英国の移民数が前年から半減、ビザ発給要件の厳格化、留学生の家族帯同制限強化が要因

スターマー英首相(ゲッティ=共同)
スターマー英首相(ゲッティ=共同)

【ロンドン=黒瀬悦成】英国の国家統計局は22日、2024年に新たに入国した移民の人数から出国者を引いた「純移民」の数が前年比約50%減の43万1千人だったと発表した。保守党の前政権と労働党のスターマー現政権が昨年から就労ビザの発給要件の厳格化や留学生の家族帯同の制限強化を進めたのが要因だ。

労働党は従来、移民受け入れに比較的な寛容な姿勢を示してきたが、スターマー政権は、「反移民」を売り物にして勢力を拡大する右派政党「リフォームUK」の支持層を切り崩す思惑などから移民政策の厳格化にかじを切っている。

ただ、移民を絞れば介護業界などの人手不足が深刻化する恐れがあるほか、税収減による財政赤字が拡大する恐れもある。留学生からの授業料収入が減少し、大学の経営が圧迫される事態も懸念される。

発表によると24年に入国した移民は前年比29%減の94万8千人。出国者は11%増の51万7千人だった。

スターマー首相は12日に発表した移民政策で、外国人の永住権申請に必要な期間を現行の5年から原則10年に延長するほか、留学生が卒業後に滞在可能な期間を2年から1年半に短縮する方針を打ち出すなど、外国人の流入を一層厳しく制限していく考えだ。

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