新静岡県立中央図書館、現計画の「見直し不可避」 知事が県教委に検討指示 国の交付金100億円減額
JR東静岡駅南口の県有地に建設予定の新県立中央図書館の事業費に見込んでいた国の交付金が約100億円不足することを受け、鈴木康友知事が計画の見直しを検討していることが21日、関係者への取材で分かった。鈴木知事は静岡新聞社の取材に「100億円は大きい金額。このまま(現行計画通り)とはいかない」と明言し、計画の見直しは不可避との考えを示した。獲得を目指す別の交付金が十分に受けられない事態も念頭に、複数案を検討するとみられる。 知事は計画変更の見通しについて「これから方向性を決めて示す。県教委に指示した」と述べるにとどめた。県議会6月定例会で具体的な方針を明らかにするとみられる。 関係者によると、JR東静岡駅南口の建設地は変更しないという。2017年度に基本構想を策定した後、新型コロナ禍による検討中断を挟んで時間が経過したことを踏まえ、社会環境の変化に合わせた形でコンセプトから見直す可能性も出ている。県教委が28年8月以降とする完成時期への影響は避けられないが、大幅な遅れを回避する手法を検討するもよう。 新図書館を巡っては、総事業費298億円のうち、136億円の充当を見込んでいた国土交通省の社会資本整備総合交付金が34億円程度にとどまることが判明。県の実質負担額は約103億円増え、241億円に上る。19日の県議会への説明で事態が明らかになった。 新図書館は、老朽化した現在の県立中央図書館(静岡市駿河区谷田)を全館移転し整備する。現計画では鉄骨造り9階建て。延べ床面積1万9800平方メートル、収蔵可能数は約200万冊といずれも現図書館の2倍強。閲覧できる蔵書は約80万冊で、国内最大級の公共図書館となる。特徴的なデザインや機能が事業費の高騰を招き、業者が入札を敬遠する要因になっているとの見方があり、現計画のまま再入札を行っても落札に至らない可能性が懸念されている。
静岡新聞社