仕事終わりに人外キャラへ愛を叫ぶ|仕事終わりにあの店で(ネタバレ感想)
皆さんは人外キャラってお好きでしょうか。私は物凄く好み!という程ではないけど、普通とは違ったキャラデザにぱっと目を引かれることはあるし、人外キャラならではの味つけやキャラ造形を見ると「良いねえ~~~!!」とテンションが上がる、くらいの好き度合いです。
そのため「仕事終わりにあの店で」というゲームの存在を知った時は、人並みに目を引かれ、人並みに配信を楽しみに待っていました。そんな私が全てのEDを見終わった後こうして感想をしたためているということは、このゲームがハチャメチャに良かったということです。本当に面白かったし楽しかった~!!!!の気持ちと、このゲーム本当に無料でいいんですか!?!?の気持ちでいっぱいになっています。
「仕事終わりにあの店で」は、タイトルどおり仕事帰りの主人公が行きつけの店であるお客さんと相席になり、5日間の間に会話を交わし交流を深めていくゲームです。交流できるお客さんは全部で5人いて、誰もが特徴的な見た目をしています。
会話の中でどの選択肢を選んだかによってEDが分岐します。私は初めゲームの説明文を流し読みして「エンディングが6種類ある」というのを見て、登場キャラ5人分の5種類+隠しED1種類なのかな?と予想してゲームを開いたら、登場キャラ1人につき6種類のエンディングがあるという事実が判明し、オタクの誇張表現抜きに想像の5倍ボリュームがある本作に目を剥きました。何度も書いちゃうけどこれ本当に無料でいいんですか……!?!?
登場するキャラクターの誰もが魅力的で、ストーリーもすごく楽しくて、ビジュアルもBGMも満点で、難易度も高くないので、ゲーム画面を見てぱっと目を引かれた方は遊んで損の無いゲームだと強く感じます。エンディングは各キャラに6種類と多いですが、フラグ管理はそう難しくありません。1周30分ほどで終わるため、タイトルに沿って学校や仕事が終わった後の短時間で少しずつ遊ぶのも没入感が増して楽しいと思います。私は面白さにのめり込んで丸一日かけて一気に遊んでしまったんですが……。
以下、全てのEDを見たプレイヤーによるネタバレを含む感想になります。未プレイの方・未通過のEDがある方はご留意のほどお願いします。
ゲーム全体について
〇とにかく良さが詰まったキャラデザ
冒頭のスクリーンショットを見ていただければお分かりかと思うのですが、このゲーム、とにもかくにもキャラデザが良いです。人外キャラについてはほとんど門外漢なので的外れなことを書いていたら申し訳ないのですが、作中に出てくるどのキャラクターも顔・手・目・第一印象で受けるイメージが異なっており、それでいて言動と合わせて不思議と親しみやすくなっています。
ゲームを遊んでいて驚いたのは、ゲーム本編で立ち絵が登場しない脇役のキャラクターにもしっかりキャラクターデザインが設定されていることです。特にエイメルの上司にあたりドルネドが敵対している隊長は、文字だけでもなかなか濃いキャラをしているのですが、ドルネドのEDをすべて見た後に解禁されるプロフィールでしっかりイラストが出てきた時には思わず絶対キャラデザあると思った!!!!と声をあげてしまいました。その他にもスクリックのサーカス団に所属している団員、エイメルの部下たちなどもしっかりデザインされています。こういった、本編には関係ないけど製作者の趣味嗜好に合致するものがおまけとして公開されているのを見ると、これ作ってる間楽しかっただろうな……がひしひしと伝わってきてこちらまでうれしい気持ちになります。
各キャラクターの設定からも、製作者さんの人外キャラに対するこだわりが垣間見えます。エイメルの鎧っぽい頭部について、「これは被り物じゃなくてガチの頭です」とおまけページで解説されていたのが特に好きです。これ作ってる間本当に楽しかっただろうな……。
自分の好みにがっつり絡んだゲームを作ることができるのは、インディーゲームの良さの一つだと思っているので、人外キャラについて門外漢の私でもこのゲーム作るの楽しかっただろうな~!!と伝わってくる作品に出会えて本当にうれしかったです。
〇読んでいて楽しい会話
会話を交わすのがメインのゲームである以上外せないポイントだと思うのですが、本作はキャラクターたちとの会話がしっかり楽しいです。心に深く突き刺さったり、大いにタメになったり、激しく感情を揺さぶられたりというよりは、何も知らない相手のことを少しずつ知り自分のことも話して、それに対して共感や反応を示すといった、まさに交流を深め相手を知る点に重きを置いたやり取りだと感じました。それでいて各EDを見た後にもう一度読み返すと、ここの反応ってこういう意味だったのか!と気づきを得られるところもあり、周回が前提となっているシステムに上手く噛み合った文章だったと思います。
また、一通りの交流を終えた後に迎えるEDでは、そのEDならではのドンと心に響く言葉を主人公に向けて贈られることも多かったです。そういった言葉に出会う度ドワーーー!!最高!!!!といいねボタンを何度も連打しました。適度に柔らかく、読み心地が良い、仕事終わりに読むと疲れがふっと抜けて楽しくなれるようなテキストがとても良かったです。
〇美味しそうな料理
本作では主人公が注文した料理を会話相手と一緒に食べるのですが、どの料理もすごく美味しそうです。お腹が空いている時に見ると飯テロを食らいます。
登場人物のキャラクターデザインは勿論のこと、料理のビジュアルもしっかり作り込まれていて、更に各料理に対して5人のキャラクター全員がそれぞれ異なる反応をするので、EDの分岐に関わりが無くても料理を注文するのがすごく楽しかったです。
特に好きな料理は
マジカルオーシャンセット
パワフルスパイスセット
ワクワクピクニックセット
です。綺麗~!! 美味しそう~!! お腹空く~!!!!
〇主人公の人物像
「仕事終わりにあの店で」では、選択肢によってEDが変化しますが交流相手のキャラクターから主人公への好感度が変動するわけではありません。選択肢によって変化するのは、主人公の人物像です。
各キャラクターに設定されているEDで、主人公は選択肢によりそれぞれ医師・芸術家・魔導士・賞金首・厄めの種族になります。主人公の人物像によって、主人公と今後の人生を共にすることとなった相手キャラクターの反応は様々に変わります。こういった選択肢による変化は、かなり珍しいと同時に新鮮ですごく楽しかったです。主人公の人物像に伴って在り様が大きく変わるキャラとそこまで変わらないキャラがいて、各キャラクターの内面を新しい見方から感じることができました。
隠しEDではマスターが主人公について「お前さんが姿や立場、名前までポンポン変えて来店する度……こっちは毎回、一瞬混乱するんだからな!」と言及しているので、これらの人物像は全く異なっているように見えて実はすべて主人公その人に違いないのかもしれません。もしそうだとすると、どんな選択肢を選んでも(=主人公がどんな見た目でどんな性格でどんな職業でも)主人公に好意を抱き、あなたと共に生きていきたいと告げる5人のキャラクターたちは、主人公の魂そのものを好いているのかもしれないな……と思うと彼らへの愛おしさがより増します。
また、「選択肢によって変動するのは相手からの好感度ではなく主人公の人物像」というシステムは、選択肢による間違いや失敗が無いとも考えられます。個人的には好感度が下がる選択肢を選んだ時の相手の反応にも味があって良いなと思う派なのですが、それをストレスだと思う人も少なくないだろうな……という点や、上述した主人公の設定などから、このゲームでのプレイヤーがどの選択肢を選んでも相手の好感度が下がらないところに好感が持てました。
キャラクターについて
こちらの項目では、各キャラクター毎の好きなところと、特に好きなEDを2つずつ挙げていきます。
〇ドルネド
荒事の匂いしかしない危険な客
2日目に返り血まみれで向かいの席によっこらせと座ってきて、4日目には彼と関わっていたことで警察に尋問されるという、交流する5日間が最もスリリングかもしれないキャラクターです。2日目にドルネドが引き起こした事件の全容がゲーム全体を通して遊ぶと分かってくるのが、本作を遊んでいて楽しかったポイントの一つです。
明らかにカタギではないドルネドですが、彼のEDを回収していると、どうもこの人ただのカタギじゃないだけではなくて、相当強くて幅きかせてるっぽいな……?と分かってきます。それをじわじわ感じ取ってからの、全EDを回収した後に見られるプロフィールで「主人公としての資質や特性に異常なほど恵まれており、望んだことは失敗を経ても必ず最後には実現させてしまう力を持つ」と書かれているのを見た時は思わずタチが悪い!!!!と笑ってしまいました。ドルネドは自分が社会的に悪だと自覚した上で悪人をやっている人なので、型月のアライメントでいうと秩序・悪属性に近い人なのかな?と思うんですが、秩序・悪属性で主人公補正かかってる人というのが想像するだに厄介でたまらなかったです(型月を知らない方は何のこっちゃな文章だと思います。すみません)。
エイメルのところの隊長さんとの関係もコンナノ=オタク=ミンナ=スキナヤツヤンになりました。2人のこれまでの戦い、想像が膨らむ~!!
本作ではゲームの初めに主人公の名前を入力する場面があり、その後お客さんからは入力した名前で呼びかけられるのですが、ドルネドはここぞという時に名前を呼ぶことが多かった気がします。5日目に「自分と一緒に来てほしい」と言われて了承した後、「そうか、では共に行くとしよう」と返されて締め括りに一言主人公の名前を呼んだ時は、ずるい奴ですよこいつは…………となりました。
ドルネドは戦闘のため体を色々と改造していますが、料理を食べる楽しみのため味覚は残しているというキャラクターです。物騒なイメージに反してどの料理も細やかに楽しんでいる様子は、数あるメニューの中からどれを注文するかがより楽しみになります。
個人的にスイーツ系のメニューを選んだ時の、「別に嫌いなわけじゃないけど明らかカタギじゃない自分と食べる料理にこれ注文する?」というじわじわと滲んでいる困惑が好きです。平穏でない生活の中でもそういった素朴な感覚を失っていないところがいいなという気持ちになります。
・ED4 似た者同士
他のEDは畑違いの世界にいた主人公がドルネドのいる裏社会に飛び込むといった関係になる中で、元々同じ世界にいた2人がこれから手を組んで一緒に大暴れする、という関係なのが珍しいかつより相棒感があって良いなと思ったEDです。
プロフィールで「同業者からは絶対に関わるべきでない、敵対すべきでない人物として知れ渡っており、他者と行動を共にすることは滅多にない」と記載されているのを見ると、ドルネドが誰かと一緒に生きていきたいと思ったり、手を組んで仕事したと思ったりした重みが更に理解できる気がします。
普段あまり他者と手を組まないからか、いざ主人公と協力者になった時に「ここは抱擁でもすべき場面か」とちょっとズレたことを言うのも好きです。他の人からすればたまったものではないながらも、大暴れして楽しく生きていってほしい2人です。
・ED6 愉快な同行者
5日目の誘いを断った時主人公がえらい目に遭うEDその1。カタギでないとはいえ、ドルネドと交流している間は不用意に暴れたり(仕事内容以外は)露骨に不穏だったりといったことがなかったので、主人公が誘いを断ったらあっさり引き下がるのかな?と想像していたら、しれっと主人公が拉致されて声が出ました。後でプロフィールを読み「目の前に気に入った獲物が現れた時、その手を緩めることは決して無い」という説明と主人公気質の説明を見て、なるほど自分が叶えたいと思ったことは絶対達成する人だな……と納得しました。ドルネドは「逃げてもいいよ!その度に連れ帰るけど!私を楽しませてね!ガンバ!」って言ってるけど、主人公補正がついててどんな任務でも成功できる奴に勝てるわけないだろ……という冷や汗がプロフィールを読むごとに止まらなくなるのがこのEDの味わいだなと思います。
ぱっと見やってることはヤンデレしぐさに近いですが、ドルネドの人柄が血生臭くともすっきりしているので、主人公との追いかけっこがどっちかというとドタバタ珍道中っぽくなりそうなのも好きな質感です。どの選択肢・どのEDもそうですが、このゲームは会話相手から主人公ないしプレイヤーに対してどろついた悪意や傷が向けられないよう揃えられているところが魅力の一つだなと思います(プレイヤーに悪意や傷が向けられる作品も個人的には大好きなのですが、作風としてそのように統一されているのが好ましく思うの意です)。
〇オルーニィ
あなたのことを妙に気にかける怪しい常連客
登場するキャラクターの中でも、過剰なほどへりくだった態度と匂い立つ宗教の気配から胡散臭ぇ!!!!と開口一番声をあげたくなるのがオルーニィです。どのキャラクターよりも距離感を測りかねる選択肢を選びがちな相手だったのですが、大きいハンバーガーを注文した時に小声で「でっか……」とつぶやいたり、主人公を宗教に勧誘しようとしてマスターに叱られタジタジになったりするのを見て、この人の素、たまらんな…………と一気に警戒を解きました。
後半にはマスターから子供の頃の話を次々に暴露されて、胡散臭さがどんどん霧散していくのも好きです。このあたりから、オルーニィのEDに絶対主人公に振り回される展開があってほしい~!!!!と思っていたため、実際に6つあるEDのうち過半数でオルーニィが主人公に対して優位をとれていないのを見て非常に満足しました。
その分ED1で「あなたは私のことが好きだから私のために働いてくれますよね? 私も私と神様のために働いてくれるあなたが好きですよ」と優位を取ってくる展開にも味を感じます。各EDの中で一番仕事に疲れてるっぽい医師の主人公が、疲労につけこまれて宗教に従うようになるの、それはそう。
オルーニィは子供の頃から家族で来店するほどお店に頻繁にやってくる客なので、名前を伏せている時のフキダシについている呼称が他の客と異なり「常連客」となっているのも芸コマで好きです。全ED回収で見られる子供の頃のオルーニィ、本当にかわいい。こんな子供の頃からの知り合いだったらマスターが怒りつつ出禁にできないのもうなずけます。
オルーニィが神様を崇めているのは、社畜時代に疲れ切っていたとき神様に手を差し伸べられたのが理由です。オルーニィの元職場はエイメルと同じ治安維持組織なのですが、彼の所属していた部署の悪評についてはエイメルから語られる場面があります。
他の職員への威圧や強制、不正が横行していたあの部署のことですよね。
あのような忌まわしいことが長年行われていたとは……
もっと早くに私が気がついていれば被害者の方を救うことも出来た筈なのに、と
不甲斐ない自身に無性に腹が立ちます。
エイメルが上司だったらこんなことにはならなかったんだろうな……と思いを馳せつつ、プロフィールで「オルーニィは神様のために働く今の日々が充実しているので、そういった『もしも』を夢想することはあり得ない」と書かれているのが好きです。とはいえマスターの「何とか真っ当な道に戻してやりたい」という気持ちも分かるし、主人公にはオルーニィを振り回しつつ適度にお付き合いを続けていくしか道は無いのか……と悩んでいたところ、ED5という最強最高のエンディングでそんな悩みは吹き飛ばされました。詳細は後述しますが、ちょっと……何度読み直しても最高過ぎ……!?!?!?
・ED3 もうこれっきりですよ!/ED4 勿論アナタの奢りですからね!
好きなEDを2つずつ挙げると言いつつ3つ挙げる暴挙に出ています。この2つは好きなポイントが大体同じEDなので一旦セーフ。
オルーニィと会話している間、お前は宗教に殉じてる姿も素敵だけど自分が敵わない相手に振り回されてる時が特別輝いてるよ……と思っていたので、そのとおりに主人公に振り回されまくるEDがあって勝利のガッツポーズを決めました。賞金首の主人公が起こした荒事に盛大に巻き込まれても一緒に飲みには行くんだ……とか、変な魔法をかけられるのを何だかんだ許したり「神様が気に入ってくれるかもよ」って言われたら誤魔化されたりするのチョロくない?とか、オルーニィの素を見た時にもっと見たいと思った一面が更に深く見られてうれしかったです。
不思議な薬を飲んだ後のオルーニィの差分がこのEDにしか登場しなかったのもこだわりを感じて笑ったポイントです。汎用性以上に趣味嗜好で追加されてる差分、まさにインディーゲームならではという感じで、見かけるとうれしくなります。
・ED5 ワタクシの神様
全てのEDの中で一番大好きなEDです。
オルーニィのEDを回収している中で一番EDの内容が楽しみだったのが、ED5にあたる厄めの種族主人公とオルーニィがどんなEDを迎えるかといった点でした。それまでに見たEDで、ED5の主人公は人智を超えた視点を持ち人類に救済や試練を与えようとする、神様然とした種族らしいと把握していたので、私はオルーニィのED5について「オルーニィってまだ社畜時代の鬱憤や素の性格が残ってるから、そこの隙を突いて主人公が神様の代わりにオルーニィの信仰対象になってほしい~!!」と欲望100%の想像をしていました。とはいえ欲望に走り過ぎている自覚もあったので、そんな理想的なEDは流石に無いよなとも思っていたのですが、実際にお出しされたED5が実はかつてオルーニィに手を差し伸べた神様は主人公その人だったという内容だったのでリアルに天を仰ぎました。現実が理想を軽々と超えていった……。
ED5の主人公は人類へ気まぐれに救済や試練を与える種族なので、仕事に疲れていたオルーニィへ手を差し伸べたのは気まぐれな救済の一環だったのかもしれません。だけどお店で再会してから一緒にご飯を食べて、宗教団体についていって、正体を明かしたのはさ……オルーニィのことが……好きじゃん……!?
ED5のフラグが立つ選択肢で、欲しいものを聞かれた時にオルーニィ本人を指さす選択肢や、マスターにオルーニィとの仲を問われた時「自分とオルーニィの間にマスターが入る余地は無い」と答える選択肢や、マスターにオルーニィの面倒を見てくれるか頼まれた時「意味深に微笑む」と返す選択肢があったのも、主人公が神様本人だったのなら納得です。そりゃあ他の人が入る余地は無いだろうな……。目の前にいる相手が神様本人だとも知らずに、神様の目の前で食事の前には神に祈りを捧げ神様に救われた思い出を大切に語るオルーニィのことを、主人公はどう思っていたんだろう……と思いを馳せてしまいます。多分めっちゃ嬉しかったんだろうなとは思います。このEDが、オルーニィの虚を突かれた「……神様?」という一言で終わるのも好きです。少ない言葉で衝撃の展開を示唆するのが上手い。
私はゲームを進めながら物語を読んでいる時、「こうなったらいいな」という予想を踏襲しつつ更に上回る物語に出会うとカァーーー!!!!最高!!!!!!とうるさいカラスになってしまうのですが、このEDにももれなくカラスになりました。本当にうれしかったです。最高です。神様と信者の両思いEDをありがとう。
〇エイメル
治安維持組織に身を置く謹厳実直な客
他のキャラクターは主人公に向ける好意の種類が明言されていないのに対し、途中からかなり直球で恋愛感情を押し出してくるのでびっくりしたキャラクターです。それと同時に後輩とのほのぼのエピソードにええ話やね……と心温まっていたら、後輩たちが「隊長のことどう思ってますか!!」と探りに来たときは笑いました。エイメルの後輩たちとはドルネドとの会話で先に会っておりその時は尋問めいた声をかけられていたので、立場が違うと印象が大きく変わるところも面白かったです。
登場キャラの中でも明確に主人公と家族になることを意識しているひとなので、プレイヤーがエイメルからの告白を承諾した後は大体全部のEDでふたりがイチャこいています。あまりのイチャイチャ具合に途中からずっとイチャイチャすな!!!!!!!と砂糖に埋もれながら内心叫んでいました。ED5の「試練を与えるなら私だけにしてください」のあたりとか本当に何を見せられている!?!?と机を叩いていました。机を叩く手は止まりませんが、ふたりが幸せならそれでいいよとも思います。エイメルが贈ったのと同じ花がED5の2人が住んでる部屋でちゃんと飾られてるのいいよね。
EDではまあまあ浮かれぽんちになっているエイメルですが、彼の魅力はやっぱり公式の紹介文のとおり「謹厳実直」なところだと感じます。エイメルの仕事は治安維持隊での活動であり、現実でいうところの警察官にあたります。職業柄市民から厳しい言葉をかけられることの多い立場ですが、彼は真摯に仕事に取り組み、職場での円滑な人間関係の構築も欠かしていません。特に新人の頃から面倒を見ている3人の後輩の話は、後輩たちと共に思い悩みながら成長していったエイメルの姿が想像できるようで、本作で聞ける話の中でも特に大好きな話の一つです。
EDでもまあまあ浮かれぽんちにこそなっていますが、エイメルと一緒に生きていくならどんな人物像の主人公でもきっと大丈夫だろう……と思える安心感があります。個人的に、ED4の賞金首やED5の人類に救済や試練を与える厄めの種族である主人公とエイメルはどう折り合いをつけるんだ……!?というのが周回した時楽しみにしていたポイントだったのですが、エイメル側がしっかり手綱を握っていて良かったです。
賞金をかけられていてなかなか自由に動けない主人公に、自分が事態を解決すると約束し、「貴方には陽の当たる場所が似合いますよ」と声をかけるのを見た時は、ヒュー!!かっこいい~~~!!とモブ治安維持隊員になって野次を入れたくなりました。
人として当たり前のようで、決して当たり前でない真面目さと優しさを持ち合わせているエイメルの人柄が好きだな……と彼との会話を思い返す度に感じるのですが、それはそれとして個人的な趣味として邪念が一番湧くのも彼なので、周回してエイメルと会話する度に頭の中で本能と理性が常に戦っています。体幹がしっかりしてて、広義の意味で“良い人”で、大抵の人に対して優しいけど好ましく思ってる人に対して更に一段深まった態度がある人、好きで…………湧き出る……邪念が……。
・ED1 大切なもの
エイメルと後輩3人の仲良しエピソードが好きなので、後輩3人が出てきてうれしかったEDです。ED1の医師主人公は選択肢を見ていると特に仕事疲れしているイメージなので、転職してエイメルにお弁当も作ってもらってハッピーな生活を送っていて良かったね……ともなりました。
エイメルのEDのうち初めに見たEDでもあるのですが、それまでに見た他キャラクターのEDと比べて明らかに糖度がぶち上がったので、エイメルのED群の洗礼を受けた意味でも印象に残っています。イチャつくなァ!!!!と毎回叫びつつ、エイメルのような人の実直さが報われる世界であってほしい……とも思っているので、エイメルが人生を共に過ごしたいと思える相手に出会ってお互いを思い合いながら生きている各EDが喜ばしくもあります。
ED名になっている「大切なもの」が、エイメルにとっては主人公と成長を喜ばしく思い見守っている後輩たちのことであり、主人公にとってはエイメルと自分たちを慕ってくれる後輩たちのことなんだろうな、と思わせられるやり取りがとても好きなEDです。
・ED6 名前のない関係
エイメルからの明確な好意に応えたからには双方合意のICHA-ICHAエンドになるのは道理だけど、好意に応えなかったらどうなるんだろう?と想像がつきませんでした。実際に見たED6で、家族でも恋人でもただの友人でもないけど仲が良くて好ましく思い合っている関係性が見られた時は、恋愛関係が成立しないこと=悲しいこととは限らない、という多様さを見られた気分になって嬉しかったです。
エイメルに限ったことではありませんが、「仕事終わりにあの店で」では各キャラクターから5日目に持ちかけられる共に生きていこうという申し出を断った後も、相手側が深く傷つくというよりは、それはそれとして私はあなたが好きなので自分が思うように行動しますねの方向に切り替える展開が多く、個人的にかなり好きな挙動でうれしかったです。相手が思うように行動した結果主人公がえらい目に遭うEDもありますが、エイメルのED6は彼の人柄がそのまま表れたような穏やかな幸福が続いていて、特に良いなと思ったEDの一つです。
〇ジェーウェ
登場するキャラクターの中でもカタコトで思わず親切心が出てきてしまう喋り方をする会話相手です。5人のキャラクターの中で一番普通の人間から離れているデザインと、愛嬌のある喋り方のバランスが秀逸なキャラだと感じます。ジェーウェのキュートな語彙は例を挙げれば枚挙に暇が無いのですが、ご機嫌な時の「ウフフ!」という笑い方と共感を求める時の「ネー?」という言葉が見る度に敗北しそうなくらい好きです。いやもう……全然大好きですけど……!?!?
ジェーウェは初対面の時から主人公に好意全開で接してきます。ジェーウェの好意があまりにど真ん中ストレートなので、主人公が「自分のことが好きなのか」とからかい半分に聞いて「好キ!」とノータイムで返され逆に照れるといったくだりもあります。とはいえジェーウェは他の客とも親しげに交流しており、てっきりフレンドリーな性格が高じて主人公にも好意的に接しているのかと初めは思っていたのですが、後々明らかになる「ジェーウェの種族が生涯をかけて探す『一番大事なもの』にあたる存在が、ジェーウェにとっては主人公だと一目見て分かった」という、もっとざっくり言うと「一目惚れだった」に近しい真実が明らかになった時は、それまでの好意フルスロットルな態度が更に愛おしくなって人の形を保てなくなるかと思いました。この真実を知った後だと、「一番大事なもの」について話す時にジェーウェがチラ……と主人公を見てくる立ち絵の可愛さに泣けてきます。
「何を受け取ったのか尋ねる」
ジェーウェ、失クシモノ!
ハンターサン、トリモドシテクレタ!
トッテモトッテモ大切!
デモ一番大事違ウ
~♪
ジェーウェ、モウスグ願イ叶ウ!
ドキドキ
ジェーウェの種族が探し求める「一番大事なもの」については全EDを回収した後に見られるプロフィールで更に詳細を知ることができます。プロフィールにある「ジェーウェの種族は自身にとって譲れない一番大事な何かを見つけると、出会えた場合はそれに終生をかけて寄り添い、守り抜く」「この広大な世界で対象に出会えることは種族の中でも稀で、生涯をかけて探し続けることがほとんどである」といった説明を読むと、ジェーウェにとって主人公がどれほど大切な存在かが分かって、本当に出会えてよかったね……の気持ちが強まります。本編で主人公にこういった事情が詳しく説明される場面は無く、ともすれば主人公はジェーウェが言う「一番大事」の重みを正確に理解はしないままジェーウェと生きていきそうなのも好きです。物語の外にいるプレイヤーだけが知っているキャラクターの好意の重みの表現が好きなので……。
ジェーウェが主人公に一目惚れしていたと知った後に会話を読み直すと、すべての言動にそれを知る前と違った味わいが生まれます。出会ってから5日目までの一連の流れが一番好きなキャラクターです。
好きなEDの項目に挙げきれなかったためこちらに書きますが、主人公がジェーウェと一緒に生きるのを断った後「もっとビッグにならなきゃダメなのかも!?!?」と左斜め上にかっ飛んで、最終的に主人公の住む街にゴジラと化したジェーウェが襲来するのも大好きです。好きな人のためにする努力が斜め上だったり規格外だったりする人がかわいくて好きなので、お前はどこまで可愛くなれば気が済むんだ……とキュートの波に呑まれました。
・ED2 敏腕助手系パートナー
ジェーウェから故郷の話を聞いている間、こんなにキュートで愛おしいジェーウェの生まれ育った場所はどんなところなんだろう……できるなら行ってみたい……あとなんか……親御さんにジェーウェを生み出してくれたことに感謝とかしたい……と思っていたので、実際に故郷に行けてうれしかったEDです。日の光こそ無いものの、キラキラした綺麗な場所で、ジェーウェの美しく可愛い心を育ててくれたこの場所に感謝したくなります。文章がだいぶキショくなってきたな。
ED2ではジェーウェが改めて主人公が一番大事な存在であることについて話してくれるのですが、この時の「旅立ち前に自分の『一番大事なもの』がどんなものかずっと想像してたけど、一目見てあなたが『一番大事なもの』だとすぐに分かった」という話を聞いてちょっと泣きました(!?)。ジェーウェ周りの話はド直球で「あなたと出会えてよかった」の話をするので好みに刺さり続けています。
・ED4 極悪系パートナー
このEDの前に他のEDをいくつか見ていたので、まあ主人公がどれだけ賞金首で暴れん坊でもジェーウェは主人公のことが好きなんだろうな……と予想してはいたのですが、主人公が自分は賞金首だと明かして、ジェーウェが「デモ好キー! 大好キ!! ジェーウェ、一番! 変ワラナイ!」と伝える会話に直面した時は予想通りだったというのにやっぱり吹き飛ばされました。ちょっとキュート過ぎないか!?!?
主人公に倣ってワルになろうとするジェーウェのお着替え差分がこのEDでだけ見られるのもこだわりが強くてたまらんな……のポイントです。このゲーム、使いどころが一つしか無いけどこういう格好してるこのキャラが見たいから絶対入れます!!!!と言わんばかりの差分がちょこちょこあるので、その覚悟受け取ったぜ……とサムズアップしたくなります。ワルの格好をしたジェーウェに、主人公が「まだ可愛いかもしれない」と伝える選択肢があるあたり、主人公ってやっぱりジェーウェのこと日頃から「可愛い」って思ってるんスね……という両思い具合が感じられるのも好きです。
このED4然りED5然り、ジェーウェは主人公の人物像によって在り様が大きく変わるキャラクターです。善人の主人公であれば善良になり、悪人の主人公であれば災厄になり得ます。そんなジェーウェのことを、私はすごく純粋なんだな~と思いながら見ていたのですが、全EDを見ると解禁されるプロフィールでこういった性質が「好きな相手のためには頑張ってしまう」と表現されているのを見て、またしてもジェーウェの可愛さに粉微塵になりました。選択肢によって変化するのは相手側の好感度ではなく主人公の人物像という一風変わったゲームシステムが、十全に活かされているキャラクターだと思います。
〇スクリック
神出鬼没のエンターテイナーを名乗る豪快な客
スクリックはサーカス団の団長であり、他人を楽しませるエンターテイメントに生き甲斐を見出している人です。お店で初めて出会った時の演出や会話を終えて別れる時の演出も派手で、見ていて楽しい画面が沢山あります。
ゲームを遊んでいると時折感じるのが、「立ち絵のイラストが無くてもセリフだけで誰が話しているのかきちんと分かるようにキャラクターの口調を設定しているゲームってすごいな……」ということです。「仕事終わりにあの店で」も例に漏れず立ち絵が無くても誰が話しているのか分かる口調の数々が気に入っているのですが、スクリックのサーカス団として振舞っている時の仰々しい口調と、いち個人として話している時の豪快な口調の切り替わりは特に一粒で二度美味しい良さがありました。主人公は仕事終わりに行きつけの店に来ているという設定ですが、スクリックも仕事とは違ったプライベートの時間でこの店に来ているんだな、と豪快な口調を聞いていると感じられて良かったです。
また、スクリックとの会話では後ろで流れているBGMも目まぐるしく変化します。本作のBGMは楽し気な中にも落ち着いた雰囲気があり耳に馴染むものが多いのですが、スクリックと喋っている間に流れる音楽は“楽し気”と“落ち着き”のうち前者が特に強調されたものが多く、ゲームの中に流れる空気が彼の纏う雰囲気に一気に塗り替えられたような気持ちになりました。スクリックのエンターテイナーらしさを感じられます。
スクリックとの会話で印象に残っているのは、やはり彼の本体になっている青い炎の話です。この炎について、作中では他人が何度もこの炎を見ているとスクリックに魅了され廃人のようになってしまうと語られます。
コイツはオレに関わる奴らを誰彼構わず魅了する
オレのショーを見たり、交流することで徐々にな
人によって差はあるが、結局行き着くところは同じだ
最後は心を焼き尽くして傀儡に変えるのさ
利用しようと思えばどうにでも悪用できそうなこの能力をスクリックは良しとせず、特定の人と何度も関わるのを避けるためにサーカスの公演は各地で突発的に行っています。「観客や会場は実力で沸かせてこそ。だから、他人の心を焼いて虜にすることを自分は望まない」というスクリックの話からは、彼のエンターテイメントに対する矜持が感じられます。
その他にもスクリックは店で出される料理に散りばめられたお客さんを楽しませるための工夫にも細かく目を配っており、様々なものから“客を楽しませる手法”を吸収していると分かります。こういった話を聞いていると、スクリックの開くサーカスはきっとすごく楽しいんだろうな……と作中で詳しく描写されているわけではないにもかかわらずサーカスの魅力が伝わってくるようでした。
・ED1 共に在るために
スクリックが自分の炎について話していた、「観客や会場は実力で沸かせてこそ。だから、他人の心を焼いて虜にすることを自分は望まない」というエンターテイナーとしての矜持の話が、そのまま主人公への好意にも写し取られて「能力で魅了されたあなたに好かれても意味が無い」という話で出されるのがど真ん中ストレートで良かったです。本作は同じキャラクターから向けられる好意であってもEDによってストレートと変化球の表現が使い分けられていて、その使い分けが上手いな……と感じます。そんな中でたまにプーさんのホームランダービーでいうオウルボールのような球が投げられてくるのも最高です。
主人公からスクリックへの「炎に焼かれても構わない」も紛うことなき愛ですが、きっとスクリックは今までの人生で同じように自分を慕ってくれた人が炎に焼かれて廃人になってしまう……という流れを何度も経験してるんじゃないかな~と他EDの会話も含めて見ていると感じるので、やっぱり主人公には炎に焼かれないままでいてほしいなと月並みに考えてしまいます。
・ED6 客取り合戦
スクリックとの会話では他のお客さんとの会話以上にマスターと主人公の話が出てきます。スクリックは自分の炎に耐性がある相手として主人公とマスターを見込んでおり、どちらをサーカスに勧誘しようか迷っているという背景があるのもあって、マスターと主人公がお互いを気にかけている描写が時折挟まれます。
主人公がスクリックと共に行くことを断る理由も、「マスターが行きつけのこの店に居るから」という他の会話相手とはひと味変わった理由になっています。そのうえでスクリックはサーカスの団長として、マスターは店の店長として、客の主人公が持っていかれないようにするという終わり方がそれまでの会話と繋がっていて面白いと思ったEDです。
スクリックがマスターや主人公を気に入る理由は、彼の炎にまつわる背景を思うと納得のいくものであり、2人ともサーカスに来てくれたらいいのに~!!という、口調こそ豪快で重みを匂わせないものの本気の心が伝わってきます。それと同時に、このEDではマスターから主人公への「仕事で疲れ果てているより多少捻くれていてもいいから元気でいてほしい」というあたたかな親愛も伝わってきて、後述する隠しEDでのやり取りがより味わい深くなると感じます。
〇隠しED
全てのEDを回収しながら「これ絶対に全部のEDを回収したらマスターとお喋りできる隠しEDがあるやつだ……」という並々ならぬ信頼を本作に抱いていたのですが、想像したとおりの隠しEDがちゃんとあったので物凄くうれしくなりました。隠しEDへの誘導も分かりやすくて有難かったです。
他のお客さんとの話を聞く限り、どうもマスターはかなり強そうな見た目をしているらしいとは感じていたのですが、満を持して姿を見られたのも閉店後に特別なお喋りができたのも全部がうれしかったな……。このマスターがドルネドすらてこずるようなモンスターを狩って料理しているのか……と想像して楽しくなりました。かなり見たい。マスターがトリコよろしく食材を狩ってるところ。
ゲームを始めた時に表示される主人公が持っているお店の会員カードのナンバーが0000002なのを見て、もしかしてお店が開店する前からの付き合いなのかな?とは思っていたのですが「表示されるカードのデザインは何度か変更される前の初期も初期のデザインだった」「そもそもマスターに店を開いてみないかと持ちかけたのは主人公だった」といった情報がドカドカ出てきて、この2人めっちゃ仲良しやんけ!!!!!!と画面を二度見しました。スクリックのED6でマスターが「俺がこの店を捨てるわけねぇだろ」と言っていた言葉も、この店が主人公の提案で始まった店だと知った後だと深みが増します。
先述したとおり主人公の見た目や立場が異なっている設定についても開示され、大満足の隠しEDでした。これは特にオタク特有の深読みなのですが、最後にマスターからかけられる「ワーカーズ・ハイと俺はいつでも待ってるからよ」という言葉が、主人公のみならず全てのEDを見終わってワーカーズ・ハイを出ていく(=このゲームを終える)プレイヤーにも向けられた言葉のように思えてなんだかうれしかったです。EDを全て見終わった後も、時々ゲームを起動したいなという気持ちになりました。
以前見かけてから配信を楽しみにしており、配信日一週間前くらいからずっとそわつきながら待っていたゲームだったので、私的な用事が終わったあとすぐに遊んだのですが本当に面白かったです! 人外キャラたちと仕事終わりにお喋りするゲームという概要を聞いて求めていたものが、初めの期待以上に詰まっていました。“好き”が詰まったゲームを遊ぶのって本当に楽しいな……と改めて感じましたし、“好き”をゲームという形にしてくださった製作者さんへの感謝が止まりません。
ゲームをクリアして以来会話相手のキャラクター(特にジェーウェ)に対してSNSの公開アカウントでそのまま発信するにはまあまあキショい感情が止まらなかったので、供養の意味でもnoteに感想をまとめられて良かったです。一部の文章がキショくて本当にすまない……。
現実の仕事にくたくたになった時、またゲームを起動して魅力的なキャラクターと楽しくお喋りがしたいと思える作品でした。ここまで読んでいただいてありがとうございました。



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