示談金1300万円依頼者に渡さず 弁護士を除名処分…3年間資格失う SNSで誹謗中傷も
23日に東京都内に事務所を構える51歳の男性弁護士が、所属する弁護士会から除名処分を下されたことが分かりました。この弁護士は、預かった示談金、のべ1300万円を依頼者側に渡していなかったということです。 【画像】「草津町を原発廃棄物の最終処分場に」SNSで誹謗中傷する投稿
■示談金1300万円依頼者に渡さず
東京都港区にある「みせばや総合法律事務所」の弁護士・岸本学氏(51)。第一東京弁護士会によると、岸本弁護士は依頼者11人から相談を受け、示談を成立させたにもかかわらず、示談金1300万円以上を依頼者に渡さなかったといいます。 依頼者は「盗撮被害」や「強制わいせつ事件」「セクハラ事件」の被害者で、岸本弁護士がホームページ上で特に力を入れていたはずの分野の事件でした。 みせばや総合法律事務所ホームページから 「『みせばや』はベンケイソウ科の草花です。花言葉は『安心』『静穏』『大切なあなた』などです。皆様が、『安心』『平穏』な生活を取り戻される手助けをしたいとの思いを、事務所名に込めました」 下された処分は最も重い「除名」です。専門家は次のように話します。 弁護士法人 プロテクトスタンス 大橋史典弁護士 「除名はなかなかないですね。(身近でも)さすがに聞いたことはない。除名というのはそう耳にすることはない」
■「原発廃棄物の最終処分場に」SNSで中傷も
除名になったことで、3年間弁護士としての資格を失います。重い処分の理由の一つに、SNSでの誹謗(ひぼう)中傷も含まれていました。 岸本学氏のSNSから 「草津町が多数の横暴から一個人の権利を守らないのであれば、日本全体の多数決で、草津町を原発廃棄物の最終処分場にでもしてしまえばどうか」 23日に番組の取材に応じ、怒りをあらわにしたのは、でたらめの性加害の告発で被害を受けた群馬県草津町の黒岩信忠町長です。 「我が草津町に対して原子力の廃棄物の処理場にしてしまえと、どうしてそういう言葉が思いつくのか、私には理解できない。コメントとしてめちゃくちゃ。理路整然じゃない。非常に草津町を愚弄(ぐろう)して馬鹿にしているものだと思います」 2019年、草津町の元女性町議が町長に胸を触られたなどと告発し、その後、本人が「事実ではなかった」と認めた問題。岸本弁護士は自身のSNSで、元女性町議側にたって草津町を原発の廃棄物の最終処分場にしたらどうかと過激な投稿をしていました。 草津町議会定例会(2022年12月) 「極めて劣悪な誹謗中傷をして草津町の名誉を毀損した。懲戒請求対象者は第一東京弁護士会所属みせばや総合法律事務所岸本学氏であります」 2022年、草津町の議会は、第一東京弁護士会に対して、岸本氏の懲戒請求を求めることを賛成多数で可決していました。 第一東京弁護士会 公式ホームページ 「客観的必要性も合理的理由もないにもかかわらず、過激かつ著しく侮蔑的な投稿を行った」 弁護士法に定められた品位を失う行為だと認定。また、示談金を渡さなかったことと合わせて、除名につながりました。 法律事務所のホームページに載っている電話番号に電話をかけたところ、「現在使われていません」という自動音声が流れました。 専門家は示談金を依頼者に渡さなかったことについて、刑事事件になる可能性を指摘します。 大橋弁護士 「当然返さなければいけないもの。極めて悪質なものである。刑法上では業務横領罪が成立する可能性があると思う」 (「グッド!モーニング」2025年5月24日放送分より)
テレビ朝日