう映っていた。
しかし、長く携わっているなかで理解したのは、クラウドファンディングがそういった冷たい集金装置ではないということだ。
クラウドファンディングは、
・資金調達
・コミュニティの形成
・プロダクトの改善
という3つの目的の達成のために運営する、もっと有機的で、情熱的で、情緒的なものだ。
これについてはいつか別の記事でまた深く掘り下げてまとめるつもりだ。
クラウドファンディングは「誠実でいることがそのまま自分の利益につながる」というとてもシンプルなルールを持っている。
僕は初めてクラウドファンディングに挑戦した時から、飽きずにけっこうな熱量を注いで取り組んでいるのだが、ここの芯の部分への共感が、僕を動かしているのだと思う。
プロジェクトを運営する中で、問題に直面するたび、都度独学で勉強や対策をしてきて、いくらかノウハウは蓄積した。
しかし、単発で問題に対する対策を覚えているだけで、「クラウドファンディングっていったい何なのか?」が体系的に分かっていない、そういう負い目が自分のなかにあった。
そんな中、僕のクラウドファンディングの理解をもっとも深めてくれたのが、Jamey Stegmaier氏*の「Kickstarter Lesson」という記事群だ。
*(ボードゲーム出版社ストーンマイヤーゲームズの社長。同社の代表作はウィングスパン、サイズ、ワイナリーの四季。同氏はワイナリーの四季、Scytheのゲームデザインも担当している。)
今までクラウドファンディングに関するたくさんの書籍や記事を読んできたが、Kickstarter Lessonは群を抜いて優れた一級品だ。
記事を読むとわかるが、Jamey氏は本当に誠実で、自分の利益のために記事を書いていないことがよく分かる。後からこの道に入る誰かを助けようと思って書いている。
僕はもう数回全ての記事を読んだのだが、すごく感動してしまって、Jamey氏にお礼を伝えたくなった。
すぐに、素晴らしい記事を書いてくれたことに関するお礼と会ってみたい旨のメールを送った。
少しだけ同社の説明をさせてほしい。
ストーンマイヤー社は業界では大手だが、社員数はせいぜい3-4人の小さな会社だ。本当に沢山のゲームが売れていて、年間で大体25億円くらいを売上げている。この数字はオリジナルゲームの販売がメインのボードゲーム出版社としてはかなり高い数字だ。
僕もオリジナルゲーム中心の小規模出版社でやっているから想像がつくが、社長のJamey氏はほぼ間違いなく、はちゃめちゃに忙しいはずだ。
正直なところ、返信は期待できないだろうなと思いながらメールを送信した。
僕にとって彼がどれほど大きい存在でも、彼にとって僕は、たまにゲームを買ってくれる数百万人の顧客のうちの1人でしかない。
しかしどうだろう。
メールを送って30分後に、Jamey氏から返事のメールが来た。
少し実際のメールと内容は違うが、簡単に要約すると、
「お礼のメールを送ってくれてありがとう!とても嬉しいよ!是非会おう。日本にはちょっと忙しくて行けないからアメリカのセントルイスでいいかな?一緒にご飯でも食べながら喋ろう。
あと君のプロジェクトの経験に関する記事に興味がある。KS Lessonに寄稿してみない?」
という感じの返事だった。
本当に嬉しかった。
すぐに2-3回メールをやり取りし、実際にはいくつかの理由で会わないことになったのだけど、僕はこの返事を貰って本当に全身に電撃が走ったような衝撃を受けた。
僕は彼の記事を読んで、コミュニティとは何かを理解したつもりになっていただけだった。
彼は僕のことを数字ではない個人として見てくれて、30分以内に、忙しい合間を縫って数分の時間をかけてメールの返事をしてくれた。
僕は彼にめちゃくちゃ大事にされていると感じて、さらに大ファンになった。
ひるがえって、我が身はどうだろう?
僕は自分たちをいつも支えてくれているお客さんに対して、これができているだろうか?
内心で感じている感謝をちゃんと伝えているだろうか?
「人ひとりが自分たちの商品を買ってくれる」という、本当に大きな行いに対して、感覚が麻痺してしまっていないだろうか。
Jamey氏の本物の対応と比べると、僕のそれは反省すべき点だらけだと思った。
自分の今までとってきた言動や、行動をとても恥ずかしく思った。
すぐに僕はカスタマーサポートの仕事をチームメンバーから引き継いで、アップデートやSNSで自分がどれだけ感謝しているかを行動と言葉の両方で伝えるようにした。
すると、まずSNSやキックスターターのページを開くのが楽しくなった。今まで、なんだか凄くトゲトゲしていて、すぐに怒っていて怖かったバッカーの人たちが、一気に味方に見えるようになった。
キックスターターは、本当にプラットフォームが使いづらく、コメントやDMなどに返事をするのが大変だ。1日に数百件のメッセージが全て英語で送られてきたりするのだが、正直、使いづらすぎて気が遠くなる。どこまで返事をしたかすぐに分からなくなる。
また納期から遅れるのが当然という風潮や、国際配送による遅延やゲームの破損、サーベイという意味不明な住所入力システムによる入力忘れなども相まって、バッカーが自分が大事にされていると感じづらい土壌になってしまっている。そのため、バッカーの人たちはかなりイライラしていて、何かあるとすぐにとても強い言葉で批判が飛んでくる。
僕はよく、「あなたと私は敵ではない」という言葉を自分に言い聞かせる意味も込めて使うのだが、このように強い言葉で批判される環境下では、お金を出してサポートしてくれた、本来はいいゲームをつくるという目標を共にする仲間であるはずのバッカーが、自分の敵のように見えてしまう。
これは、出版社としてはあってはならないことなのだが、精神を守るためには避けようのないことだと思う。
誰だって、自分のことを嫌いな敵と、やり取りはなるべくしたくないだろう。だから、キックスターターのカスタマーサポートは出版社目線で見るとかなりキツいものだった。
カスタマーサポートの担当をかわってすぐ、僕はアップデートの内容をバッカー目線に立って考え直してみた。どうすれば、バッカーの皆さん1人1人に僕が大切だと思っていることが伝わるだろうか。それを考えて投稿したアップデートがこの投稿だ。
このように、自分がバッカーだった時に、自分が何が知りたかったかを思い出しながら投稿してみた。
するとどうだろう、コメントが本当に優しくなった。
これは、僕がバッカーを大切にしていると思ってることが伝わってくれたからではないだろうか。
コメントが好意的なので、キックスターターページを開くのが苦痛ではなくなった。苦痛ではなくなったから、今までにないスピードでどんどんカスタマーサポートが出来るようになって、また優しいコメントが増えた。
僕は今まで、バッカーさん達に自分は味方であると口では言いながら、味方であれば当然にするべき情報の共有や、真にバッカーさんのための行動が出来ていなかった。
それをするだけでこんなにいい方に転がるのか、とビックリした。
これがコミュニティのあるべき姿なんだ、と強く思った。
僕は、「Jamey氏からメールの返事をすぐにもらって、自分が大切にされていることを実感する」という経験を通して、自分の考えの浅さを痛感し、行動を変え、プロジェクトのバッカーの皆さんと真に仲間になることができた。
今後も、定期的にバッカーという立場でキックスターターに参加しながら、バッカーの気持ちが分かる出版社として自分たちのプロジェクトを改善していこうと思っている。
※僕は新しいことを学び、いろいろな考え方に触れるたびに、今まで何回も考え方が変わってきた。本記事の考え方も将来的にはまた変わる可能性がある。
この記事を読んで何か思ったことや、考えがあったら気軽にコメントやメッセージであなたの考えをシェアしてほしい。
僕は常にコミュニティに対してオープンであり、本当に大切だと思っている。
うちばこや
田中潤平



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